俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。
12-3【ゴブリンの大将軍】
「あー、もー、だりーなー……」
俺は愚痴りながらダラダラと斬馬刀を振るっていた。
かれこれ四時間はゴブリンたちと戦っていますわ。
流石に俺も疲れて来たぞ。
肉体的にも精神的にもさ。
そろそろゴブリンたちも学習してきたのか、飛び掛かったら殺されるってのが理解できていやがる。
だから多くのゴブリンたちは声を荒立てるだけで攻めて来なくなっていた。
お互いにダラダラとした空気が漂っている。
攻めて来るのは、ずっと後ろで順番待ちをしていた血気盛んなゴブリンたちだけだ。
やっと人混みを掻き分け前に出れた喜びのまま飛び掛かって来ては、俺に斬られるのの繰り返しだった。
正直、このままでは埒があかないムードが漂い始めている。
これはもしかしてだが、ゴブリンに和解を申し出ればドローになって、俺は帰っていいよってことにならないかな?
そうだよ、こんな時に役立ちそうな指輪を俺は持っていたじゃあないか!
俺は異次元宝物庫からランゲージリング+2を取り出すと、確り握り締めた。
【ランゲージリング+2】
下等種族の言語が話せるようになる。下等種族の文章が読めるようになる。
よし、とりあえず話し掛けてみよう。
「おい、お前ら、話が出来るヤツは居るか!?」
俺の声に一匹のゴブリンが応対する。
「話とは、なんだゴブ!?」
おお、言葉が通じてるよ。
これなら行けるかな? 
「話がしたい。リーダーでもボスでもいいから話が出来るヤツを連れてこい!」
数匹のゴブリンたちは、顔を見合わせたあとに言う。
「分かった、ちょっと待ってろゴブ!」
よし、とんとん拍子に話が進んでるぞ!
これなら行けるかな。
すると二匹のゴブリンが、倒れている一匹のゴブリンの足を掴んで引き摺って運んで来た。
そして、ゴブリンが言う。
「こいつがボスだゴブ!」
それは額にダガーが刺さったゴブリンシャーマンだった。
最初のころに俺が投げダガーで殺したヤツじゃんか!?
もう、ボスは死んでるよ!!
ダメじゃんか……。
「あちゃ~……。じゃあサブリーダーは誰だ?」
俺の言葉にゴブリンたちがざわめき出した。
「サブリーダーって、誰よゴブ?」
「そんなの居ねえだろゴブ?」
「決めてないよなゴブ?」
「そうだよな、だってボスはワンマンだったもんな~ゴブ」
「じゃあ、俺が二代目のボスになるゴブ」
「なんでだゴブ?」
「だって俺のほうがボスっぽいだろゴブ?」
「ボスっぽさなら、俺のほうが上だろゴブ?」
「いやいや、俺だよホブ!」
「まあ、待て、お前らゴブ」
「なんだよホブ?」
「お前らは普通のゴブリンだゴブ。しかし俺はゴブリンライダーだゴブ。だから俺のほうがボスだろゴブ?」
「それならオラはホブゴブリンだホブ。オラのほうが強いんだからボスだべさ」
「いやいや、待つでざんす。私は前のボス同様にゴブリンシャーマンざんすよ。ならば私がボスざますよ」
「まてや、ゴラァ! ゴブリンチャンピオンの俺を差し置いて、誰がボスだって!?」
うわ~、なんか詰まんない言い争いを始めやがったぞ……。
内輪揉めかよ……。
「よーし、じゃあ戦いで決着を着けようじゃあねえかゴブ!!」
「望むところだべ!!」
「面白いざます、この低能ゴブリンどもが!!」
あらら、完全に仲間割れが始まったよ。
「えりゃーー!!」
「きぃーーー!!」
「ファイアーシャード!!」
「ホブホブホブ!!」
うわわ、マジで始まったわ~。
よし、俺はこの騒ぎに乗じて逃げようかな……。
気配を消して、足音を消して、そろ~り、そろ~りっと……。
「あっ、逃げたぞゴブ! 人間が逃げたゴブ!!」
やばい、気付かれたか!?
「そんなヤツは、もうどうだっていいんだざます!!」
「意地でもボスの座争奪戦に勝ってやるゴブ!!」
「負けてらんねーずら!!」
「ファイアーシャード!!」
「もっとやれゴブ、もっとやれゴブ!!」
「わんやわんやゴブ!!」
あれ……。
追って来ないや……。
もう自分たちのイベントに夢中で、完全に俺のことを無視してますがな……。
えーと、んーと……。
ラッキー……?
なのかな?
まあ、いいか……。
そんなこんなで俺は洞窟を引き返して最初のトンネルまで戻った。
やはり俺を追って来るゴブリンは一匹も居ない。
あいつらだけで盛り上がっているようだ。
なんかそれはそれで寂しいな……。
無視されるって、ほんに辛いわ……。
まあ、とにかくだ。
トンネル内から俺は、洞窟の入り口を見渡しながら腕を組んで考え込んだ。
「ん~……。流石にこのまま放置ってわけには、いかないかな~」
しゃあないか、俺がちゃんと決着をつけてやらんとなるまい。
俺は異次元宝物庫からシルバークラウン+2を取り出して頭に被った。
狙いは洞窟の天井部分だ。
「マジックイレイザー!!」
俺の口から放たれる波動砲魔法が洞窟の天井を深く抉って焼いた。
すると大地がグラグラと揺れだして、天井がドシドシと崩れ落ちる。
その土砂崩れで洞窟側の出入り口が塞がった。
「これで、良しだ!」
完全に洞窟の入り口は倒壊して岩や土砂で塞がっている。
隙間すら無いから中のゴブリンたちが外に出て来ることは二度と無いだろうさ。
完璧に閉じ込めてやったぞ。
うむ、完全勝利だぜ。
有る意味で、戦わずして勝利したって感じかな。
いや、四時間も戦ったけれどさ……。
そして──。
【おめでとうございます。レベル33になりました!】
おおっ、やりましたね!!
レベルアップしましたがな!!
しかしだ──。
周囲がグラグラと揺れ始める。
「な、なんだなんだ!!」
ヤバイぞ!!
崩れる!?
てか、天井が落ちて来た!?
天井が崩れ出したぞ!!
洞窟どころかトンネルごと倒壊が始まっちゃったよ!!
「やべぇ、脱出せねば!!」
俺は出口に向かって全速力で走った。
出口まで約150メートルだ!!
「ひぃー!!」
俺の後方に、岩が振ってきたぞ!!
あんなのが頭に当たったら、頭がスイカみたいに砕けますがな。
ひぃーー!!
今度は大岩が振ってきたぞ!!
あのサイズだと俺自身がペシャンコだわ!!
走れ、俺!!
止まるな、俺!!
止まったら死ぬぞ!!
俺の後方から迫る倒壊音が、すぐ真後ろで轟いていた。
走る足に倒壊する地鳴りが伝わって来る。
振り返るな!!
もうちょっとだ!!
もう少しで出口だ!!
よし、今だ、ダイブ!!
ズザーーーー!!!
腹這いのまま地面を滑った俺が振り返ると、トンネルは完全に倒壊して、俺の足元にまで土砂が迫っていた。
あともう少しで大岩や土砂に飲み込まれていただろう。
「た、助かった……」
こうして俺は噂の大トンネルを通過したのである。
俺は愚痴りながらダラダラと斬馬刀を振るっていた。
かれこれ四時間はゴブリンたちと戦っていますわ。
流石に俺も疲れて来たぞ。
肉体的にも精神的にもさ。
そろそろゴブリンたちも学習してきたのか、飛び掛かったら殺されるってのが理解できていやがる。
だから多くのゴブリンたちは声を荒立てるだけで攻めて来なくなっていた。
お互いにダラダラとした空気が漂っている。
攻めて来るのは、ずっと後ろで順番待ちをしていた血気盛んなゴブリンたちだけだ。
やっと人混みを掻き分け前に出れた喜びのまま飛び掛かって来ては、俺に斬られるのの繰り返しだった。
正直、このままでは埒があかないムードが漂い始めている。
これはもしかしてだが、ゴブリンに和解を申し出ればドローになって、俺は帰っていいよってことにならないかな?
そうだよ、こんな時に役立ちそうな指輪を俺は持っていたじゃあないか!
俺は異次元宝物庫からランゲージリング+2を取り出すと、確り握り締めた。
【ランゲージリング+2】
下等種族の言語が話せるようになる。下等種族の文章が読めるようになる。
よし、とりあえず話し掛けてみよう。
「おい、お前ら、話が出来るヤツは居るか!?」
俺の声に一匹のゴブリンが応対する。
「話とは、なんだゴブ!?」
おお、言葉が通じてるよ。
これなら行けるかな? 
「話がしたい。リーダーでもボスでもいいから話が出来るヤツを連れてこい!」
数匹のゴブリンたちは、顔を見合わせたあとに言う。
「分かった、ちょっと待ってろゴブ!」
よし、とんとん拍子に話が進んでるぞ!
これなら行けるかな。
すると二匹のゴブリンが、倒れている一匹のゴブリンの足を掴んで引き摺って運んで来た。
そして、ゴブリンが言う。
「こいつがボスだゴブ!」
それは額にダガーが刺さったゴブリンシャーマンだった。
最初のころに俺が投げダガーで殺したヤツじゃんか!?
もう、ボスは死んでるよ!!
ダメじゃんか……。
「あちゃ~……。じゃあサブリーダーは誰だ?」
俺の言葉にゴブリンたちがざわめき出した。
「サブリーダーって、誰よゴブ?」
「そんなの居ねえだろゴブ?」
「決めてないよなゴブ?」
「そうだよな、だってボスはワンマンだったもんな~ゴブ」
「じゃあ、俺が二代目のボスになるゴブ」
「なんでだゴブ?」
「だって俺のほうがボスっぽいだろゴブ?」
「ボスっぽさなら、俺のほうが上だろゴブ?」
「いやいや、俺だよホブ!」
「まあ、待て、お前らゴブ」
「なんだよホブ?」
「お前らは普通のゴブリンだゴブ。しかし俺はゴブリンライダーだゴブ。だから俺のほうがボスだろゴブ?」
「それならオラはホブゴブリンだホブ。オラのほうが強いんだからボスだべさ」
「いやいや、待つでざんす。私は前のボス同様にゴブリンシャーマンざんすよ。ならば私がボスざますよ」
「まてや、ゴラァ! ゴブリンチャンピオンの俺を差し置いて、誰がボスだって!?」
うわ~、なんか詰まんない言い争いを始めやがったぞ……。
内輪揉めかよ……。
「よーし、じゃあ戦いで決着を着けようじゃあねえかゴブ!!」
「望むところだべ!!」
「面白いざます、この低能ゴブリンどもが!!」
あらら、完全に仲間割れが始まったよ。
「えりゃーー!!」
「きぃーーー!!」
「ファイアーシャード!!」
「ホブホブホブ!!」
うわわ、マジで始まったわ~。
よし、俺はこの騒ぎに乗じて逃げようかな……。
気配を消して、足音を消して、そろ~り、そろ~りっと……。
「あっ、逃げたぞゴブ! 人間が逃げたゴブ!!」
やばい、気付かれたか!?
「そんなヤツは、もうどうだっていいんだざます!!」
「意地でもボスの座争奪戦に勝ってやるゴブ!!」
「負けてらんねーずら!!」
「ファイアーシャード!!」
「もっとやれゴブ、もっとやれゴブ!!」
「わんやわんやゴブ!!」
あれ……。
追って来ないや……。
もう自分たちのイベントに夢中で、完全に俺のことを無視してますがな……。
えーと、んーと……。
ラッキー……?
なのかな?
まあ、いいか……。
そんなこんなで俺は洞窟を引き返して最初のトンネルまで戻った。
やはり俺を追って来るゴブリンは一匹も居ない。
あいつらだけで盛り上がっているようだ。
なんかそれはそれで寂しいな……。
無視されるって、ほんに辛いわ……。
まあ、とにかくだ。
トンネル内から俺は、洞窟の入り口を見渡しながら腕を組んで考え込んだ。
「ん~……。流石にこのまま放置ってわけには、いかないかな~」
しゃあないか、俺がちゃんと決着をつけてやらんとなるまい。
俺は異次元宝物庫からシルバークラウン+2を取り出して頭に被った。
狙いは洞窟の天井部分だ。
「マジックイレイザー!!」
俺の口から放たれる波動砲魔法が洞窟の天井を深く抉って焼いた。
すると大地がグラグラと揺れだして、天井がドシドシと崩れ落ちる。
その土砂崩れで洞窟側の出入り口が塞がった。
「これで、良しだ!」
完全に洞窟の入り口は倒壊して岩や土砂で塞がっている。
隙間すら無いから中のゴブリンたちが外に出て来ることは二度と無いだろうさ。
完璧に閉じ込めてやったぞ。
うむ、完全勝利だぜ。
有る意味で、戦わずして勝利したって感じかな。
いや、四時間も戦ったけれどさ……。
そして──。
【おめでとうございます。レベル33になりました!】
おおっ、やりましたね!!
レベルアップしましたがな!!
しかしだ──。
周囲がグラグラと揺れ始める。
「な、なんだなんだ!!」
ヤバイぞ!!
崩れる!?
てか、天井が落ちて来た!?
天井が崩れ出したぞ!!
洞窟どころかトンネルごと倒壊が始まっちゃったよ!!
「やべぇ、脱出せねば!!」
俺は出口に向かって全速力で走った。
出口まで約150メートルだ!!
「ひぃー!!」
俺の後方に、岩が振ってきたぞ!!
あんなのが頭に当たったら、頭がスイカみたいに砕けますがな。
ひぃーー!!
今度は大岩が振ってきたぞ!!
あのサイズだと俺自身がペシャンコだわ!!
走れ、俺!!
止まるな、俺!!
止まったら死ぬぞ!!
俺の後方から迫る倒壊音が、すぐ真後ろで轟いていた。
走る足に倒壊する地鳴りが伝わって来る。
振り返るな!!
もうちょっとだ!!
もう少しで出口だ!!
よし、今だ、ダイブ!!
ズザーーーー!!!
腹這いのまま地面を滑った俺が振り返ると、トンネルは完全に倒壊して、俺の足元にまで土砂が迫っていた。
あともう少しで大岩や土砂に飲み込まれていただろう。
「た、助かった……」
こうして俺は噂の大トンネルを通過したのである。
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