最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第181話 ヴェルトマーの影
シスやリーゼ達がソフィと合流した後、パトロールに出ていた者達も『リーゼ』の『念話』によってこの場所に集められた。
どうやらここに居る者達が現在『レイズ』魔国に在籍する者達の大半のようであった。
シス女王の姿を見てむせび泣いて喜ぶ者も出て、シスもまたそんな者達を見て顔が綻んでいた。
再会の喜びを分かち合う姿を見ていたソフィだったが、やがて声をあげる。
「さて、シスやユファ、そしてお主はリーゼといったか。色々と積もる話もある事だとは思うが、まずは我の話を聞いてもらいたいのだが構わぬか?」
ソフィがそう言うとその為にこの広い部屋に移動したリーゼは頷き、シス達もまた異論を挟まず頷いた。その様子にソフィは話を続ける。
「我がこの大陸に来た理由はすでにリーゼ達には伝えたが、この場には後から合流してもらった者もいる。少し長くなるかもしれないが、最後まで聞いてもらえると助かる」
ソフィの言葉に多くの者が頷いた。
後から合流したレイズ魔国の民の魔族達も、リーゼが黙って聞いているので特に疑問を思わず異論はないようであった。
「まず我々は『ミールガルド』大陸から来た。事の発端は『ヴェルマー』大陸が戦争を仕掛けてきた事から始まるが、我々ミールガルドの者達が『ラルグ』魔国との戦争で勝利した事で、勝利国としてミールガルドのケビン王国がこの大陸の領土を得ようと、動いた事から始まる」
ソフィが一息で言った発言で、今初めて聞いた者達は余りの情報量の多さに黙り込むのだった。
「「……は?」」
唖然としていた者達だが、頭の中で何度もソフィの言葉が反芻した事で、ようやく理解して声に出し始めた。
「ま、待て待て! 待ってくれ! ラルグ魔国軍との戦争に勝利しただって!? 『ミールガルド』って大陸は人間達の国があるところじゃないのか?」
「ラルグ魔国の連中が負けたっていうのか!? あ、あの最強の魔族の軍勢が居るラルグ魔国を!? そ、それでここの領土を『ミールガルド』の者達が奪い取るだって!?」
驚きが場を伝播していき、よく分かってない者達も仲間の言葉を聞いて、ようやく事の重大さを理解し始めた。
「ラルグ魔国はトウジン魔国とレイズ魔国を攻め滅ぼした奴らだぞ? 人間達が倒したなんて信用できないぞ」
「もちろん奴らを倒したのは人間達だけではなく我達が関わっているのだが、シーマとかいう王を含めて『ラルグ』魔国の主だった者達は大半がもうこの世にはおらぬ」
その言葉に更にざわめきは大きくなった。
「き、君みたいな魔族の子供が『シーマ』達を倒したっていうのか?」
「さ、流石に悪いが、信用ができないな……」
「だが、あの子の隣に居るのは『ラルグ』魔国の元フィクスだった『レルバノン』だぞ?」
ざわざわと騒ぎは収まる事なく続いていくのでソフィは溜息を吐いた。そこへユファが怒鳴り声をあげた。
「お前達! 昔私が言ったことを忘れたか!! 反論を述べるのは構わない、だがそれは最後だと教えただろう! 他者が喋っている最中は、静かに最後まで聞け!」
「「!!」」
部屋中に響き渡る程の声、そして言葉の内容。その全てが目の前のユファから、ヴェルトマーの影を思い起こさせる。
この国のNo.2としてシスとこの国を三千年近くもの間支え続けた最強の『フィクス』の言葉を。
「ヴェルトマー様……?」
その声を発したのは誰だっただろうか――。
――次の瞬間にはその場に居たレイズ魔国に所属する全ての者達がユファに注目する。
確かにヴェルトマーの面影はあるのだが、ぱっと見ただけでは別人のユファの今の姿にこれまでは気づける者は居なかったが、今のように場を纏めるような言葉にその佇まいに、更には口調に間の取り方。そして何より怒っているにも拘わらず、自分達レイズの者達を慈しむように見るその表情。
――数千年間、この国を守り続けてきたこの国の『フィクス』。
『ヴェルトマー』に相違なかった。
「今は黙ってソフィ様の言葉を聞きなさい?」
水を打ったような静けさの後、レイズ魔国に所属する者達が一斉に声を揃えた。
「「仰せのままに! ヴェルトマー様!!」」
その様子を見ていたソフィは、堪えられない様子で歓喜に打ち震えていた。
元レイズ魔国No.2であったリーゼもまた、自分がフィクスであった頃の自分であれば、今この場で歓迎されている彼女のように、ここまでの影響力を示せなかっただろうなと薄く笑みを浮かべながら思うのであった。
先程までと同じ場所だったとは思えない程の静けさの中で、再びソフィは口を開くのだった。
……
……
……
どうやらここに居る者達が現在『レイズ』魔国に在籍する者達の大半のようであった。
シス女王の姿を見てむせび泣いて喜ぶ者も出て、シスもまたそんな者達を見て顔が綻んでいた。
再会の喜びを分かち合う姿を見ていたソフィだったが、やがて声をあげる。
「さて、シスやユファ、そしてお主はリーゼといったか。色々と積もる話もある事だとは思うが、まずは我の話を聞いてもらいたいのだが構わぬか?」
ソフィがそう言うとその為にこの広い部屋に移動したリーゼは頷き、シス達もまた異論を挟まず頷いた。その様子にソフィは話を続ける。
「我がこの大陸に来た理由はすでにリーゼ達には伝えたが、この場には後から合流してもらった者もいる。少し長くなるかもしれないが、最後まで聞いてもらえると助かる」
ソフィの言葉に多くの者が頷いた。
後から合流したレイズ魔国の民の魔族達も、リーゼが黙って聞いているので特に疑問を思わず異論はないようであった。
「まず我々は『ミールガルド』大陸から来た。事の発端は『ヴェルマー』大陸が戦争を仕掛けてきた事から始まるが、我々ミールガルドの者達が『ラルグ』魔国との戦争で勝利した事で、勝利国としてミールガルドのケビン王国がこの大陸の領土を得ようと、動いた事から始まる」
ソフィが一息で言った発言で、今初めて聞いた者達は余りの情報量の多さに黙り込むのだった。
「「……は?」」
唖然としていた者達だが、頭の中で何度もソフィの言葉が反芻した事で、ようやく理解して声に出し始めた。
「ま、待て待て! 待ってくれ! ラルグ魔国軍との戦争に勝利しただって!? 『ミールガルド』って大陸は人間達の国があるところじゃないのか?」
「ラルグ魔国の連中が負けたっていうのか!? あ、あの最強の魔族の軍勢が居るラルグ魔国を!? そ、それでここの領土を『ミールガルド』の者達が奪い取るだって!?」
驚きが場を伝播していき、よく分かってない者達も仲間の言葉を聞いて、ようやく事の重大さを理解し始めた。
「ラルグ魔国はトウジン魔国とレイズ魔国を攻め滅ぼした奴らだぞ? 人間達が倒したなんて信用できないぞ」
「もちろん奴らを倒したのは人間達だけではなく我達が関わっているのだが、シーマとかいう王を含めて『ラルグ』魔国の主だった者達は大半がもうこの世にはおらぬ」
その言葉に更にざわめきは大きくなった。
「き、君みたいな魔族の子供が『シーマ』達を倒したっていうのか?」
「さ、流石に悪いが、信用ができないな……」
「だが、あの子の隣に居るのは『ラルグ』魔国の元フィクスだった『レルバノン』だぞ?」
ざわざわと騒ぎは収まる事なく続いていくのでソフィは溜息を吐いた。そこへユファが怒鳴り声をあげた。
「お前達! 昔私が言ったことを忘れたか!! 反論を述べるのは構わない、だがそれは最後だと教えただろう! 他者が喋っている最中は、静かに最後まで聞け!」
「「!!」」
部屋中に響き渡る程の声、そして言葉の内容。その全てが目の前のユファから、ヴェルトマーの影を思い起こさせる。
この国のNo.2としてシスとこの国を三千年近くもの間支え続けた最強の『フィクス』の言葉を。
「ヴェルトマー様……?」
その声を発したのは誰だっただろうか――。
――次の瞬間にはその場に居たレイズ魔国に所属する全ての者達がユファに注目する。
確かにヴェルトマーの面影はあるのだが、ぱっと見ただけでは別人のユファの今の姿にこれまでは気づける者は居なかったが、今のように場を纏めるような言葉にその佇まいに、更には口調に間の取り方。そして何より怒っているにも拘わらず、自分達レイズの者達を慈しむように見るその表情。
――数千年間、この国を守り続けてきたこの国の『フィクス』。
『ヴェルトマー』に相違なかった。
「今は黙ってソフィ様の言葉を聞きなさい?」
水を打ったような静けさの後、レイズ魔国に所属する者達が一斉に声を揃えた。
「「仰せのままに! ヴェルトマー様!!」」
その様子を見ていたソフィは、堪えられない様子で歓喜に打ち震えていた。
元レイズ魔国No.2であったリーゼもまた、自分がフィクスであった頃の自分であれば、今この場で歓迎されている彼女のように、ここまでの影響力を示せなかっただろうなと薄く笑みを浮かべながら思うのであった。
先程までと同じ場所だったとは思えない程の静けさの中で、再びソフィは口を開くのだった。
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