ダンジョン・ザ・チョイス
364.魔神・受胎母像
「第二十四ステージのボスは、魔神・受胎母像。弱点無し、有効武器無し、ステージギミック無し、危険攻撃も無し。耐久力が優れている点を除けば、魔神その物はこれといってなにもしてこないし、その場から動きもしないから」
メルシュのぉ、いつもの抗議でぇす。
「それじゃあ、最弱のボスじゃね?」
アオイがツッコミを入れまぁす。
「厄介なのは、一定時間ごとにお腹から小魔神を生み出してくること。倒されると産むまでの間隔が短くなるけれど、倒さないと延々と増え続けるだけだから、小魔神を倒さずに引き付ける人間と、受胎母像を攻撃するチームに別けることをお薦めするよ」
なんだかぁ、厄介そうですねぇ。
「それと、受胎母像が一定以上のダメージを受けると二体同時に生み出すようになるから、気を付けてね」
大体いつもそうですけれどぉ、短期決戦が望ましいみたいですねぇ。
メルシュとユイはぁ、今回もパーティーを組むみたぁいですねぇ。
「なら、私達はさっきと同じ手で行こう。リンピョンが小魔神を引き付けて、他の面子で一斉攻撃だ」
メグミの提案はぁ、理にかなっている気がしまぁす。
「じゃあ、私達から行かせて貰うから」
スヴェトラーナがそう言った時、偶然目が合い――睨まれた。
私がアメリカ出身と聞いてぇ、嫌いになったようでぇす。
「……彼女の名前に愛称、それにあの服装……彼女はおそらく」
私の想像通りならぁ、彼女が西側諸国、日本などのアジアも敵視するのぉ……当然でしょうねぇ。
特に私はぁ、血筋的に罰せられても文句を言えませぇん。
「クリスちゃん、どうかした?」
「なんでもありませぇんよ、サトミ」
コセ達を最深部まで送り届ける……それが私の役目。
もし……もし、私の存在その物がコセの邪魔になってしまう時が来たら――私は、花のように散ろう。
この銃、“甘い花弁の刹那”の名のように、甘い記憶を抱いて刹那に散る。
私は、クリスティーナという女は、そういう終わりを迎えて死にたいのだから。
「終わったみたいですよ」
「さすが、早いな」
「それじゃあ、次は私達の番ね」
「ハーイ!」
ビューティフルなサトミがリーダーの四人パーティーで、ボスルームに入りまぁす!
『――ゥォォォォォォォォォォォォォ』
奥に白色のラインが走り――お腹の大きな灰石の女神が照らされ、美しくも不気味な歌声を響かせる。
『ぅ――ぉおおああああああああああッッ!!!』
石のお腹が割れ――ピンク色の液体と共に生まれ出でたのは、小魔神・銛人魚。
私が初めて相対した魔神であり、見学だけで一切戦っていない相手。
「お願い、リンピョンちゃん!」
「お任せください!」
リンピョンが一人で突っ込み、石像の人魚の頬に蹴りを入れて引き付ける。
「“魔力砲”!!」
「“竜光砲”!!」
さっそく、サトミとメグミの大威力の光線が直撃!!
「“金星砲術”――ヴィーナスキャノン!!」
左手で構えた黄金と橙色の銃口から、高熱の黄金球を発射!!
同時に、銃形態にしてある“甘い花弁の刹那”の引き金を引き――“魔力弾”を連射する!
『ぅ――ぉおおああああああああああああああッッッッ!!!!』
先程以上の絶叫を轟かせ、二体の小魔神が――お腹の中から体液を飛び散らせながら這い出て来た!
「させないわよ。“颶風魔法”――ストームダウンバースト!!」
動き出す前にサトミが母像ごと重圧を叩きつけるも、仕留めきれてはいない。
「“金星砲術”――ヴィーナスブラスター!!」
二人から離れ、女神の銃から熱線を放ち――兎のような魔神は仕留める!
すると、棍棒を持った猿のような魔神が私を狙ってきた!
「“可変”!」
“甘い花弁の刹那”を剣に変形させ、黄金の銃と銃剣で猿魔神の棍棒の降り下ろしを受けとめる!
「クリス!」
「お二人は、魔神を仕留めてください!」
これくらい――一人でもなんとかしてみせます!
「“薔薇魔法”――ローズレーザー!!」
猿魔神に直撃させようとするも、躱されてしまう!
『ケケケ!!』
棍棒を伸縮させた事に気付くのが一瞬遅れ、横合いからぶたれて左腕の甲にッ!!
この感触……骨に罅が!
「まだ私――コセの役に立ててません!」
左手の“ゴルドヴィーナス”を捨てて、“甘い花弁の刹那”を手に――前へ!!
『ケケケケ!!』
再び横から振るってきた棍棒を剣で上げ去なしながら――更に前へ!!
「“薔薇剣術”――ローズスラッシュ!!」
猿の小魔神を袈裟斬りにし、仕留め消す。
「……アンビリーバボー」
私の“甘い花弁の刹那”に……神代文字が三つ刻まれている。
「私が、文字を刻めるなんて……」
遺伝的に、絶対に無理だと思ってたのに……。
「コセの……おかげかもしれませんねぇ」
彼が私を受け容れてくれたから、私が私を受け容れる事が出来たのかもしれませぇん。
「“薔薇魔法”――ローズフラッシュ!!」
“甘い花弁の刹那”から力を流しこみ、魔法の威力を強化!
花弁を魔神・受胎母像に纏わり付かせ――花弁の中で散らせた。
「……私にはもう少しだけ、コセを癒してあげる資格があるようでーす」
いつの間にか銃身に六文字が刻まれ、“甘い花弁の刹那”の形状と共に……その名を“甘い蕾の中の逢瀬”へと変えていた。
○おめでとうございます。魔神・受胎母像の討伐に成功しました。
受胎母像が倒されたからか、リンピョンが戦っていた小魔神が突然消えてしまいまぁす。
○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。
★受胎母像の御神体 ★魔神装備引換券
★小魔神召喚の指輪 ★サブ職業:魔神殺し
「受胎母像は高く売れる以外の使い道が無くて、引換券は今までの魔神の名前が付いた武器一つと交換だったか」
「指輪で呼び出せる小魔神は、これまで戦った魔神からランダムだから戦術的に扱いづらく、サブ職業の“魔神殺し”は、魔神系の敵にだけダメージアップ補正が働くんでしたね」
メグミとリンピョンがぁ、改めて説明してくれまぁす。
「実質、御神体一択ってメルシュちゃんは言っていたけれど、”魔神殺し”も悪くないわよね~」
「ほとんどボス戦でしか使えないそうですけどぉ、使いどころはありまぁすねぇ」
今回のように小魔神に襲われる機会も今後あるそうですしぃ、いつどんな突発クエストに巻き込まれるかぁ、分からないですからねぇ~。
「クリスちゃん。ボス戦前と打って変わって、今はとても幸せそうな顔をしているわね。いったいどん事を考えてるのかしら~」
「サトミよりも、ずっとずっとエッチな事をコセにシてあげたいなってぇ、考えてまーす!」
「あら、私だって負けないんだから♪」
「お前らな」
「まだ暫くはお預けでしょうから、そういうこと言わないでくださいよ」
「フフフ! メグミとリンピョンもぅ、一緒にいっぱい気持ちいいことしましょうねぇ~♪」
よくよく考えたらぁ、ここに居る全員、同じ男の女でしたぁ。
なんだかそれだけで親近感が湧いてぇ、血の繋がった家族よりも絆を感じてしまいまぁす!
私は念のためぇ、“魔神殺し”のサブ職業を選びましたぁ!
○これより、第二十五ステージの魔人の皇都に転移します。
メルシュのぉ、いつもの抗議でぇす。
「それじゃあ、最弱のボスじゃね?」
アオイがツッコミを入れまぁす。
「厄介なのは、一定時間ごとにお腹から小魔神を生み出してくること。倒されると産むまでの間隔が短くなるけれど、倒さないと延々と増え続けるだけだから、小魔神を倒さずに引き付ける人間と、受胎母像を攻撃するチームに別けることをお薦めするよ」
なんだかぁ、厄介そうですねぇ。
「それと、受胎母像が一定以上のダメージを受けると二体同時に生み出すようになるから、気を付けてね」
大体いつもそうですけれどぉ、短期決戦が望ましいみたいですねぇ。
メルシュとユイはぁ、今回もパーティーを組むみたぁいですねぇ。
「なら、私達はさっきと同じ手で行こう。リンピョンが小魔神を引き付けて、他の面子で一斉攻撃だ」
メグミの提案はぁ、理にかなっている気がしまぁす。
「じゃあ、私達から行かせて貰うから」
スヴェトラーナがそう言った時、偶然目が合い――睨まれた。
私がアメリカ出身と聞いてぇ、嫌いになったようでぇす。
「……彼女の名前に愛称、それにあの服装……彼女はおそらく」
私の想像通りならぁ、彼女が西側諸国、日本などのアジアも敵視するのぉ……当然でしょうねぇ。
特に私はぁ、血筋的に罰せられても文句を言えませぇん。
「クリスちゃん、どうかした?」
「なんでもありませぇんよ、サトミ」
コセ達を最深部まで送り届ける……それが私の役目。
もし……もし、私の存在その物がコセの邪魔になってしまう時が来たら――私は、花のように散ろう。
この銃、“甘い花弁の刹那”の名のように、甘い記憶を抱いて刹那に散る。
私は、クリスティーナという女は、そういう終わりを迎えて死にたいのだから。
「終わったみたいですよ」
「さすが、早いな」
「それじゃあ、次は私達の番ね」
「ハーイ!」
ビューティフルなサトミがリーダーの四人パーティーで、ボスルームに入りまぁす!
『――ゥォォォォォォォォォォォォォ』
奥に白色のラインが走り――お腹の大きな灰石の女神が照らされ、美しくも不気味な歌声を響かせる。
『ぅ――ぉおおああああああああああッッ!!!』
石のお腹が割れ――ピンク色の液体と共に生まれ出でたのは、小魔神・銛人魚。
私が初めて相対した魔神であり、見学だけで一切戦っていない相手。
「お願い、リンピョンちゃん!」
「お任せください!」
リンピョンが一人で突っ込み、石像の人魚の頬に蹴りを入れて引き付ける。
「“魔力砲”!!」
「“竜光砲”!!」
さっそく、サトミとメグミの大威力の光線が直撃!!
「“金星砲術”――ヴィーナスキャノン!!」
左手で構えた黄金と橙色の銃口から、高熱の黄金球を発射!!
同時に、銃形態にしてある“甘い花弁の刹那”の引き金を引き――“魔力弾”を連射する!
『ぅ――ぉおおああああああああああああああッッッッ!!!!』
先程以上の絶叫を轟かせ、二体の小魔神が――お腹の中から体液を飛び散らせながら這い出て来た!
「させないわよ。“颶風魔法”――ストームダウンバースト!!」
動き出す前にサトミが母像ごと重圧を叩きつけるも、仕留めきれてはいない。
「“金星砲術”――ヴィーナスブラスター!!」
二人から離れ、女神の銃から熱線を放ち――兎のような魔神は仕留める!
すると、棍棒を持った猿のような魔神が私を狙ってきた!
「“可変”!」
“甘い花弁の刹那”を剣に変形させ、黄金の銃と銃剣で猿魔神の棍棒の降り下ろしを受けとめる!
「クリス!」
「お二人は、魔神を仕留めてください!」
これくらい――一人でもなんとかしてみせます!
「“薔薇魔法”――ローズレーザー!!」
猿魔神に直撃させようとするも、躱されてしまう!
『ケケケ!!』
棍棒を伸縮させた事に気付くのが一瞬遅れ、横合いからぶたれて左腕の甲にッ!!
この感触……骨に罅が!
「まだ私――コセの役に立ててません!」
左手の“ゴルドヴィーナス”を捨てて、“甘い花弁の刹那”を手に――前へ!!
『ケケケケ!!』
再び横から振るってきた棍棒を剣で上げ去なしながら――更に前へ!!
「“薔薇剣術”――ローズスラッシュ!!」
猿の小魔神を袈裟斬りにし、仕留め消す。
「……アンビリーバボー」
私の“甘い花弁の刹那”に……神代文字が三つ刻まれている。
「私が、文字を刻めるなんて……」
遺伝的に、絶対に無理だと思ってたのに……。
「コセの……おかげかもしれませんねぇ」
彼が私を受け容れてくれたから、私が私を受け容れる事が出来たのかもしれませぇん。
「“薔薇魔法”――ローズフラッシュ!!」
“甘い花弁の刹那”から力を流しこみ、魔法の威力を強化!
花弁を魔神・受胎母像に纏わり付かせ――花弁の中で散らせた。
「……私にはもう少しだけ、コセを癒してあげる資格があるようでーす」
いつの間にか銃身に六文字が刻まれ、“甘い花弁の刹那”の形状と共に……その名を“甘い蕾の中の逢瀬”へと変えていた。
○おめでとうございます。魔神・受胎母像の討伐に成功しました。
受胎母像が倒されたからか、リンピョンが戦っていた小魔神が突然消えてしまいまぁす。
○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。
★受胎母像の御神体 ★魔神装備引換券
★小魔神召喚の指輪 ★サブ職業:魔神殺し
「受胎母像は高く売れる以外の使い道が無くて、引換券は今までの魔神の名前が付いた武器一つと交換だったか」
「指輪で呼び出せる小魔神は、これまで戦った魔神からランダムだから戦術的に扱いづらく、サブ職業の“魔神殺し”は、魔神系の敵にだけダメージアップ補正が働くんでしたね」
メグミとリンピョンがぁ、改めて説明してくれまぁす。
「実質、御神体一択ってメルシュちゃんは言っていたけれど、”魔神殺し”も悪くないわよね~」
「ほとんどボス戦でしか使えないそうですけどぉ、使いどころはありまぁすねぇ」
今回のように小魔神に襲われる機会も今後あるそうですしぃ、いつどんな突発クエストに巻き込まれるかぁ、分からないですからねぇ~。
「クリスちゃん。ボス戦前と打って変わって、今はとても幸せそうな顔をしているわね。いったいどん事を考えてるのかしら~」
「サトミよりも、ずっとずっとエッチな事をコセにシてあげたいなってぇ、考えてまーす!」
「あら、私だって負けないんだから♪」
「お前らな」
「まだ暫くはお預けでしょうから、そういうこと言わないでくださいよ」
「フフフ! メグミとリンピョンもぅ、一緒にいっぱい気持ちいいことしましょうねぇ~♪」
よくよく考えたらぁ、ここに居る全員、同じ男の女でしたぁ。
なんだかそれだけで親近感が湧いてぇ、血の繋がった家族よりも絆を感じてしまいまぁす!
私は念のためぇ、“魔神殺し”のサブ職業を選びましたぁ!
○これより、第二十五ステージの魔人の皇都に転移します。
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