ダンジョン・ザ・チョイス
339.三属性魔法
「というわけで、私やスヴェトラーナ達に必要の無い物をそちらに融通いたします」
ヒビキからの提案。
「助かるよ」
食堂のテーブルの上に、ズラリと装備やスキルカードなどが並ぶ。
「うんうん、高ランクの物も少なくないね」
奴隷ショーにいた男の装備が散見されるけれど。
「これは、ルイーサにピッタリかな」
「お、ちょうど新しいマントが欲しかった所だ!」
ユタカってのが持っていた、“聖王のマント”Sランクを渡す。
「この剣は、アヤナかアオイじゃないとまともに振れないかな」
「へー、貰って良いの? て、重ッ!?」
”ヘビーバスターソード”、Aランク。
超重量による一撃の破壊力は魅力的だけれど、幅の広い肉厚の剣は、通常の手段で振ることは非情に困難。
あの男は、”万力の腕輪”の力で解決していたみたいだけれど。
「この腕輪は、バニラかな」
特殊な能力が使えない分、身体強化系はバニラに優先して回したいところ。
「うーん、このスキルカードもルイーサで良いか」
“破邪十字のスキルカード”。光属性の攻撃だけれど、地面でしか使えないためクマムよりもルイーサの方が使いどころが多そう。
「“ギャンブラー”のサブ職業に、サイコロ系のスキルか」
ランダム要素が強いのは、ちょっとねー。
「同系統の物がもう少し揃えば、考えなくもないんだけれど」
それでも、癖がある能力だしなー。
「“闘気盾のスキルカード”は複数枚あるね。これは、取り敢えずルイーサとメグミかな。こっちは“連盾障壁”か……」
盾使い用のスキルだけれど……素早く前戦に出られて、タンクとしての役目をこなせる人間……馬獣人のケルフェが適任かな?
”フレキシブルサポートインナー”は……鎧装備の人間じゃないと見た目的にあれだから、ザッカルに渡した方が良いかな。
“プロミネンスシールド”は……これはリョウかなー?
ぶっちゃけ、今のところ文字が使えるのが一人も居ないリョウ達の優先順位は低い。
「“鋼鉄魔法”に“鋼鉄針使い”、“衝撃魔法”、“雷雲魔法使い”……“鏡面魔法”に“水銀魔法”、“黒曜石魔法”、“風車魔法使い”、“凍土魔法”」
魔法のスキルカードやサブ職業の数が多いけれど、一つだけなのも少なくないし、サブ職業として敵ごとに使い分けるのが今の所は無難か。
「高ランクの武器もあるし……場合によっては、誰かに新しいバトルスタイルを確立して貰うのもアリかな」
ヒビキは、炎特化で完成されすぎている気すらするよ。
「へ!?」
「どうしたの?」
突然叫んだアオイに尋ねる。
「今ライブラリを見てたら、デボラが使っていた“靈王魔法”ってユニークスキルじゃん。しかも三属性!」
「うん。ユニークスキルの魔法は、基本的に三属性だからね」
元デルタの女か。
“靈王魔法”は霊、雷、古代の三属性。
“星屑魔法”は星、光、闇。
“宝石魔法”は、魔法による属性に古代のみだけれど。
ちなみに、フェルナンダの“精霊魔法”は、精霊が司る基本属性に古代と霊が加わる形となる。
だから、マクスウェルの隠れNPCを欲しがったデボラ達の気持ちは分かる。
自立行動可能なユニークスキル魔法なみの精霊を、他のユニークスキルと合わせて使えるんだから。
三属性魔法の真価を発揮できるのは、まだまだ先の話になるだろうけれどね。
●●●
「ハァーぁ」
山頂付近の安全エリアにて、昼食後に昼寝をしていたエリューナさんが背伸びしている。
「まだまだ眠いが、大分マシになったな」
「お、お水です、どうぞ」
しどろもどろになりながら、水を差し出すマリナ……。
「助かる。ゴク……ゴクゴク、フー」
美味しそうに飲んでるけれど、一気に飲むんじゃなくて少量ずつ口に含んでるな。
「ところでマリナ……なんでそんなに挙動不審なんだ?」
「へ!? そ、そんなことないですよ……」
「……お前達、私が眠っている間、ちゃんと見張っていたんだろうな?」
エリューナさんが眠り初めてから既に二時間……俺達はすぐに時間を持て余してしまい…………。
「……これから地下に潜るって言うのに」
「エリューナさんが想像しているような事はありませんから! そうでしょう、ユウダイ!」
一つ言えるとしたら、マリナは非情に奉仕精神に溢れているということだ。
「おい、コセ」
「じゃあ、そろそろ出発しましょうか」
強引に話を打ち切った時に見えたマリナの口元が、とても色っぽく見えてしまった。
●●●
安全エリアから洞穴に侵入し、暗い穴を私を先頭に降りていく。
“閃光魔法”のフラッシュで生み出した光源を頼りに、急な狭い道を下り続ける。
「どんどん広くなっていく」
と思っていたら、極端に広い空洞が!
「この灯りは……」
空洞の壁に、かなりの数の電灯? が埋められているみたい。
「今までの洞窟で見たのとは違う」
「バンディットのアジトには、こんな感じの物があったな」
「おそらくは、ここに出るという魔女が取り付けた……という設定なのだろう」
後ろから、ユウダイとエリューナさんの声。
「居ますね」
下の空間に広場があり、そこから梯子や階段が……無数の円柱状の広い足場に繋がっているのか。
「ここの宝箱からは高確率で、ランダムに魔法のスキルカードが手に入るんだっけ?」
「一枚でも多く手に入れたいところだけれど……」
「魔女の数が多い。背の高い奴や小さいのでタイプも違うのだろう? 魔法使いはマリナだけだし、先に進むのを優先すべきだと思うがな」
エリューナさんの意見はもっともだけれど……。
「後々のことを考えたら、少しくらいは手に入れておいた方が良いかと」
ユウダイ、なにか隠してる?
「私も新しい魔法が欲しいかな。氷が効かない相手への攻撃手段も欲しいし」
「フン、仕方ない。なら、手分けするとしよう――“空遊滑脱”」
「マリナは、俺とエリューナさんの援護を頼む」
「うん、任せて」
二人が空中を走り、梯子で繋がれている方へ。
「あ!」
程なくして、各所で魔法陣が展開され始めた!
「“光線魔法”――レーザー!」
二人を狙って隙だらけになっている魔女の集団を、アッサリ倒しきる私。
「Lvが上がったのもあって、問題なく仕留められた――来る!」
私が居る場所から地続きになっている場所から、背の高い魔女が猛スピードで不気味に迫ってきた!!
「“閃光魔法”――フラッシュレイ!!」
光の針を複数突き刺すも、まったく怯んだ様子のない鴉のような面を付けた魔女。
「く!」
三メートル近くある長身から繰り出される、両腕の鎌による連続攻撃!
“キヤイウメアイ”と“鏡の中の鑑み”で対抗するも、足場の悪さもあって防戦一方に!
接近される前に仕留めなきゃいけないタイプだったか!
「だったら――」
両腕の武器に三文字ずつ刻んで、向こうの連続攻撃を弾いて攻守を逆転させる!
「“飛剣・靈光”!!」
魔神・日蝕狼から手に入れた斬撃を放つスキルで、長身の魔女の胴体を切り裂いた!
「私も、前に出るか」
道を下り、私を狙う小柄な方の魔女の頭に“鏡の中の鑑み”の鋭い部分を叩き込み、その他の魔女もあっという間に斬り捨てる!
「長身の魔女以外は、接近戦の方が楽か」
そうこうしているうちに、今度は遠くの魔女から私が狙い撃ちにされるように。
「これなら、三人がそれぞれバラバラに攻め込んだ方が効率が良さそう――フライ!」
“飛行魔法”を使用し、別の足場に私から仕掛ける!
ヒビキからの提案。
「助かるよ」
食堂のテーブルの上に、ズラリと装備やスキルカードなどが並ぶ。
「うんうん、高ランクの物も少なくないね」
奴隷ショーにいた男の装備が散見されるけれど。
「これは、ルイーサにピッタリかな」
「お、ちょうど新しいマントが欲しかった所だ!」
ユタカってのが持っていた、“聖王のマント”Sランクを渡す。
「この剣は、アヤナかアオイじゃないとまともに振れないかな」
「へー、貰って良いの? て、重ッ!?」
”ヘビーバスターソード”、Aランク。
超重量による一撃の破壊力は魅力的だけれど、幅の広い肉厚の剣は、通常の手段で振ることは非情に困難。
あの男は、”万力の腕輪”の力で解決していたみたいだけれど。
「この腕輪は、バニラかな」
特殊な能力が使えない分、身体強化系はバニラに優先して回したいところ。
「うーん、このスキルカードもルイーサで良いか」
“破邪十字のスキルカード”。光属性の攻撃だけれど、地面でしか使えないためクマムよりもルイーサの方が使いどころが多そう。
「“ギャンブラー”のサブ職業に、サイコロ系のスキルか」
ランダム要素が強いのは、ちょっとねー。
「同系統の物がもう少し揃えば、考えなくもないんだけれど」
それでも、癖がある能力だしなー。
「“闘気盾のスキルカード”は複数枚あるね。これは、取り敢えずルイーサとメグミかな。こっちは“連盾障壁”か……」
盾使い用のスキルだけれど……素早く前戦に出られて、タンクとしての役目をこなせる人間……馬獣人のケルフェが適任かな?
”フレキシブルサポートインナー”は……鎧装備の人間じゃないと見た目的にあれだから、ザッカルに渡した方が良いかな。
“プロミネンスシールド”は……これはリョウかなー?
ぶっちゃけ、今のところ文字が使えるのが一人も居ないリョウ達の優先順位は低い。
「“鋼鉄魔法”に“鋼鉄針使い”、“衝撃魔法”、“雷雲魔法使い”……“鏡面魔法”に“水銀魔法”、“黒曜石魔法”、“風車魔法使い”、“凍土魔法”」
魔法のスキルカードやサブ職業の数が多いけれど、一つだけなのも少なくないし、サブ職業として敵ごとに使い分けるのが今の所は無難か。
「高ランクの武器もあるし……場合によっては、誰かに新しいバトルスタイルを確立して貰うのもアリかな」
ヒビキは、炎特化で完成されすぎている気すらするよ。
「へ!?」
「どうしたの?」
突然叫んだアオイに尋ねる。
「今ライブラリを見てたら、デボラが使っていた“靈王魔法”ってユニークスキルじゃん。しかも三属性!」
「うん。ユニークスキルの魔法は、基本的に三属性だからね」
元デルタの女か。
“靈王魔法”は霊、雷、古代の三属性。
“星屑魔法”は星、光、闇。
“宝石魔法”は、魔法による属性に古代のみだけれど。
ちなみに、フェルナンダの“精霊魔法”は、精霊が司る基本属性に古代と霊が加わる形となる。
だから、マクスウェルの隠れNPCを欲しがったデボラ達の気持ちは分かる。
自立行動可能なユニークスキル魔法なみの精霊を、他のユニークスキルと合わせて使えるんだから。
三属性魔法の真価を発揮できるのは、まだまだ先の話になるだろうけれどね。
●●●
「ハァーぁ」
山頂付近の安全エリアにて、昼食後に昼寝をしていたエリューナさんが背伸びしている。
「まだまだ眠いが、大分マシになったな」
「お、お水です、どうぞ」
しどろもどろになりながら、水を差し出すマリナ……。
「助かる。ゴク……ゴクゴク、フー」
美味しそうに飲んでるけれど、一気に飲むんじゃなくて少量ずつ口に含んでるな。
「ところでマリナ……なんでそんなに挙動不審なんだ?」
「へ!? そ、そんなことないですよ……」
「……お前達、私が眠っている間、ちゃんと見張っていたんだろうな?」
エリューナさんが眠り初めてから既に二時間……俺達はすぐに時間を持て余してしまい…………。
「……これから地下に潜るって言うのに」
「エリューナさんが想像しているような事はありませんから! そうでしょう、ユウダイ!」
一つ言えるとしたら、マリナは非情に奉仕精神に溢れているということだ。
「おい、コセ」
「じゃあ、そろそろ出発しましょうか」
強引に話を打ち切った時に見えたマリナの口元が、とても色っぽく見えてしまった。
●●●
安全エリアから洞穴に侵入し、暗い穴を私を先頭に降りていく。
“閃光魔法”のフラッシュで生み出した光源を頼りに、急な狭い道を下り続ける。
「どんどん広くなっていく」
と思っていたら、極端に広い空洞が!
「この灯りは……」
空洞の壁に、かなりの数の電灯? が埋められているみたい。
「今までの洞窟で見たのとは違う」
「バンディットのアジトには、こんな感じの物があったな」
「おそらくは、ここに出るという魔女が取り付けた……という設定なのだろう」
後ろから、ユウダイとエリューナさんの声。
「居ますね」
下の空間に広場があり、そこから梯子や階段が……無数の円柱状の広い足場に繋がっているのか。
「ここの宝箱からは高確率で、ランダムに魔法のスキルカードが手に入るんだっけ?」
「一枚でも多く手に入れたいところだけれど……」
「魔女の数が多い。背の高い奴や小さいのでタイプも違うのだろう? 魔法使いはマリナだけだし、先に進むのを優先すべきだと思うがな」
エリューナさんの意見はもっともだけれど……。
「後々のことを考えたら、少しくらいは手に入れておいた方が良いかと」
ユウダイ、なにか隠してる?
「私も新しい魔法が欲しいかな。氷が効かない相手への攻撃手段も欲しいし」
「フン、仕方ない。なら、手分けするとしよう――“空遊滑脱”」
「マリナは、俺とエリューナさんの援護を頼む」
「うん、任せて」
二人が空中を走り、梯子で繋がれている方へ。
「あ!」
程なくして、各所で魔法陣が展開され始めた!
「“光線魔法”――レーザー!」
二人を狙って隙だらけになっている魔女の集団を、アッサリ倒しきる私。
「Lvが上がったのもあって、問題なく仕留められた――来る!」
私が居る場所から地続きになっている場所から、背の高い魔女が猛スピードで不気味に迫ってきた!!
「“閃光魔法”――フラッシュレイ!!」
光の針を複数突き刺すも、まったく怯んだ様子のない鴉のような面を付けた魔女。
「く!」
三メートル近くある長身から繰り出される、両腕の鎌による連続攻撃!
“キヤイウメアイ”と“鏡の中の鑑み”で対抗するも、足場の悪さもあって防戦一方に!
接近される前に仕留めなきゃいけないタイプだったか!
「だったら――」
両腕の武器に三文字ずつ刻んで、向こうの連続攻撃を弾いて攻守を逆転させる!
「“飛剣・靈光”!!」
魔神・日蝕狼から手に入れた斬撃を放つスキルで、長身の魔女の胴体を切り裂いた!
「私も、前に出るか」
道を下り、私を狙う小柄な方の魔女の頭に“鏡の中の鑑み”の鋭い部分を叩き込み、その他の魔女もあっという間に斬り捨てる!
「長身の魔女以外は、接近戦の方が楽か」
そうこうしているうちに、今度は遠くの魔女から私が狙い撃ちにされるように。
「これなら、三人がそれぞれバラバラに攻め込んだ方が効率が良さそう――フライ!」
“飛行魔法”を使用し、別の足場に私から仕掛ける!
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