ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

479.魔女の管轄区

「消えな、小娘共! ”颶風魔法”――ストームバレット!!」

 山の内部へと到達した私達が選んだ風属性ルートにて、風と水の二種属性を操るウィンドエイジウィッチと交戦していた。

「“闘気盾”――マジックガイド!!」

 メグミちゃんが“大盾術”で魔法を引き寄せ、オーラを纏わせた盾で受けきってくれる!

「あのエッチな見た目の魔女、颶風使いみたいですね!」

 リンピョンちゃんの指摘。

 風属性ルートにはウィンドエイジウィッチ、氷属性ルートにはアイスエイジウィッチ、水属性ルートにはフラットエイジウィッチ、火属性ルートにはファイアエイジウィッチが出て来て、ランダムにどの二種属性を操るかが決まる。

 私達が選んだ風であれば、風プラス火、水、雷、氷、土、鉄のいずれかになるそう。

「私が魔法を引き付ける! その隙に攻撃を!」

 ここは、風が常に多方向から吹き付けてくる狭い洞窟内。

 こんな狭い場所で、広範囲に攻撃出来る魔法を使われるのは厄介。

「同じ手が通用するとでも! “颶風魔法”、ストームダウン――」

 ストームダウンバーストは、発動場所を指定する設置タイプの魔法。

 よって、発射型を引き寄せるメグミちゃんのマジックガイドはほとんど意味を成さない!

「――“邪眼”!!」

 自分の瞳から赤い光が放射され、その光に触れた魔女の杖と左手が石化――魔法の発動を阻害する!

 隠れNPCシャドウ、メドゥーサから手に入れたサブ職業、“半人半蛇”の能力の一つ!

「“猪突猛進”!!」

 すかさずクリスちゃんが、纏ったエネルギーごと体当たりを決めてくれる!

「“薔薇剣術”――ローズスラッシュ!!」

 エッチな翠下着の魔女を袈裟斬りにし、トドメを刺すクリスちゃん。

「ナーイス、クリスちゃん」

 リンピョンちゃんも、変な動きをする最後の魔女を倒してくれた。

「フー。場所が場所だったので、厄介でぇしたね」

 自然な笑みを見せてくれるクリスちゃん。

「クリス、最近思い詰めていたみたいだったが、コセのおかげで持ち直したようだな」

「メグミ……気付いていまーしたか」

「他の奴等も気付いていたと思うぞ。状況的に触れづらかっただけで」
「というより、クリスちゃんが皆に気を使っているのが解ったしね」

 アオイちゃんが死んでしまったタイミングだったし、そのあとリョウ君達の仲間達が……アヤちゃんが殺されてしまったし。

 私もクリスちゃん同様、三日前の夜にコセさんに癒して貰った口。

「心配掛けて申し訳。その……皆にも明かすかもしれません」

 途中から流暢になったって事は、よっぽどの事みたいね。

 ベッドの上でコセ君と話してるとき、何故かジュリーちゃんの名前が出て来てたみたいだったけれど。

○“颶風の魔槍杖”を手に入れました。
○“ウィンドエイジの魔女下着”を手に入れました
○“颶風魔法のスキルカード”×3を手に入れました。
○“魔法障壁のスキルカード”を手に入れました。


●●●


○“雷雲の魔槍杖”を手に入れました。
○“アイスエイジの魔女下着”を手に入れました
○“雷雲魔法のスキルカード”×3を手に入れました。
○“魔法障壁のスキルカード”を手に入れました。

「楽勝でしたね、マスター」
「まあね」

 サキの言葉を、正直に肯定する。

「”魔法障壁”か……ジュリーは魔力障壁という能力を使っていたわよね? どういう違いがあるものなの?」

 エロモードカナさんが尋ねてくる。

 少しでもアイテムを手に入れられるようにパーティーを出来るだけ分けたから、私達は三人しか居ない。

「”魔法障壁”は魔法に強く、そして魔法扱いという特徴があります」
「それって、”魔斬り”とかで対処出来るって事かしら?」

 この人、あんまり一緒に行動する事ないけれど、察しは良い。

「その通りです。魔力障壁はそう言った弱点がない代わりに、“魔法障壁”よりも耐久性が低いです」
「完全な上位互換てわけじゃないんだ」
「“魔法障壁”と魔力障壁の上位互換は“魔断障壁”ですね。威力に関係なく魔法を完全に防ぎ、それ以外の攻撃でも大抵は防ぐ事が出来ます。“魔斬り”や“魔突き”んp対象外ですし」

 “ハイエンジェルウィッチのスキルカード”を使えば、“魔断障壁”は手に入れられる。

 ただ、現状一枚しか無い貴重なスキルカードであるため、手に入れてからずっと使用するのを躊躇っていた。

 Lv55になるまでは使用可能スキルが三十だけなため、一日三度までしか使用できない“魔断障壁”の優先度が低かったのもある。

「魔法扱いではありませんが、回数制限があるので使い勝手は今ひとつです」

 同じ防御系なら、“拒絶領域”や“逢魔の波動”の方が、次の行動に繋げやすいという意味では優秀。

「フーン……ジュリー、私に敬語は使わなくて良いわよ。疲れるし」
「それなら、タメ口で喋りますよ?」
「ええ、そうして」

 エロモードの時はサバサバしてる所があるな、カナは。


●●●


「“暴風矢”!!」

 Sランクの弓、“スターズスプレッド”で放った風の矢が五つとなり、不気味な魔女達を滅ぼす。

「その弓の使い心地は?」

 ユリカに尋ねられる。

「悪くない。というより、便利過ぎるくらいだ」

 一発分の消耗で五発撃てるため、燃費も良ければ多数相手、ボスのような巨体相手にも有効だろう。

 私が持つもう一つのSランク、“アルテミスの魔弓”が一撃必殺タイプなら、“スターズスプレッド”は万能タイプと言って良い。

 あのいけ好かない同胞が使っていた物と思うと、少々複雑な気分になるが。

「ただ、神代文字を流し込んだ状態で五つに増えるわけじゃないから、精神力の消耗は変わらないな」

「……おかしい」

 ドライアドの隠れNPCであるヨシノが、突然立ち止まる。

「ヨシノ?」

 私は、なにかおかしな事を口にしただろうか?

「私達は風のルートを選んだはずなのですが……私の知る情報と違いすぎます」

「そう言えば、翠味を帯びた岩場だったのに、いつの間にか真っ黒な岩場に……」

「メルシュやジュリーからなんの情報も無かった事を考えると、考えられる可能性は――」

「――考えるのは後だ!!」

 明らかにさっきよりも暗くなった洞窟の奥から、急速に近付いてくる複数の不気味な気配!!

「さっきの仮面の魔女?」

 鴉のような面の不気味な動きをする魔女だが、さっきまで遭遇していた奴等よりも黒く――速い!!

「“煉獄魔法”――インフェルノブラスター!!」

 先制攻撃を決めてくれるユリカ。

「まだ倒しきれてないか」
「どうやら見た目だけではなく、性能も上昇しているらしいな」

 四肢のいずれかを失いながらも、ショーテルのような武器を手に再び魔女共が襲い掛かってくる!!

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