ダンジョン・ザ・チョイス
402.銃職人のラウラ
「“魔法障壁”」
私の愛銃、“ガン・クラブ”の“魔力弾”を防ぐファイヤーカウガール。
いや、あの健康的でメリハリのある身体……良いわ。
「そんなの効かないよ、外人さん」
でも、そろそろ仕込みは良いかな。
「“銃弾装填”」
“銃弾職人”のサブ職業により、“ガン・クラブ”の“魔力弾”を“銃弾”に上書きし、TPを消費することで鉄の弾丸を撃ち出せるように。
「バカの一つ覚――“火炎放射”! パイロキネシス!!」
“魔力弾”じゃないのを察知して、即座に炎による迎撃に切り替えてきたか。
「殺す気かよ」
「やるじゃん。今ので仕留められると思ってたのに」
「そりゃ、同じサブ職業持ちだからさ」
「なに?」
「装備セット1」
ゴツい二丁拳銃だと?
「“銃弾装填”!!」
右手の銃で、私と同じように弾丸を放ってきたか!
「オイオイ……マジか」
“鷹の目”による俯瞰と“立体知覚”により、正確に銃弾を銃弾で迎撃して見せた。
「こんな物?」
「ざけんなよ!!」
今度は二丁拳銃で撃ってきたか。
腰の青緑の打撃拳銃、“消えゆく森林に馳せる想い”を抜き、“魔力弾”を交えて迎撃。
「化け物かよ――“燃焼炸裂弾”!!」
左手のゴツい赤の銃から放たれた弾が、分裂しながら周囲に拡散していく!
「――“消失線”」
“消えゆく森林に馳せる想い”の効果で放った灰色の光線を浴びせて、弾丸が広範囲に飛び散る前に大半を消し去る!
「やっぱ好みじゃないわ、アンタ」
「私は、自分より強い男は大好きだけれどね~」
ま、アテル以外の男とはヤりたいと思わないけど。
ブラジルに居る頃は、周りが不特定多数と関係を持つ奴ばっかりだったから、自分の貞操観念の方が異常なのかと思ってた。
ま、ハーレムの一員を許容しているんだから、私も充分異常かな?
「どこまでも相容れない女だな――“閻魔大王”!!」
炎の大王が女の背後から顕現――ドライアドのヨシノごと、私達を消し炭にするつもりか!
「装備セット2」
拳銃は両腰にしまわれ、四角い砲身持つ黒熱線砲――“クラッシュデリーター”を逆手で持つ!
「――ぶちぬけ!!」
総MPの四分の一を消費し、蒼白い砲線で炎の魔人を消し飛ばす!
「……あの女、逃げたか」
姿はなく、念のためチョイスプレートを確認するも何も手に入っていない。
「こっちが文字を使わなかったとはいえ、こうまで厄介な奴が居るとはな」
《ザ・フェミニスターズ》だったか。マークしておいた方が良さそうだ。
●●●
「ミドリさんとは、”名も無き王国の廃墟”で出会ったの。出会ったときは、今よりも酷く怯えてて」
「んにゅ~♪」
さっきのヒステリック悪魔召喚女が、年下であるはずのレイナの膝であやされている。
「そんな奴を、どうしてクエストに参加させたんだよ」
「私とキクルさんが強制参加だと知って、皆が出るなら自分も出るって。ミドリさんは、とっても良い子なんです」
「えへへ~」
バニラとは別の方向でぶっ飛んだ奴だな。
「実は、キクルさんとも話し合ってたんですけれど……一度、《龍意のケンシ》とコンタクトを取ろうかって意見が出ていたんです」
「うちと?」
「シレイアさん、シホさんとユイさんです!」
「なに?」
キューリに言われて確認すると、リョウの女魔法使いとうちのマスターが、下側から近付いてくるのが見えた。
「シャドーのシェーレも合流したし、これだけの戦力ならどうとでもなりそうだね」
シェーレと一緒に来たエルフは、ザッカル達ですら名前を聞いていない謎の女。
フードで顔を隠したままだし、いったいどんな事情があるのやら。
「ここに居る全員、シレイアの仲間?」
「同じレギオンに、同盟レギオンのメンバーも居るけれどな」
また、レイナ達と肩を並べられる日が来るのかね。
●●●
『こ、コイツ!』
紫ローブに白面を付けた巨漢が、レプティリアンを蠢く巨斧のみで追い詰めていく。
『弱いな。これなら、オートで戦わせた方が良いんじゃないのか?』
『だ、黙れ!!』
右腕の砲身が向けられるよりも早く斧を振るい、射線を逸らして反撃の隙を与えないキクル殿。
「大した男だ」
己の意志で技量を磨き上げた者特有の、地力の強さを感じる。
『そろそろ飽きてきたな』
『ノルディック風情が、レプティリアンたるこの俺を見下すなッ!!』
『”魔蠍技”――スコーピアステイル』
キクル殿の背後から現れた蠍の巨尾が、デルタの手先を頭上から貫いた!?
『“重力斧術”――グラビティーブレイク』
蠢く刃を戻し、腰の入った横振りからの一撃により……機械の人形はバラバラに砕け散った。
『どうやら、中には何も入っていなかったらしいな。遠隔操作という設定なのか?』
「ありがとう、助かった」
まさか、文字無しでアレを圧倒するとは。
『俺に礼は不要だ。頼まれただけだしな』
キクル殿が見詰める先、平行線上の別プレートの上に居たのは――ラフォル。
「あの子に……頼まれたと?」
『勝手にレギオンを抜けた詫びらしい。俺としても、勧誘した借りがあったからな。今回の件でチャラにして貰おう』
「あの子はどうして……」
『さあな。ただ……俺が彼女を見付けたとき……泣いてたぞ』
それだけ言い、あっという間に去っていくキクル殿。
「ラフォル……」
彼氏とよりを戻したはずのあの子が……どうして……。
●●●
「“撃衝”」
両腕の“撃衝のダブルトンファー”から繰り出した衝撃で、ロボットの体勢を崩す。
「攻撃力が足りないか」
武術も魔法もダメージ半減となると、強力な武具効果が必要になる。
「バッファ、アイツを仕留めてよ」
「警戒されて近付けねーんだよ。たく、こっちはさっさとアイツを捜しに行きたいって言うのに」
明らかに、バッファの方が攻撃力がデカそうだからか。
それにしても、例のエルフにベッタリだな、この水牛獣人。
まあ、私から見ても惚れ惚れするような美貌の持ち主だけれど。
あの弱々しい雰囲気と相まって、庇護欲をそそられるのは否めない。
「仕方ない。私がやるか――オールセット1」
“撃衝のダブルトンファー”から、右手に“ヴィシュヌのチャクラムトンファー”、左手に“五色竜の咆牙”へと持ち替える!
「久し振りに、全力で闘ってあげるわ――このユイリィ様がね!!」
ヒビキって言うのに切り札を見せることになるけれど、別にいっか!
『な、なんだコイツ!?』
紅の脚甲、“血を以て血を洗え”に六文字刻み、右手の“ヴィシュヌのチャクラムトンファー”に力を流し込む!
「行け――“射出”!!」
チャクラムトンファーの効果で、黒い大型トンファーの肘側部分から四つのチャクラムを飛ばす!
「“狂血回転術”――ブラッドスラッシュ!!」
『ガァァァァッッ!!』
全てのチャクラムに血の凶刃を纏わせるも、“白銀障壁”のせいで装甲を引き裂く程度に留まったか。
「生意気なんだよ、爬虫類野郎!!」
私の故郷で人身売買、臓器売買が横行していた大元の原因が!!
『ふざけるな、隷属されなれた猿共が! お前の血肉を喰わせろッ!!』
両腕の爪と尻尾の応酬を、“血を以て血を洗え”で避け続け――背後を取った。
「“色竜咆牙”!!」
五色の大型ブレードトンファーより、玄、白、碧、朱、黄の龍を顕現させ――ロボットの身体に食らい付かせる!
『クソ! バカなチャイナ女なんかにッッ!!』
五色の龍に喰われ、光へと変わっていく鉄屑。
「いつか必ず、その言葉の代償を払わせてやるから」
アテルと一緒に最深部に到達して、お前達が支配した世界ごと――あの救いようのないバカな人類ごと、綺麗さっぱり消し去ってやるよ!
私の愛銃、“ガン・クラブ”の“魔力弾”を防ぐファイヤーカウガール。
いや、あの健康的でメリハリのある身体……良いわ。
「そんなの効かないよ、外人さん」
でも、そろそろ仕込みは良いかな。
「“銃弾装填”」
“銃弾職人”のサブ職業により、“ガン・クラブ”の“魔力弾”を“銃弾”に上書きし、TPを消費することで鉄の弾丸を撃ち出せるように。
「バカの一つ覚――“火炎放射”! パイロキネシス!!」
“魔力弾”じゃないのを察知して、即座に炎による迎撃に切り替えてきたか。
「殺す気かよ」
「やるじゃん。今ので仕留められると思ってたのに」
「そりゃ、同じサブ職業持ちだからさ」
「なに?」
「装備セット1」
ゴツい二丁拳銃だと?
「“銃弾装填”!!」
右手の銃で、私と同じように弾丸を放ってきたか!
「オイオイ……マジか」
“鷹の目”による俯瞰と“立体知覚”により、正確に銃弾を銃弾で迎撃して見せた。
「こんな物?」
「ざけんなよ!!」
今度は二丁拳銃で撃ってきたか。
腰の青緑の打撃拳銃、“消えゆく森林に馳せる想い”を抜き、“魔力弾”を交えて迎撃。
「化け物かよ――“燃焼炸裂弾”!!」
左手のゴツい赤の銃から放たれた弾が、分裂しながら周囲に拡散していく!
「――“消失線”」
“消えゆく森林に馳せる想い”の効果で放った灰色の光線を浴びせて、弾丸が広範囲に飛び散る前に大半を消し去る!
「やっぱ好みじゃないわ、アンタ」
「私は、自分より強い男は大好きだけれどね~」
ま、アテル以外の男とはヤりたいと思わないけど。
ブラジルに居る頃は、周りが不特定多数と関係を持つ奴ばっかりだったから、自分の貞操観念の方が異常なのかと思ってた。
ま、ハーレムの一員を許容しているんだから、私も充分異常かな?
「どこまでも相容れない女だな――“閻魔大王”!!」
炎の大王が女の背後から顕現――ドライアドのヨシノごと、私達を消し炭にするつもりか!
「装備セット2」
拳銃は両腰にしまわれ、四角い砲身持つ黒熱線砲――“クラッシュデリーター”を逆手で持つ!
「――ぶちぬけ!!」
総MPの四分の一を消費し、蒼白い砲線で炎の魔人を消し飛ばす!
「……あの女、逃げたか」
姿はなく、念のためチョイスプレートを確認するも何も手に入っていない。
「こっちが文字を使わなかったとはいえ、こうまで厄介な奴が居るとはな」
《ザ・フェミニスターズ》だったか。マークしておいた方が良さそうだ。
●●●
「ミドリさんとは、”名も無き王国の廃墟”で出会ったの。出会ったときは、今よりも酷く怯えてて」
「んにゅ~♪」
さっきのヒステリック悪魔召喚女が、年下であるはずのレイナの膝であやされている。
「そんな奴を、どうしてクエストに参加させたんだよ」
「私とキクルさんが強制参加だと知って、皆が出るなら自分も出るって。ミドリさんは、とっても良い子なんです」
「えへへ~」
バニラとは別の方向でぶっ飛んだ奴だな。
「実は、キクルさんとも話し合ってたんですけれど……一度、《龍意のケンシ》とコンタクトを取ろうかって意見が出ていたんです」
「うちと?」
「シレイアさん、シホさんとユイさんです!」
「なに?」
キューリに言われて確認すると、リョウの女魔法使いとうちのマスターが、下側から近付いてくるのが見えた。
「シャドーのシェーレも合流したし、これだけの戦力ならどうとでもなりそうだね」
シェーレと一緒に来たエルフは、ザッカル達ですら名前を聞いていない謎の女。
フードで顔を隠したままだし、いったいどんな事情があるのやら。
「ここに居る全員、シレイアの仲間?」
「同じレギオンに、同盟レギオンのメンバーも居るけれどな」
また、レイナ達と肩を並べられる日が来るのかね。
●●●
『こ、コイツ!』
紫ローブに白面を付けた巨漢が、レプティリアンを蠢く巨斧のみで追い詰めていく。
『弱いな。これなら、オートで戦わせた方が良いんじゃないのか?』
『だ、黙れ!!』
右腕の砲身が向けられるよりも早く斧を振るい、射線を逸らして反撃の隙を与えないキクル殿。
「大した男だ」
己の意志で技量を磨き上げた者特有の、地力の強さを感じる。
『そろそろ飽きてきたな』
『ノルディック風情が、レプティリアンたるこの俺を見下すなッ!!』
『”魔蠍技”――スコーピアステイル』
キクル殿の背後から現れた蠍の巨尾が、デルタの手先を頭上から貫いた!?
『“重力斧術”――グラビティーブレイク』
蠢く刃を戻し、腰の入った横振りからの一撃により……機械の人形はバラバラに砕け散った。
『どうやら、中には何も入っていなかったらしいな。遠隔操作という設定なのか?』
「ありがとう、助かった」
まさか、文字無しでアレを圧倒するとは。
『俺に礼は不要だ。頼まれただけだしな』
キクル殿が見詰める先、平行線上の別プレートの上に居たのは――ラフォル。
「あの子に……頼まれたと?」
『勝手にレギオンを抜けた詫びらしい。俺としても、勧誘した借りがあったからな。今回の件でチャラにして貰おう』
「あの子はどうして……」
『さあな。ただ……俺が彼女を見付けたとき……泣いてたぞ』
それだけ言い、あっという間に去っていくキクル殿。
「ラフォル……」
彼氏とよりを戻したはずのあの子が……どうして……。
●●●
「“撃衝”」
両腕の“撃衝のダブルトンファー”から繰り出した衝撃で、ロボットの体勢を崩す。
「攻撃力が足りないか」
武術も魔法もダメージ半減となると、強力な武具効果が必要になる。
「バッファ、アイツを仕留めてよ」
「警戒されて近付けねーんだよ。たく、こっちはさっさとアイツを捜しに行きたいって言うのに」
明らかに、バッファの方が攻撃力がデカそうだからか。
それにしても、例のエルフにベッタリだな、この水牛獣人。
まあ、私から見ても惚れ惚れするような美貌の持ち主だけれど。
あの弱々しい雰囲気と相まって、庇護欲をそそられるのは否めない。
「仕方ない。私がやるか――オールセット1」
“撃衝のダブルトンファー”から、右手に“ヴィシュヌのチャクラムトンファー”、左手に“五色竜の咆牙”へと持ち替える!
「久し振りに、全力で闘ってあげるわ――このユイリィ様がね!!」
ヒビキって言うのに切り札を見せることになるけれど、別にいっか!
『な、なんだコイツ!?』
紅の脚甲、“血を以て血を洗え”に六文字刻み、右手の“ヴィシュヌのチャクラムトンファー”に力を流し込む!
「行け――“射出”!!」
チャクラムトンファーの効果で、黒い大型トンファーの肘側部分から四つのチャクラムを飛ばす!
「“狂血回転術”――ブラッドスラッシュ!!」
『ガァァァァッッ!!』
全てのチャクラムに血の凶刃を纏わせるも、“白銀障壁”のせいで装甲を引き裂く程度に留まったか。
「生意気なんだよ、爬虫類野郎!!」
私の故郷で人身売買、臓器売買が横行していた大元の原因が!!
『ふざけるな、隷属されなれた猿共が! お前の血肉を喰わせろッ!!』
両腕の爪と尻尾の応酬を、“血を以て血を洗え”で避け続け――背後を取った。
「“色竜咆牙”!!」
五色の大型ブレードトンファーより、玄、白、碧、朱、黄の龍を顕現させ――ロボットの身体に食らい付かせる!
『クソ! バカなチャイナ女なんかにッッ!!』
五色の龍に喰われ、光へと変わっていく鉄屑。
「いつか必ず、その言葉の代償を払わせてやるから」
アテルと一緒に最深部に到達して、お前達が支配した世界ごと――あの救いようのないバカな人類ごと、綺麗さっぱり消し去ってやるよ!
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