最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第316話 魔人ラクスを鍛える魔王レア
魔人との戦争の終結から早くも三か月が経った。
ヴェルマー大陸では、レアに鍛えられた側近の魔族達が、続々と『最上位魔族』へと足を踏み入れていった。
元々『最上位魔族』だったベイドは遂に、戦力値3000万を越え始めており、ラルグ魔国のNo.2に相応しい力を身につけていた。
ラルグ魔国以外の主国であるレイズ魔国や、トウジン魔国といった大国でも『ラルグ』との合同訓練等が頻繁に行われて、今までの魔国同士の交流など皆無であった歴史が嘘のように、レアを中心に活発に行われるようになった。
――レアは見事に魔族の王として、立派な仕事を熟しているといえるだろう。
そんな中、魔族の大陸に連れてこられた魔人ラクスは今日もレアのシゴキに付き合わされていた。
「くそ……。なんでこんなに強いんだ『魔族風情』の癖に!」
愚痴を零しながらラクスはレアを睨む。
しかしそんな弱音を吐く魔人の少年だが、日増しに力をつけ始めて今では『スクアード』を使わずとも彼ら魔人族の『上級兵』階級を凌駕する程の力を身につけ始めていた。
毎日毎日復讐をしようとレアに挑み続けて返り討ちにあい続けて、その後に自己研鑽を怠らずに強くなろうと努力をし続けたのだから、他者よりセンスがあったにしても頷けるというものだった。
「貴方ねぇ。その魔族風情の癖にっていう言い方はやめなさい?」
溜息を吐きながらレアは、ラクスに訂正を求めるのであった。
「魔人族は『龍族』に次ぐ戦闘種族だ! 本来は俺達に平伏すのがお前たち魔族……アイタッ!!」
べらべらと魔族を蔑むような言い方を続けるラクスの頭をレアは思いっきり叩くのであった。
「い、いてぇな……!!」
「確かに貴方達魔人は戦闘に関しては、そこそこやれる種族なのは認めるわぁ。でもねぇ? 魔族はそんなあなた達より、遥かに戦闘に関しては上なのよぉ」
悪態をつくラクスに、説教をするレアであった。
「如何に貴方達が優れているといっても、たった一人の私相手に全滅させられたのだから、分からないわけではないでしょぉ?」
「!」
魔族の大陸に戦争を仕掛けたのが魔人族だった為に、滅ぼされたとしても文句は言えず、ただ単に目の前の小さな女の子にしか見えない魔族に魔人達が滅ぼされた以上、ラクスは返す言葉がなかった。
悔しい気持ちを再び胸にラクスは、レアを倒す事を目標に手に力を込めるのだった。
そしてそんなラクスにレアは続けて声をかける。
「あとねぇ? その『スクアード』といったかしらぁ? それに頼りっぱなしじゃなくて、元々の戦力値をもっと底上げしなさい? 貴方たちの種族と戦った感想だけど。どうも少しねぇ……。そのオーラに頼りすぎているように見えるのよねぇ」
スクアードを頼り使う魔人族と同じように、魔族も似たような傾向がある。それは『淡く青いオーラ』、つまり『青のオーラ』を纏う魔族の中には『青』を体現したことで満足して普段の戦力値や魔力を鍛えず、一時的な飛躍に甘える者が極端に多いのである。
『スクアード』が『紅』や『青』と同じような技だと見極めたレアは、通常時の戦力値を上げる事こそがとても重要だと言いたいのである。
「スクアードは強き魔人の証だ! それを頼るなというのか?」
不満気にレアに訴えるラクス。
「別に完全に使うなとは言わないわよぉ? ただねぇ? 貴方みたいな半人前が技に溺れている現状を哀れだと言いたいだけよぉ」
そう言ってレアは厭らしい笑みを浮かべて笑う。
「な、なんだと……っ!」
ラクスが続けざまに文句を言おうとしたが、レアが青を纏い始めた事で何も言えなくなった。
今まで戦っていたレアの戦力値でさえ『スクアード』を纏う魔人のラクスより強かった。
だが、彼女が『青』を纏うと先程までのレアが霞む程に戦力値を跳ね上げて見せる。
「ある程度力を持っている貴方なら分かるわよねぇ? 通常形態の力を高める事で切り札は更に魅力的に輝くのよぉ」
通常形態のレアでさえ恐ろしい程の力だったというのに、今の『青』を纏ったレアの威圧感は魔人のラクスが無視出来ないほどに重圧がのしかかる。
「く……、くそうっ!」
レアの説得力は凄まじかった。言い返す事が出来ないラクスは子供らしく悔しがって見せるのだった。
「強くなることに近道はないわぁ。貴方はまだまだ強くなれる素質があるのだから、慌てずに邁進しなさい」
「ちぇっ、分かったよ……」
最後には素直に頷くラクスであった。
納得して見せたラクスに笑みを浮かべて、レアはオーラを解除して今日の訓練を終わらせる。
口ではまだまだとラクスに言っていたレアだが、内心ではラクスを認め始めているレアであった。
(ラクスちゃんが何歳か分からないけどぉ、確かに慢心を見せずに研鑽を積んでいけば、いずれは『真なる魔王』階級は越えてきそうねぇ? そうなった時に私は喜ぶべきなのかしらぁ)
レアは自分が嬉しそうな表情をしている事に気づかず、ラクスを見ながら自問自答をするのであった。
ヴェルマー大陸では、レアに鍛えられた側近の魔族達が、続々と『最上位魔族』へと足を踏み入れていった。
元々『最上位魔族』だったベイドは遂に、戦力値3000万を越え始めており、ラルグ魔国のNo.2に相応しい力を身につけていた。
ラルグ魔国以外の主国であるレイズ魔国や、トウジン魔国といった大国でも『ラルグ』との合同訓練等が頻繁に行われて、今までの魔国同士の交流など皆無であった歴史が嘘のように、レアを中心に活発に行われるようになった。
――レアは見事に魔族の王として、立派な仕事を熟しているといえるだろう。
そんな中、魔族の大陸に連れてこられた魔人ラクスは今日もレアのシゴキに付き合わされていた。
「くそ……。なんでこんなに強いんだ『魔族風情』の癖に!」
愚痴を零しながらラクスはレアを睨む。
しかしそんな弱音を吐く魔人の少年だが、日増しに力をつけ始めて今では『スクアード』を使わずとも彼ら魔人族の『上級兵』階級を凌駕する程の力を身につけ始めていた。
毎日毎日復讐をしようとレアに挑み続けて返り討ちにあい続けて、その後に自己研鑽を怠らずに強くなろうと努力をし続けたのだから、他者よりセンスがあったにしても頷けるというものだった。
「貴方ねぇ。その魔族風情の癖にっていう言い方はやめなさい?」
溜息を吐きながらレアは、ラクスに訂正を求めるのであった。
「魔人族は『龍族』に次ぐ戦闘種族だ! 本来は俺達に平伏すのがお前たち魔族……アイタッ!!」
べらべらと魔族を蔑むような言い方を続けるラクスの頭をレアは思いっきり叩くのであった。
「い、いてぇな……!!」
「確かに貴方達魔人は戦闘に関しては、そこそこやれる種族なのは認めるわぁ。でもねぇ? 魔族はそんなあなた達より、遥かに戦闘に関しては上なのよぉ」
悪態をつくラクスに、説教をするレアであった。
「如何に貴方達が優れているといっても、たった一人の私相手に全滅させられたのだから、分からないわけではないでしょぉ?」
「!」
魔族の大陸に戦争を仕掛けたのが魔人族だった為に、滅ぼされたとしても文句は言えず、ただ単に目の前の小さな女の子にしか見えない魔族に魔人達が滅ぼされた以上、ラクスは返す言葉がなかった。
悔しい気持ちを再び胸にラクスは、レアを倒す事を目標に手に力を込めるのだった。
そしてそんなラクスにレアは続けて声をかける。
「あとねぇ? その『スクアード』といったかしらぁ? それに頼りっぱなしじゃなくて、元々の戦力値をもっと底上げしなさい? 貴方たちの種族と戦った感想だけど。どうも少しねぇ……。そのオーラに頼りすぎているように見えるのよねぇ」
スクアードを頼り使う魔人族と同じように、魔族も似たような傾向がある。それは『淡く青いオーラ』、つまり『青のオーラ』を纏う魔族の中には『青』を体現したことで満足して普段の戦力値や魔力を鍛えず、一時的な飛躍に甘える者が極端に多いのである。
『スクアード』が『紅』や『青』と同じような技だと見極めたレアは、通常時の戦力値を上げる事こそがとても重要だと言いたいのである。
「スクアードは強き魔人の証だ! それを頼るなというのか?」
不満気にレアに訴えるラクス。
「別に完全に使うなとは言わないわよぉ? ただねぇ? 貴方みたいな半人前が技に溺れている現状を哀れだと言いたいだけよぉ」
そう言ってレアは厭らしい笑みを浮かべて笑う。
「な、なんだと……っ!」
ラクスが続けざまに文句を言おうとしたが、レアが青を纏い始めた事で何も言えなくなった。
今まで戦っていたレアの戦力値でさえ『スクアード』を纏う魔人のラクスより強かった。
だが、彼女が『青』を纏うと先程までのレアが霞む程に戦力値を跳ね上げて見せる。
「ある程度力を持っている貴方なら分かるわよねぇ? 通常形態の力を高める事で切り札は更に魅力的に輝くのよぉ」
通常形態のレアでさえ恐ろしい程の力だったというのに、今の『青』を纏ったレアの威圧感は魔人のラクスが無視出来ないほどに重圧がのしかかる。
「く……、くそうっ!」
レアの説得力は凄まじかった。言い返す事が出来ないラクスは子供らしく悔しがって見せるのだった。
「強くなることに近道はないわぁ。貴方はまだまだ強くなれる素質があるのだから、慌てずに邁進しなさい」
「ちぇっ、分かったよ……」
最後には素直に頷くラクスであった。
納得して見せたラクスに笑みを浮かべて、レアはオーラを解除して今日の訓練を終わらせる。
口ではまだまだとラクスに言っていたレアだが、内心ではラクスを認め始めているレアであった。
(ラクスちゃんが何歳か分からないけどぉ、確かに慢心を見せずに研鑽を積んでいけば、いずれは『真なる魔王』階級は越えてきそうねぇ? そうなった時に私は喜ぶべきなのかしらぁ)
レアは自分が嬉しそうな表情をしている事に気づかず、ラクスを見ながら自問自答をするのであった。
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