俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。

ヒィッツカラルド

4-13【ランドワームの追跡】

俺はチャリオッツで逃げ去ったオーク三匹を見送った晩に、天に昇っていくオークの魂七つも見送った。

「俺、見えるんだぁ~。モンスターの霊魂がさ~」

そして、その晩は眠りもしないでアイアンシップ内を漁って戦利品を集める。

まあ、アイアンシップの戦利品に関しては後日報告しよう。

そして、朝が来て──。

俺はソドムタウンに向かう平原を、力強いバッファローが二頭立てで引くチャリオッツで爆走させながら進んでいた。

走るチャリオッツの後ろには十四頭の牛を連ねている。

オークどもが飼っていた牛をソドムタウンに連れ帰るためだ。

牛たちは全匹食料店に売るつもりである。

そしてチャリオッツも売って、代わりにちゃんとした馬と馬車でも買おうかなって考えていた。

それだけの資金は貯まりつつある。

しかも今回の戦利品は豊富であった。

オークたちが略奪した荷物は商人ギルドに差し出さなければならないから手を出していないが、それでもオークたちがいろいろと持っていたのだ。

オークたちの武具は剥ぎ取って後方の牛に背負わせてある。

その他のマジックアイテムと魔法のスクロールは異次元宝物庫に収納してある。

それらは俺の戦利品なのだ。

アイテム鑑定は、またあとでの楽しみに取っておいた。

その他の荷物はアイアンシップに置いてきた。

それらは商人ギルドのほうで勝手に取りに行けばいい。

そもそも俺には関係ない。

「それにしても、このチャリオッツは速いな」

二頭立ての牛は涎をダラダラと垂れ流しながら血走る眼で疾走していた。

もー、すげー、速いわ!!

速いし、すげー威圧感に溢れてますよ!!

乗っている俺のほうが、上げる地鳴りに仰天していますわ!

今回は大漁の成果だったので、ちょっと調子に乗ってチャリオッツで帰ってみようかなーーて思ったら。

もう、このチャリオッツは止められないほどの騒ぎになってますわ!

「ギィーーーーーー!」

聞きました?

今の悲鳴みたいな鳴き声を!?

「キィーー、キィーー!!」

「キィキィキィキィキィーー!!」

「キィー、キィーー、キキィー!!」

ほらほら、聞きましたよね!

凄い耳障りでしょう!

決して牛の鳴き声ではないですよ!

勿論、俺の鳴き声じゃあありませんがな!!

全力で疾走している俺のチャリオッツ一行を、ランドワームの群れが追っかけてきているんですわ!!

しかも、すげー数ですわ!!

たぶん五十匹以上は居ますわ!!

5メートル級の巨大ミミズがウネウネと凄いスピードで追っかけてくるんですわ!!

なんで手足も無いのに、あんな猛スピードで追っかけてこれるのかが俺には分からんですわ!!

不思議ですわ!!

本当に不思議ですわ!!

しかも、なんでランドワームが群れをなして俺を追っかけてくるのさ!?

こんな光景が何度かありますよね、俺!!

なんで俺ばかりが大群に追われるのさ!?

しかも、何度もさ!?

なに、これ!?

ギャグですか!?

ドッキリですか!?

俺には大群に好かれる体質でもあるのかよ!?

どちらにしろ納得いかんですわ!!

今回の救いは、俺が自ら走ってないことぐらいだわ!!

でも、そのぶんだけ凄くスピーディーなのよね!!

自分で走ってないぶんだけ、猛スピードですわ!!

その速度が俺の恐怖心を更に煽ってますわ!!

ぜってー、追い付かれたらランドワームの群れにパクパクモグモグムシャムシャバリバリと食われますわ!!

牛たちと一緒に美味しく食われちゃいますわ!!

ぜってーに止まれね!!

死んでも止まれね!!

意地でもソドムタウン内に逃げ込んでやるぞ!!

そしてソドムタウンが見えてきたぞ。

うん、案の定、大騒ぎだね。

門の前では旅人たちが慌ただしく壁の中に逃げ込んでいやがる。

代わりに盾と槍を持った兵士が出て来て横一列に並んだ。

おっ、今回は中央を開けてくれてるぞ!

これなら行ける!!

うし、俺もこのまま門の中に突っ込むぞ!!

あーーー!!!

やっぱり門が閉められたぁーーー!!

無情なぁーーー!!

非情なぁ~~~!!

畜生、でも止まれね!!

牛どもも止まる気がねえぞ、こいつら!!

どうどう、止まれや!!

とーまーれーー!!

おおっ!?

兵士の列を越えて閉められた門の寸前で何とか牛君たちが止まったぜ!!

兵士の一人が叫ぶ。

「てめー、アスランだろ。お前もこっち来て戦えや!!」

だよねー……。

やっぱり、そうですよね~。

俺は背負っていたバトルアックスを持って牛車から飛び降りると兵士の列に加わった。

「どうも~。毎回お騒がせしています、アスランで~す!」

「なんで毎回毎回お前はトレインを作って町に向かって来るかな。PKかよ!?」

「そんなの俺だって知りませんがな。だって勝手にモンスターが追って来るんだものさ!!」

すると防壁の上から矢が雨のように放たれランドワームの群れを襲うが数匹沈めただけで終わる。

ランドワームの勢いは止まらない。

「くるぞ!!」

「ういー!!」

ランドワームたちが、兵士の翳していた槍に串刺しになるが、それを免れたランドワームが並んだ兵士たちの盾に激突してくる。

凄い衝撃音が響くと同時に俺はランドワームにカウンターのバトルアックスを喰らわせてやった。

そこから乱戦の開始だった。

人間の戦士たちとランドワームの群れとの大混戦が始まる。

「マジックアロー! ファイアーシャード! バトルアックスで切る、殺す、ウェポンスマッシュ!!」

もう、やけくそである!

俺は兵士たちと一緒にランドワームたちが息絶えるまで戦い続けた。

こいつらランドワームは昆虫だから知能がないに等しい。

だから脅えないし戦況判断も出来ていない。

俺たち人間サイドが有利になってきても逃げやしないのだ。

結局最後の一匹まで戦い続けるはめとなる。

そして最後の一匹を俺がバトルアックスで切り裂いた。

それで戦いに終止符が打たれる。

「かっ、勝ったぞ……」

「良くやったな、アスラン」

「ども~」

「じゃあ、また逮捕な」

「はい……」

俺はこうして二度目の投獄となる。

俺はスカル姉さんが迎えに来てくれるまで、再び牢獄内で女性に可愛い可愛いと弄られまくり死にそうになっていた。

だって俺、ビキニアーマー姿だもの……。

恥ずかしい……。

もう、絶対にビキニアーマーなんて着ないわ……。



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