最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第334話 精霊族への報復を行う魔王レア
現在レアはレイズのエリス女王を連れて、ヴェルマー大陸から離れてとある大陸へと向かう為に空を飛んでいた。
――それは精霊達が住んでいるだろう『トーリエ』大陸であった。
『風』の最上位精霊『ジウ』を倒した時に魔力を感知して、その魔力を頼りに『探知』した結果、レアは見事に精霊達の居場所を突き止めていたのであった。
すでにレアから見れば精霊族など、数十世代前の『魔』の領域の存在であり、自分を脅かす程の存在にはなりえないと確信していた。
だが、この世界の『理』と司る魔力の権化を管理する精霊達を滅ぼしてしまえば、配下の魔族達の魔法が使えなくなってしまう為、それを避けるために今までは滅ぼさずにいたのである。
しかし前回。国の重要書類に目を通していたレアがある事に思いつき、それを実行すればこの『理』の問題を解決できると踏んだレアは、すぐに行動を起こしたというわけである。
「レア様。本当に今から精霊様のところへ行かれるのですか……?」
急遽レアから連絡が入り、何事かと思えば『今から精霊たちと話し合いをしに行くからついていらっしゃい』と言われてしまい、ほとんど理解をせぬままに付き添わされたのであった。
「そうだけどねぇ、奴らにその精霊様をつけるのはおやめなさい? エリスちゃん」
ぷりぷりと怒り顔を見せてそういうレアであった。
「で、ですが精霊さ……、せ、精霊の『魔力の権化』を失ってしまえば、この世界から魔法は失われてしまいますよ?」
様をつけて敬おうとするエリスに一瞥送り訂正させたレアだが、その言葉には笑みを浮かべる。
「ふっふっふー、もうその問題は解決したのよぉ!」
満面の笑みを浮かべながらそう言うと、後ろを飛んでいるエリスに近づきクルクル周るのだった。
……
……
……
『ジウ』に任務を託してから三か月が過ぎて『風』の長老は今もまだ連絡がこない事に焦り始めていた。
「ジウからはまだ連絡が来ぬのか。このままでは、他の三元素の連中に隙を見せてしまう」
四元素を司る精霊達は普段から仲が良く互いに助け合う間柄ではあるが、そろそろ当代の精霊王から次代の精霊王が決められる時期に入っている。
それを見据えて『風』の長老は、ジウを魔族の王の情報を入手させる役に任命したのだが、未だに連絡が入ってこない。
ジウは『風』の精霊の最上位に位置する存在で、風を操り大気に混ざりながら敵の懐に入る事にかけては同胞の中でもピカイチであった。
情報を入手する上でジウ以上の存在は『風』の精霊の中どころか、精霊族の中でも類を見ないだろう。
上手くいけば魔族の王の暗殺も可能かもしれないとまで考えていた『風』の長老だったが、実際は何一つ結果を得られていないのであった。
魔族の王『レア』は、魔人すらも容易く屠った魔族である。その魔族の暗殺に成功したとなれば、確実に次の精霊王になれると踏んでいたのだった。
そしてそんな歯痒い気持ちを抱いていた『風』の長老の元に『火』の長老が訪れるのだった。
「トネールよ、そろそろ魔族の件がどうなったのか、聞かせてもらわねばなるまい?」
『火』の長老『バーン』がそう口にすると、トネールは苦々しい表情を浮かべたまま首を横に振る。
「それがまだジウから連絡が来ぬのだ。だがもう少し待ってくれ! 必ずや優秀な我が同胞が、結果をもたらしてくれるはずだ」
『風』の長老『トネール』がそう言うとバーンは、重々しい態度ではあったが頷いて見せた。
火の精霊達は基本的に戦闘を主とした精霊達で『風』精霊達のように情報を手にする事にかけてはさっぱりである為、トネールの言葉に頷く他無かった。
そしてバーンはトネール程に『精霊王』の立場に興味がないために、本日は本心から心配をして様子を見に来たのであった。
「ワシは別に構わぬが、結果を出すと精霊王であるヴィヌ様に断言した以上は早くなんとかせねば、今後お主の立つ瀬がないぞ?」
「うむ、それも分かっておる。連絡が入ればすぐにヴィヌ様や、お主にも伝えるからもう少し待ってくれ」
精霊王の名前を出されて額に脂汗を浮かべながら、現在の状況を伝える『トネール』であった。
「しかし難儀なことだ……。何も我らの時代にあんな魔族が生まれ出る事もなかろうて……」
バーンの言葉にまさにその通りだと、言わんばかりに頷くトネールであった。
「我ら精霊の『魔力の権化』を使わずに見たこともない魔法を放ったあの魔族の子供の存在は侮れぬ。魔を司るのは我ら精霊族でなくてはならぬのだ。あの魔族の使っておる『理』が、この世で当たり前のように使われるようになれば、我ら精霊族は忘れられて滅びてしまうかもしれない」
精霊達が懸念を抱いているのは、自分達精霊の培ってきた『理』が忘れ去られて『魔』を司る代表的な種族である『精霊族』のアイデンティティが失われる事を恐れているのである。
この世界に生きる他の種族が『精霊』の『魔力の権化』を使い魔力を施すことで、精霊達は寿命を得られるのであった。
まさに需要と供給であり、精霊達が生き永らえる為には『魔力の権化』を使ってもらって『魔力』をもらわなくてはならないのだった。
しかしそんな問題とは別にレアの使う魔法や『魔』の知識に対して精霊達は、非常興味をもっており、僅かながらではあるが魔族の王であるレアとじっくりと対談をしてみたいとも考えているトネール達であった。
……
……
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――それは精霊達が住んでいるだろう『トーリエ』大陸であった。
『風』の最上位精霊『ジウ』を倒した時に魔力を感知して、その魔力を頼りに『探知』した結果、レアは見事に精霊達の居場所を突き止めていたのであった。
すでにレアから見れば精霊族など、数十世代前の『魔』の領域の存在であり、自分を脅かす程の存在にはなりえないと確信していた。
だが、この世界の『理』と司る魔力の権化を管理する精霊達を滅ぼしてしまえば、配下の魔族達の魔法が使えなくなってしまう為、それを避けるために今までは滅ぼさずにいたのである。
しかし前回。国の重要書類に目を通していたレアがある事に思いつき、それを実行すればこの『理』の問題を解決できると踏んだレアは、すぐに行動を起こしたというわけである。
「レア様。本当に今から精霊様のところへ行かれるのですか……?」
急遽レアから連絡が入り、何事かと思えば『今から精霊たちと話し合いをしに行くからついていらっしゃい』と言われてしまい、ほとんど理解をせぬままに付き添わされたのであった。
「そうだけどねぇ、奴らにその精霊様をつけるのはおやめなさい? エリスちゃん」
ぷりぷりと怒り顔を見せてそういうレアであった。
「で、ですが精霊さ……、せ、精霊の『魔力の権化』を失ってしまえば、この世界から魔法は失われてしまいますよ?」
様をつけて敬おうとするエリスに一瞥送り訂正させたレアだが、その言葉には笑みを浮かべる。
「ふっふっふー、もうその問題は解決したのよぉ!」
満面の笑みを浮かべながらそう言うと、後ろを飛んでいるエリスに近づきクルクル周るのだった。
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『ジウ』に任務を託してから三か月が過ぎて『風』の長老は今もまだ連絡がこない事に焦り始めていた。
「ジウからはまだ連絡が来ぬのか。このままでは、他の三元素の連中に隙を見せてしまう」
四元素を司る精霊達は普段から仲が良く互いに助け合う間柄ではあるが、そろそろ当代の精霊王から次代の精霊王が決められる時期に入っている。
それを見据えて『風』の長老は、ジウを魔族の王の情報を入手させる役に任命したのだが、未だに連絡が入ってこない。
ジウは『風』の精霊の最上位に位置する存在で、風を操り大気に混ざりながら敵の懐に入る事にかけては同胞の中でもピカイチであった。
情報を入手する上でジウ以上の存在は『風』の精霊の中どころか、精霊族の中でも類を見ないだろう。
上手くいけば魔族の王の暗殺も可能かもしれないとまで考えていた『風』の長老だったが、実際は何一つ結果を得られていないのであった。
魔族の王『レア』は、魔人すらも容易く屠った魔族である。その魔族の暗殺に成功したとなれば、確実に次の精霊王になれると踏んでいたのだった。
そしてそんな歯痒い気持ちを抱いていた『風』の長老の元に『火』の長老が訪れるのだった。
「トネールよ、そろそろ魔族の件がどうなったのか、聞かせてもらわねばなるまい?」
『火』の長老『バーン』がそう口にすると、トネールは苦々しい表情を浮かべたまま首を横に振る。
「それがまだジウから連絡が来ぬのだ。だがもう少し待ってくれ! 必ずや優秀な我が同胞が、結果をもたらしてくれるはずだ」
『風』の長老『トネール』がそう言うとバーンは、重々しい態度ではあったが頷いて見せた。
火の精霊達は基本的に戦闘を主とした精霊達で『風』精霊達のように情報を手にする事にかけてはさっぱりである為、トネールの言葉に頷く他無かった。
そしてバーンはトネール程に『精霊王』の立場に興味がないために、本日は本心から心配をして様子を見に来たのであった。
「ワシは別に構わぬが、結果を出すと精霊王であるヴィヌ様に断言した以上は早くなんとかせねば、今後お主の立つ瀬がないぞ?」
「うむ、それも分かっておる。連絡が入ればすぐにヴィヌ様や、お主にも伝えるからもう少し待ってくれ」
精霊王の名前を出されて額に脂汗を浮かべながら、現在の状況を伝える『トネール』であった。
「しかし難儀なことだ……。何も我らの時代にあんな魔族が生まれ出る事もなかろうて……」
バーンの言葉にまさにその通りだと、言わんばかりに頷くトネールであった。
「我ら精霊の『魔力の権化』を使わずに見たこともない魔法を放ったあの魔族の子供の存在は侮れぬ。魔を司るのは我ら精霊族でなくてはならぬのだ。あの魔族の使っておる『理』が、この世で当たり前のように使われるようになれば、我ら精霊族は忘れられて滅びてしまうかもしれない」
精霊達が懸念を抱いているのは、自分達精霊の培ってきた『理』が忘れ去られて『魔』を司る代表的な種族である『精霊族』のアイデンティティが失われる事を恐れているのである。
この世界に生きる他の種族が『精霊』の『魔力の権化』を使い魔力を施すことで、精霊達は寿命を得られるのであった。
まさに需要と供給であり、精霊達が生き永らえる為には『魔力の権化』を使ってもらって『魔力』をもらわなくてはならないのだった。
しかしそんな問題とは別にレアの使う魔法や『魔』の知識に対して精霊達は、非常興味をもっており、僅かながらではあるが魔族の王であるレアとじっくりと対談をしてみたいとも考えているトネール達であった。
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