最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第362話 消えた大魔王フルーフ
「懐かしい話よぉ」
ソフィの屋敷の数ある部屋の一室。そこに案内されたレアはキーリに、リラリオに至った経緯を話していた。
「成程な。今まで見たこともない魔族が現れたと思ったら、お前は別の世界の魔族だったわけかよ」
レアの昔話を聞いていたキーリは納得がいったとばかりに、腕を組んでうんうんと頷いていた。
「『レパート』の世界からこの世界へ跳んだ時には、すでに私もこの世界の中ではかなり強い方だったんだけどねぇ? 『リラリオ』の世界についた瞬間に貴方の力を感じて、自分がまだまだだと思い知ったのよぉ?」
『代替身体』の身体となったレアだが、こうして会話をしていると、かつての『魔王』レアの姿と違和感がなくなってくるキーリだった。
「はははは! ま、それは当然だろう? 俺はこの世界原初の龍だぞ? 魔族のお前の何倍生きていると思っているんだ」
「でも、私には戦って負けたけどねぇ?」
言い返すレアにムっとした表情を浮かべたキーリだが、舌を出してニヤニヤ笑うレアを見て、仕方ねぇ奴だなと苦笑いを浮かべて許すキーリだった。
「それで、どうなったんだ? 俺達をその除外だか、封印だとかをした後にお前の親父さん……『フルーフ』って魔族には伝えられたのか?」
話の続きが気になるキーリはついその先を聞いてしまった。
そしてその後のレアの表情を見て、内心でしまったとキーリは後悔するが、聞いてしまった以上は仕方が無い。
心の中で謝りながらキーリは、レアが口を開くのを黙って見る。
「それがねぇ『リラリオ』から『レパート』の世界へ戻った私は、すぐにフルーフ様の元へ報告へ行ったのよぉ。その時の私は『エリス』ちゃんや『ラクス』ちゃん……。色々な事がありすぎて、すぐにでもフルーフ様の顔が見たかったから……」
そこで先程レアが悲痛な表情を浮かべた理由が伝えられた。
「フルーフ様はねぇ、私が戻った時にはもう居なくなっていて魔王軍は、ソフィちゃんが元々居た世界『アレルバレル』出身のとある大魔王によって、乗っ取られていたのよぉ」
レアは大事な家族となったエリス達をリラリオの世界で失い、フルーフの命令を成し遂げて帰ってみれば、元の世界の大事な家族も失っていたという。
その時のレアを想像したキーリは、直接戦った相手、つまり敵であったレアに対して同情の念すら抱くのだった。
「その時の私は、一刻も早くフルーフ様に報告して色々あった事を話して、最後にはたった一言でいいから『よくやったぞ』っていう言葉が欲しかったのよねぇ」
思い出しながら話すレアの言葉は、掠れて涙声に変わっていく。
「でもねぇ、フルーフ様の魔王城の玉座に座っていたのは、フルーフ様じゃなくて『ヴァルテンっていう』大魔王だった」
……
……
……
「フルーフ様! どこにいったのぉ……?」
始祖龍キーリを倒して龍族達を空間除外の神域魔法で封じ込めた後、元の世界『レパート』へ戻ってきた『魔王』レアだが、主の魔王城にはフルーフの姿はなく、彼女が『リラリオ』へ向かう前では見たこともなかった魔族達が彼女の大事な父の城を牛耳っていた。
リラリオの世界で知り合った『同胞の魔族達』のことや『魔人ラクス』に『龍族キーリ』。そして色々な経験を経て積もる話を聞いてもらいたくて、レアは必死に親であるフルーフの姿を探す。
「どこ……、いったのぉ……」
レアは泣きそうな表情を浮かべて城の中を探し回る。
そして魔王城の玉座の間にレアが入ると、そこには見知らぬ男がフルーフの椅子に座っていた。
「誰だ貴様? 見たことの無い顔だな」
その男は突然部屋に入ってきたレアを見て、眉を寄せながらそう口にする。
「貴方こそ誰よぉ? そこはフルーフ様だけが座っていい場所よぉ!」
レアがそう言うと、玉座に勝手に座っていた男は笑い出した。
「ほう? まだアイツの事を覚えている者が居たのか……」
男はそう言うと立ち上がり、レアにゆっくりと近づきながら目を『金色』に変えた。
そしてキィイインという音と共に魔瞳である『金色の目』をレアに向けて放つのだった――。
――『私がこの世界の王ヴァルテンだ。今後は私を王と認め従え』。
『大魔王』の領域に居るヴァルテンは、他の者を操った時と同じようにレアをも操ろうとするのだった。
ソフィの屋敷の数ある部屋の一室。そこに案内されたレアはキーリに、リラリオに至った経緯を話していた。
「成程な。今まで見たこともない魔族が現れたと思ったら、お前は別の世界の魔族だったわけかよ」
レアの昔話を聞いていたキーリは納得がいったとばかりに、腕を組んでうんうんと頷いていた。
「『レパート』の世界からこの世界へ跳んだ時には、すでに私もこの世界の中ではかなり強い方だったんだけどねぇ? 『リラリオ』の世界についた瞬間に貴方の力を感じて、自分がまだまだだと思い知ったのよぉ?」
『代替身体』の身体となったレアだが、こうして会話をしていると、かつての『魔王』レアの姿と違和感がなくなってくるキーリだった。
「はははは! ま、それは当然だろう? 俺はこの世界原初の龍だぞ? 魔族のお前の何倍生きていると思っているんだ」
「でも、私には戦って負けたけどねぇ?」
言い返すレアにムっとした表情を浮かべたキーリだが、舌を出してニヤニヤ笑うレアを見て、仕方ねぇ奴だなと苦笑いを浮かべて許すキーリだった。
「それで、どうなったんだ? 俺達をその除外だか、封印だとかをした後にお前の親父さん……『フルーフ』って魔族には伝えられたのか?」
話の続きが気になるキーリはついその先を聞いてしまった。
そしてその後のレアの表情を見て、内心でしまったとキーリは後悔するが、聞いてしまった以上は仕方が無い。
心の中で謝りながらキーリは、レアが口を開くのを黙って見る。
「それがねぇ『リラリオ』から『レパート』の世界へ戻った私は、すぐにフルーフ様の元へ報告へ行ったのよぉ。その時の私は『エリス』ちゃんや『ラクス』ちゃん……。色々な事がありすぎて、すぐにでもフルーフ様の顔が見たかったから……」
そこで先程レアが悲痛な表情を浮かべた理由が伝えられた。
「フルーフ様はねぇ、私が戻った時にはもう居なくなっていて魔王軍は、ソフィちゃんが元々居た世界『アレルバレル』出身のとある大魔王によって、乗っ取られていたのよぉ」
レアは大事な家族となったエリス達をリラリオの世界で失い、フルーフの命令を成し遂げて帰ってみれば、元の世界の大事な家族も失っていたという。
その時のレアを想像したキーリは、直接戦った相手、つまり敵であったレアに対して同情の念すら抱くのだった。
「その時の私は、一刻も早くフルーフ様に報告して色々あった事を話して、最後にはたった一言でいいから『よくやったぞ』っていう言葉が欲しかったのよねぇ」
思い出しながら話すレアの言葉は、掠れて涙声に変わっていく。
「でもねぇ、フルーフ様の魔王城の玉座に座っていたのは、フルーフ様じゃなくて『ヴァルテンっていう』大魔王だった」
……
……
……
「フルーフ様! どこにいったのぉ……?」
始祖龍キーリを倒して龍族達を空間除外の神域魔法で封じ込めた後、元の世界『レパート』へ戻ってきた『魔王』レアだが、主の魔王城にはフルーフの姿はなく、彼女が『リラリオ』へ向かう前では見たこともなかった魔族達が彼女の大事な父の城を牛耳っていた。
リラリオの世界で知り合った『同胞の魔族達』のことや『魔人ラクス』に『龍族キーリ』。そして色々な経験を経て積もる話を聞いてもらいたくて、レアは必死に親であるフルーフの姿を探す。
「どこ……、いったのぉ……」
レアは泣きそうな表情を浮かべて城の中を探し回る。
そして魔王城の玉座の間にレアが入ると、そこには見知らぬ男がフルーフの椅子に座っていた。
「誰だ貴様? 見たことの無い顔だな」
その男は突然部屋に入ってきたレアを見て、眉を寄せながらそう口にする。
「貴方こそ誰よぉ? そこはフルーフ様だけが座っていい場所よぉ!」
レアがそう言うと、玉座に勝手に座っていた男は笑い出した。
「ほう? まだアイツの事を覚えている者が居たのか……」
男はそう言うと立ち上がり、レアにゆっくりと近づきながら目を『金色』に変えた。
そしてキィイインという音と共に魔瞳である『金色の目』をレアに向けて放つのだった――。
――『私がこの世界の王ヴァルテンだ。今後は私を王と認め従え』。
『大魔王』の領域に居るヴァルテンは、他の者を操った時と同じようにレアをも操ろうとするのだった。
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