俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。
4-21【悪女の魔の手】
ヒッポグリフとの激しい戦闘後、俺とトリンドルは塔の屋上で大の字になって寝ころんでいた。
俺らの側にはバリスタの大矢で撃ち抜かれて絶命したヒッポグリフの亡骸が横たわっていた。
「け、結構カオスな戦闘だったぜ……」
まだフラつく足に力を入れた俺は立ち上がったが、ヒッポグリフの墜落に巻き込まれて轢き飛ばされたトリンドルは倒れたままだった。
彼女はヒクヒクと動いている。
どうやら死んではいないようだな。
気絶もしていないようだ。
「大丈夫か、トリンドル?」
「だ、駄目です……」
倒れたままのトリンドルが力少なく答えた。
答えを返すトリンドルだが立ち上がる力はないようだ。
しかも色気のない無残で哀れな格好で倒れたままである。
あんなに無様だと欲情すらできないな。
女として見れない。
「一人で立てるか?」
「む、無理です……」
「ちっ……。しゃあねえな、肩を貸してやるよ」
「あ、ありがとうございます……。あたたた、腰が……」
俺はトリンドルに肩を貸して塔の中に入った。
彼女を部屋まで連れて行くとベッドに寝かせる。
息も絶え絶えなトリンドルは傷だらけだった。
まあ、馬並みの巨体を有したモンスターが突っ込んで来て撥ね飛ばされたのだ。
身体を鍛えてない魔法使いならば当然だろうさ。
でも、死ぬほどのダメージではないだろう。
数日ほど寝てれば回復するさ、知らんけど。
それにしてもトリンドルは軽い身体だったな。
流石は病弱キャラだ。
相当痩せているんだろうな。
「す、すみません。そこの戸棚に傷に良く効く薬がありますので取ってもらえませんか……」
「戸棚ね~」
うん、これだろうか?
いや、こっちだろうか?
なんか似たような瓶が沢山あるじゃあないか。
これでは分からんな?
「すまんが、どれだか分からないですわ~」
「あ、赤い瓶です……」
赤い瓶って、二本あるな。
どっちだろう?
俺は一本ずつ両手に持ってトリンドルに見せた。
「どっちの瓶だ?」
「み、右です……」
トリンドルはチラリと見てから右の赤い瓶を指差した。
俺は赤い瓶を持って行くとコルクの蓋を開けてからトリンドルに手渡して上げる。
なんか瓶の口から緑の煙りが上がっていたけれど、これは大丈夫なのか?
傷に良く効くとか言ってたから、そんな物なのかな。
少なくとも毒物ではないだろう。
トリンドルは俺が手渡した瓶の中身をラッパ飲みする。
すげー、一気に行ったな。
本当に大丈夫かな?
「ぷっはぁ~。落ち着いたわ、これでだいぶ身体の痛みが消えました……」
確かにトリンドルの身体から生傷が消えて行く。
「ヒールポーションですわ」
「へぇ~、そうなんだ」
ヒールポーションって凄いね。
「良かったな。じゃあ報酬を頂こうか。報酬は本人から貰ってきてくれとギルドに頼まれているんだ」
「それなんですが……」
トリンドルが俺から目を反らす。
なんだ?
歯切れが悪い感じだな。
「あのヒッポグリフは、私がクインクレイクロスボウで倒したと思いませんか?」
「確かにとどめはアンタが刺したな」
「でしょ~。だから報酬は無しで」
「何を舐めたことを言い出してんだ、ゴラァ!」
「だってヒッポグリフを倒したのは私じゃあないですか!」
「それは結果論だろうが!」
「だから私が討伐報酬を貰うのが筋じゃあないですか!?」
あーー、また面倒臭い馬鹿女が現れたぞ!!
このパターンはグデグデコースに直行だな!!
よし、ここは潔く諦めよう!
たかが1500Gぐらいくれてやるわい!
「分かった。お前がそう言うなら報酬は要らない」
「本当に!?」
「ああ、ただしこの話は冒険者ギルドに報告させてもらうぞ!」
「ええ、それは駄目よ!!」
「なんでだよ!?」
「だってそれだと私の落ち度が魔法使いギルドに露見するかもしれないじゃあないですか!」
「そんなの知るか!」
呆れた俺が立ち去ろうとするとベッドの中からトリンドルが腕を伸ばして俺のローブを掴んで引き止めた。
「放せよ!」
「嫌です!」
言うなり凄い力でトリンドルが俺のローブを引っ張った。
俺は予想外の力に引かれてバランスを崩してしまう。
思わすベッドに座り込んでしまった。
「分りました。それじゃあ……」
トリンドルが思い詰めた表情で俯いた。
なんだろう?
歳のわりには可愛く見えた。
ちょっぴりドキリとしてしまう。
「そ、それじゃあ、なんだよ?」
「そ、それじゃあ、私の身体で払いますわ……」
言いながら黒いローブを色っぽくはだけるトリンドル。
その仕草を見た瞬間である。
俺の心臓が痛みだした。
「ひぐっ!」
俺の姿勢が胸の痛みに俯いた。
その身体にトリンドルが抱きつきベッドに誘い込む。
俺は胸の痛みのために抵抗できなかった。
トリンドルに抱きつかれて彼女とベッドの中で重なり合ってしまう。
俺が上でトリンドルが下だ。
「うぐぐぐぅぐぅ!!」
胸が痛い!!
身体に変な力が入って逃げられないよ!!
「ふふふ、お姉さんが甘美な世界を味合わせてあげましょうか?」
うるせえ、ばばあ!!
こんな下手糞な誘惑でも俺の煩悩が反応してしまっているのが恥ずかしいわ!!
畜生、糞女神の呪いが全身に痛みを走らせて自由に動けねーー!!
「本当はね。お姉さんは、僕が来た時から狙っていたのよ、ふぅ~」
ゾワゾワゾワっ!!
ふぅ~っとか耳に息を吹き掛けないで!!
無駄に反応してしまう!!
心臓がぁぁあああ!!
「お姉さんね、病弱だけとベッドの中だと絶倫なのよ、ぜぇはー、ぜぇはー!」
嘘つけ!!
お前、すげー息が荒いぞ!!
てか、興奮しているのか!?
それで息が荒くなってるのか!?
もしかして本当に絶倫ですか!?
「初めてなら、お姉さんがマグロの味を教えてあげる!!」
トリンドルは巧みな動きで俺との体位を入れ換える。
いつの間にか俺が下になりトリンドルが上になっていた。
マジでーー!!
どうやったの、この姿勢チェンジは!?
一瞬でマウントを取られましたよ!!
それに俺がマグロですか!!
この人はもしかして本当のことを言ってますか!?
本当に床上手なのですか!?
病弱だからベッドの中がホームとかなの!?
ベッド内だと最強女子ですか!?
このままでは俺が美味しく食べられちゃいますよ!!
僕、食べられたら死んじゃうんですよ!!
らめー、食べないでー!!
「うふふふ、観念しなさい、極楽に連れてってあげる♡」
「やめれ、この糞ばばあ!!」
俺は胸の痛みを堪えながら全力でブリッジをした。
勢い良く体を仰け反らせる。
するとトリンドルが俺の上から転げ落ちた。
チャンス!
俺は機敏に立ち上がると、同じく立ち上がったばかりのトリンドルに組みついた。
「何を!?」
そして流れる水面のような可憐な動きでトリンドルのバックに回り込む。
「クラッチ!」
トリンドルの背後から腰を抱えるように両腕でガッチリと掴んだぞ。
そこから───。
「ジャーマン・スープレックスじゃあ!!」
「うひょ~~!!」
俺の後ろ投げで弧を描いたトリンドルが後頭部からベッドに打ち付けられた。
ベッドが軋んで激しく唸る。
決まったな!!
俺はトリンドルから離れてベッドから降りた。
しかし、彼女はそのままの形で尻を天に向けていた。
まさにベッドに頭から突き刺さったかのようである。
所詮は病弱キャラだ。
気を失ったかな?
「ぅぅぅ……」
どうやら死んではいないようだ。
「よし、逃げよう!」
こうして悪女の魔の手から俺は逃れたのであった。
俺らの側にはバリスタの大矢で撃ち抜かれて絶命したヒッポグリフの亡骸が横たわっていた。
「け、結構カオスな戦闘だったぜ……」
まだフラつく足に力を入れた俺は立ち上がったが、ヒッポグリフの墜落に巻き込まれて轢き飛ばされたトリンドルは倒れたままだった。
彼女はヒクヒクと動いている。
どうやら死んではいないようだな。
気絶もしていないようだ。
「大丈夫か、トリンドル?」
「だ、駄目です……」
倒れたままのトリンドルが力少なく答えた。
答えを返すトリンドルだが立ち上がる力はないようだ。
しかも色気のない無残で哀れな格好で倒れたままである。
あんなに無様だと欲情すらできないな。
女として見れない。
「一人で立てるか?」
「む、無理です……」
「ちっ……。しゃあねえな、肩を貸してやるよ」
「あ、ありがとうございます……。あたたた、腰が……」
俺はトリンドルに肩を貸して塔の中に入った。
彼女を部屋まで連れて行くとベッドに寝かせる。
息も絶え絶えなトリンドルは傷だらけだった。
まあ、馬並みの巨体を有したモンスターが突っ込んで来て撥ね飛ばされたのだ。
身体を鍛えてない魔法使いならば当然だろうさ。
でも、死ぬほどのダメージではないだろう。
数日ほど寝てれば回復するさ、知らんけど。
それにしてもトリンドルは軽い身体だったな。
流石は病弱キャラだ。
相当痩せているんだろうな。
「す、すみません。そこの戸棚に傷に良く効く薬がありますので取ってもらえませんか……」
「戸棚ね~」
うん、これだろうか?
いや、こっちだろうか?
なんか似たような瓶が沢山あるじゃあないか。
これでは分からんな?
「すまんが、どれだか分からないですわ~」
「あ、赤い瓶です……」
赤い瓶って、二本あるな。
どっちだろう?
俺は一本ずつ両手に持ってトリンドルに見せた。
「どっちの瓶だ?」
「み、右です……」
トリンドルはチラリと見てから右の赤い瓶を指差した。
俺は赤い瓶を持って行くとコルクの蓋を開けてからトリンドルに手渡して上げる。
なんか瓶の口から緑の煙りが上がっていたけれど、これは大丈夫なのか?
傷に良く効くとか言ってたから、そんな物なのかな。
少なくとも毒物ではないだろう。
トリンドルは俺が手渡した瓶の中身をラッパ飲みする。
すげー、一気に行ったな。
本当に大丈夫かな?
「ぷっはぁ~。落ち着いたわ、これでだいぶ身体の痛みが消えました……」
確かにトリンドルの身体から生傷が消えて行く。
「ヒールポーションですわ」
「へぇ~、そうなんだ」
ヒールポーションって凄いね。
「良かったな。じゃあ報酬を頂こうか。報酬は本人から貰ってきてくれとギルドに頼まれているんだ」
「それなんですが……」
トリンドルが俺から目を反らす。
なんだ?
歯切れが悪い感じだな。
「あのヒッポグリフは、私がクインクレイクロスボウで倒したと思いませんか?」
「確かにとどめはアンタが刺したな」
「でしょ~。だから報酬は無しで」
「何を舐めたことを言い出してんだ、ゴラァ!」
「だってヒッポグリフを倒したのは私じゃあないですか!」
「それは結果論だろうが!」
「だから私が討伐報酬を貰うのが筋じゃあないですか!?」
あーー、また面倒臭い馬鹿女が現れたぞ!!
このパターンはグデグデコースに直行だな!!
よし、ここは潔く諦めよう!
たかが1500Gぐらいくれてやるわい!
「分かった。お前がそう言うなら報酬は要らない」
「本当に!?」
「ああ、ただしこの話は冒険者ギルドに報告させてもらうぞ!」
「ええ、それは駄目よ!!」
「なんでだよ!?」
「だってそれだと私の落ち度が魔法使いギルドに露見するかもしれないじゃあないですか!」
「そんなの知るか!」
呆れた俺が立ち去ろうとするとベッドの中からトリンドルが腕を伸ばして俺のローブを掴んで引き止めた。
「放せよ!」
「嫌です!」
言うなり凄い力でトリンドルが俺のローブを引っ張った。
俺は予想外の力に引かれてバランスを崩してしまう。
思わすベッドに座り込んでしまった。
「分りました。それじゃあ……」
トリンドルが思い詰めた表情で俯いた。
なんだろう?
歳のわりには可愛く見えた。
ちょっぴりドキリとしてしまう。
「そ、それじゃあ、なんだよ?」
「そ、それじゃあ、私の身体で払いますわ……」
言いながら黒いローブを色っぽくはだけるトリンドル。
その仕草を見た瞬間である。
俺の心臓が痛みだした。
「ひぐっ!」
俺の姿勢が胸の痛みに俯いた。
その身体にトリンドルが抱きつきベッドに誘い込む。
俺は胸の痛みのために抵抗できなかった。
トリンドルに抱きつかれて彼女とベッドの中で重なり合ってしまう。
俺が上でトリンドルが下だ。
「うぐぐぐぅぐぅ!!」
胸が痛い!!
身体に変な力が入って逃げられないよ!!
「ふふふ、お姉さんが甘美な世界を味合わせてあげましょうか?」
うるせえ、ばばあ!!
こんな下手糞な誘惑でも俺の煩悩が反応してしまっているのが恥ずかしいわ!!
畜生、糞女神の呪いが全身に痛みを走らせて自由に動けねーー!!
「本当はね。お姉さんは、僕が来た時から狙っていたのよ、ふぅ~」
ゾワゾワゾワっ!!
ふぅ~っとか耳に息を吹き掛けないで!!
無駄に反応してしまう!!
心臓がぁぁあああ!!
「お姉さんね、病弱だけとベッドの中だと絶倫なのよ、ぜぇはー、ぜぇはー!」
嘘つけ!!
お前、すげー息が荒いぞ!!
てか、興奮しているのか!?
それで息が荒くなってるのか!?
もしかして本当に絶倫ですか!?
「初めてなら、お姉さんがマグロの味を教えてあげる!!」
トリンドルは巧みな動きで俺との体位を入れ換える。
いつの間にか俺が下になりトリンドルが上になっていた。
マジでーー!!
どうやったの、この姿勢チェンジは!?
一瞬でマウントを取られましたよ!!
それに俺がマグロですか!!
この人はもしかして本当のことを言ってますか!?
本当に床上手なのですか!?
病弱だからベッドの中がホームとかなの!?
ベッド内だと最強女子ですか!?
このままでは俺が美味しく食べられちゃいますよ!!
僕、食べられたら死んじゃうんですよ!!
らめー、食べないでー!!
「うふふふ、観念しなさい、極楽に連れてってあげる♡」
「やめれ、この糞ばばあ!!」
俺は胸の痛みを堪えながら全力でブリッジをした。
勢い良く体を仰け反らせる。
するとトリンドルが俺の上から転げ落ちた。
チャンス!
俺は機敏に立ち上がると、同じく立ち上がったばかりのトリンドルに組みついた。
「何を!?」
そして流れる水面のような可憐な動きでトリンドルのバックに回り込む。
「クラッチ!」
トリンドルの背後から腰を抱えるように両腕でガッチリと掴んだぞ。
そこから───。
「ジャーマン・スープレックスじゃあ!!」
「うひょ~~!!」
俺の後ろ投げで弧を描いたトリンドルが後頭部からベッドに打ち付けられた。
ベッドが軋んで激しく唸る。
決まったな!!
俺はトリンドルから離れてベッドから降りた。
しかし、彼女はそのままの形で尻を天に向けていた。
まさにベッドに頭から突き刺さったかのようである。
所詮は病弱キャラだ。
気を失ったかな?
「ぅぅぅ……」
どうやら死んではいないようだ。
「よし、逃げよう!」
こうして悪女の魔の手から俺は逃れたのであった。
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