最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第343話 世界の調停者、レアを脅威と認める
「お前達、この世界の安寧を脅かす存在を確認した。これより俺達『龍族』はこの世界のために魔族を排除するぞ」
遠く離れたターティス大陸。始祖龍キーリの前に集められた世界の調停者たる龍族達は、魔族を滅ぼす準備に取り掛かるのだった。
魔人や精霊といった力ある種族が色々と活動しようとも決して動こうとしなかった『龍族』が『魔族』をそして『魔王』レアを世界の敵と認めた瞬間であった。
龍族の王にしてこの世界最古の始祖龍キーリの号令は絶対であり、この日から『ターティス大陸』と『ヴェルマー大陸』は、事実上の戦争期間へと突入するのであった。
……
……
……
その頃、圧倒的な力で精霊達を『除外』という形で滅ぼしたレアの元に、エリスが駆け寄ってきた。
「お疲れ様です、レア様」
すでに戦闘態勢を解除しているレアは、ありがとうと礼を述べてエリスに笑みを向ける。
「何というか……、レア様は本当に凄いお方ですよね」
「そうかしらぁ? この程度で凄いって言っているようじゃまだまだよぉ? 私なんかより強い連中はまだまだいっぱいいるからねぇ」
レアはユファやレインドリヒの事を思い浮かべながら、忌々しそうに口を尖らせるのだった。
この世界に来てから強くはなったレアだが、この世界に来る前の段階ではレアは『ユファ』や『レインドリヒ』より、遥かに劣っていた。
自分がこれだけ強くなれたと言う事は、奴らもまた強くなっているに違いないと心の底から思っているレアであった。
――しかしエリスに言って聞かせるレアだがすでに『災厄の大魔法使い』であるユファや『魔術師』レインドリヒを遠く置き去りにする程に、強くなっている事を知らなかった。
だがそれは些細な事であり、レアがその事を知ったとしても先へと邁進する足を止めることはなかったであろう。
――その程度で満足するような天才ではないのだから。
「レア様より強い人がいるのですか……? 別の世界?というのはよくわかりませんが、それは……とても恐ろしいことですね」
エリスは頭では理解が追い付かないが、まじめな顔で語るレアを見てきっと真実なのだろうなと納得するのだった。
「それで、エリスちゃん? ちょっと魔法を使ってみてくれるかしらぁ?」
ここでレアはこの世界の『理』がしっかりと残っているかを確認するために、エリスに魔法を使うように促す。
「あ、分かりました」
そう言うとエリスは簡単な四元素の『理』を用いた魔法を次々と上空で使い始める。
どうやら精霊達をこの世界から除外した後でも、変わらずに全ての魔法は使えるようであった。
「よし! 成功したようねぇ? これで全部解決よぉ!」
自分の頭で考えた事がうまくいき、心底嬉しそうにそういうレアにエリスもまた笑顔を向けるのだった。
……
……
……
龍族がレアを含めた魔族を攻撃の照準に合わせていることをまだ知らないレアは、ラルグに戻った後も変わらぬ平穏の日々を送っていた。
ラルグ魔国とレイズ魔国、そしてトウジン魔国の三国での合同訓練は恒久化となり常に研鑽を続けている。すでにヴェルマー大陸はレアによって統一されているため、魔族の軍隊は国々間を越えて、大陸の部隊として編成されている。
レイズ出身であっても近接適正のある魔族は、ラルグの近接部隊へと加入してラルグ出身の魔法適正のある魔族は、レイズ魔法部隊に加入し経験を積んでいっている。
こうした取り組みは精霊族と戦う前から行われてはいたが、現在はその取り組みの成果があらわれており、魔族達は見違えるほどに強くなった。
レイズ魔法部隊の訓練の指揮を執るエリスは、見違えるほどに強くなり、レアとラクスを除けばヴェルマー大陸では、三番目の力を持つ程となった。
エリスの現在の階級は『魔王』。レアの率いるこの大陸の魔族軍の魔法部隊の長を務めている。
そして近接部隊の長を務めているのはなんと魔人である『ラクス』であった。
ジウとの一件の後はレアの計らいで魔族との和解に成功して、その後はラルグの重鎮達の息子であった魔族達とも、訓練を共にする仲となった事も好転したといえる。
精霊族との抗争を終えて帰ってきたレアとその後も研鑽を続けていたが、やがてラクスはレアから合格点を貰うに至り。そして現在はトウジン魔国へと渡り近接部隊の訓練の指揮を執っている。
専らラクス対複数の魔族といった戦いが多いが、相手への隙のつき方や近接の戦い方等も教えられている。
元々『紅』を使って戦う魔族と『スクアード』を使う魔人族は戦い方も似ているため、ラクスという強者の戦いは力の向上を図った上で非常に効率が良く、近接部隊も徐々にではあるが強くなっている。
レアがこの『リラリオ』に来た時、魔族の戦力値は、上限が2000万で下限が100万程度であったが、現在はエリスを除いた上限が3500万を越えて、下限であっても500万を下回ることは無くなっている。
エリスに続いてラルグ魔国のNo.2である『ベイド』や、トウジンの魔国王『クーディ』といった魔族も『魔王』階級へと徐々に近づいていた。
レアが王となってから魔族達の視点は大きく変わったと言えるだろう。王となった後も誰よりも自分の研鑽を続けるレアを知るこの大陸の魔族達は、今では誰もが強くなることを諦めず、しっかりと前を見ている。
それ程までにレアが大陸の王となってから、魔族達は研鑽を嫌がらずに毎日続けているのである。
このままあと数百年、いや数十年もあればこの世界の魔族達も次々と『魔王』や『真なる魔王』へと昇華する事が可能であろう。レアはしっかりと王としての責務を果たしていると言えるのだった。
――だが、その数百年という期日を与えられる事は無かった。
リラリオの世界の調停者達『龍族』達が、ヴェルマー大陸へと襲撃にきたからである。
……
……
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遠く離れたターティス大陸。始祖龍キーリの前に集められた世界の調停者たる龍族達は、魔族を滅ぼす準備に取り掛かるのだった。
魔人や精霊といった力ある種族が色々と活動しようとも決して動こうとしなかった『龍族』が『魔族』をそして『魔王』レアを世界の敵と認めた瞬間であった。
龍族の王にしてこの世界最古の始祖龍キーリの号令は絶対であり、この日から『ターティス大陸』と『ヴェルマー大陸』は、事実上の戦争期間へと突入するのであった。
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その頃、圧倒的な力で精霊達を『除外』という形で滅ぼしたレアの元に、エリスが駆け寄ってきた。
「お疲れ様です、レア様」
すでに戦闘態勢を解除しているレアは、ありがとうと礼を述べてエリスに笑みを向ける。
「何というか……、レア様は本当に凄いお方ですよね」
「そうかしらぁ? この程度で凄いって言っているようじゃまだまだよぉ? 私なんかより強い連中はまだまだいっぱいいるからねぇ」
レアはユファやレインドリヒの事を思い浮かべながら、忌々しそうに口を尖らせるのだった。
この世界に来てから強くはなったレアだが、この世界に来る前の段階ではレアは『ユファ』や『レインドリヒ』より、遥かに劣っていた。
自分がこれだけ強くなれたと言う事は、奴らもまた強くなっているに違いないと心の底から思っているレアであった。
――しかしエリスに言って聞かせるレアだがすでに『災厄の大魔法使い』であるユファや『魔術師』レインドリヒを遠く置き去りにする程に、強くなっている事を知らなかった。
だがそれは些細な事であり、レアがその事を知ったとしても先へと邁進する足を止めることはなかったであろう。
――その程度で満足するような天才ではないのだから。
「レア様より強い人がいるのですか……? 別の世界?というのはよくわかりませんが、それは……とても恐ろしいことですね」
エリスは頭では理解が追い付かないが、まじめな顔で語るレアを見てきっと真実なのだろうなと納得するのだった。
「それで、エリスちゃん? ちょっと魔法を使ってみてくれるかしらぁ?」
ここでレアはこの世界の『理』がしっかりと残っているかを確認するために、エリスに魔法を使うように促す。
「あ、分かりました」
そう言うとエリスは簡単な四元素の『理』を用いた魔法を次々と上空で使い始める。
どうやら精霊達をこの世界から除外した後でも、変わらずに全ての魔法は使えるようであった。
「よし! 成功したようねぇ? これで全部解決よぉ!」
自分の頭で考えた事がうまくいき、心底嬉しそうにそういうレアにエリスもまた笑顔を向けるのだった。
……
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龍族がレアを含めた魔族を攻撃の照準に合わせていることをまだ知らないレアは、ラルグに戻った後も変わらぬ平穏の日々を送っていた。
ラルグ魔国とレイズ魔国、そしてトウジン魔国の三国での合同訓練は恒久化となり常に研鑽を続けている。すでにヴェルマー大陸はレアによって統一されているため、魔族の軍隊は国々間を越えて、大陸の部隊として編成されている。
レイズ出身であっても近接適正のある魔族は、ラルグの近接部隊へと加入してラルグ出身の魔法適正のある魔族は、レイズ魔法部隊に加入し経験を積んでいっている。
こうした取り組みは精霊族と戦う前から行われてはいたが、現在はその取り組みの成果があらわれており、魔族達は見違えるほどに強くなった。
レイズ魔法部隊の訓練の指揮を執るエリスは、見違えるほどに強くなり、レアとラクスを除けばヴェルマー大陸では、三番目の力を持つ程となった。
エリスの現在の階級は『魔王』。レアの率いるこの大陸の魔族軍の魔法部隊の長を務めている。
そして近接部隊の長を務めているのはなんと魔人である『ラクス』であった。
ジウとの一件の後はレアの計らいで魔族との和解に成功して、その後はラルグの重鎮達の息子であった魔族達とも、訓練を共にする仲となった事も好転したといえる。
精霊族との抗争を終えて帰ってきたレアとその後も研鑽を続けていたが、やがてラクスはレアから合格点を貰うに至り。そして現在はトウジン魔国へと渡り近接部隊の訓練の指揮を執っている。
専らラクス対複数の魔族といった戦いが多いが、相手への隙のつき方や近接の戦い方等も教えられている。
元々『紅』を使って戦う魔族と『スクアード』を使う魔人族は戦い方も似ているため、ラクスという強者の戦いは力の向上を図った上で非常に効率が良く、近接部隊も徐々にではあるが強くなっている。
レアがこの『リラリオ』に来た時、魔族の戦力値は、上限が2000万で下限が100万程度であったが、現在はエリスを除いた上限が3500万を越えて、下限であっても500万を下回ることは無くなっている。
エリスに続いてラルグ魔国のNo.2である『ベイド』や、トウジンの魔国王『クーディ』といった魔族も『魔王』階級へと徐々に近づいていた。
レアが王となってから魔族達の視点は大きく変わったと言えるだろう。王となった後も誰よりも自分の研鑽を続けるレアを知るこの大陸の魔族達は、今では誰もが強くなることを諦めず、しっかりと前を見ている。
それ程までにレアが大陸の王となってから、魔族達は研鑽を嫌がらずに毎日続けているのである。
このままあと数百年、いや数十年もあればこの世界の魔族達も次々と『魔王』や『真なる魔王』へと昇華する事が可能であろう。レアはしっかりと王としての責務を果たしていると言えるのだった。
――だが、その数百年という期日を与えられる事は無かった。
リラリオの世界の調停者達『龍族』達が、ヴェルマー大陸へと襲撃にきたからである。
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