俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。

ヒィッツカラルド

1-26【貧乏そうな村に帰還】

俺が村に到着すると、夜なのに外で村人が数名ほど待っていてくれた。

夜なのにわざわざ俺の帰りを待っていてくれたのかな?

いや、ただの見張りなのかな?

まあ、どっちでもいいや。

ここは感動的に、自分に都合の良い解釈で受け取ろう。

そのほうが気分も良いだろうからな。

そう、彼らは英雄である俺の帰還を待っていてくれたのだ!

なんちゃってね~。

「ただいま~」

俺はヒョコイと手を上げて待っていた村人に挨拶を飛ばした。

「ア、アスラン殿!!」

「コボルトたちは全部退治したぞ~」

「ま、まことですか!!」

俺を出迎えてくれた村人が歓喜の声を上げると近くの家から他の村人たちも笑顔で飛び出して来た。

たぶん俺の帰還を待っていたのだろうさ。

俺って案外と人気者なんだな~。

そして、その村人たちの中には、あの鼻垂れ坊主も混ざっていた。

鼻垂れ坊主は俺の帰還を見付けると駆け寄って来て勢い良く飛び付くとハグしてくる。

また俺の股間に顔を埋めてグリグリして来た。

「おおう、あおおう……」

やべぇ、ちょっと変な声が出ちまったぞ……。

不覚!

男の子相手に不覚だぞ!

しかもこんな鼻垂れ坊主にさ。

これがせめて幼女だったら嬉しかったのにな。

あ、ちょっぴり胸が痛い……。

それと幼女とか言うと犯罪になるかも知れないから控えよう。

少なくとも常識を疑われるかも知れないな。

ここは一つ言い訳を宣言するぞ!

俺のストライクゾーンは成熟した乙女だけですからね!

出来れば巨乳を希望する。

好みは巨乳で同世代の女子ですからね!

純粋無垢な告白だ。

幼女好きな変態ロリコンと誤解されたら堪らないからな。

その後は一軒の広い家に招かれる。

討伐に出ていた俺の帰還を知って、生き残った村人たち全員が集まって来た。

そこで俺は廃鉱に巣くっていたコボルトたちの壊滅の報告を村人たちに告げた。

すると俺がもたらした吉報に村人たちが歓喜の声を上げる。

皆が殺された村人たちの仇が取れたと喜んでいた。

泣いて抱き合い換気に盛り上がる。

だが俺は、これで良かったのかなと、少し深く考えた。

殺されたから殺し返す。

相手がモンスターでも、それは有りなのだろうか?

RPGなら、当然ながら有りだよね。

冒険者がモンスターを狩る。

同然の行為だ。

無しだと話が始まらんし、冒険にもならないからな。

でも、リアルで剣を交えながらモンスターと戦って分かったが、実際の切った張ったはゲームと異なる。

相手を刃物で切り裂く感覚、相手に攻撃されて傷付く痛み。

それらはゲームでは感じられないリアルな感覚だ。

生々しいのだ。

それらを感じて、これが現実の殺し合いなんだな~っと俺は実感した。

しかし俺が悩んでいる間にも、村人たちが食事やお酒を運んできて宴会を始める。

広い部屋に集まった男たちが杯を片手に乾杯を始めたのだ。

女性たちが、その騒ぎに合わせて有り合わせの食事を運んで来る。

あっと言うまに室内は盛り上がった。

宴会がスタートである。

それでも俺は悩み続けた。

それで出た回答は、『まあ、いいや』だった。

深刻に考えるのは止めよう。

そもそもネガティブに考えても正解は導き出せないだろう。

俺はそう言う性格だし、難しいことも苦手だしね。

そして今晩はこの家で村人たちと騒ぎまくって、すべてを忘れることにした。

ちなみに俺はゲコだからお酒は飲めない。

何より未成年ですからね。

だから素面なままで酔っ払ったオヤジたちと賑やかに騒いだのである。

正直、飯は美味しくなかった。

黒パンは何日も放置されて固くなった食パンよりも固いし、スープは薄い塩味しかしない。

具も芋だけだ。

鶏肉の丸焼きも出されたが、痩せっぽちな鳥だった。

食うところが少ない皮ばかりの焼き鳥である。

そこからこの村の貧しさを思い出した。

でも、今晩ばかりは村人たちに合わせてはしゃぎ回る。

騒ぐときは騒ぐ、遊ぶときは遊ぶ、働くときは働くのだ。

それが正しい人生だろう。

まあ、俺には真面目に働くってのは真似できないだろうけれどね。

だから冒険者に憧れたのかも知れない。

てへ♡

それにしても、この世界の飯は不味いな!

よくさ、異世界転生してからスローライフとか言って食堂経営を始める異邦人が居るけれど、そいつらの気持ちが良く分かったよ。

こんな不味い飯ばかり食ってる異世界ならば、現代の美味しい飯を出せれば開店早々から店も大繁盛するだろうさ。

まさにボロ儲け間違いないだろう。

ちなみに俺は炊事の一つも出来ない。

調理どころか掃除も洗濯物も全て母ちゃんにやってもらっていたからな。

そうか、よくよく思い出してみれば、俺にも母ちゃんぐらい居るよな。

転生前のことは、少しずつ思い出せている。

そして、異世界に転生しても、炊事洗濯なんて俺にはヤル気は微塵もなかった。

そもそも俺には、家事全般が無理だと思う。

料理はインスタントのカップラーメンにお湯を注いだことぐらいしかないし、選択は全自動洗濯機のボタンを押すぐらいしかやったことがない。

フライパンを持ったこともないし、洗濯物を干したこともないのである。

自分の部屋ですら、自分で掃除機を掛けたことがないのだ。

全部、母ちゃん任せである。

なので、冒険でお金が貯まって家を買う機会がきたら、ピチピチのメイドさんを雇わなければ、マイホームの維持は出来ないだろう。

下手をしたらご立派なゴミ屋敷を作り上げるかもしれない。

俺はそれだけズボラだ。

そんでもってメイドさんは可愛い女の子を面接で選んで、セクハラ行為ギリギリの可愛らしくも露出度の高いメイド服を着せながら生活をさ……ぅぉぉおおおおおッ!!!

の、ろ、い、がぁぁあああ!!!

く、くそ~……。

自分の学習能力の低さが疎ましい……。

すぐにエロイ事を考えてしまうんだよな。

そもそも年ごろの青少年にエロイ事を考えるなってのが無理難問だろう。

普通は一日一回はエロイ事を考えない男子なんて存在しないぞ。

そんなの不可能だ!

そんなの不健全である!

たぶん前世だと俺は、三秒起きにエロイ妄想に耽っていたと思う。

とにかく俺は冒険を続けて、この忌々しい女神の呪いを解く方法を見つけ出してやるんだ。

当面は、それを目的に冒険の旅を続けようかな。

なんか、何気ない思い付きだけれど、目的が出来たって感じである。

「アスラン殿~、飲んでますか~!」

「飲んでねえよ! 俺はゲコだ! 何より未成年だ!」

「それは残念ですな~。ならばせめてご馳走でも食べてくださいな~」

「ご馳走なんてないじゃあねえか!」

とりあえず、不味かったが空腹には勝てない。

俺は燃料補給だと割りきってショボい飯を腹に詰め込んだ。

そして、酔っぱらう村人たちと騒ぎまくった。

そして、食ったから寝る。

村人たちはまだ騒いでいたが、俺は寝室を用意してもらい寝ることにした。

何せコボルトたちと戦ってきたばかりだったからな。

疲れていても仕方ないだろう。

事実、それなりに疲れている。

そして、提供してもらった空きベッドが、コボルトの襲撃が理由で空いたばかりのベッドだと知ったのは、翌朝の朝食の最中だった。

早く言ってもらいたかったが、よくよく考えれば眠れなくなったかも知れないので良しとする。

何せ廃鉱の出入り口で、なんだか霊的でとても不思議で奇怪なものを目撃したばかりだからな。

俺だって少しぐらいはビビッてしまう。

でも、布団に潜り込んだら直ぐに眠れた。

それだけ疲れていたのだろう。

「ぐぅ~~……。むにゅむにゅ………」

そう言えば、夢の中でもエロイ妄想をすると死ぬのかな、俺?




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