最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第38話 ルビアの大魔法
「第三試合、始め!」
審判のコールで『ニーア』と『ルビア』の魔法使い対決の幕が上がった。
ルビアは先程と同じく相手の行動を全くといい程気にせずに詠唱を開始する。
「『広大な空に一筋の閃光、我が声に呼応し敵を撃て!』」
――最上位魔法、『雷撃閃光』。
ルビアの『魔法詠唱』の速度はとても早く無詠唱で魔法を放とうと『ニーア』もしていたが、それでも間に合わずに発動を許してしまう。
「くっ……! 『魔法障壁』」
『魔法障壁』は、相手の魔法を一度だけ半減する高等『防御魔法』である。
「ぐ、ぐああっ!」
しかし半減させられた魔法でも『ニーア』に甚大なダメージを与える『ルビア』であった。
そして更に『ニーア』の動きが止まった後も様子を見るような真似をせずに、ガンガンと詠唱を続けて『ルビア』は魔法を放ち続けるのだった。
「『麗なる氷華、凍てつく凍結の力よ、その絶対なる力を以て我の敵を砕く刃と化せ!』」
――最上位魔法、『氷華暴吹雪』
突如として会場を覆う程の冷徹な雪が荒れ狂った。
「さ、寒い……。これだけ離れていてもこの寒さだと、リング上はかなりやばいんじゃないか」
リングから少し離れてみている観客ですら、寒気が襲っている中リングの上ではニーアが凍死しそうな程の猛吹雪をその身に浴びて震えていた。
「ニーア、もうよい我と代われ!」
ソフィはこれだけの天候系の『大魔法』を連発して見せていても、全く魔力切れを起こす素振りを見せない『ルビア』に、流石にこれ以上は危険だと察知して『ニーアに』警告を促して代わるように伝え始める。
「ま、まだ僕は何も……、何もしていない!」
「ニーア……」
ソフィはニーアの目にまだ闘志が宿っているのを見て、それ以上は止める言葉を出せなかった。
「せ、せめて一撃……!」
「『ぐ、紅蓮の矢、わ、我に刃向かう愚者を迎……え、……う』」
息も絶え絶えにニーアは必死に言葉を紡ぎ、ソフィに教えてもらった魔法の詠唱を始めるが、もう体力が尽きかけているようで最後まで詠唱が出来ていない。
そこに更なる追い打ちだといわんばかりに『ルビア』は笑みを浮かべて詠唱を開始する。
「『広大な空に一筋の閃光……――』」
「もうよい! こちらの負けだ! 『ルビア』よ、その魔法を止めよ!」
ソフィはニーアが前のめりになって倒れそうになっているのを見て、必死に声を出すが、しかし――。
「『――我が声に呼応し敵を撃て!』」
「お主! やめろと言っているのが分からぬのか!」
――最上位魔法、『雷撃閃光』。
ソフィの断末魔に似た叫び声が空しく響き渡り、空から一筋の閃光がニーアをめがけて放たれていき、雷鳴と閃光の中で恐ろしい程の衝撃がリング上を駆け抜けた。
リングは雷によって大穴があいており、粉塵が巻き起こって煙でよく見えなかった。
――そして数秒が過ぎた後にようやく、リングの上の状態が鮮明に見えるようになった。
そこにはソフィがニーアを庇うように立っており、『ニーア』の周りには『結界』が張られていた。
しかしそれを見たルビアが、審判を一瞥した後に口を開いた。
「おい審判! 奴はそこで倒れている奴を庇って手を出したぞ? あれは反則なんじゃないのか?』
ルビアが苛立ちを込めた声でそう糾弾して、審判が確認を始めた。
「た、確かに……。こ、これは『ニーア』選手と『ルビア』選手の試合に『ソフィ』選手が手を出した形となりますね」
そして審判は手を挙げてコールをする。
「この試合『ニーア』選手の反則負けにより、ルビア選手の勝利です!』
これでグランは1勝2敗となった。
「ニーアが気絶をしておったのは、お主が最後の『魔法』を放つ前から分かっていたのだろう?」
静かにソフィが語り掛けるように『ルビア』に問う。
「ふんっ、勝負の最中に手を抜く馬鹿がいるか?」
「あのまま……、我が手を出さなければ『ニーア』は死んでいたかもしれぬのだぞ?」
「うるせえなぁお前! あの程度で死ぬ程の弱い奴が決勝に出てくるなっつーの。結果的に死ぬ事もなかったんだからもういいだろうが。いちいちしつけぇよクソガキ。さっさとそこのゴミを片付けろ」
――その言葉にソフィの表情から色が消えた。
「もうよい……。次は我の番だな」
ソフィは大事そうにニーアの身体を抱きかかえて、ディーダに預けて再びリングに上がった。
ソフィの目はこの世界でかつてない程に紅い輝きを放っていた。
審判のコールで『ニーア』と『ルビア』の魔法使い対決の幕が上がった。
ルビアは先程と同じく相手の行動を全くといい程気にせずに詠唱を開始する。
「『広大な空に一筋の閃光、我が声に呼応し敵を撃て!』」
――最上位魔法、『雷撃閃光』。
ルビアの『魔法詠唱』の速度はとても早く無詠唱で魔法を放とうと『ニーア』もしていたが、それでも間に合わずに発動を許してしまう。
「くっ……! 『魔法障壁』」
『魔法障壁』は、相手の魔法を一度だけ半減する高等『防御魔法』である。
「ぐ、ぐああっ!」
しかし半減させられた魔法でも『ニーア』に甚大なダメージを与える『ルビア』であった。
そして更に『ニーア』の動きが止まった後も様子を見るような真似をせずに、ガンガンと詠唱を続けて『ルビア』は魔法を放ち続けるのだった。
「『麗なる氷華、凍てつく凍結の力よ、その絶対なる力を以て我の敵を砕く刃と化せ!』」
――最上位魔法、『氷華暴吹雪』
突如として会場を覆う程の冷徹な雪が荒れ狂った。
「さ、寒い……。これだけ離れていてもこの寒さだと、リング上はかなりやばいんじゃないか」
リングから少し離れてみている観客ですら、寒気が襲っている中リングの上ではニーアが凍死しそうな程の猛吹雪をその身に浴びて震えていた。
「ニーア、もうよい我と代われ!」
ソフィはこれだけの天候系の『大魔法』を連発して見せていても、全く魔力切れを起こす素振りを見せない『ルビア』に、流石にこれ以上は危険だと察知して『ニーアに』警告を促して代わるように伝え始める。
「ま、まだ僕は何も……、何もしていない!」
「ニーア……」
ソフィはニーアの目にまだ闘志が宿っているのを見て、それ以上は止める言葉を出せなかった。
「せ、せめて一撃……!」
「『ぐ、紅蓮の矢、わ、我に刃向かう愚者を迎……え、……う』」
息も絶え絶えにニーアは必死に言葉を紡ぎ、ソフィに教えてもらった魔法の詠唱を始めるが、もう体力が尽きかけているようで最後まで詠唱が出来ていない。
そこに更なる追い打ちだといわんばかりに『ルビア』は笑みを浮かべて詠唱を開始する。
「『広大な空に一筋の閃光……――』」
「もうよい! こちらの負けだ! 『ルビア』よ、その魔法を止めよ!」
ソフィはニーアが前のめりになって倒れそうになっているのを見て、必死に声を出すが、しかし――。
「『――我が声に呼応し敵を撃て!』」
「お主! やめろと言っているのが分からぬのか!」
――最上位魔法、『雷撃閃光』。
ソフィの断末魔に似た叫び声が空しく響き渡り、空から一筋の閃光がニーアをめがけて放たれていき、雷鳴と閃光の中で恐ろしい程の衝撃がリング上を駆け抜けた。
リングは雷によって大穴があいており、粉塵が巻き起こって煙でよく見えなかった。
――そして数秒が過ぎた後にようやく、リングの上の状態が鮮明に見えるようになった。
そこにはソフィがニーアを庇うように立っており、『ニーア』の周りには『結界』が張られていた。
しかしそれを見たルビアが、審判を一瞥した後に口を開いた。
「おい審判! 奴はそこで倒れている奴を庇って手を出したぞ? あれは反則なんじゃないのか?』
ルビアが苛立ちを込めた声でそう糾弾して、審判が確認を始めた。
「た、確かに……。こ、これは『ニーア』選手と『ルビア』選手の試合に『ソフィ』選手が手を出した形となりますね」
そして審判は手を挙げてコールをする。
「この試合『ニーア』選手の反則負けにより、ルビア選手の勝利です!』
これでグランは1勝2敗となった。
「ニーアが気絶をしておったのは、お主が最後の『魔法』を放つ前から分かっていたのだろう?」
静かにソフィが語り掛けるように『ルビア』に問う。
「ふんっ、勝負の最中に手を抜く馬鹿がいるか?」
「あのまま……、我が手を出さなければ『ニーア』は死んでいたかもしれぬのだぞ?」
「うるせえなぁお前! あの程度で死ぬ程の弱い奴が決勝に出てくるなっつーの。結果的に死ぬ事もなかったんだからもういいだろうが。いちいちしつけぇよクソガキ。さっさとそこのゴミを片付けろ」
――その言葉にソフィの表情から色が消えた。
「もうよい……。次は我の番だな」
ソフィは大事そうにニーアの身体を抱きかかえて、ディーダに預けて再びリングに上がった。
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