ダンジョン・ザ・チョイス
491.蔵書質と冷凍庫 そして鉄板道
「”天使法術”――ヘブンランサー!!」
光の槍群を飛ばし、宙に浮かぶ本達を正確に射抜いていく!
「後ろだ、クマム!」
ナノカの声が響いた瞬間、いつの間にか後頭部付近まで近付いてきていた本の中から――ワニのような黒い顎が迫る!!
「”宝石魔法”――ラブラドライトアーマー!!」
メルシュさんの魔法により緑の硝子欠片のような光が私を覆い――顎の攻撃を止めてくれた!?
「アーマーで防げるのは二度までだよ!」
「――ハイパワープリック!!」
黄金の薔薇状の鍔ガードが付いた細剣、”ゴルドローズソード”で”本の魔物”を貫き、事なきを得ます。
「助かりました、メルシュさん」
「気にしなくて大丈夫だよ。ちょうど終わったみたいだし」
襲い掛かってきていた本が、ナノカ達によって全て倒されたよう。
「百冊倒せましたか」
「光っている本を探して」
メルシュさんに従い、蔵書室にある巨大な棚をしらみつぶしに。
「ありました! ”跳躍”」
剣を腰に収め、数メートル上の棚へとジャンプ!
光り輝く本を掴み、棚から引き抜く。
「”神の丘の獅子伝”か。良いね、ウララの持ち物と被ってない」
私が手にした事で、パーティーを組んでいるメルシュさんはチョイスプレートを開くだけでアイテムを確認出来るよう。
「Sランクの本が確定で手に入るとはいえ、”本の魔物”百冊は骨が折れる余」
「とはいえ、これでまだ二冊目。奥の扉を潜る前にもう一冊手に入れて置きたいところだけれど」
「それより、ラブラドライトって”宝石魔法”、初めて見たわよ?」
“千花の庭園”を抜ける際に消耗して休んでいたナオさんが、メルシュさんに尋ねる。
「ラブラドライト系はサポート特化の魔法だからね。テルル系と違って自分に対しては使用できないし、あらかじめ練習してないと使い所が限られるんだよ」
コセさんと合流したらメルシュさんがこの面子とパーティーを組む事は無くなるだろうし、練習しても無駄に終わると思っていたのでしょうか?
「あ、また本が震えだしたわね」
カナさんの言うとおり、棚の中の本が補充されたのち、再びガタガタと音を立て始め――飛び出して来る!!
「百冊退治、もう一周するとしましょうか」
メルシュさんの余裕そうな声に、もっと体力と集中力を磨かなければと思い至る自分がいました。
●●●
「――来た」
徒歩でゆっくりと巨大冷凍庫内を進んでいると、再び”ウィクショナリー”の集団が――囲うように一斉に襲い掛かってきた。
「――“嘆きの牢獄”!!」
肉塊を無視して床から一気に凍結していくリンピョンちゃんにより、全ての黒尽くめの脚を凍結。動けなくする。
「拘束出来た! 今よ、メグミちゃん! クリスちゃん!」
「シールドバニッシュ!!」
「ハイパワースラッシュ!!」
私が“万変の霧”越しに位置を把握し、“同調”で私から位置情報を取得したリンピョンちゃんが下半身を凍らせて拘束。
メグミちゃんとクリスちゃんでトドメをさして貰うというのが、私の作戦の全貌。
「ハアハア、上手くいったみたいだな」
「ハアハア。空気冷たくて、喉痛いでぇす」
「出口も見えてるし、さっさとここを出よう」
「フー、そうね」
出口である金属製のドアまで辿り付いた私達。
「うわ……」
「どうしたの、メグミちゃん?」
「向こう、いかにも良さげな物が入ってそうな宝箱が……」
「反対側にもでぇす」
ちょうどこの冷凍庫の角部分に置かれた、黄金の宝箱。
「左は私が!」
「仕方ない。“超噴射”!」
敏捷に優れたリンピョンちゃんと、鎧に取り付けられた赤いスラスター? とかいうので宝箱へと向かってくれるメグミちゃん。
「ようやくこの寒さから逃れられると思ったのに……イヤラシい配置でぇす」
「本当にね~」
これ考えたの、ジュリーちゃんの両親だったりするのかしら?
すぐにメグミちゃんが戻ってくる。
「良いのは入ってた?」
「こっちは、”略取者の狩猟の英知”という不気味なガントレットだ」
「私のは”処刑人の介錯ナイフ”という奴です、サトミ様」
「なんだか、どちらもリンピョンちゃん向けな名前ね」
どっちも物騒な名前だもの。
「とにかく、先にここを出よう。寒くて敵わん」
「そ、そうしましょう!」
一番露出が多いからか、リンピョンちゃんが一番寒がってるみたい。
バカみたいに冷たい取っ手を押し、巨大冷凍庫の外へ。
「これは……」
目の前に広がっていたのは、ただ広いだけの平坦な道。
「これが鉄板道……」
『さーて、今日も美味しい物を作るぞ~』
遠くからやたら野太い声が聞こえてきたかと思えば――右側に超巨大な殺人コックが!!?
「そうだ! ここは早く抜けないといけないんだった!!」
慌てて鉄板の道を駆け出すと、皆も付いてきてくれる!
「おい、サトミ! どういう事だ!」
「この道は鉄板の上! 今から調理が始まるのよ!」
「はあ?」
メグミちゃんが、変な物を見るような視線を私に!
「良いから、とにかく急いで!」
『まずは、鉄板を温めんとー――点火だ~!』
カチリという音ののち、ボォォ! という不気味な音が響いてしまう!
「なんか、急に暑くなってきた?」
「寒さが吹き飛びまぁす!」
「言ってる場合じゃないわよ! 多分、私達の足元の裏でコンロの火が燃え滾ってるんだから!」
私が履いている靴が、鉄板を踏む度にジュージュー音を立て始めた!!
「お前、そういうことは早く――」
『まずは野菜炒めだ~』
メグミちゃんの言葉を遮るように、頭上から切り刻まれた野菜が落ちてくる!
「このコック、人参をキャベツやモヤシと最初から一緒に炒めようとするなんて! 料理人の風上にも置けないわ!!」
「言ってる場合か! “回転”、“魔力弾”、“連射”! “可変”、“暴風弾”、“連射”!」
両腕の盾からピンクと緑の弾丸を発射し、落ちてくる野菜を粉々にしていくメグミちゃん!
『おっと、油を引くのを忘れる所だった~』
間一髪野菜の雨から逃れたと思った矢先、前の鉄板に油が注がれて、こっちに迫ってくる!
「あの油、動物性と植物性、どっちかしら?」
「料理の話は後にしろ! ――“ディフェンドガード”!」
メグミちゃんが指輪を使って、全長三メートルはある翠の超大型バイクを呼び出した?
「クリスは私の後ろに! リンピョン、サトミは助手席に乗り込め!」
油がバイクに触れる前に全員乗り込み、車体が少しだけ地面から浮く。
「しっかり掴まれ!」
光の槍群を飛ばし、宙に浮かぶ本達を正確に射抜いていく!
「後ろだ、クマム!」
ナノカの声が響いた瞬間、いつの間にか後頭部付近まで近付いてきていた本の中から――ワニのような黒い顎が迫る!!
「”宝石魔法”――ラブラドライトアーマー!!」
メルシュさんの魔法により緑の硝子欠片のような光が私を覆い――顎の攻撃を止めてくれた!?
「アーマーで防げるのは二度までだよ!」
「――ハイパワープリック!!」
黄金の薔薇状の鍔ガードが付いた細剣、”ゴルドローズソード”で”本の魔物”を貫き、事なきを得ます。
「助かりました、メルシュさん」
「気にしなくて大丈夫だよ。ちょうど終わったみたいだし」
襲い掛かってきていた本が、ナノカ達によって全て倒されたよう。
「百冊倒せましたか」
「光っている本を探して」
メルシュさんに従い、蔵書室にある巨大な棚をしらみつぶしに。
「ありました! ”跳躍”」
剣を腰に収め、数メートル上の棚へとジャンプ!
光り輝く本を掴み、棚から引き抜く。
「”神の丘の獅子伝”か。良いね、ウララの持ち物と被ってない」
私が手にした事で、パーティーを組んでいるメルシュさんはチョイスプレートを開くだけでアイテムを確認出来るよう。
「Sランクの本が確定で手に入るとはいえ、”本の魔物”百冊は骨が折れる余」
「とはいえ、これでまだ二冊目。奥の扉を潜る前にもう一冊手に入れて置きたいところだけれど」
「それより、ラブラドライトって”宝石魔法”、初めて見たわよ?」
“千花の庭園”を抜ける際に消耗して休んでいたナオさんが、メルシュさんに尋ねる。
「ラブラドライト系はサポート特化の魔法だからね。テルル系と違って自分に対しては使用できないし、あらかじめ練習してないと使い所が限られるんだよ」
コセさんと合流したらメルシュさんがこの面子とパーティーを組む事は無くなるだろうし、練習しても無駄に終わると思っていたのでしょうか?
「あ、また本が震えだしたわね」
カナさんの言うとおり、棚の中の本が補充されたのち、再びガタガタと音を立て始め――飛び出して来る!!
「百冊退治、もう一周するとしましょうか」
メルシュさんの余裕そうな声に、もっと体力と集中力を磨かなければと思い至る自分がいました。
●●●
「――来た」
徒歩でゆっくりと巨大冷凍庫内を進んでいると、再び”ウィクショナリー”の集団が――囲うように一斉に襲い掛かってきた。
「――“嘆きの牢獄”!!」
肉塊を無視して床から一気に凍結していくリンピョンちゃんにより、全ての黒尽くめの脚を凍結。動けなくする。
「拘束出来た! 今よ、メグミちゃん! クリスちゃん!」
「シールドバニッシュ!!」
「ハイパワースラッシュ!!」
私が“万変の霧”越しに位置を把握し、“同調”で私から位置情報を取得したリンピョンちゃんが下半身を凍らせて拘束。
メグミちゃんとクリスちゃんでトドメをさして貰うというのが、私の作戦の全貌。
「ハアハア、上手くいったみたいだな」
「ハアハア。空気冷たくて、喉痛いでぇす」
「出口も見えてるし、さっさとここを出よう」
「フー、そうね」
出口である金属製のドアまで辿り付いた私達。
「うわ……」
「どうしたの、メグミちゃん?」
「向こう、いかにも良さげな物が入ってそうな宝箱が……」
「反対側にもでぇす」
ちょうどこの冷凍庫の角部分に置かれた、黄金の宝箱。
「左は私が!」
「仕方ない。“超噴射”!」
敏捷に優れたリンピョンちゃんと、鎧に取り付けられた赤いスラスター? とかいうので宝箱へと向かってくれるメグミちゃん。
「ようやくこの寒さから逃れられると思ったのに……イヤラシい配置でぇす」
「本当にね~」
これ考えたの、ジュリーちゃんの両親だったりするのかしら?
すぐにメグミちゃんが戻ってくる。
「良いのは入ってた?」
「こっちは、”略取者の狩猟の英知”という不気味なガントレットだ」
「私のは”処刑人の介錯ナイフ”という奴です、サトミ様」
「なんだか、どちらもリンピョンちゃん向けな名前ね」
どっちも物騒な名前だもの。
「とにかく、先にここを出よう。寒くて敵わん」
「そ、そうしましょう!」
一番露出が多いからか、リンピョンちゃんが一番寒がってるみたい。
バカみたいに冷たい取っ手を押し、巨大冷凍庫の外へ。
「これは……」
目の前に広がっていたのは、ただ広いだけの平坦な道。
「これが鉄板道……」
『さーて、今日も美味しい物を作るぞ~』
遠くからやたら野太い声が聞こえてきたかと思えば――右側に超巨大な殺人コックが!!?
「そうだ! ここは早く抜けないといけないんだった!!」
慌てて鉄板の道を駆け出すと、皆も付いてきてくれる!
「おい、サトミ! どういう事だ!」
「この道は鉄板の上! 今から調理が始まるのよ!」
「はあ?」
メグミちゃんが、変な物を見るような視線を私に!
「良いから、とにかく急いで!」
『まずは、鉄板を温めんとー――点火だ~!』
カチリという音ののち、ボォォ! という不気味な音が響いてしまう!
「なんか、急に暑くなってきた?」
「寒さが吹き飛びまぁす!」
「言ってる場合じゃないわよ! 多分、私達の足元の裏でコンロの火が燃え滾ってるんだから!」
私が履いている靴が、鉄板を踏む度にジュージュー音を立て始めた!!
「お前、そういうことは早く――」
『まずは野菜炒めだ~』
メグミちゃんの言葉を遮るように、頭上から切り刻まれた野菜が落ちてくる!
「このコック、人参をキャベツやモヤシと最初から一緒に炒めようとするなんて! 料理人の風上にも置けないわ!!」
「言ってる場合か! “回転”、“魔力弾”、“連射”! “可変”、“暴風弾”、“連射”!」
両腕の盾からピンクと緑の弾丸を発射し、落ちてくる野菜を粉々にしていくメグミちゃん!
『おっと、油を引くのを忘れる所だった~』
間一髪野菜の雨から逃れたと思った矢先、前の鉄板に油が注がれて、こっちに迫ってくる!
「あの油、動物性と植物性、どっちかしら?」
「料理の話は後にしろ! ――“ディフェンドガード”!」
メグミちゃんが指輪を使って、全長三メートルはある翠の超大型バイクを呼び出した?
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