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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

263.おまもり採取

「ぅう……」
「頑張ってください、マスター」
「く、ヨシノの奴……」

 私とタマ、ユリカ、サキの四人で泥の中を漁っている。

 ヨシノは、サキがテイムしたハイエンジェルウィッチのセラとエレメンタルガーディアンの黒ピカと一緒に見張りについてくれていた。

 周りは鬱蒼とした植物だらけのため、ドライアドであるヨシノの独壇場。

 モンスターだろうが、大抵のプレーヤーにも対処可能なはず。

 まあ、この辺りにモンスターは出ないのだけれど、あくまでオリジナルではの話だからなー。

 突然、突発クエストが始まらないとも限らないし。

 腕と脚が泥に取られたりしなければ、私達だってすぐに戦闘に移行できるのだけれど。

「あ、ありました!」

 タマが泥の中から見付けたのは、ダルマのような形の五センチくらいの物体。

「もしかして、これがおまもり?」
「うん、種類が違っても、大体全部この形になってるよ」

 おまもりって、早い段階で装備できるようになる割に、なかなか手に入らないからね。

「”耐雷のおまもり”というらしいです」
「雷属性のダメージを軽減してくれる物だね。中には完全に特定の攻撃を防いでくれる物もあるけれど、そういうのは一回だけで無くなってしまうよ」

 だから、私が以前コセとの戦いで使った”完斬のおまもり”は、あの時に失われている……今思い出すと、なんてもったいない事を。

「あ、こっちもあった」
「こっちもです!」

 ユリカとサキも見付けたよう。

 良かった、隠れNPCであるサキでもここのおまもりは採取出来るみたい。

「ここで手に入れられるおまもりは、一人十五個までだから。十五個見付けたら上がって良いからね」
「はい、分かりましたー」

 十五個の中に、レア度の高いおまもりをどれだけ手に入れられるか。

 一発を完全に防ぐより、二種属性対応や魔法ダメージを軽減してくれるなど、利便性の高い物なら良いのだけれど。

 それに、一つのパーティーで六十個以上採取すれば、隠れNPCのシャドーを手に入れるためのアイテム、”シャドーオニキス”を手に入れる事が出来る。

 などと考えながら黙々と作業していると、いつの間にか六つも見付けていた。

○”耐水のおまもり”を見付けました。
○”耐魔法のおまもり”を見付けました。
○”耐氷のおまもり”を見付けました。
○”雷威のおまもり”を見付けました。
○”耐刺突のおまもり”を見付けました。
○”耐打のおまもり”を見付けました。

「悪くはないか」
 
 火に弱いヨシノのために、”耐火のおまもり”か”完火のおまもり”を手に入れておきたい所だけれど。

「泥って、結構重くて動きづらいですね」
「思っていた以上に体力を使うわね。旅行ルート特権でタダで採取出来るとはいえ、泥の中を漁らないといけないとは。順当ルートだと、有料で一人五つまでだっけ?」

 ユリカが尋ねてきた。

 ヌチャっと吸い付いて来てそのまま離れないし、乾くとなかなか落ちないし、土仕事をしている人達を尊敬せずにはいられない。

 特にレンコンなどの、泥の中で育てている人達を。

 いや、肉体労働だろうがなんだろうが仕事は大変だろうけれど。

「一人50000Gも払ってね。普通に買おうとすれば、低級のおまもりでも一つ25000Gもするから、得っちゃ得なんだけれどけれど」

 だから、ここで手に入らなかった物を後で幾つか買い揃えないと。

 四つの島の中で、下手をしたら一番お金が掛かるのがこの島。

「少し休憩しますか? その間、私がおまもりを……皆さん、集団が近付いてきます」
「五人みたいです」

 ヨシノとタマが意識を向ける先から歩いてくるのは……。


「精が出るわね、《龍意のケンシ》の皆さん」


「サキ……お姉さん」

 私と一緒に、よくこのゲームをプレイしていたサキお姉さん……綺麗な黒髪をハーフアップにしている美女が、《日高見のケンシ》と思われるメンバー四人と共に現れる。

「久しぶり、ジュリーちゃん。古城遺跡でレギオン戦風の突発クエストに巻き込まれたらしい人達の中に、貴方たちらしき人間の特徴があったのを聞いて、ちょっと心配してたわ」

 あのクエストで生き残った人間から、情報を得たんだ。

「勧誘の件なら、断らせて貰うから」
「やっぱり? てことは、神代文字はまだ使えないんだ」
「……九文字までなら、なんとか引き出せるようになったよ」

 バカ正直に言ってしまったのは、身近で憧れだった人への対抗心からなのか……以前もそうだったけれど、サキお姉さんの格好……どことなく黒のセーラー服っぽい。

「それでも私達に賛同しないんだ……ハーフというだけで差別されたりしてきたジュリーちゃんなら、この世の中が偽善と悪意だらけだって気付いているでしょうに」

 小さい頃程、私の顔が西欧人顔であることを理由に、からかったりされることが多かった。

 そのため、向こうの親が謝罪しに来たことが何度か。

 なのに、私が通っている学校が虐めゼロだって教育委員会の方に報告されていたと知った時には、さすがに笑っちゃったな……自嘲気味に。

「でも、それだけじゃないって思わせてくれたのは……サキお姉さんだよ」

 優しくて、私と一緒に色んなゲームを……両親が作ったダンジョン・ザ・チョイスを楽しんでくれた、二つ年上の綺麗なお姉さん。

 サキお姉さんのおかげで、当時の私がどれだけ救われていたか。

「これは……一本取られちゃったわね」
「サキ、さっさと用件を済ませたらどうだ?」

 藍い人魚が、急に口出ししてきた。

「もしかして、スゥーシャのお姉さん?」
「ああ、妹が世話になってるな」

 どうしよう……お宅の妹さん、処女じゃなくなりましたよって言うべきかな? 

 いや、冗談だけれど。

「キジナさんでしたよね!」

 タマが、珍しく怒気を顕わに!?

「ああ、あの時の猫獣人か。妹とは仲よくしてくれているのか?」
「仲よくしてくれているのか? じゃないですよ! あの後、私がどれだけ大変な目にあったか…………まあ……結果的には良かったですけれど」

 ん? なんで急に顔が真っ赤に?

「よく分からないが、なら良かったじゃないか」
「適当すぎるぞ、キジナ……あの時は悪かったな。コイツがどうしても妹に会いたいと言うものだから、無理にあの場に留まっていたんだ」

 黒髪をフワリとしたポニーテールにした黒人の女性が、謝っている……今一瞬、私を見たときの視線が……とても冷たい物のように見えたような。

「ジュリーは日本育ちのハーフだからね、カブリエラ。それに、お母さんはイギリスの人だから」
「……すまない、サキ。意識してはいないつもりだったんです……貴女にも、本当にすまない……」

 わざわざ頭を下げて謝罪する、ガブリエラと呼ばれた人。

「もしかして、アメリカの方ですか?」
「ああ……ええ、そうなんです…………向こうで色々あったので」

 私が思っている以上に、向こうでの黒人への差別は酷いのかもしれない。

 様々な人種の坩堝るつぼである、世界最強の軍事国家……アメリカか。

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