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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

254.光擴の転刃

「ハアハア、ハアハア」
「コセさん!? ……大丈夫ですか?」

 胸糞悪い鬼を倒した直後、ナオ達の傍に戻ろうと思ったら、船の揺れもあって膝を付いてしまった。

「文字の力を引き出しすぎた……使わないようにするつもりだったのに」

 それに……神代文字に対応していないはずの“グレイトドラゴンキャリバー”に文字が刻まれた……どういう事なのだろう?

 一瞬、彩藍色の光が見えた気がしたけれど、アルファ・ドラコニアンと戦った時のような、自分を希薄に感じるような感覚はなかった……いったい、なにがどうなっているのやら。

「……名前が変わってる……”偉大なる英雄竜の猛撃剣”」

 “グレイトドラゴンキャリバー”から、いかにも神代文字対応の武具名に。

 “偉大なる英雄の光剣”の時のように、自然と使い方が流れ込んできたけれど……新たに加わった能力、どことなくメグミとクリスの影響を受けていそうだな。

○“ザ・ディープシー・ラビュリス”を手に入れました。

「あの強力そうな斧か」

○“対弾性ボートの鍵”を手に入れました

「コセ、さっきの戦闘で“機関士”とか色々手に入ったみたいよ」

 動けないナオが教えてくれる。

「脚は大丈夫そうか?」
「歩くくらいなら」

 まだ上手く動かせないらしい。

「必要なアイテムは全部集まったし、取り敢えず脱出ボートまで移動しよう。船の動力が戻るまで出来ることは無いし」
「へ?」

 ナオをおぶろうと屈んで背を向けたら……妙な反応をされた。

「今はモンスターが居ないから、おんぶしてさっさと移動しようと思ったんだけれど。すぐそこだし」
「で、でも……胸が当たっちゃう♡」
「今更なにを言っているんだ?」

 もっと凄いことを、これまで何度もシているだろうが。

「ちょっとくらい照れなさいよ!」
「ナオはもう俺の一部みたいなものだから、胸が当たるくらいで照れろと言われてもな」
「それじゃあ、私に女としての魅力が無いみたいじゃない!」
「女としての魅力を感じているって事は、もう何度もベッドの上で正面しているはずだけれど?」
「くぅぅッッ♡!!」

 顔が赤くなったナオを見たら、俺まで自分の発言に恥ずかしくなってきた!


「――イチャついていないで、サッサと移動しましょうか?」


「「……ハイ」」

 今……クマムから放たれた圧が凄かったんですけれど。


●●●


「爆裂脚!!」

 鮫を天井側に誘導し、下から腹部分を蹴り上げて爆殺する。

「メルシュ、良いものはありましたか?」

 通路から、船員用の寝室内に居るメルシュに声を掛ける。

 急いでいたはずなのに、ここに来て船員の寝室をしらみつぶしに探し始めた私達。

「船員の部屋全部に宝箱があるかもって気付いて寄り道してたけれど、ようやく面白いのが手に入ったよ」

 メルシュが見せてくれたのは……小さめの……五十センチ程度のV字ブーメラン。

 どことなく、ご主人様の偉大シリーズの意匠に似ている。

「これは?」
「“偉大なる英雄の光擴こうかく転剣”、Bランク。ランクは高くないけれど、“連携装備”を持っているトゥスカとマスターにちょうど良いと思うよ、はい」

「……控え目に言って……最高ですね」

 男女で同じ物を身に付けたいという人達の気持ちが、今なら分かるかもしれない。

「“光擴”の効果を使うと、大きさを変えられるよ」
「こうかく?」

 早速装備して効果名を口にしてみると、V字のブーメランが柄のある持ち手と左右の刀身の三つに分離し、内側に透明性のある緑の刀身が形成され続ける!?

「意識しないと、MPを吸ってどこまでも大きくなるよ」
「へ!?」

 急いで止めたけれど、端から端までの長さが一メートル程まで大きくなってしまった!

 この狭い通路でも、なんとか振り回せなくもない大きさ。

「“収縮”で逆パターンにもなるよ」
「“収縮”」

 一回り小さくし、振り回しやすくする。

「軽い……これなら剣のように振れそうですね」
「それに、神代文字にも対応しているから」

 やっぱりですか。

「なら、早速試してみましょうか――ハイパワーブーメラン!!」

 奥の通路から迫りくるモンスターの群れに向かって、文字を三文字刻んだ状態で投げ放つ!

「これは……良いですね」

 戻ってきた“偉大なる英雄の光擴転剣”を掴み取り、溢れた素直な感想がそれだった。

 なにせ、敵モンスターをまとめて綺麗に切り裂けたから。

「注意点は、重量のあるブーメランとは使い勝手が違うという点ですかね」
「切れ味のみで切り裂くって感じだから、ブレイク系の攻撃とは相性が良くないね。軽いから風の影響受けやすいし。ちなみに、腹部分で盾術を発動する事も出来ないよ。代わりに、剣のような取り回し易さがあるけれど」

 聞けば聞くほど、私とご主人様のために存在するような武具のようです。

「メルシュさぁん、これってなんなんですかぁ?」

 別の部屋から、クリスとメグミが出て来る。

 そのクリスの手に乗っていたのは……蒼い厳かな指輪。

「“蒼天王の指輪”、Sランク。これは、蒼穹魔法を使うタマ向けだね。うん、かなりのレアアイテムじゃん!」
「さっきからCランク以下だったり、高ランクでも私達に合わないアイテムだったりだったからな。サブ職業やスキルカードもあったけれど」

 サブ職業も、“航海士”や“操舵手”ばかりでしたけれどね。

「たぶん、クエストの難易度を上げるために配置アイテムを増やしたり、高ランクのアイテムを用意しているんだろうね」
「だから、私達の戦力アップに繋がらないように敢えて鎚や鉄球、矢筒などを配置しているというわけですか」
「とんだファッキン野郎ですねぇ」

 クリスの口が汚い。

 でも……それだと、なんでこのタイミングで私とご主人様にとって最適な武器が手に入ったのでしょうか?


◇◇◇


『チ! なぜよりによって、ランダム配置したアイテムの中に奴等に都合の良い物が含まれるんだ!』

 ランクB以下はシステムに任せたから仕方ないとはいえ、大半をC以下に設定しておいたはずなのに!

『しかも、いつの間にか”蒼穹魔法”を手に入れていたとは!』

 神代文字を九つ以上刻める者の動向はチェックするようにしていたが……なぜ上手くいかない!

『カールの……間抜けの二の舞はご免だ』

 脱出ボートに用意したSランク装備はランダム……ある程度、俺からいつでもクエストに介入しやすいようにほどこした設定だが……Sランク装備を与えてしまうのであれば、一人か二人は確実に始末しておきたい!

『メタい展開は視聴者から不評を買うが、死人が一人か二人くらいならば問題なかろう……切り札を投入してやる!』

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