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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

240.魔神・刀鬼

「魔神・刀鬼は日本刀を使う鬼。”り足”による独特の高速移動を連続でしてくるから、慣れないと動きが読みづらいと思うよ」
「ハッキリ言って、これまでで一番強いボスだよ。特に初見ではね」

 初見殺し的なボスか……。

「弱点属性は光。有効武器は弓矢。危険攻撃は”抜刀術”の波断。ユイ、皆に見せてあげて」

「うん……」

 ユイが脇の刀に手を置くと、彼女を中心に空気が静謐で厳かな物に変わっていく。

「”抜刀術”――波断」

 時が止まったような空間の中で、それを引き裂くように高速で腕が振るわれ――瞬間的に抜かれた”調伏の太刀”から青白い斬撃が飛んでいく。

「ぅう……昨日のクイズの後だから、余計に怖いわ」

 なぜか、サトミさんが怯えている?

「こうして見てみると、ユイの所作は本当に綺麗ですね。動きの一つ一つに魂が込められているようです」

 ベッドの上だと、常におねだりしっぱなしだけれどな、アイツ……今は忘れよう。

「飛んでいく速度が速いな」

 俺の”飛王剣”よりも速そうだ。

「それじゃあ、先に行くよ……じゃあね、みんな」

 ジュリー達が、最初にボス戦に挑もうとする。

「コセ」
「どうした?」

 ――不意打ちで、ジュリーにキスされた!

「暫く会えないんだから、気を利かせなさいよ」
「ああ……そうなんだよな」

 ボス戦を始めれば、第二十ステージに辿り着くまでは会えなくなる。

 いつの間にか……一緒に居るのが当たり前になってたんだな。

「じゃ、私も」

 いつぞやの時に似た感じで、ユリカにも啄むようにキスされる。

「あ、あの」

 タマが、モジモジしながら近付いてきた。

 ……結構性欲強いんだよな、スゥーシャと同じで。

「おいで」
 
 タマが勢いよく抱き付いてきて――舌を捻じ込まれた!?

「ん♡ チュバ、ん♡ チュパ」

「タマ、凄くエッチなキスだね」
「は!!」

 我に返ったように離れていくタマ。

「次は私です♡」

 間髪入れずに、スゥーシャにネットリとしたキスをされる。

「じゃ、俺も」
「僕もお願いします」

 返事する暇も無くザッカル、ノーザン、無言でユイにまで!

「ルイーサもしてきたら?」
「今生の別れになるかもしれないし」

「アヤナ、アオイ……怒るぞ」

 ルイーサが、顔を赤くしながら目をそらしていた。

 あ、こっちをチラ見してる。

「コセさーん♪」

 流れでキスしようとしてきたサトミさんの顔を、思わず掴んでしまった。

「怒りますよ」

 サトミさんとは、そういう関係じゃないのだから。

 そもそも、サトミさん達のパーティーとはボス戦後も行動を共にする予定だろう。

「コセさんのいけず!」
「なに言ってるんですか」

 本当、この人はそこはかとなく怖い。

「コセ……モモカともチュッチュする?」

 ――――モモカが居るの、すっかり忘れてた!!

 次の瞬間、キスした全員が目をそらしやがったぞ!

「ああ……も、モモカが十五歳を超えたらな」

「ええー! モモカもキスしてみたい!」

 どうしてくれんだ、ジュリー!

 ……そう言えば、いきなりキスされてたのってモモカが仲間に加わる前までだったな。

「モモカ。十五歳前にキスをすると、生涯、良い男に愛されない呪いに掛かってしまいますよ」

 ヨシノが、やんわりとモモカを諭そうとする。

「そうなの? ……じゃあ……我慢する」

 さすが、家に居るときもっともモモカの相手をしてくれているヨシノ。モモカの扱いが上手い!

「これは貸しですよ、コセさん」

 耳元で……どこか小悪魔じみた声で囁かれた。

「あの……」
「では、暫しの別れです。良い子にしているのですよ、モモカ」
「うん! 気を付けてね、ヨシノ!」

 モモカ、本当にヨシノに懐いてるな。

 俺は小さい頃、エルフとか獣人が現実に存在していたらと想像して、強い忌避感を抱いたものだけれど。

「……妖精に、お供え物しとくか」

 黒味の強い灰色の妖精の傍に、いつものハチミツ入り小瓶を置く。


●●●


「私が動きを止めたら宜しく、ヨシノ」
「承りました、ジュリーさん」

 魔神・刀鬼はとにかく動きを止めるのが大事なため、拘束が得意なヨシノにお願いする。

 ボス部屋の奥、濃い灰色のライトラインが走り、真っ白な浴衣を着た巨大な石の鬼が、鍔のない日本刀――長ドスを白鞘から抜いた。

『…………』

「無口ね。まるでユイみたい」
「ユイさんは、口を開けばセンシティブな発言ばかりですからね」

 そんなことないでしょ、サキ……あれ、ユイの発言でセンシティブなもの以外を思い出せない。

「気を抜かないで――来るよ」

 ”摺り足”を用いて、長ドスを後方に持ちながら滑るように高速移動を繰り返す魔神・刀鬼。

 ”瞬足”と違い、”摺り足”は一度発動すると自分で解くまで効果が発動し続ける。

「”二重魔法”、”万雷魔法”――サンダラスレイン!!」

 とにかく広範囲に攻撃し、一時的に逃げ場を無くす!

 オリジナルのゲームでは、魔神・刀鬼には何度もゲームオーバーにさせられた。

 だからこそ、行動パターンも対策もバッチリ出来ている!

「ヨシノ!」
「”植物魔法”――バインバインド!」

 ヨシノの固有スキルにより、魔神・刀鬼が、周囲から生えた十本の蔦で拘束された。


「”二重魔法”、”煉獄魔法”――インフェルノブラスター!!」


 ユリカが”煉獄悪魔の滾り翼”を展開した状態で、紫の炎線を二つ放ち――魔神・刀鬼に命中させる!

 オリジナルの基準で考えれば、これで仕留められるはず。

「…………ふう、問題なかったか」

 紫の炎が散る頃、青白い光が立ち上り……魔神・刀鬼は消え去った。

「他の皆は、無事に勝てるのかな」

 いや、この程度の魔神に勝てないのなら、どのみち最後までクリアするなんて夢のまた夢だ。

○おめでとうございます。魔神・刀鬼の討伐に成功しました。

○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。

★刀鬼の長ドス ★刀剣使いのスキルカード
★抜刀使いのスキルカード ★刀鬼の白着


「ユイみたいに刀剣を使わないなら、どれ選んでも良いんだっけ?」

 ユリカが尋ねてきた。

「欲しいのがなければ、ここではスキルカードを選んで欲しい」

 あまり必要ないかもしれないけれど、魔法系のスキルカードと組み合わせることで、ユイに上位の武術スキルを使わせられるようになる。

 ……本当に必要なのか疑問になってしまうくらい、ユイって規格外なのよね。

「三人しか居なかった頃は、ジュリーが決めたのを選ばなきゃいけなかったよな」
「そう言えばそうでしたね」

 ユリカとタマに、昔の事を指摘された。

「あの頃は色々言えないことが多かったから……気にはしてたのだけれど」

 観測者に見られてただろうし、二人に事情を説明して理解して貰うのは無理だと思ってたから。

「分かってますよ、ジュリー様」
「アンタはちょっとストイック過ぎるのよ。ま、お陰で助かっている部分も多いんだけれどね」
「コセ様と殺し合いを始めた時は、さすがに驚きましたね」

「うッ!!」

 あの時のこと……軽くトラウマになっているのに。

「マスター……そんなことしてたんですか?」
「あら、初耳ですね」

 サキとヨシノが食い付いてきてしまった!

「さ、さっさと先に進むわよ!」

○転移先を選択できます。どこへ転移しますか?

★第十六ステージ 順当コース
★第十六ステージ 旅行コース
★第十七ステージ 旅行コース
★第十八ステージ 旅行コース
★第十九ステージ 旅行コース

 私が選択したのは、第十七ステージのおまもり島。

○これより、第十七ステージに続く船着き場に転移します。

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