最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第84話 エルザの来訪
「待たせたな、主から言伝を預かってきたぞ」
そう言いながら部屋の中に入ってきたのは、ソフィとレルバノンの屋敷で死闘を繰り広げた『上位魔族』である『エルザ」であった。
エルザの事を知らないラルフとリーネは、眉を寄せてソフィの顔を見る。
ラルフは内心で目の前の小柄な女性が、圧倒的な力を秘めている事を察して僅かに汗をかいていた。
「ソフィ、彼女は誰?」
リーネが別の意味で小柄な女性を警戒し、不安の色を混ぜた声でソフィに尋ねる。
だが、ソフィがリーネに答える前に『エルザ』が口を開く。
「すまないが、私と彼以外の者は出ていて貰おうか」
突然そんな事を言い出すエルザに、ラルフは主の身を案じながらエルザに質問をしよう口を開きかける。
そしてリーネはリーネで、エルザに文句を言おうとしたが、二人が口を開く前にソフィが答えた。
「うむ、わかった。二人は悪いが少し部屋を出て行ってくれぬか?」
「「!?」」
二人は何かを言おうと口をぱくぱく動かしていたが、やがてラルフとリーネが顔を見合わせて、溜息をついた後に部屋を出ていった。
「ふっ、ソフィの仲間達は本当に人間なのだな」
「うむ、屋敷でも言ったが『魔族』なのは我だけだな。それでどのような話を持って来たのだ?」
ソフィがエルザに本題を聞こうとする。
「ああ、その前に一言だけ言わせて欲しい」
そう言うとエルザはソフィに対して深々と頭を下げた。
「この前の事は本当にすまなかった。今後一切ソフィ達に手を出すつもりはない」
ソフィは、きょとんとした顔を浮かべる。
「襲っておいて勝手な言い分だとは理解している、詫びは必ず入れる。町を襲わせていた男にも話を通してあるし、後日ソフィに会わせると約束する」
ソフィはもう町を襲わせないという言葉を聞いて、それならばよいと頷いた。
「それとソフィ。図々しいとは思うのだが、今日は貴方に頼みがあって私は来たのだ」
「頼み?」
「貴方の力を見込んで……、レルバノン様の護衛を頼みたいのだ!」
ソフィはエルザの話を聞いて、意味が分からず眉を寄せるのだった。
「分からないな。お主程の強さを持っているならば、レルバノン殿には護衛など必要ないように思うが?」
ソフィに敗れたとはいっても通常形態とは比べ物にならないソフィと、ほぼ対等に渡り合っていた彼女である。
彼女がレルバノンの傍にいるならば、ソフィには護衛の必要があるとは全く思えなかった。
「いや、それがだな……。レルバノン様を追っているのは、西側の魔族『ラルグ』魔国の『シーマ』様の直属の部隊なのだ!」
決死の思いで話をしたのだろうが、いまいちソフィには伝わらなかった。
レルバノンの屋敷でレルバノンが質問してきた事や、その屋敷からの帰りの道の森付近で、スフィアが何やら西側の連中と呟いていたような気がしたが、ソフィはこの世界出身の魔族ではない。
ソフィにとっては馴染みがない以上、深刻そうに言われても分からないのは仕方がなかった。
「その魔国とやらは、ここの大陸とは別の大陸で、魔族が治めている国という事……、だったか?」
「その通りだが……。そういえばソフィはこの大陸で育ち『ヴェルマー』大陸の事は知らないのだったか?」
実際はソフィはこの大陸の出身という事でもなく、別世界からこの世界に転移させられたのだが、今後面倒になりそうだという理由でレルバノンに『ミールガルド』大陸で人間達に囲まれながら育ったと話をしていたのだった。
「うむ、我が知っている『魔族』はお主とレルバノンと、スフィアとやらだけだったからな」
エルザは顎の下に手をもっていき、考える素振りを始めた。
「少しだけ長くなるのだが、話をしても良いだろうか?」
エルザが断りを入れてきたので余程長くなりそうだと思い、それならば外で待っているラルフ達を呼んでもいいかとエルザに伝える。
「ああ、そうだな。私はソフィに頼んでいる立場だし、それに貴方の仲間だというのならば構わないぞ?」
エルザの許可を得たのでラルフとリーネを宿の部屋に戻して、改めて詳しくエルザの話を三人で話を聞く事にするのだった。
そう言いながら部屋の中に入ってきたのは、ソフィとレルバノンの屋敷で死闘を繰り広げた『上位魔族』である『エルザ」であった。
エルザの事を知らないラルフとリーネは、眉を寄せてソフィの顔を見る。
ラルフは内心で目の前の小柄な女性が、圧倒的な力を秘めている事を察して僅かに汗をかいていた。
「ソフィ、彼女は誰?」
リーネが別の意味で小柄な女性を警戒し、不安の色を混ぜた声でソフィに尋ねる。
だが、ソフィがリーネに答える前に『エルザ』が口を開く。
「すまないが、私と彼以外の者は出ていて貰おうか」
突然そんな事を言い出すエルザに、ラルフは主の身を案じながらエルザに質問をしよう口を開きかける。
そしてリーネはリーネで、エルザに文句を言おうとしたが、二人が口を開く前にソフィが答えた。
「うむ、わかった。二人は悪いが少し部屋を出て行ってくれぬか?」
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二人は何かを言おうと口をぱくぱく動かしていたが、やがてラルフとリーネが顔を見合わせて、溜息をついた後に部屋を出ていった。
「ふっ、ソフィの仲間達は本当に人間なのだな」
「うむ、屋敷でも言ったが『魔族』なのは我だけだな。それでどのような話を持って来たのだ?」
ソフィがエルザに本題を聞こうとする。
「ああ、その前に一言だけ言わせて欲しい」
そう言うとエルザはソフィに対して深々と頭を下げた。
「この前の事は本当にすまなかった。今後一切ソフィ達に手を出すつもりはない」
ソフィは、きょとんとした顔を浮かべる。
「襲っておいて勝手な言い分だとは理解している、詫びは必ず入れる。町を襲わせていた男にも話を通してあるし、後日ソフィに会わせると約束する」
ソフィはもう町を襲わせないという言葉を聞いて、それならばよいと頷いた。
「それとソフィ。図々しいとは思うのだが、今日は貴方に頼みがあって私は来たのだ」
「頼み?」
「貴方の力を見込んで……、レルバノン様の護衛を頼みたいのだ!」
ソフィはエルザの話を聞いて、意味が分からず眉を寄せるのだった。
「分からないな。お主程の強さを持っているならば、レルバノン殿には護衛など必要ないように思うが?」
ソフィに敗れたとはいっても通常形態とは比べ物にならないソフィと、ほぼ対等に渡り合っていた彼女である。
彼女がレルバノンの傍にいるならば、ソフィには護衛の必要があるとは全く思えなかった。
「いや、それがだな……。レルバノン様を追っているのは、西側の魔族『ラルグ』魔国の『シーマ』様の直属の部隊なのだ!」
決死の思いで話をしたのだろうが、いまいちソフィには伝わらなかった。
レルバノンの屋敷でレルバノンが質問してきた事や、その屋敷からの帰りの道の森付近で、スフィアが何やら西側の連中と呟いていたような気がしたが、ソフィはこの世界出身の魔族ではない。
ソフィにとっては馴染みがない以上、深刻そうに言われても分からないのは仕方がなかった。
「その魔国とやらは、ここの大陸とは別の大陸で、魔族が治めている国という事……、だったか?」
「その通りだが……。そういえばソフィはこの大陸で育ち『ヴェルマー』大陸の事は知らないのだったか?」
実際はソフィはこの大陸の出身という事でもなく、別世界からこの世界に転移させられたのだが、今後面倒になりそうだという理由でレルバノンに『ミールガルド』大陸で人間達に囲まれながら育ったと話をしていたのだった。
「うむ、我が知っている『魔族』はお主とレルバノンと、スフィアとやらだけだったからな」
エルザは顎の下に手をもっていき、考える素振りを始めた。
「少しだけ長くなるのだが、話をしても良いだろうか?」
エルザが断りを入れてきたので余程長くなりそうだと思い、それならば外で待っているラルフ達を呼んでもいいかとエルザに伝える。
「ああ、そうだな。私はソフィに頼んでいる立場だし、それに貴方の仲間だというのならば構わないぞ?」
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