最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第335話 新たな開戦への秒読み段階
そしてそれからも『風の精霊』を司る長老『トネール』の元に、ジウから連絡が入らぬまま更に月日は流れるのであった。
流石に精霊王『ヴィヌ』や『水』の長老や『土』の長老達も痺れを切らしてしまい、トネールから話を聞くために『壁戦の滝』にて精霊会合が行われるのであった。
「さてトネールよ。お主が任せて欲しいといった此度の魔族の件だが、どうなったのかを聞かせてもらおうか?」
精霊王『ヴィヌ』が口を開きトネールに問いかけると『水』や『土』の長老達は笑みを浮かべる。
彼らは『火』の長老とは違い、次代の精霊王を狙う精霊達であった。
しかし、報を得るという点に関しては『風』の精霊『ジウ』やその他の優秀な『風』の精霊には勝てず、トネールが今回発した言葉で苦汁を飲まされていたのだった。
だが魔族の王の情報を得ることに芳しくないとみるや、ここぞとばかりに今回の会合で厳しく追求するつもりなのであった。
「優秀なお主達『風』の者達であれば、すでにレアとかいう魔族の情報は全て得ているのであろう? そうであるならば、早く聞かせてもらいたいものだ」
にやにやと笑いながら『土』の長老『ディガンダ』は厭らしくそう口にするのだった。
しかし結局、あれからトネールはジウとは連絡がとれず、月日だけが無駄に過ぎてしまったのだった。
「申し訳ありません、ヴィヌ様。どうやら私の同胞は情報を得る事に失敗してしまったようで何も得ることが出来ませんでした」
苦々しくも素直に吐露するトネールだが、その言葉に女型の姿を取っている精霊『水』の長老『リューカ』が口を挟んでくるのであった。
「全く情けないですね……! 出来もしない事を自信満々に言わないでもらえないかしら? 貴方のせいでこの数か月もの間、停滞してしまったのですよ? どう責任をとるおつもりなの?」
まさにここが攻め時だとばかりに、リューカは棘のある言葉をトネールに放つ。
「くっ……、こ、今度はワシ達『風』の精霊達が結集してヴェルマーに向かう! そして魔族の王レアとやらの情報を見事に得て再びこの場で報告して見せる!」
トネールは勢いに身を任せて、リューカの言葉に反論するようにそう告げるのだった。
「では何故もっと早く行動を起こさないの? こうしてヴィヌ様が会合を開いてくださるまで何も行動を起こさなかったのは、責任逃れをしたかったのかしら!?」
『水』の長老『リューカ』が何故、ここまでトネールに対して厳しいのかというと、元々は魔族の大陸への調査には『水』の精霊達が買って出ようとしていたのであった。
しかし『風』の長老『トネール』が強引に『リューカ』の意見を取り下げさせて『ジウ』を派遣すると告げたことが問題なのであった。
情報を得るということに関しては『風』の精霊の能力には勝てないために、渋々と『水』の長老は呑まざるを得なくなった。
リューカはあくまで精霊の同胞たちの未来を想い、自らが先だって調査をしようとしたのに対して『風』の長老は自身の評価の為にその決断を覆したのである。
『水』の長老『リューカ』は当然、自分本位で周りに迷惑をかけた『トネール』を憎んでいたというわけである。
「落ち着けリューカ。ヴィヌ様の御前だぞ」
――彼女にも色々な葛藤があったのだろう。
リューカは興奮が収まらず熱気が高まっていくが、そこへ『ディガンダ』が精霊王の御前の前だと告げて『リューカ』を窘めるのだった。
「も、申し訳ありません。ヴィヌ様」
大声をあげてトネールを問い詰めていたリューカは、我に返り申し訳なさそうに謝罪する。
「気にするでないぞリューカ。周囲に流されずに自分の意見をしっかりと持つことは重要だ」
そう告げるヴィヌに、再び頭を下げるリューカであった。
「それよりトネールよ。お主が使いに出した者は、魔族の大陸からはまだ戻ってはきてはおらぬのか?」
突然本題に戻ったかと思うと、尋ねられたトネールは慌てて口を開く。
「は、はい……! 我ら『風』の同胞の中でも選りすぐりの者を派遣したのですが、こちらに連絡どころか、その所在すら分からぬ状態でして……」
実際にトネールから何度も『念話』を送ってはいるが、一向に返事がないのであった。
「そうか……。ならばもう手遅れかもしれぬな」
突然の精霊王の言葉にその場にいたそれぞれの長老達は、一斉にヴィヌに顔を向けるのだった。
流石に精霊王『ヴィヌ』や『水』の長老や『土』の長老達も痺れを切らしてしまい、トネールから話を聞くために『壁戦の滝』にて精霊会合が行われるのであった。
「さてトネールよ。お主が任せて欲しいといった此度の魔族の件だが、どうなったのかを聞かせてもらおうか?」
精霊王『ヴィヌ』が口を開きトネールに問いかけると『水』や『土』の長老達は笑みを浮かべる。
彼らは『火』の長老とは違い、次代の精霊王を狙う精霊達であった。
しかし、報を得るという点に関しては『風』の精霊『ジウ』やその他の優秀な『風』の精霊には勝てず、トネールが今回発した言葉で苦汁を飲まされていたのだった。
だが魔族の王の情報を得ることに芳しくないとみるや、ここぞとばかりに今回の会合で厳しく追求するつもりなのであった。
「優秀なお主達『風』の者達であれば、すでにレアとかいう魔族の情報は全て得ているのであろう? そうであるならば、早く聞かせてもらいたいものだ」
にやにやと笑いながら『土』の長老『ディガンダ』は厭らしくそう口にするのだった。
しかし結局、あれからトネールはジウとは連絡がとれず、月日だけが無駄に過ぎてしまったのだった。
「申し訳ありません、ヴィヌ様。どうやら私の同胞は情報を得る事に失敗してしまったようで何も得ることが出来ませんでした」
苦々しくも素直に吐露するトネールだが、その言葉に女型の姿を取っている精霊『水』の長老『リューカ』が口を挟んでくるのであった。
「全く情けないですね……! 出来もしない事を自信満々に言わないでもらえないかしら? 貴方のせいでこの数か月もの間、停滞してしまったのですよ? どう責任をとるおつもりなの?」
まさにここが攻め時だとばかりに、リューカは棘のある言葉をトネールに放つ。
「くっ……、こ、今度はワシ達『風』の精霊達が結集してヴェルマーに向かう! そして魔族の王レアとやらの情報を見事に得て再びこの場で報告して見せる!」
トネールは勢いに身を任せて、リューカの言葉に反論するようにそう告げるのだった。
「では何故もっと早く行動を起こさないの? こうしてヴィヌ様が会合を開いてくださるまで何も行動を起こさなかったのは、責任逃れをしたかったのかしら!?」
『水』の長老『リューカ』が何故、ここまでトネールに対して厳しいのかというと、元々は魔族の大陸への調査には『水』の精霊達が買って出ようとしていたのであった。
しかし『風』の長老『トネール』が強引に『リューカ』の意見を取り下げさせて『ジウ』を派遣すると告げたことが問題なのであった。
情報を得るということに関しては『風』の精霊の能力には勝てないために、渋々と『水』の長老は呑まざるを得なくなった。
リューカはあくまで精霊の同胞たちの未来を想い、自らが先だって調査をしようとしたのに対して『風』の長老は自身の評価の為にその決断を覆したのである。
『水』の長老『リューカ』は当然、自分本位で周りに迷惑をかけた『トネール』を憎んでいたというわけである。
「落ち着けリューカ。ヴィヌ様の御前だぞ」
――彼女にも色々な葛藤があったのだろう。
リューカは興奮が収まらず熱気が高まっていくが、そこへ『ディガンダ』が精霊王の御前の前だと告げて『リューカ』を窘めるのだった。
「も、申し訳ありません。ヴィヌ様」
大声をあげてトネールを問い詰めていたリューカは、我に返り申し訳なさそうに謝罪する。
「気にするでないぞリューカ。周囲に流されずに自分の意見をしっかりと持つことは重要だ」
そう告げるヴィヌに、再び頭を下げるリューカであった。
「それよりトネールよ。お主が使いに出した者は、魔族の大陸からはまだ戻ってはきてはおらぬのか?」
突然本題に戻ったかと思うと、尋ねられたトネールは慌てて口を開く。
「は、はい……! 我ら『風』の同胞の中でも選りすぐりの者を派遣したのですが、こちらに連絡どころか、その所在すら分からぬ状態でして……」
実際にトネールから何度も『念話』を送ってはいるが、一向に返事がないのであった。
「そうか……。ならばもう手遅れかもしれぬな」
突然の精霊王の言葉にその場にいたそれぞれの長老達は、一斉にヴィヌに顔を向けるのだった。
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