俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。
4-12【オークたちとの決着】
アイアンシップのタンカー内に慌ただしく非常ベルと重々しいオークたちの足音が鳴り響く。
「ぶひブヒーぶひい!」
「ブヒぶひー!!」
上の階段からオークどもがドシドシと降りて来た。
それにしてもブヒブヒと五月蝿いヤツらだな。
豚かよ……、豚だな。
俺はブリッジから甲板に通じる階段の下の荷物に紛れて身を潜めていた。
オークどもは潜む俺に気付く素振りもなく目の前を過ぎて行く。
「潜伏スキルとビキニアーマーの潜伏向上が役に立っているな。オークども、まったく気付きもしないぞ」
俺は呟きながらも眼前を過ぎて行ったオークたちの数を数えた。
「一、二、三、四──。いや、五匹か」
五匹のオークがブリッジから出て来たぞ。
最後の五匹目は体格がかなり大きかったぜ。
予想するに、あいつがリーダー各だな。
しかも全員が全身ガッチガチのフルプレートだ。
しかし、オークどもは、まだ状況が飲み込めていないのだろう。
非常ベルの騒音と誰も敵が見えない状況に混乱している。
仲間が半数も殺られていることすら知らないはずだ。
「ブーヒブー!」
「ぶひブヒ!」
何やら大柄オークが指示を飛ばしている。
その指示にオーク四匹はバラバラに散らばって行った。
俺は異次元宝物庫からロングボウを取り出すと物陰の隅から矢を力一杯引き寄せ狙いを定める。
「夜襲の続きだぜ!」
それにしても、やはりショートボウよりロングボウって力がいるね。
弦を引く腕に力がこもる。
そのせいか狙いを定めるのが難しい。
力一杯に弦を引く動作と狙いを定める集中力を同時に行うのが難しいのだ。
「まあ、これもロングボウの利点と欠点かな……。それよりも」
俺は10メートルも離れていない距離に居る大柄のオークの背中を狙っていた。
この距離ならプレートメイルを矢で突き破れるだろう。
ショートボウとは異なりロングボウにはそのパワーがある。
しかし、出来れば一撃で仕留めたいから攻撃スキルのスマッシュアローを使ってみようと思う。
矢の飛距離と破壊力が1.25倍する攻撃スキルだ。
「喰らえ、スマッシュアロー!!」
俺はスキルで破壊力を強化した矢を放った。
その矢は大柄オークの鉄鎧を破り背中に突き刺さる。
「ブヒィーー!!」
悲鳴を上げた大柄オークが前のめりに倒れたが、両手両膝を付いていた。
四つん這いで耐えている。
「畜生! 一撃で決まらなかったぜ」
しかも大柄オークの前に居たオークが振り返る。
「あれ、もう一匹居たのね」
「ぶひ?」
大柄オークの体格に隠れて前方のオークが見えなかったのだ。
「ちっ!」
俺は更に矢を構えた。
再び矢を放つ。
「よ~く狙って、発射!!」
俺が集中力を籠めて放った二発目の矢がオークの右肩に突き刺さる。
焦りのせいか急所を外してしまう。
また一撃では決まらなかった。
だが射ぬかれたオークは、よろめきながら混乱している。
「ならば近接で!」
俺は弓を捨ててバトルアックスを持ち直して走った。
「うーーりゃぁいああ!!」
そして、四つん這いになっている大柄オークの背中を踏台にして高く跳ぶ。
そこからバトルアックスを怯んでいるオークの頭に叩き落とした。
「どらっ!」
「ブヒ!!」
バトルアックスがオークの頭をヘルムごとカチ割り胸まで切り裂く。
俺は直ぐさま腰にあるダガーを引き抜くと、立ち上がろうとしていた大柄オークの喉に滑り込ませた。
「せい!」
「ふご……」
オークの喉を横に深く切り裂く。
鮮血を吹き出す大柄オークを蹴飛ばすと、頭をカチ割ったオークの死体からバトルアックスを引き抜いた。
だいぶバトルアックスが深くまで刺さっていたので引き抜くのに手間が掛かってしまう。
しかし、どちらのオークも動かない。
絶命だ。
「よし、二匹狩ったぞ!」
そして、突然だった。
非常ベルの鐘の音が鳴り止む。
「おおう、誰かが非常ベルを止めたのか?」
俺は急いで物陰に身を潜めた。
正直なところ非常ベルは良かったかも知れない。
あの五月蝿い騒音は、相手を混乱に陥れるだけでなく、こちらの戦闘音を消してくれていた。
あの騒ぎに乗じて二匹のオークを倒せたのだ。
しかも、内一匹はリーダー格だ。
これであとの三匹は有象無象だろうさ。
もうこの勝負は勝ったも同然だぜ。
物陰から出た俺は、それでも壁際の影の中を進み空になったと思われるブリッジに上がった。
「おじゃましま~す」
物音を立てないようにブリッジの扉を開けて中を覗き込む。
「誰も居ないかな~」
ブリッジの中はやはり空である。
俺は忍び足でブリッジ内に入って行った。
「おじゃましま~す」
俺がブリッジの窓から外を見回すと、三匹のオークがバラバラに甲板周辺を捜索している姿が見えた。
そろそろ仲間の死体を見つけてもいいころだろう。
だが、まだ頭を取られたことにすら気付いていないはずだ。
俺は思わず言葉を漏らす。
「これなら後片付けは楽だぜぇ~ーええっえっえっ!えっーーー!!??」
仰天ッ!
見ていた窓ガラスにオークの大きな影が映った。
俺の背後にもう一匹のオークが居やがったのだ。
「十一匹目だと!?」
俺は瞬時に振り返る。
そこにオークが持ったグレートアックスが振られた。
「ぶひ!!」
横振りの強打である。
咄嗟に俺はしゃがんで巨大斧を躱す。
「おわわわわ!!」
すると振られたグレートアックスが頭上の窓ガラスをバリバリと割り砕いて空振られた。
俺の頭にガラスの破片が雨のように降ってくる。
「のぉわわわわ!!」
ガラス片が飛び散るなか、俺は横に跳ね飛んだ。
その俺を狙ってオークがグレートアックスを振り上げる。
しかし天井に斧先が激突して止まってしまった。
振りかぶれない。
「ぶひっ!?」
「バカめが! 大きい武器は、室内だとそうなるんだよ!」
狭い室内で大きい武器や長い武器は壁や天井に引っ掛かってしまうのだ。
それで振りかぶれない。
その隙を俺は狙う。
「ファイヤーシャード!」
「ブヒィーー!?」
俺の炎の礫魔法がオークの顔面を燃やした。
オークはグレートアックスを落として顔を両手で押さえる。
そこに俺は飛び込んだ。
ショートソードを腰の位置に立ててだ。
「ぶーひーー!!」
「おおら!」
俺はオークの腹にショートソードをぶっ刺すと、更に深くと力任せに押し込んだ。
そのまま壁際まで押し進む。
「ぶっ……ヒィ……」
「殺ったか!?」
【おめでとうございます。レベル13になりました!】
「よし、殺したぞ!」
腹を刺されたオークの瞳から正気の光が失われ、口から血をダラ~リと垂れ流す。
俺は俺に糞重たい体重を寄り掛けていたオークの体を跳ね退けた。
するとフルプレートを纏っていたオークが激しい音を立てて倒れ込む。
「これで今度こそ残すは三匹だ。残りは何処に行った!?」
俺は割れた窓から外を見た。
しかし残りのオークたちの姿が見えない。
「どこに行きやがった!? やばい、見失ったぞ!」
俺がしばらくオークの姿を探していると、牛の鳴き声と共にチャリオッツが三騎発進した。
船底の穴から荒野に逃げて行く。
「あー、逃げられた。んー、まあ、いいのかな?」
全滅ではないが、オークの野盗は壊滅っぽいもんね。
よし、これで船内を漁ってから帰ろうかな。
だが、こんなに激しくカッコいい戦いを繰り広げていた俺の身なりは、ビキニアーマーである。
映像で見ていたら、カッコいいってことはないだろう……。
むしろ笑える光景だわな……。
やっぱり次の仕事からはビキニアーマーを禁止にします。
ホンマに締まらんわ……。
「ぶひブヒーぶひい!」
「ブヒぶひー!!」
上の階段からオークどもがドシドシと降りて来た。
それにしてもブヒブヒと五月蝿いヤツらだな。
豚かよ……、豚だな。
俺はブリッジから甲板に通じる階段の下の荷物に紛れて身を潜めていた。
オークどもは潜む俺に気付く素振りもなく目の前を過ぎて行く。
「潜伏スキルとビキニアーマーの潜伏向上が役に立っているな。オークども、まったく気付きもしないぞ」
俺は呟きながらも眼前を過ぎて行ったオークたちの数を数えた。
「一、二、三、四──。いや、五匹か」
五匹のオークがブリッジから出て来たぞ。
最後の五匹目は体格がかなり大きかったぜ。
予想するに、あいつがリーダー各だな。
しかも全員が全身ガッチガチのフルプレートだ。
しかし、オークどもは、まだ状況が飲み込めていないのだろう。
非常ベルの騒音と誰も敵が見えない状況に混乱している。
仲間が半数も殺られていることすら知らないはずだ。
「ブーヒブー!」
「ぶひブヒ!」
何やら大柄オークが指示を飛ばしている。
その指示にオーク四匹はバラバラに散らばって行った。
俺は異次元宝物庫からロングボウを取り出すと物陰の隅から矢を力一杯引き寄せ狙いを定める。
「夜襲の続きだぜ!」
それにしても、やはりショートボウよりロングボウって力がいるね。
弦を引く腕に力がこもる。
そのせいか狙いを定めるのが難しい。
力一杯に弦を引く動作と狙いを定める集中力を同時に行うのが難しいのだ。
「まあ、これもロングボウの利点と欠点かな……。それよりも」
俺は10メートルも離れていない距離に居る大柄のオークの背中を狙っていた。
この距離ならプレートメイルを矢で突き破れるだろう。
ショートボウとは異なりロングボウにはそのパワーがある。
しかし、出来れば一撃で仕留めたいから攻撃スキルのスマッシュアローを使ってみようと思う。
矢の飛距離と破壊力が1.25倍する攻撃スキルだ。
「喰らえ、スマッシュアロー!!」
俺はスキルで破壊力を強化した矢を放った。
その矢は大柄オークの鉄鎧を破り背中に突き刺さる。
「ブヒィーー!!」
悲鳴を上げた大柄オークが前のめりに倒れたが、両手両膝を付いていた。
四つん這いで耐えている。
「畜生! 一撃で決まらなかったぜ」
しかも大柄オークの前に居たオークが振り返る。
「あれ、もう一匹居たのね」
「ぶひ?」
大柄オークの体格に隠れて前方のオークが見えなかったのだ。
「ちっ!」
俺は更に矢を構えた。
再び矢を放つ。
「よ~く狙って、発射!!」
俺が集中力を籠めて放った二発目の矢がオークの右肩に突き刺さる。
焦りのせいか急所を外してしまう。
また一撃では決まらなかった。
だが射ぬかれたオークは、よろめきながら混乱している。
「ならば近接で!」
俺は弓を捨ててバトルアックスを持ち直して走った。
「うーーりゃぁいああ!!」
そして、四つん這いになっている大柄オークの背中を踏台にして高く跳ぶ。
そこからバトルアックスを怯んでいるオークの頭に叩き落とした。
「どらっ!」
「ブヒ!!」
バトルアックスがオークの頭をヘルムごとカチ割り胸まで切り裂く。
俺は直ぐさま腰にあるダガーを引き抜くと、立ち上がろうとしていた大柄オークの喉に滑り込ませた。
「せい!」
「ふご……」
オークの喉を横に深く切り裂く。
鮮血を吹き出す大柄オークを蹴飛ばすと、頭をカチ割ったオークの死体からバトルアックスを引き抜いた。
だいぶバトルアックスが深くまで刺さっていたので引き抜くのに手間が掛かってしまう。
しかし、どちらのオークも動かない。
絶命だ。
「よし、二匹狩ったぞ!」
そして、突然だった。
非常ベルの鐘の音が鳴り止む。
「おおう、誰かが非常ベルを止めたのか?」
俺は急いで物陰に身を潜めた。
正直なところ非常ベルは良かったかも知れない。
あの五月蝿い騒音は、相手を混乱に陥れるだけでなく、こちらの戦闘音を消してくれていた。
あの騒ぎに乗じて二匹のオークを倒せたのだ。
しかも、内一匹はリーダー格だ。
これであとの三匹は有象無象だろうさ。
もうこの勝負は勝ったも同然だぜ。
物陰から出た俺は、それでも壁際の影の中を進み空になったと思われるブリッジに上がった。
「おじゃましま~す」
物音を立てないようにブリッジの扉を開けて中を覗き込む。
「誰も居ないかな~」
ブリッジの中はやはり空である。
俺は忍び足でブリッジ内に入って行った。
「おじゃましま~す」
俺がブリッジの窓から外を見回すと、三匹のオークがバラバラに甲板周辺を捜索している姿が見えた。
そろそろ仲間の死体を見つけてもいいころだろう。
だが、まだ頭を取られたことにすら気付いていないはずだ。
俺は思わず言葉を漏らす。
「これなら後片付けは楽だぜぇ~ーええっえっえっ!えっーーー!!??」
仰天ッ!
見ていた窓ガラスにオークの大きな影が映った。
俺の背後にもう一匹のオークが居やがったのだ。
「十一匹目だと!?」
俺は瞬時に振り返る。
そこにオークが持ったグレートアックスが振られた。
「ぶひ!!」
横振りの強打である。
咄嗟に俺はしゃがんで巨大斧を躱す。
「おわわわわ!!」
すると振られたグレートアックスが頭上の窓ガラスをバリバリと割り砕いて空振られた。
俺の頭にガラスの破片が雨のように降ってくる。
「のぉわわわわ!!」
ガラス片が飛び散るなか、俺は横に跳ね飛んだ。
その俺を狙ってオークがグレートアックスを振り上げる。
しかし天井に斧先が激突して止まってしまった。
振りかぶれない。
「ぶひっ!?」
「バカめが! 大きい武器は、室内だとそうなるんだよ!」
狭い室内で大きい武器や長い武器は壁や天井に引っ掛かってしまうのだ。
それで振りかぶれない。
その隙を俺は狙う。
「ファイヤーシャード!」
「ブヒィーー!?」
俺の炎の礫魔法がオークの顔面を燃やした。
オークはグレートアックスを落として顔を両手で押さえる。
そこに俺は飛び込んだ。
ショートソードを腰の位置に立ててだ。
「ぶーひーー!!」
「おおら!」
俺はオークの腹にショートソードをぶっ刺すと、更に深くと力任せに押し込んだ。
そのまま壁際まで押し進む。
「ぶっ……ヒィ……」
「殺ったか!?」
【おめでとうございます。レベル13になりました!】
「よし、殺したぞ!」
腹を刺されたオークの瞳から正気の光が失われ、口から血をダラ~リと垂れ流す。
俺は俺に糞重たい体重を寄り掛けていたオークの体を跳ね退けた。
するとフルプレートを纏っていたオークが激しい音を立てて倒れ込む。
「これで今度こそ残すは三匹だ。残りは何処に行った!?」
俺は割れた窓から外を見た。
しかし残りのオークたちの姿が見えない。
「どこに行きやがった!? やばい、見失ったぞ!」
俺がしばらくオークの姿を探していると、牛の鳴き声と共にチャリオッツが三騎発進した。
船底の穴から荒野に逃げて行く。
「あー、逃げられた。んー、まあ、いいのかな?」
全滅ではないが、オークの野盗は壊滅っぽいもんね。
よし、これで船内を漁ってから帰ろうかな。
だが、こんなに激しくカッコいい戦いを繰り広げていた俺の身なりは、ビキニアーマーである。
映像で見ていたら、カッコいいってことはないだろう……。
むしろ笑える光景だわな……。
やっぱり次の仕事からはビキニアーマーを禁止にします。
ホンマに締まらんわ……。
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