最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第280話 九大魔王ブラストの異世界転移
イリーガルの魔力のせいで発動した根源の玉の効力により、遠く離れた世界『リラリオ』の世界にとばされた大魔王『ブラスト』は、ヴェルマー大陸にあるラルグ周辺の森に転移させられていた。
「む……。ここはどこだ?」
ブラストは見た事の無い景色に辺りを見回し呆然と立ち尽くす。
「ディアトロス殿にイリーガル……? いないのか?」
先程まで同じ場所にいた筈の魔王達の姿が見えず、ブラストは自分の身に何かが起きたとようやく理解した。
「まずいな。イリーガルの魔力に反応したあのマジックアイテムが原因か?」
そう言うとブラストは『ダイス城』から持ってきた玉を探す。しかし掠めてきた筈の例のマジックアイテムは一つもなかった。
「どうやらあのアイテムが原因で間違いないらしいな」
そこで自動で展開していた『魔力感知』で、近くに居る大きな魔力を感じ取るブラストだった。
「戦力値が百億を越えている者が近くに居るな。面白い」
そういうと九大魔王『ブラスト』は、その者が居る場所へと転移するのだった。
……
……
……
「……」
ヌーに精神消失の魔法を使われたソフィは、精神が戻らずに上空に浮いたままであった。
そこにヴァルテンが連れていた部隊の魔族達が近づいていた。彼らは始祖龍キーリや、その配下の龍族達からここまで逃げてきた者達だった。
「流石のヴァルテン様でも、あの化け龍たちには勝てないだろう。俺達はほとぼりが冷めるまで、この世界のどこかの国で隠れていよう」
「そうだな。出来るだけここから離れた国がいい」
数体の魔族がそんな話をしていた頃、目の前に意識を失ったソフィが空に浮いていた。
「お、オイ待て! 前方に誰かがいるぞ……?」
「あれはターゲットの『ソフィ』とかいう大魔王じゃないか?」
「ああ。だが意識があるようには見えないが……」
数体の『真なる魔王』階級の魔族達がソフィの近くまで近づいた。
「本当に意識がないな……」
「眠らされているのか? それとも激しい戦闘の後で、意識を失っているんじゃないか?」
「レア様の姿が見えないのも気になるな」
そこでこの中で一際高い戦力値を持つ魔王が口を開いた。
「レア様と戦って相討ちになったとは考えられぬか?」
その言葉に他の魔王達もはっとした顔を浮かべる。
「確かにそうかもしれないな……。相討ちの末にここで意識を失ったという事が十分にあり得る」
見当違いな考察だが、口々に皆がそういうのであれば、確かにそんな気もしてくるのだった。
「これは好機じゃないか? 俺達が大魔王ソフィを仕留めたと『ヴァルテン』様に伝えれば、もしかしたら俺達を幹部にしてもらえるかもしれないぞ」
その言葉と場の雰囲気に流されてしまい、その場にいる魔王達はだんだんとその気にしていくのであった。
「……よし! 俺達の手柄にしちまうか?」
その場にいる者達の中で一番発言力がある魔王がそう言うと、他の者達もコクリと頷くのだった。
…………
『真なる魔王』階級の魔族達は、次々と青のオーラを纏い始める。
彼らとて練度は低いが『青』を纏える程の強さであり、自分達が選ばれし魔族だという自負がある。
次々と魔王達の戦力値が上昇していき、あっさりと1億を越えていく。
――しかし一見無防備に見えるが、この状態のソフィには決して触れてはいけなかった。
単に意識がないだけで戦闘能力そのものは変わらず、むしろ普段よりも意識がない分、ソフィに話は通じない。
先程まで戦っていた『ヌー』が『金色のオーラ』に、到達しているほどの強者だからこそ、戦いになっていたのだ。
今でもソフィの中に眠る『大魔王』がいつでも出て来れるような状態なのだ。本能というべきソフィの深淵に眠る意識。常に自分を越える者との闘争を望んでいるこのソフィの本能に対して、敵意を向けることがどういう事になるのか――。
――それは彼らが身を以て体験する事となるのであった。
「よし! 全員で魔力を合わせて『天空の雷』を使うぞ」
「了解」
「おう!」
一体では使えない神域魔法でも、互いの魔力を合わせれば彼らでも神域魔法を扱える。
そして口々に神域魔法『天空の雷』を放つ詠唱を開始するのだった。
次の瞬間――。
意識を失いふらふらと浮いていたソフィは、敵意を感知する。
『大魔王』ソフィの目が『金色』に変わり、次にそのソフィの周りを『金色』のオーラが纏わり始めていく。
――死ね。
瞬間――。
『青』のオーラを纏って神域魔法を放とうとしていた数体の魔王は、何の前触れもなく全員が、一斉に体が膨れ上がったかと思うと、風船が割れるように同時に体が爆発するのだった。
爆音が鳴り響いたかと思うと、その場にいた戦力値が1億を越える『真なる魔王』階級の者達が、一斉に絶命するのだった。
ソフィは自分の周囲で感知した敵意に対して、その敵意を放った全ての存在を完全に排除すると同時に、静かになった『ヴェルマー』大陸上空で再びソフィは眠りにつくのだった。
……
……
……
「む……。ここはどこだ?」
ブラストは見た事の無い景色に辺りを見回し呆然と立ち尽くす。
「ディアトロス殿にイリーガル……? いないのか?」
先程まで同じ場所にいた筈の魔王達の姿が見えず、ブラストは自分の身に何かが起きたとようやく理解した。
「まずいな。イリーガルの魔力に反応したあのマジックアイテムが原因か?」
そう言うとブラストは『ダイス城』から持ってきた玉を探す。しかし掠めてきた筈の例のマジックアイテムは一つもなかった。
「どうやらあのアイテムが原因で間違いないらしいな」
そこで自動で展開していた『魔力感知』で、近くに居る大きな魔力を感じ取るブラストだった。
「戦力値が百億を越えている者が近くに居るな。面白い」
そういうと九大魔王『ブラスト』は、その者が居る場所へと転移するのだった。
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ヌーに精神消失の魔法を使われたソフィは、精神が戻らずに上空に浮いたままであった。
そこにヴァルテンが連れていた部隊の魔族達が近づいていた。彼らは始祖龍キーリや、その配下の龍族達からここまで逃げてきた者達だった。
「流石のヴァルテン様でも、あの化け龍たちには勝てないだろう。俺達はほとぼりが冷めるまで、この世界のどこかの国で隠れていよう」
「そうだな。出来るだけここから離れた国がいい」
数体の魔族がそんな話をしていた頃、目の前に意識を失ったソフィが空に浮いていた。
「お、オイ待て! 前方に誰かがいるぞ……?」
「あれはターゲットの『ソフィ』とかいう大魔王じゃないか?」
「ああ。だが意識があるようには見えないが……」
数体の『真なる魔王』階級の魔族達がソフィの近くまで近づいた。
「本当に意識がないな……」
「眠らされているのか? それとも激しい戦闘の後で、意識を失っているんじゃないか?」
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そこでこの中で一際高い戦力値を持つ魔王が口を開いた。
「レア様と戦って相討ちになったとは考えられぬか?」
その言葉に他の魔王達もはっとした顔を浮かべる。
「確かにそうかもしれないな……。相討ちの末にここで意識を失ったという事が十分にあり得る」
見当違いな考察だが、口々に皆がそういうのであれば、確かにそんな気もしてくるのだった。
「これは好機じゃないか? 俺達が大魔王ソフィを仕留めたと『ヴァルテン』様に伝えれば、もしかしたら俺達を幹部にしてもらえるかもしれないぞ」
その言葉と場の雰囲気に流されてしまい、その場にいる魔王達はだんだんとその気にしていくのであった。
「……よし! 俺達の手柄にしちまうか?」
その場にいる者達の中で一番発言力がある魔王がそう言うと、他の者達もコクリと頷くのだった。
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『真なる魔王』階級の魔族達は、次々と青のオーラを纏い始める。
彼らとて練度は低いが『青』を纏える程の強さであり、自分達が選ばれし魔族だという自負がある。
次々と魔王達の戦力値が上昇していき、あっさりと1億を越えていく。
――しかし一見無防備に見えるが、この状態のソフィには決して触れてはいけなかった。
単に意識がないだけで戦闘能力そのものは変わらず、むしろ普段よりも意識がない分、ソフィに話は通じない。
先程まで戦っていた『ヌー』が『金色のオーラ』に、到達しているほどの強者だからこそ、戦いになっていたのだ。
今でもソフィの中に眠る『大魔王』がいつでも出て来れるような状態なのだ。本能というべきソフィの深淵に眠る意識。常に自分を越える者との闘争を望んでいるこのソフィの本能に対して、敵意を向けることがどういう事になるのか――。
――それは彼らが身を以て体験する事となるのであった。
「よし! 全員で魔力を合わせて『天空の雷』を使うぞ」
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そして口々に神域魔法『天空の雷』を放つ詠唱を開始するのだった。
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