俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。
3-16【グラブルの作りし物】
俺とグラブルとの間で交渉が成立した。
取引である。
この異次元牢獄から出してもらえる条件として、俺は消えたウェイトレスさんを見付け出すこととなったのだ。
目の前の光の扉がゆっくりと開いて行く。
すると──。
「今よ、今よ、今よー!!」
扉が開くと俺の横からアンが隙を突いて扉の外へ逃げ出そうとした。
走って扉の隙間に滑り込むリボンの娘。
しかし───。
「ドスコーーイ!」
「ふにゃぁ!」
兄グラブルの腰の入った突っ張りがアンの顔面を突いて牢獄内に押し戻す。
リボン姿の娘が派手に転がって行った。
「フニャ!!!」
牢獄内にアンの小さな体が勢い良く吹っ飛んで行って後方の壁に激突して止まる。
頭から打ったのか後頭部を両手で押さえていた。
「うぐぐぐぐぅぅ……」
情けなく這いつくばるアンの隙を付いてグラブルが俺を急かす。
「さあ、今のうちに早く出て!」
「お、おう……」
俺が牢獄から出ると扉が勢い良く音を鳴らして閉められた。
アンだけが異次元牢獄に閉じ込められたのである。
「開けて開けて開けてーー!!」
閉められた扉を中からアンが必死に叩いていた。
その響きは乱打である。
しかし無情にもグラブルが腕を振るうと光る扉は形を消してしまう。
その場にあったはずの扉が無空に消えたのだ。
すると、もがくアンの騒音も消える。
そして、苦笑いながらグラブルが言う。
「本当に騒がしい妹だよ……」
そう述べたグラブルの容姿は若い人型の青年だった。
俺より若干歳上に見えるが、その実は5400歳のドラゴンだ。
その容姿は美少年と言うより美青年だった。
今時のイケメン俳優の成りである。
青い髪は少し眺めで艶があり、顔はハンサムだが、瞳だけが爬虫類だった。
アンと同じく人間への変化が完璧ではないようだ。
身長は俺よりだいぶ高い。
上下の青いスーツを来ていたが、スーツの下は裸である。
なんかホストっぽい。
そのイケメンドラゴンが柔らかく微笑みながら言った。
「騒がしい馬鹿妹で済まなかったね」
「いえいえ……」
まさにその微笑みはホストのような笑みであった。
爽やかなのだがモテない俺から見てみれば、なんだか生け簀かない笑みに感じられるのだ。
ほとんど逆恨みのような感情なのだろうがムカツクのである。
そんなことよりも牢獄から出してもらえた俺は周囲を見回した。
俺は洋館の一室だと思われる部屋の中に居た。
部屋の中は殺風景だが、高価で鮮やかなソファーセットが一組だけ置かれていた。
しかし、そのソファーセットに大きな違和感が見て取れる。
それに、室内には生活感が、まったくない。
ここで人間が生活している空気が感じられないのだ。
窓はカーテンが閉められ、ソファーセットや床には埃が溜まっている。
壁も薄汚い。
灯りは無いが、何故か室内はカーテンすら閉められているのに明るかった。
魔法の明かりなのだろうか?
室内をキョロキョロと見回す俺を余所にグラブルがソファーに腰を下ろしてから言った。
「まあ、とりあえず座りたまえ」
「うい……」
俺も促されるままにソファーに座った。
すると足を組ながら座るグラブルがフレンドリーに訊いてきた。
「何かワインでも飲むかね?」
「俺は酒が飲めないから結構だわ」
「それでは、お茶にしますか」
言いながらグラブルがテーブルの上を手で翳すと、ティーポットとティーカップのセットが現れた。
まるで手品である。
何もない空間からお茶のセットが現れたのだ。
そして、グラブルがティーポットからお茶を注ぐと、ティーカップに湯気が立っていた。
湯も沸いている。
どうやら何かの魔法のようだ。
「魔法かよ。便利だな」
「前もって用意していたものを、時間が止まった時空にキープしていたんだよ。僕は時空を操る魔法が得意でね」
「時を止めたりとかか?」
「まあ、簡単に述べればそんな感じかな。でも魔法使いでもない人間には説明しても理解出来ない原理だよ。更に言うならば、魔法使いでも、どれだけの人間が理解出来るかは疑問だけれどね」
「なるほど。魔法に関しては、人間の魔法使いの数段も上を行っているわけだ」
「僕たちドラゴン族からしたら、人間の魔法レベルは、ママゴトのような感じだからね」
「幼児と大人ぐらい差があると?」
「そんな感じだよ」
かなりの自信のようだ。
だが、その自信も嘘ではないだろう。
今グラブルが見せた空間操作魔法だってソドムタウンではお目にかかったこともないような魔法である。
かなりハイレベルなのは俺でも理解できた。
グラブルがティーカップに手を伸ばしたので、俺もお茶を啜る。
監禁生活で喉が乾いていたせいか、お茶が凄く美味しく感じられた。
「では、先程の話の続きをしようじゃあないか」
「おう──」
さて、ここからが勝負の本番だ。
交渉で上を取らなければ、俺が有利にたてる瞬間はないだろう。
俺は思考をフル回転させた。
そして、状況を的確に把握する。
このドラゴンお兄様は、たまたま日中に町の酒場で見掛けたウェイトレスに一目惚れをしたらしい。
その酒場とは冒険者ギルドの酒場だ。
だが、その日以降、彼女に出会えないで困っている。
本当は町中で、聞き込みをしたいのだが出来ない。
グラブルの変化の術は、見ての通り中途半端だからだ。
マジマジと見られれば、瞳の部分が爬虫類だと直ぐにばれてしまうから、人間たちに聞き込みができないのだろう。
そこで自分の代わりに、そのウェイトレスを俺に探し出して来てもらいたいのだそうな。
そこで一つ大きな問題がある。
そう、それは、俺に俺を探せと言うのだ……。
グラブルが一目惚れしたウェイトレスさんは、間違いなく俺だろう。
あの日の日中に、冒険者ギルドでウエイトレスをやっていたのは、女装した俺とギルガメッシュだけだ。
ギルガメッシュに一目惚れしたのでなければ、二択が消えて一択になる。
その一択の相手が俺なのだ。
ウェイトレス姿に女装していた俺なのだ。
この馬鹿お兄様は、俺を女の子だと勘違いしていやがるのだ。
しかも、当人が目の前に居るのに気付きやしない。
同一人物だと気付いていないのだ。
てか、その辺も分からないぐらい人間の見分けがつかないのかよ、この爬虫類はよ!
一目惚れされる身にもなってみろや!
本当に迷惑だよ!
「勿論、彼女を見付け出してくれたら、報酬は支払うよ」
報酬だと!?
報酬まで貰えるのか!?
俺は冷静を装いクールに訊いてみた。
「ほほう、いかほどだ?」
グラブルは俺の真意を悟ることなく返答する。
「あまり人間の通貨は持ち合わせていないから、手っ取り早く手持ちのマジックアイテムでも構わないかね?」
マジックアイテムだと!?
マジックアイテムなら問題ないだろう。
使えないマジックアイテムなら売ってしまえば最低でも高い賃金代わりにはなるだろうからな。
「マジックアイテムかぁ~、そっちのほうが興味深いな」
「じゃあ、これなんてどうだろうか?」
そう言いながらグラブルは、嵌めていた指輪を一つ外してテーブルの上に置いた。
赤いルビーが嵌め込まれた指輪だった。
見た目からして素朴だが単純に高価そうである。
俺は小声で「アイテム鑑定」と呟いた。
【ドラゴンルビーの指輪+3】
あなたのレベルが低くて鑑定できません。
+3だと!
しかも俺よりレベルが高いし!
それにドラゴンルビーってなんだよ!?
「こ、この指輪は……!?」
驚く俺を見てグラブルが目を細目ながら返してきた。
「ほほう。キミにも少しは物の価値が分かるのかね」
「これが凄い物だとは分かるぜ。分かるが……」
確かに凄い物だとは分かるが、そこまでである。
それ以上は分からないのも事実だ。
グラブルはテーブルの上のルビーの指輪を指先で転がしながら言う。
「この指輪を作ったのは私だ。そして能力は、異次元宝物庫だよ」
「異次元宝物庫?」
なにそれ?
聞いたことがない物だけど、言葉の響きは凄そうだ。
「簡単に言えば、異次元内にアイテムを収納出来る指輪だ」
キター(゚∀゚ 三 ゚∀゚)
「それを聞いただけで便利そうですな!」
「これをはめて念じるだけで、異次元にアイテムを収納したり取り出したり出来る」
やっぱりそうだよね!
「収納できるのは無生物だけだが、収納中は時が止まっているから、腐りもしないし、温度も変わらない」
「なるほど。さっきお茶を出したのは、この指輪からだったのね」
「察しがいいね、キミは」
スゲーの来ましたね!
これも俺のハクスラスキルの影響ですか!?
「しかもだ、持ち主の登録システムもあってね。登録された持ち主から盗まれても念じれば帰って来るんだ。だから失くすことはない」
なんとも便利な話だな!
盗難防止機能付きですか!
これは欲しいぞ!
もう一つ機能があるだろ。
それも早く言え。
「更にもう一つは呪いだ!」
「呪い?」
ああぁ……。
呪いに良い印象がないのは、俺だけかな?
なんかガッカリするようなペナルティーでも付いているのかな……。
「盗んだ相手が下等な人間風情なら、念じるだけで呪い殺せるぞ!」
「呪いって、持ち主にじゃなくて盗んだ相手に掛かる呪いなのね……」
「その通りだ」
ならば、いーらーねー!!
三つ目の能力は、別に要らねえな!
でも、この指輪は欲しいぞ!!
何としても欲しいぞ!!
異次元宝物庫は凄く欲しいぞ!!
「もしも、ウェイトレスの彼女を僕の元に連れてこれたら、この指輪をキミに報酬としてあげよう。一度登録してしまえば、死ぬまでか、誰かに譲るまでキミの物になるぞ」
欲しい、かなり欲しいぞ!
この指輪があれば、今後の冒険でかなり役に立つ!
何せ異次元ポケットだろ、これってさ!
こうなったら、このドラゴンを騙してでもルビーの指輪をゲットしてやるぞ!!
取引である。
この異次元牢獄から出してもらえる条件として、俺は消えたウェイトレスさんを見付け出すこととなったのだ。
目の前の光の扉がゆっくりと開いて行く。
すると──。
「今よ、今よ、今よー!!」
扉が開くと俺の横からアンが隙を突いて扉の外へ逃げ出そうとした。
走って扉の隙間に滑り込むリボンの娘。
しかし───。
「ドスコーーイ!」
「ふにゃぁ!」
兄グラブルの腰の入った突っ張りがアンの顔面を突いて牢獄内に押し戻す。
リボン姿の娘が派手に転がって行った。
「フニャ!!!」
牢獄内にアンの小さな体が勢い良く吹っ飛んで行って後方の壁に激突して止まる。
頭から打ったのか後頭部を両手で押さえていた。
「うぐぐぐぐぅぅ……」
情けなく這いつくばるアンの隙を付いてグラブルが俺を急かす。
「さあ、今のうちに早く出て!」
「お、おう……」
俺が牢獄から出ると扉が勢い良く音を鳴らして閉められた。
アンだけが異次元牢獄に閉じ込められたのである。
「開けて開けて開けてーー!!」
閉められた扉を中からアンが必死に叩いていた。
その響きは乱打である。
しかし無情にもグラブルが腕を振るうと光る扉は形を消してしまう。
その場にあったはずの扉が無空に消えたのだ。
すると、もがくアンの騒音も消える。
そして、苦笑いながらグラブルが言う。
「本当に騒がしい妹だよ……」
そう述べたグラブルの容姿は若い人型の青年だった。
俺より若干歳上に見えるが、その実は5400歳のドラゴンだ。
その容姿は美少年と言うより美青年だった。
今時のイケメン俳優の成りである。
青い髪は少し眺めで艶があり、顔はハンサムだが、瞳だけが爬虫類だった。
アンと同じく人間への変化が完璧ではないようだ。
身長は俺よりだいぶ高い。
上下の青いスーツを来ていたが、スーツの下は裸である。
なんかホストっぽい。
そのイケメンドラゴンが柔らかく微笑みながら言った。
「騒がしい馬鹿妹で済まなかったね」
「いえいえ……」
まさにその微笑みはホストのような笑みであった。
爽やかなのだがモテない俺から見てみれば、なんだか生け簀かない笑みに感じられるのだ。
ほとんど逆恨みのような感情なのだろうがムカツクのである。
そんなことよりも牢獄から出してもらえた俺は周囲を見回した。
俺は洋館の一室だと思われる部屋の中に居た。
部屋の中は殺風景だが、高価で鮮やかなソファーセットが一組だけ置かれていた。
しかし、そのソファーセットに大きな違和感が見て取れる。
それに、室内には生活感が、まったくない。
ここで人間が生活している空気が感じられないのだ。
窓はカーテンが閉められ、ソファーセットや床には埃が溜まっている。
壁も薄汚い。
灯りは無いが、何故か室内はカーテンすら閉められているのに明るかった。
魔法の明かりなのだろうか?
室内をキョロキョロと見回す俺を余所にグラブルがソファーに腰を下ろしてから言った。
「まあ、とりあえず座りたまえ」
「うい……」
俺も促されるままにソファーに座った。
すると足を組ながら座るグラブルがフレンドリーに訊いてきた。
「何かワインでも飲むかね?」
「俺は酒が飲めないから結構だわ」
「それでは、お茶にしますか」
言いながらグラブルがテーブルの上を手で翳すと、ティーポットとティーカップのセットが現れた。
まるで手品である。
何もない空間からお茶のセットが現れたのだ。
そして、グラブルがティーポットからお茶を注ぐと、ティーカップに湯気が立っていた。
湯も沸いている。
どうやら何かの魔法のようだ。
「魔法かよ。便利だな」
「前もって用意していたものを、時間が止まった時空にキープしていたんだよ。僕は時空を操る魔法が得意でね」
「時を止めたりとかか?」
「まあ、簡単に述べればそんな感じかな。でも魔法使いでもない人間には説明しても理解出来ない原理だよ。更に言うならば、魔法使いでも、どれだけの人間が理解出来るかは疑問だけれどね」
「なるほど。魔法に関しては、人間の魔法使いの数段も上を行っているわけだ」
「僕たちドラゴン族からしたら、人間の魔法レベルは、ママゴトのような感じだからね」
「幼児と大人ぐらい差があると?」
「そんな感じだよ」
かなりの自信のようだ。
だが、その自信も嘘ではないだろう。
今グラブルが見せた空間操作魔法だってソドムタウンではお目にかかったこともないような魔法である。
かなりハイレベルなのは俺でも理解できた。
グラブルがティーカップに手を伸ばしたので、俺もお茶を啜る。
監禁生活で喉が乾いていたせいか、お茶が凄く美味しく感じられた。
「では、先程の話の続きをしようじゃあないか」
「おう──」
さて、ここからが勝負の本番だ。
交渉で上を取らなければ、俺が有利にたてる瞬間はないだろう。
俺は思考をフル回転させた。
そして、状況を的確に把握する。
このドラゴンお兄様は、たまたま日中に町の酒場で見掛けたウェイトレスに一目惚れをしたらしい。
その酒場とは冒険者ギルドの酒場だ。
だが、その日以降、彼女に出会えないで困っている。
本当は町中で、聞き込みをしたいのだが出来ない。
グラブルの変化の術は、見ての通り中途半端だからだ。
マジマジと見られれば、瞳の部分が爬虫類だと直ぐにばれてしまうから、人間たちに聞き込みができないのだろう。
そこで自分の代わりに、そのウェイトレスを俺に探し出して来てもらいたいのだそうな。
そこで一つ大きな問題がある。
そう、それは、俺に俺を探せと言うのだ……。
グラブルが一目惚れしたウェイトレスさんは、間違いなく俺だろう。
あの日の日中に、冒険者ギルドでウエイトレスをやっていたのは、女装した俺とギルガメッシュだけだ。
ギルガメッシュに一目惚れしたのでなければ、二択が消えて一択になる。
その一択の相手が俺なのだ。
ウェイトレス姿に女装していた俺なのだ。
この馬鹿お兄様は、俺を女の子だと勘違いしていやがるのだ。
しかも、当人が目の前に居るのに気付きやしない。
同一人物だと気付いていないのだ。
てか、その辺も分からないぐらい人間の見分けがつかないのかよ、この爬虫類はよ!
一目惚れされる身にもなってみろや!
本当に迷惑だよ!
「勿論、彼女を見付け出してくれたら、報酬は支払うよ」
報酬だと!?
報酬まで貰えるのか!?
俺は冷静を装いクールに訊いてみた。
「ほほう、いかほどだ?」
グラブルは俺の真意を悟ることなく返答する。
「あまり人間の通貨は持ち合わせていないから、手っ取り早く手持ちのマジックアイテムでも構わないかね?」
マジックアイテムだと!?
マジックアイテムなら問題ないだろう。
使えないマジックアイテムなら売ってしまえば最低でも高い賃金代わりにはなるだろうからな。
「マジックアイテムかぁ~、そっちのほうが興味深いな」
「じゃあ、これなんてどうだろうか?」
そう言いながらグラブルは、嵌めていた指輪を一つ外してテーブルの上に置いた。
赤いルビーが嵌め込まれた指輪だった。
見た目からして素朴だが単純に高価そうである。
俺は小声で「アイテム鑑定」と呟いた。
【ドラゴンルビーの指輪+3】
あなたのレベルが低くて鑑定できません。
+3だと!
しかも俺よりレベルが高いし!
それにドラゴンルビーってなんだよ!?
「こ、この指輪は……!?」
驚く俺を見てグラブルが目を細目ながら返してきた。
「ほほう。キミにも少しは物の価値が分かるのかね」
「これが凄い物だとは分かるぜ。分かるが……」
確かに凄い物だとは分かるが、そこまでである。
それ以上は分からないのも事実だ。
グラブルはテーブルの上のルビーの指輪を指先で転がしながら言う。
「この指輪を作ったのは私だ。そして能力は、異次元宝物庫だよ」
「異次元宝物庫?」
なにそれ?
聞いたことがない物だけど、言葉の響きは凄そうだ。
「簡単に言えば、異次元内にアイテムを収納出来る指輪だ」
キター(゚∀゚ 三 ゚∀゚)
「それを聞いただけで便利そうですな!」
「これをはめて念じるだけで、異次元にアイテムを収納したり取り出したり出来る」
やっぱりそうだよね!
「収納できるのは無生物だけだが、収納中は時が止まっているから、腐りもしないし、温度も変わらない」
「なるほど。さっきお茶を出したのは、この指輪からだったのね」
「察しがいいね、キミは」
スゲーの来ましたね!
これも俺のハクスラスキルの影響ですか!?
「しかもだ、持ち主の登録システムもあってね。登録された持ち主から盗まれても念じれば帰って来るんだ。だから失くすことはない」
なんとも便利な話だな!
盗難防止機能付きですか!
これは欲しいぞ!
もう一つ機能があるだろ。
それも早く言え。
「更にもう一つは呪いだ!」
「呪い?」
ああぁ……。
呪いに良い印象がないのは、俺だけかな?
なんかガッカリするようなペナルティーでも付いているのかな……。
「盗んだ相手が下等な人間風情なら、念じるだけで呪い殺せるぞ!」
「呪いって、持ち主にじゃなくて盗んだ相手に掛かる呪いなのね……」
「その通りだ」
ならば、いーらーねー!!
三つ目の能力は、別に要らねえな!
でも、この指輪は欲しいぞ!!
何としても欲しいぞ!!
異次元宝物庫は凄く欲しいぞ!!
「もしも、ウェイトレスの彼女を僕の元に連れてこれたら、この指輪をキミに報酬としてあげよう。一度登録してしまえば、死ぬまでか、誰かに譲るまでキミの物になるぞ」
欲しい、かなり欲しいぞ!
この指輪があれば、今後の冒険でかなり役に立つ!
何せ異次元ポケットだろ、これってさ!
こうなったら、このドラゴンを騙してでもルビーの指輪をゲットしてやるぞ!!
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