最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第249話 秘密裏2
「一先ず事情は分かった。それで俺達は具体的にどうすればいい? このままレアの指示に従っていればいいのか?」
レインドリヒがそう言うと、ヴァルテンは頷いて見せた。
「そうだ。俺達はヌーが現れるまでは通常通りに動き、レアに従っていればいいだろう」
「ヌーが現れたら?」
レインドリヒの問いに、ヴァルテンは笑みを浮かべる。
「我々はもうその後の事は全て無視をして、後はアレルバレルの世界へ避難する為に転移をするだけだ」
流石にそこまで丸投げするとは思っていなかったレインドリヒは、そのヴァルテンの言葉に驚愕の目を浮かべるのだった。
その様子に満足気な表情を浮かべながら、ヴァルテンは言葉を紡ぐ。
「お前も分かるだろう? ヌーが攻撃をする以上、即座に離れるのが得策だ」
このヴァルテンの言葉には、確かに頷ける根拠があった。
大魔王ヌーは周辺一帯を巻き込む事を何とも思ってはいない。
敵に大ダメージを与えられると感じたら何の遠慮もなく、敵や味方に関係なく極大魔法を打ち込むような魔王である。
「し、しかし、我らが逃亡した事を『レア』が気づいたらどうするのだ?」
レインドリヒは当然の疑問を口にすると、ヴァルテンは厭味な笑みを浮かべる。
そこで更に驚く事をヴァルテンは口にするのだった。
「知られたところで何も問題はない。この計画には魔王レアの抹殺も含まれているのだからな」
「なっ……!?」
普段は冷静な魔術師である『レインドリヒ』からは、想像が出来ない形相を浮かべて驚いていた。
「クックック、何をそこまで驚いている。言ったであろう? あの化け物から『概念跳躍』を使える者を引き離すとな」
それはこの世界の王の座にいる魔王レアをも葬るという意味だった。
確かにレインドリヒもヴァルテンも『魔王』レアに強引に従わせられている状態ではあるが、それにしてもそれではあまりにも、あまりにもレアが哀れではないか。
――レインドリヒは胸の動悸をおさえる為に手をやる。
嘘で塗り固められて偽りの敵を仕立て上げられて戦わされて、挙句に仲間だと思っている者達に、裏切られて殺される事を前提にされている。
流石のレインドリヒであっても、この話を喜々として語る目の前の老獪な魔王に吐き気を催すのだった。
「何だその目は? 気に喰わないならお前を計画から外してもいいんだぞ? どうなってもいいのであればな」
そこまで言い放つと厭味な笑みを浮かべていたヴァルテンは、とうとう笑い始めるのだった。
「ここまで来て裏切りはしないさ『ヴァルテン』」
なんとか表面上『レインドリヒ』は言葉を吐き出す。
「おお! そうかそうか、その言葉を聞いて安心したよ、レインドリヒ! お前の魔術は素晴らしいからなあ! 是非仲間で居続けて欲しいと願っておったのだ」
尚も大笑いを続けるヴァルテンに、内心で舌打ちをするレインドリヒだった。
この時レインドリヒの頭脳は、恐ろしい速度で計算が行われていた。
――何とかして魔王レアを生かす方法の為に。
ヴァルテンと違いレインドリヒは、レアにこの世界の『同胞』としての念を抱いている。
今までは自分の我が身可愛さに組織に逆らってまでは、抵抗しようとは思ってはいなかったが今は違う。
何とかして組織の計画をレアに知らせて、大魔王ソフィとの戦争を回避する方法を考え始めるのだった。
戦争までもう残された時間は少ない。このままここに居る時間も勿体ないとばかりに『レインドリヒ』は屋敷から出ようとする。
「事情は分かった……。俺は少しやらなければならない事を思い出したのでな、ここで失礼させてもらう」
レインドリヒがそう告げると、まだ笑っていたヴァルテンはピタリとその笑いを止めた。
「何だ? もう帰るのかね? 少し呑んではいかぬかレインドリヒよ。お前と呑もうと思ってとてもいい酒をとっておいたのだ」
「せっかくのところすまないが……」
レインドリヒはヴァルテンの誘いを丁重に断ろうとする。
――しかしそこでレインドリヒは、ヴァルテンの光輝く『目』を見てしまった。
「動くな、そのまま話を聞け」
――瞬間、レインドリヒは顔を歪めて後悔する。
ヴァルテンの魔瞳『金色の目』の効力が発揮されて、レインドリヒは動けなくなった。
「残念だよレインドリヒ。ここまで来て計画を潰されても困るからな、お前には逆らわせない為の杭を打たせてもらう」
そういうとヴァルテンは『淡く青い』オーラで魔力を高め始めた。
レインドリヒはまずいとは思ったが、すでにヴァルテンの『金色の目』の支配は始まっている為、レインドリヒは動く事が出来ずに言う事を聞くしかない。
既にヴァルテンの『魔瞳』の影響下にある中で、自分の意識を少しでも保ってられているだけでも『レインドリヒ』の耐魔力は大したものであったが、動けなければどうしようもない。
「『これより私の言葉に従わぬ場合、お前は契約により魂を抜き取られて死ぬ。よいか? 我らの計画を魔王レアに話す事は禁ずる。お前はそれを承諾するか?』」
この『呪縛の血』の呪文の前に魔瞳『金色の目』を使われてしまっている為、レインドリヒは逆らう事が出来ない。
単純に相手から言葉を聞き出す為に編み出されたフルーフの呪文『呪縛の血』は更に進化させられて『ヴァルテン』の使い方のように変えられてしまった。
まさに『金色の目』と『呪縛の血』のえげつのないセット効果である。
「承諾する……」
レインドリヒは強引に従わされてしまう。
「クックック、そうか! もし今の言葉が虚偽発言であったならば、お前は死ぬ事になるがそれでもいいんだな?」
「ああ。受け入れよう」
『呪縛の血』が成立してしまい、これによって『レインドリヒ』が『魔王』レアに計画を話せば、即座に絶命させられる事となってしまった。
今思えばこの屋敷にレインドリヒを呼ぶ前から、ここまでヴァルテンは考えていたのだろう。
魔瞳『金色の目』によって、強引に従わされたレインドリヒは心の中でそう思うのであった。
レインドリヒがそう言うと、ヴァルテンは頷いて見せた。
「そうだ。俺達はヌーが現れるまでは通常通りに動き、レアに従っていればいいだろう」
「ヌーが現れたら?」
レインドリヒの問いに、ヴァルテンは笑みを浮かべる。
「我々はもうその後の事は全て無視をして、後はアレルバレルの世界へ避難する為に転移をするだけだ」
流石にそこまで丸投げするとは思っていなかったレインドリヒは、そのヴァルテンの言葉に驚愕の目を浮かべるのだった。
その様子に満足気な表情を浮かべながら、ヴァルテンは言葉を紡ぐ。
「お前も分かるだろう? ヌーが攻撃をする以上、即座に離れるのが得策だ」
このヴァルテンの言葉には、確かに頷ける根拠があった。
大魔王ヌーは周辺一帯を巻き込む事を何とも思ってはいない。
敵に大ダメージを与えられると感じたら何の遠慮もなく、敵や味方に関係なく極大魔法を打ち込むような魔王である。
「し、しかし、我らが逃亡した事を『レア』が気づいたらどうするのだ?」
レインドリヒは当然の疑問を口にすると、ヴァルテンは厭味な笑みを浮かべる。
そこで更に驚く事をヴァルテンは口にするのだった。
「知られたところで何も問題はない。この計画には魔王レアの抹殺も含まれているのだからな」
「なっ……!?」
普段は冷静な魔術師である『レインドリヒ』からは、想像が出来ない形相を浮かべて驚いていた。
「クックック、何をそこまで驚いている。言ったであろう? あの化け物から『概念跳躍』を使える者を引き離すとな」
それはこの世界の王の座にいる魔王レアをも葬るという意味だった。
確かにレインドリヒもヴァルテンも『魔王』レアに強引に従わせられている状態ではあるが、それにしてもそれではあまりにも、あまりにもレアが哀れではないか。
――レインドリヒは胸の動悸をおさえる為に手をやる。
嘘で塗り固められて偽りの敵を仕立て上げられて戦わされて、挙句に仲間だと思っている者達に、裏切られて殺される事を前提にされている。
流石のレインドリヒであっても、この話を喜々として語る目の前の老獪な魔王に吐き気を催すのだった。
「何だその目は? 気に喰わないならお前を計画から外してもいいんだぞ? どうなってもいいのであればな」
そこまで言い放つと厭味な笑みを浮かべていたヴァルテンは、とうとう笑い始めるのだった。
「ここまで来て裏切りはしないさ『ヴァルテン』」
なんとか表面上『レインドリヒ』は言葉を吐き出す。
「おお! そうかそうか、その言葉を聞いて安心したよ、レインドリヒ! お前の魔術は素晴らしいからなあ! 是非仲間で居続けて欲しいと願っておったのだ」
尚も大笑いを続けるヴァルテンに、内心で舌打ちをするレインドリヒだった。
この時レインドリヒの頭脳は、恐ろしい速度で計算が行われていた。
――何とかして魔王レアを生かす方法の為に。
ヴァルテンと違いレインドリヒは、レアにこの世界の『同胞』としての念を抱いている。
今までは自分の我が身可愛さに組織に逆らってまでは、抵抗しようとは思ってはいなかったが今は違う。
何とかして組織の計画をレアに知らせて、大魔王ソフィとの戦争を回避する方法を考え始めるのだった。
戦争までもう残された時間は少ない。このままここに居る時間も勿体ないとばかりに『レインドリヒ』は屋敷から出ようとする。
「事情は分かった……。俺は少しやらなければならない事を思い出したのでな、ここで失礼させてもらう」
レインドリヒがそう告げると、まだ笑っていたヴァルテンはピタリとその笑いを止めた。
「何だ? もう帰るのかね? 少し呑んではいかぬかレインドリヒよ。お前と呑もうと思ってとてもいい酒をとっておいたのだ」
「せっかくのところすまないが……」
レインドリヒはヴァルテンの誘いを丁重に断ろうとする。
――しかしそこでレインドリヒは、ヴァルテンの光輝く『目』を見てしまった。
「動くな、そのまま話を聞け」
――瞬間、レインドリヒは顔を歪めて後悔する。
ヴァルテンの魔瞳『金色の目』の効力が発揮されて、レインドリヒは動けなくなった。
「残念だよレインドリヒ。ここまで来て計画を潰されても困るからな、お前には逆らわせない為の杭を打たせてもらう」
そういうとヴァルテンは『淡く青い』オーラで魔力を高め始めた。
レインドリヒはまずいとは思ったが、すでにヴァルテンの『金色の目』の支配は始まっている為、レインドリヒは動く事が出来ずに言う事を聞くしかない。
既にヴァルテンの『魔瞳』の影響下にある中で、自分の意識を少しでも保ってられているだけでも『レインドリヒ』の耐魔力は大したものであったが、動けなければどうしようもない。
「『これより私の言葉に従わぬ場合、お前は契約により魂を抜き取られて死ぬ。よいか? 我らの計画を魔王レアに話す事は禁ずる。お前はそれを承諾するか?』」
この『呪縛の血』の呪文の前に魔瞳『金色の目』を使われてしまっている為、レインドリヒは逆らう事が出来ない。
単純に相手から言葉を聞き出す為に編み出されたフルーフの呪文『呪縛の血』は更に進化させられて『ヴァルテン』の使い方のように変えられてしまった。
まさに『金色の目』と『呪縛の血』のえげつのないセット効果である。
「承諾する……」
レインドリヒは強引に従わされてしまう。
「クックック、そうか! もし今の言葉が虚偽発言であったならば、お前は死ぬ事になるがそれでもいいんだな?」
「ああ。受け入れよう」
『呪縛の血』が成立してしまい、これによって『レインドリヒ』が『魔王』レアに計画を話せば、即座に絶命させられる事となってしまった。
今思えばこの屋敷にレインドリヒを呼ぶ前から、ここまでヴァルテンは考えていたのだろう。
魔瞳『金色の目』によって、強引に従わされたレインドリヒは心の中でそう思うのであった。
コメント