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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

250.昏き世界に誘わん

「船の復旧、よろしくお願いする」
「はいよ」

 操舵室にて、船長からカードキーを受け取る。

「次はコセ達との合流だな」

 メグミが確認してきた。

「そうだね。けど、サブ職業の“操舵手”は幾つか手に入れたけれど、肝心の“機関士”が手に入っていないんだよね」

 宝箱からも深海モンスターからも、“操舵手”しか出ていない。

「“機関士”がないと、モーターの復旧作業が出来ないんでしたね」
「コセさぁん、手に入れてればいいですねー」
「もしかしたら、“機関士”だけ手に入りづらいように確立調整されているのかも」

 そこまでは、“英知の引き出し”でも知ることは出来ない。

「つまり、積極的に深海モンスターを討伐して、見付けた宝箱も片っ端から開けた方が良いって事だな」

 メグミが、どこかやる気に満ちているように見える。

「お任せくださぁーい! どんなモンスターもぉ、撃ち殺してやりまぁす!」


「ご主人様と結ばれたのもあって、二人とも元気ですね」


 ……トゥスカから、冷気の波動が放たれた……気がした。

「お、怒ってるのか……トゥスカ」
「そ、ソーリー……でも、私、コセさんから離れられない思いまぁす。離れたくないでっす!」

 メグミが戦々恐々となり、クリスが涙ながらに訴えている……。

「……すみません、嫉妬心を抑えきれませんでした。良いんですよ。ご主人様のような良い雄が良い雌を囲うのは当然ですから」

 獣人は、その辺理解ある人が多いよね。

 むしろ、トゥスカは獣人の中では嫉妬深い方なのかも。

 ……リンピョンも、サトミ関連では嫉妬深いか。


「ただ、ご主人様を裏切ったり悲しませたりしたら――――分かってますね?」


 さっき以上の威圧感が!!

 ……トゥスカの神性が、それだけ強い証拠か。

 文字をトゥスカよりも早く九文字刻めるようになったメグミですら圧倒されているって事は、潜在的な素質というか、魂のレベルはやっぱりずば抜けてるのかもね。

「――早く移動した方が良さそうですね」

 トゥスカの言葉が合図だったかのように、深海モンスターが操舵室内を埋め尽くそうと出現し始める。

「さっさと蹴散らして進みましょうか――“雄大な風”」

 トゥスカの薄緑の片手斧に、薄緑色の神秘的な風が集まる。

「行きますよ」

「「「……はい」」」

 トゥスカ……マスターの事となると本当に怖い。


●●●


「“天使法術”――エンジェルランサー!!」

 クマムが放った光の槍が無数に飛び交い、深海モンスター達を貫いていく。

「コセ、あそこに宝箱があるわよ!」

 ナオの指摘した先、色々お世話になったプール手前の水着売り場に、黒い湿った宝箱が置いてあった。

「俺が開ける!」

○罠を感知しました。

 やっぱりか。

「罠解除」

 黒い宝箱から、巨大な刃が四度も振り抜かれ……消えた。

「さ、殺意高いわね……」
「正真正銘の罠ですね」

○“昏き世界にいざなわん”を手に入れました。

「黒い……三つ叉の銛?」

 それは、不気味なほどに美しい……真っ黒な銛だった。

「銛なら、スゥーシャくらいしか扱えないわね」
「そうですね」

 どことなく、この銛はスゥーシャに似合わない気がするけれど……ま、良いか。

「ご主人様!」

 プールの向かい側から、トゥスカ達がやって来る。

「良かった、四人とも無事で」
「本当ですね」
「ん? なにかあったの?」

 俺とクマムが胸をなで下ろしたのを不審に思ったのか、メルシュが尋ねてくれる。

「副船長が化け物に姿を変えて、コッチの方に逃げていったんだ。面倒な斧を持っていたみたいだし、四人が遭遇していたら危険だなと思っていたんだけれど……」
「私達は、斧を持った敵には遭遇していないはずだ」
「そうですね。私も見覚えがありません」

 メグミとトゥスカには心当たりが無いとなると、本当に遭遇して居ないのだろう。

「副船長が……うわ、いつの間にか変わってる……いや、わざと私が気づきづらいように仕掛けていた? ――小賢しい真似してくれるじゃない」

 メルシュの気配が、少し禍々しくなった気がする。

「マスター、サブ職業は手に入れた?」
「ナオ、クマム」

 俺は手に入れてなかったため、二人に尋ねた。

「私は、“操舵手”のサブ職業を一つだけ手に入れてました」
「私は“機関士”を一つ持ってたわ」
「こっちは”操舵手”と“航海士”だけ……肝心の“機関士”は一つだけか……」

 脱出ボートを動かすには三つのサブ職業が必要で、船を復旧させるだけなら“機関士”があれば良いらしい。

「なら、“機関士”のサブ職業はメルシュ達が持っていってくれ」
「良いんですかぁ?」

 クリスが、心底不思議そうに尋ねてきた?

「脱出ボートはあくまでおまけだ。最優先にすべきは豪華客船の復旧。なら、万が一メルシュ達が手に入れられない場合を想定しておくべきだろう」
「……そうだね。時間はまだまだあるけれど、モンスターの数が多すぎる。マスターの言うとおり、“機関士”を頂戴」
「あいよ」

 ナオの手から、青いメダルがメルシュの手に渡る。

「マスターにはこれを」

 メルシュから、青い水が固まったような綺麗な大剣を受け取る。

「これは?」
「宝箱で手に入れた物だよ。使い方を簡単に説明するね」

 メルシュから、素早くレクチャーを受けた。

 上手く使えれば、水属性モンスターに対して有利に戦えそうな効果があるようだ。

「まずいぞ……モンスターが挟み込むように近付いてきている」

 メグミの言うとおり、見慣れ初めてきた深海モンスター達が、八方から大量に距離を詰めてきていた。

「……雨が……止んだ?」

 クマムがそう口にした瞬間――黒い液体がデッキの上に染み出てきて、形を成していく!

「俺達は副船長を探す!」
「私達は、真っ直ぐ船の発電室に向かうね!」

 メルシュ達とは、ちょうど互いが来た方向へと進む形となる!

「……ちょっと……デカくない?」

 雨が止むと当時に出現し始めたモンスターは、二メートルを超える、アンモナイトのような真っ黒な人型の怪物。

 しかも、一体や二体じゃない。

 他のに比べると数は少ないけれど、中ボス的な立ち位置じゃないかってくらい、雑魚よりも威圧感があった。

「コセさん! 副船長が居ました!」

 クマムの指差す方向は、ここよりも低い位置にある船首側のデッキ。

 そこに、移動を続けている三メートル近くの巨体を持つ化け物の姿が。

 脱出ボートがあるのが、あの階より更に一つ下の左舷側だったはず。

「目の前の敵を蹴散らして副船長を追う! 行くぞ!!」
「おうよ!」
「はい!!」

 二人の対照的な返事と共に、大型の深海モンスターへと斬り込んだ。

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