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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

242.船旅へ

「ここは……一番右の港か?」

 十五ステージに来た時に祭壇上から見た際の、右端の波止場の形と同じだった。

「サトミさん達が居ませんね。先に降りてしまったのでしょうか?」

 いつもより低めの祭壇に転移したわけだが、トゥスカの言うとおり、先に来ているはずのサトミさん、メグミ、リンピョン、クリス、モモカの五人が居ない。

「なにかあったのかもしれません。急いで探しましょう!」

 クマムが心配げに提案してきた。

「そうだな」

 戦闘音とか聞こえてこないし、多分大丈夫だとは思うんだけれど。

「”天使の翼”! ナオさん」
「夜鷹」

 翼を生やしたクマムがナオの手を取り、俺は呼び出した夜鷹を背にトゥスカの手を取って空へ。

「”飛行魔法”、フライ」

 メルシュも飛び立ち、俺達は祭壇下にある波止場前の小屋を目指す。

 特にそれ以外の建物もないし、メルシュもなにかを口にする気配もない。

 プレイヤーどころかNPCすら見当たらないし、このまま向かっても問題無さそうだ。

「あ、来たわね」

 サトミさんとリンピョンが出迎えてくれる。

「コセ達、来た!」

 サトミさん特製の、ハチのキャラメル揚げを食べながら待っていた様子のモモカ。

 虫を平気で食べている姿は、ある意味ヨシノよりもドライアドっぽい。

「全員無事みたいだな」
「ボス戦は少々手こずったけれど、怪我人は居ないよ」
「メグミが抑え込んでぇ、モモカがぁドンしてくれましたぁ!」
「クリスの銃も凄かったよ!」
「エッヘン!」

 メグミとクリスも無事なようで安心したけれど……クリス、あの如何わしい名前の銃を使ったのか。

 ”砲火剣・イグニス”よりも威力は低いけれど、その分”甘い花弁の刹那”の方が使い勝手が良いらしい。

「出港してから第十六ステージに着くまで丸三日掛かるし、他のプレイヤーが乗り込んでないか早めに確認しておいた方が良いよ。あと二十分で出ちゃうし」

 メルシュに指摘される。

「三時間に一隻の割合で出港するんでしたね」
「逃せば三時間半近くも待ちぼうけか。なら、さっさと行きましょう!」

 クマムの背を押しながら、入り口とは別の場所から波止場に出ようとするナオ。

「モモカ、これを使うと良い」

 メグミが濡れた布を差し出す。

「ありがとう、メグミ!」

 キャラメルでベタベタになった手を拭き、メグミの後を付いていくモモカ。

 何気に、最近はメグミにも懐いたらしい。

「あれ、ローゼとマリアは?」
「船上では武器を装備出来ないから、二人とも装備から外して欲しいって言ってたわよ。船に乗り込む際に強制的に装備から外されるって聞いて、その時の感覚が嫌みたい」

「そう言えば、衣服と一部の防具以外は基本的に外されるんだっけ」

 船に乗り込むときに強制的に装備を外されるなら、わざわざ自分で外さなくて良いか。

 俺の”偉大なる英雄の鎧”のように、衣服を装備不可にする鎧は問題ないらしい。

 プレイヤーが居なければ、さすがに外すか。


            ★


『それでは皆様、これより本船は、宝石島に向かって出港いたします。船酔いにお気を付けください』

 アナウンスが響くと、船が港を離れ出す。

「世界観的に帆船をイメージしていたけれど……まさか豪華客船とはな」

 プレーヤーを探すために一通り回ったけれど、世界一周でもしそうな豪華絢爛な内装や設備の充実ぶり。

 大浴場やプール、映画館、ビュッフェ式の二十四時間レストラン、酒場、武器屋、修練場、劇場、カジノ、ボードゲーム場など、贅沢の極みみたいな設備が十二分に用意されていた。

 俺の人生に、こんな船に乗る機会が来るなんて思わなかったな。

 金があっても、自分からこんな贅沢な使い方をしようなんて思えないし。

 わざわざライブやテーマパークに行きたがる人間の心象が、幼い頃から理解できなかったんだよな。

 小学生の時、地元にどんなお店があったら良いかで、ディ○ニーパークと言う案と俺の考えたリサイクル交換屋という案が最後まで残り、大差でディ○ニーパークが優勝した。

 そんなことしたら東京ディ○ニーパークと客の奪い合いになるだけだろうと思ったが、そんなの気にしてるの……俺だけだったんだろうな。

 日本はどうか知らんが、世界的にテーマパークが子供の誘拐の温床になっているのは事実みたいだし、正直本気で要らない。

「風が気持ちいいですね、ご主人様」
「そうだな」

 少し冷たい海風が、確かに心地良かった。

 傍にトゥスカが居るからというのが大きい気がするけれど。

「コセさん」

 サトミさんの声に振り向くと……際どい黒V字の水着を着ている!?

「……プールで泳ぐんですね。どうぞ、ごゆっくり」

 なんて物を着てるんだこの女! リアルで見ると痴女にしか見えねー!! ていうか、目と身体に毒!

「すぐそこのプールで一緒に泳ぎません?」

 その格好のお前と一緒に泳げと!?

「コセ、泳ぎ方教えて!」

 そう言って来たのは、可愛らしいピンクのワンピースタイプの水着を着たモモカ。

 その後ろには、青いビキニのクリス、緑のビキニのメグミ、水色の競泳水着のリンピョン、白いスカートビキニのクマムに、青と赤のビキニのナオ、薄緑のワンピースタイプを着用したメルシュがいた。

 リンピョンの格好は、競泳水着と考えると少々如何わしいデザインだが、下手したら普段の方が扇情的なため、むしろ安心する。

「全員泳ぐ気満々か」
「というよりは、コセさんにこのナイスバディーを見せ付けようと思いまして。そうでしょ、メグミちゃん」
「わ、私は別に……」

 照れているメグミに、下半身が反応しそうになってしまう……勘弁してくれ。

「コセさんもいつの間にかメグミって呼び捨てにするようになったし、脈ありなんじゃないかしら。指輪も最上級なのだし」

 モモカも居るんだから、その手の話はやめてくれませんかね、サトミさん!

「プールでぇ、コセさんのマグナムがぁ、火を噴いてしまうかもしれませんねぇ!」

 アメリカ人って、男の胯間をマグナムにたとえがちだよね。女性が言っているのは初めて聞いたけれど。

 俺のはマグナムというより、極大射程のスナイパーライフルだと思うんだが……なにを考えているんだ、俺は。

「トゥスカさんも泳ぎましょ」
「私……犬かきくらいしか出来ないのですが」

 トゥスカの犬かき……超絶見てみたい!

「よし、泳ごう!」
「へ?」

 トゥスカの手を引っ張って、プール横の水着売り場に直行した。

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