ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

427.淑女達の花園と数多の墓所

「“鎮魂歌”――ぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 ナターシャが浄化の力持つスキルを使用。声を響かせるほど足元の白色光の輪が広がっていき、暗き墓場より出でる無数のゾンビやグールなどの亡者達を天へと還していく。

「ナターシャのおかげで、楽に突破できそうだな」

 右の扉へと進んだ俺達に待ち受けていたのは、長く続く地下への階段。

 その先に広がっていたのは、ろくに光も指さぬ真っ暗で広大な泥地帯の墓所。

 今はマリナの“閃光魔法”、フラッシュボールを空中に生み出しているため、なんとか十メートル先くらいまでは見渡せているという状況。

「お褒めにあずかり光栄です、ユウダイ様」

「ああ、うん」

 こんな状況なんだし、ナターシャもわざわざこっちを見てお辞儀しなくても良いのに。

「キャ!!」

 泥に足を取られたのか、転びかけたクオリアを支える。

「大丈夫か?」
「も、申し訳ありません」

 すぐに離れる烏鳥人のクオリア。

 目が見えない彼女は知覚に優れているけれど、さすがに泥の足場は厳しいか。

「クオリア、自分の翼で飛んだら?」

 マリナの提案。

「それをすると、羽音で私の気配察知能力が低下してしまうのです。それに……天井の方に、おそらく蝙蝠モンスターが陣取っているようで」

「もしかしたら、飛んでこの地形とゾンビをやり過ごそうとした者を、襲う役目があるのかもな」

 さっきのアンデッド達は飛べないし。

「向こうに微かに芝生が見えます。そこまでの辛抱かと」

「なら、ユウダイにでもおぶって貰ったら?」

 ナターシャの情報から、マリナが意外な提案。

「いいえ、お構いなく」
「いや、さっさとここを抜けてしまいたい」
「え、ちょ!?」

 左腕でクオリアの脇を抱え、肩に担ぐ。

「ナターシャは前を、マリナは後ろを頼む」

「へ、冗談だったのに……」

 冗談だったのかよ。

 泥の中を進むと再びゾンビが現れるも、芝生の上へと逃れた後にナターシャが“鎮魂歌”で一掃してくれる。

「墓所は、まだ続くみたいね」

 俺がクオリアを降ろしていると、マリナが芝生の奥を見据えてそう呟いた。

「新手です」

 芝生の下から、青銅色の騎士達が土埃と共に現れる!

「ブロンズリビングアーマーです。ここは私が」
「ナターシャは休んでて。あとあと“鎮魂歌”が必要な状況がありそうだし」

 そう言い、前に出るマリナ。

「“氷河魔法”――グレイシャーバーン!!」

 ここらの芝生ごと、ブロンズリビングアーマーをまとめて氷付けに。

「金属系モンスターは氷付け状態にしやすい……さすが、ユウダイ様の愛妾を務めるだけありますね」
「誰が愛妾だ! 私は正妻よ!」

 俺の中では、関係をもった相手は全員正妻なんだけれど。

「そうなのですか? 私はてっきり、トゥスカ様が正妻だとばかり」
「あの、ナターシャさん」

 そういう微妙な所にズバズバ踏み込まないで。

「いつかは、私が正妻になるのよ!」

 それ、もう自分から側室かなにかだって認めちゃってるじゃん。

「ナターシャ、マリナは大事な妻の一人だから」

 我ながら最低の言い方だなと思いつつ、愛妾ではない事はハッキリさせておく。

「そんなことより、彼等が動き出しそうですよ?」

 クオリアの指摘に呼応するように、ブロンズリビングアーマーを閉じ込めた氷に罅が!

「そんなことよりってなによ――どいつもこいつも!!」

 ――マリナの左腕に装着された鏡の盾、“鏡の中の鑑み”が、より鋭い形状へと変化していく!


「”光線魔法”――アトミックレイ!!」


 俺が知っているアトミックレイよりも収束された青白い光が、変化した“鏡の中の鑑み”から放たれ……氷から脱出しかけていたブロンズリビングアーマーをまとめて吹き飛ばした。

「……怖い」
「怖いですね」
「マリナ様は怖いです」

「ウッサいのよ、あんたら!!」

 なんやかんやで、俺達は墓所を抜けることに成功する。

○“青銅戦士”のサブ職業を手に入れました。
○”ブロンズアーマー”×4を手に入れました。
○“ブロンズメイル”×2を手に入れました。
○“ブロンズソード”×2を手に入れました。
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「……色々手に入りましたね」
「そうだな!」


○”悪魔王の指輪”を手に入れました。
○“狂血王の指輪”を手に入れました。
○“瘴気王の指輪”を手に入れました。
○“禍々しき青き希望”を手に入れました。
○“エターナルマラカイトリング”を手に入れました。
○“ペリドットリング”を手に入れました。
○“トレジャーハンター”を手に入れました。
○“色塗りの筆”を手に入れました。
○“アックスマスタードレス”を手に入れました。
○“スピアーマスタードレス”を手に入れました。
○“シックルマスタードレス”を手に入れました。
○“大地母神のドレス”を手に入れました。
○“ミアズマの魔女下着”を手に入れました。
○“インフェルノの魔女下着”を手に入れました。
○“グラビティの魔女下着”を手に入れました。
○“オブシディアンの魔女下着”を手に入れました。
○”羞恥の大戦士下着”を手に入れました。
○“闇の戦士下着”を手に入れました。
○“古の戦士下着”を手に入れました。
○“竜皮のメイル下着”を手に入れました。
○“デザインランジェリー”×13を手に入れました。


 パーティー会場を抜けた先で多数の寝室を物色し、これだけのアイテムを回収できた!

「“デザインランジェリー”ってなんですか? 寝間着ですよね?」
「見た目が一つ一つ違うから、一緒くたにされているの。ランクはEで、装備としての性能はほぼ皆無。まあ、いわゆるネタ装備ってやつですわ」

 チトセの疑問に答えるサカナ。

「……このゲームは神ゲーだな」

 効果がないとは言え、服屋の下着の種類は豊富だし……最高すぎる。

「うちのニューマスターは、まったく……へ、なに? なんで私を凝視しているんですの?」

「いや……」

 ネレイスの隠れNPCであるサカナは、人魚同様、基本的に下着を履いていない。

 履くとしても、下半身を人間形態にした時に自分から履かなければならない。

 まあ、ブラは付けているようだけれど。

「夢が無いなと思ってな」
「は?」

「おい、下着漁りにここまで付き合ってやったんだ! さっさと行くぞ!」

 エルザに諭され、私達はこの素晴らしい区画の先へと進む。

 道中、壁に飾られていた絵画が襲い掛かってくるも、難なく撃破。

「ここは……」

 奥の扉を開けると、先程までの華やかな空間は消え、不気味な灰色の天空廻廊が伸びていた。

○”絵のない額縁”×4を手に入れました。

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