最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第28話 祝勝会
ディラック達と合流し無事に一回戦の第一試合を勝利で飾ったソフィ達は、宿の近くの店で祝勝会が行われていた。
どうやら救護班が優秀だったようで、ディーダも治療を終えた後直ぐに祝勝会に参加する事が出来ていた。
「しかしまさかスイレンを倒して、第1試合を勝ち抜けるとは思っていなかったぞ」
ディラックは満面の笑みを浮かべて話す。
「ええ、スイレンさんは『ルードリヒ』……いや、この大陸でも五指に入るかもしれないという程の強さですからね」
ソフィからすれば統治者としても、冒険者としても『スイレン』は期待外れだったので褒められてもあまり嬉しくはなかった。
特にリーネや里を想って仕方なく『影忍の里』を『ルードリヒ』に渡して町にしたのだと思っていたスイレンが、実は私利私欲の為に里を利用して自分だけの軍隊を作ろうとしていただけだったのだと分かった後は、興味が薄れるどころか完全に消え失せてしまっていたのだった。
「……ソフィ、父さんの仇を討ってくれてありがとね?」
突然隣にいたリーネは礼を言ってきた。
「別にそういうつもりで戦ったわけではないが、お前の中で何かの区切りをつけられたというのであれば、我は良い事をしたのだと思う事にしようか」
自分の兄が里と同胞の忍者達を利用して、王国軍を乗っ取り裏から国を支配しようとしていたのだから複雑な思いだったのだろう。
今のリーネは憑き物が落ちたような、そんな顔つきになっているのであった。
今後リーネがどうするかは分からないが、少なくともスイレンに利用されたり危害を加えられる心配はしなくとも良いだろう。
『呪縛の血』は、この形態のソフィであれば、総魔力値の半分を消費しなければ発動しない『呪文』ではあったが、一度発動が行われてしまえばソフィが解除する意思を持たなければ永遠に解ける事もない。
――あくまでソフィに匹敵する程の『魔力』を持つ者が現れなければだが。
ディラックが神妙な顔をしていたが、やがてソフィを見ながら口を開くのだった。
「ソフィ君、よく聞いて欲しいのだが、今後君はヘルサス伯爵から狙われる事になるかもしれない」
「ほう……?」
ディラックからの突然の言葉にソフィは興味を示す。
「昨日の様子では相当スイレンに入れ込んでいたようで、君がスイレンを倒した事でヘルサス伯爵は大いに取り乱していてね。我々各町の冒険者ギルド達が集まっている部屋で、相当に荒れていたのだが、ヘルサス伯爵は『リルバーグ』のギルド長に君の事を調べさせようとしていたのを聞いてしまったのだ」
「ちょっと待ってよ! ソフィは正々堂々試合で戦っただけじゃない。何でそんな逆恨みのような事をされなきゃいけないの?」
ディラックの話に流石に納得いかない、といった様子でリーネは口を挟むのだった。
「そうですよ、それは余りにも理不尽すぎます。対抗戦の中で勝負をしただけではありませんか!」
ニーアもまたリーネに同意して怒りを露にする。
「余程スイレンに期待をしていたのか、何か別の思惑があったのか……。そこまで分からぬが、ヘルサス伯爵は君に対して強い恨みを抱いているようだった。この事だけは君に聞いておいて欲しかったのだ」
ディラックとしても自分のギルドの大事な選手に、危害を加えるような輩を許すつもりはないが、相手は『ルードリヒ王国』の大貴族である。
『どこまで自分の力でソフィを守れるだろうか』という心配から、この場で喋られずには居られなかったようである。
「うむ、我は別に構わんよ。こちらからは特に何もするつもりもないが、向こうから何か行動を起こしてくるというのであれば、それはそれで我は一向に構わぬ。全力で迎え撃つまでだ」
――実際にソフィは全くと言っていい程に心配等はしていない。
『アレルバレル』の世界では、ソフィが統治者となる前からなった後にまで、世界の安寧の為に行動を行ったソフィに対して、世界征服を狙う同族の魔族や、勇者『マリス』のように『ソフィ』を討伐しようとする人間達に狙われてきたのである。
たかが一大陸の国に属する貴族程度が、命を狙ってきたからといってソフィが脅える筈もなかった。
――むしろソフィは自分を打ち倒せる程の存在の出現に期待しているのである。
強者が自分を狙って来てくれるというのは、彼にとっては大歓迎と言えるのだろう。
ソフィはニヤリと笑って、そのまま嬉しそうな表情を浮かべながら口を開いた。
「それもよりもあと一回勝てば、『グラン』のギルドは初の決勝トーナメント進出なのだろう? 初の決勝トーナメント進出から、優勝という快挙を他のギルドの者達に知らしめてやろうではないか」
クックックと彼らしい笑い声をあげながら話すソフィだが、この言葉を大言壮語だと笑う者はこの場には居る筈もなかった。
……
……
……
どうやら救護班が優秀だったようで、ディーダも治療を終えた後直ぐに祝勝会に参加する事が出来ていた。
「しかしまさかスイレンを倒して、第1試合を勝ち抜けるとは思っていなかったぞ」
ディラックは満面の笑みを浮かべて話す。
「ええ、スイレンさんは『ルードリヒ』……いや、この大陸でも五指に入るかもしれないという程の強さですからね」
ソフィからすれば統治者としても、冒険者としても『スイレン』は期待外れだったので褒められてもあまり嬉しくはなかった。
特にリーネや里を想って仕方なく『影忍の里』を『ルードリヒ』に渡して町にしたのだと思っていたスイレンが、実は私利私欲の為に里を利用して自分だけの軍隊を作ろうとしていただけだったのだと分かった後は、興味が薄れるどころか完全に消え失せてしまっていたのだった。
「……ソフィ、父さんの仇を討ってくれてありがとね?」
突然隣にいたリーネは礼を言ってきた。
「別にそういうつもりで戦ったわけではないが、お前の中で何かの区切りをつけられたというのであれば、我は良い事をしたのだと思う事にしようか」
自分の兄が里と同胞の忍者達を利用して、王国軍を乗っ取り裏から国を支配しようとしていたのだから複雑な思いだったのだろう。
今のリーネは憑き物が落ちたような、そんな顔つきになっているのであった。
今後リーネがどうするかは分からないが、少なくともスイレンに利用されたり危害を加えられる心配はしなくとも良いだろう。
『呪縛の血』は、この形態のソフィであれば、総魔力値の半分を消費しなければ発動しない『呪文』ではあったが、一度発動が行われてしまえばソフィが解除する意思を持たなければ永遠に解ける事もない。
――あくまでソフィに匹敵する程の『魔力』を持つ者が現れなければだが。
ディラックが神妙な顔をしていたが、やがてソフィを見ながら口を開くのだった。
「ソフィ君、よく聞いて欲しいのだが、今後君はヘルサス伯爵から狙われる事になるかもしれない」
「ほう……?」
ディラックからの突然の言葉にソフィは興味を示す。
「昨日の様子では相当スイレンに入れ込んでいたようで、君がスイレンを倒した事でヘルサス伯爵は大いに取り乱していてね。我々各町の冒険者ギルド達が集まっている部屋で、相当に荒れていたのだが、ヘルサス伯爵は『リルバーグ』のギルド長に君の事を調べさせようとしていたのを聞いてしまったのだ」
「ちょっと待ってよ! ソフィは正々堂々試合で戦っただけじゃない。何でそんな逆恨みのような事をされなきゃいけないの?」
ディラックの話に流石に納得いかない、といった様子でリーネは口を挟むのだった。
「そうですよ、それは余りにも理不尽すぎます。対抗戦の中で勝負をしただけではありませんか!」
ニーアもまたリーネに同意して怒りを露にする。
「余程スイレンに期待をしていたのか、何か別の思惑があったのか……。そこまで分からぬが、ヘルサス伯爵は君に対して強い恨みを抱いているようだった。この事だけは君に聞いておいて欲しかったのだ」
ディラックとしても自分のギルドの大事な選手に、危害を加えるような輩を許すつもりはないが、相手は『ルードリヒ王国』の大貴族である。
『どこまで自分の力でソフィを守れるだろうか』という心配から、この場で喋られずには居られなかったようである。
「うむ、我は別に構わんよ。こちらからは特に何もするつもりもないが、向こうから何か行動を起こしてくるというのであれば、それはそれで我は一向に構わぬ。全力で迎え撃つまでだ」
――実際にソフィは全くと言っていい程に心配等はしていない。
『アレルバレル』の世界では、ソフィが統治者となる前からなった後にまで、世界の安寧の為に行動を行ったソフィに対して、世界征服を狙う同族の魔族や、勇者『マリス』のように『ソフィ』を討伐しようとする人間達に狙われてきたのである。
たかが一大陸の国に属する貴族程度が、命を狙ってきたからといってソフィが脅える筈もなかった。
――むしろソフィは自分を打ち倒せる程の存在の出現に期待しているのである。
強者が自分を狙って来てくれるというのは、彼にとっては大歓迎と言えるのだろう。
ソフィはニヤリと笑って、そのまま嬉しそうな表情を浮かべながら口を開いた。
「それもよりもあと一回勝てば、『グラン』のギルドは初の決勝トーナメント進出なのだろう? 初の決勝トーナメント進出から、優勝という快挙を他のギルドの者達に知らしめてやろうではないか」
クックックと彼らしい笑い声をあげながら話すソフィだが、この言葉を大言壮語だと笑う者はこの場には居る筈もなかった。
……
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