ダンジョン・ザ・チョイス
229.太刀風と聖剣光輝
海賊達を倒して進んだ先には広い土の空間が広がっていて、滑らかなラインの黒い大蛇が次々と現れる!
「ハッ!!」
“調伏の太刀”という刀剣で、私達くらい大きな大蛇を次々と斬り伏せていくユイちゃん。
普段は澄まし顔の大人しい子なのに、剣を抜くと、まるで戦姫や鬼神の類のよう。
ユイちゃんとパラディンリザードマンとの戦闘は、ザッカルと共闘しているときにちょっとだけ見たけれど……本当に同じ人間なのか、不思議に思えてくるくらい凄い。
「マスター、他の人間にも経験を積ませるようにした方が良いよ」
「あ、そっか」
シレイアさんの言葉に、六割ほど狩った所で戻ってくるユイちゃん。
「ありがたいね。行くぞ、カナ! ノーザン!」
「はい!」
「ええ」
豹獣人のザッカルと、牛獣人のノーザンちゃんと一緒に蛇達の前へ。
このパーティー、魔法使いが私しか居ないけれど大丈夫かな?
「“裂光爪”!!」
橙光の爪を左手に浮かべながら、黒い剣槍である“巨悪を穿て”で蛇を切り裂いていくザッカル。
「数が多いだけですね」
ノーザンちゃんは、翠の甲手で握る片手斧、“極寒の忍耐魂”を使って切り裂いていく。
獣人の人達って、明らかに生物と戦い慣れている節がある。
武器の扱いというか、やっぱり胆力みたいなのが私と違うな。
「私も、頑張らなきゃね!」
出来れば、このレギオンから抜けたくないから。
「“禍鎌切”」
鎌を振るい、ジグザグの刃を伸ばして蛇を狩っていく!
「せっかくだから試してみようかな――武器変更、“ゲイルサイズ”!」
“暗黒の大鎌”から、イエローグリーンの綺麗な鎌に持ち替える!
「“風刃”!」
巨大なカマキリの腕のような鎌を振るい、風の刃を飛ばし、まとめて四匹の首を薙いだ!
「終わりみたいだな」
空間が少し明るくなり、安全エリアに変化したのが分かる。
「メルシュちゃんが言っていた通り、全滅させたら宝箱が出て来ましたね」
あの数をもう全滅させてしまったのね……やっぱりこのレギオンのメンバーは、私が以前居たレギオンメンバーよりも一人一人が強い。
「へー、レアスキルをランダムに手に入れられるイベントだったけれど、これはうちのマスターが修得しちゃっても問題ないね」
シレイアさんが、この空間の真ん中に現れた宝箱を開けて中身を確認してからそう言った。
「……なんで? 相談しなくて良いの?」
「このカードは“太刀風のスキルカード”。刀剣を使わない人間には関係無いからね」
「じゃあ、遠慮無く」
スキルカードを受け取り、チョイスプレートを操作して使ってしまうユイちゃん。
「これってどういうの?」
「スキルを発動してから振ってみな」
「そう……“太刀風”――ハッ!!」
剣を目の前に振ると、邪気を払うかのように風が吹き荒れた!?
「……なにこれ?」
「剣の振り方で、風の発生の仕方が変わるよ」
「そう……」
ユイちゃんが、色んな振り方を試していく。
振り抜くと斬撃が飛んでいき、途中でスナップを利かせるとさっきみたいに風が剣の前に吹き荒れる。
「シレイアさん、盾で打けて貰える?」
「あいよ、マスター」
大きな雫状の盾を装備したシレイアさんに、太刀を振り下ろすユイちゃん!
「……やっぱり、ぶつけた時と空を切った時じゃ大分違うんだ……シレイアさん、もう一回」
その後も、何度か盾に向かって剣を振っていく。
「うん……大体分かった」
この前の訓練はサボっていたのに、今回は熱心なのね。
音もなく鞘に収めるその姿は、静謐な美しさを携えていた。
「そろそろ行こうぜ。息も整ったし」
「そうですね」
ザッカルもノーザンちゃんも、とても逞しい。
なんか、私だけ場違い感が凄いんだけれど。
「道は二つ。僕たちは左でしたね」
「じゃあ、ザッカル。”盗賊”のサブ職業を付けた状態で、先頭をよろしく」
「はいよ」
○左の道:海賊の財宝部屋。罠がいっぱい。
罠に対処するため、TPをあまり消費しないらしいザッカルが、罠解除を担当する。
●●●
○右の道:リザードマンの巣。突然変異が起きているかも。
「……突然変異ってなんだ?」
ルイーサが尋ねてきた。
「ランダムに、リザードマンの上位個体が出現する可能性があるってだけだよ。この前のパラディンリザードマンは上位個体に入るから、今更あれくらいのが数体出て来ても大した脅威にはならないでしょ」
「ジュリーが居ると心強いな」
今回私達は、サキ、ルイーサ、フェルナンダ、タマの五人でパーティーを組んでいる。
少々厄介なルートを通るため、攻守に優れたルイーサと”精霊魔法”を使えるフェルナンダの二人と組ませて貰ったのだ。
「リザードマンの数が徐々に増えていくし、種類も色々だから気を付けて」
フェルナンダに“シュメルの指輪”を装備して貰う事で、サキと契約している私とパーティーを組めるようにしてもらっている。
「……深いな」
右に進むと下り坂があり、すぐ脇には大穴が開いていて、螺旋状に下っていかねばならない。
「早速出て来たな。“精霊魔法”――シルフ!!」
壁を這い上がってくるリザードマンの集団に対し、フェルナンダが早速牽制を放った。
「壁からも出て来るのか」
目の前の壁を崩し、ロックリザードマンが出て来る。
「これ、飛び降りた方が早いのでは?」
「いや、地道に正面から倒していかないと、大多数のリザードマンに囲まれた状態で戦わないといけなくなる」
なにより、ここでは属性関係のスキルカードやアイテムがドロップする可能性があるからね。
「“抜剣”」
ルイーサが、“聖剣の鞘盾”から“ヴリルの聖剣”を抜く。
その剣は、鞘盾の“聖剣光輝”の効果で光輝いている。
「“光輝剣術”――シャイニングブレイド!」
ルイーサが、正面から来るリザードマン達を次々と斬り伏せていく。
「同じパーティーでダンジョンを探索するなんて初めてだったけれど……予想以上に頼りになるな」
アヤナやアオイが頼りにしていた理由がよく分かる。
装備なんかも含めて、ルイーサはどことなくコセに似ているし。
「マスター、早く追い掛けないと!」
鞭を振るうサキに指摘されて、ルイーサとフェルナンダがかなり先行していることに気付く!
「ちょ!」
意外と、アヤナ達の方がルイーサに合わせているのかもしれない……なんとなくだけれど、そんな気がした。
「ハッ!!」
“調伏の太刀”という刀剣で、私達くらい大きな大蛇を次々と斬り伏せていくユイちゃん。
普段は澄まし顔の大人しい子なのに、剣を抜くと、まるで戦姫や鬼神の類のよう。
ユイちゃんとパラディンリザードマンとの戦闘は、ザッカルと共闘しているときにちょっとだけ見たけれど……本当に同じ人間なのか、不思議に思えてくるくらい凄い。
「マスター、他の人間にも経験を積ませるようにした方が良いよ」
「あ、そっか」
シレイアさんの言葉に、六割ほど狩った所で戻ってくるユイちゃん。
「ありがたいね。行くぞ、カナ! ノーザン!」
「はい!」
「ええ」
豹獣人のザッカルと、牛獣人のノーザンちゃんと一緒に蛇達の前へ。
このパーティー、魔法使いが私しか居ないけれど大丈夫かな?
「“裂光爪”!!」
橙光の爪を左手に浮かべながら、黒い剣槍である“巨悪を穿て”で蛇を切り裂いていくザッカル。
「数が多いだけですね」
ノーザンちゃんは、翠の甲手で握る片手斧、“極寒の忍耐魂”を使って切り裂いていく。
獣人の人達って、明らかに生物と戦い慣れている節がある。
武器の扱いというか、やっぱり胆力みたいなのが私と違うな。
「私も、頑張らなきゃね!」
出来れば、このレギオンから抜けたくないから。
「“禍鎌切”」
鎌を振るい、ジグザグの刃を伸ばして蛇を狩っていく!
「せっかくだから試してみようかな――武器変更、“ゲイルサイズ”!」
“暗黒の大鎌”から、イエローグリーンの綺麗な鎌に持ち替える!
「“風刃”!」
巨大なカマキリの腕のような鎌を振るい、風の刃を飛ばし、まとめて四匹の首を薙いだ!
「終わりみたいだな」
空間が少し明るくなり、安全エリアに変化したのが分かる。
「メルシュちゃんが言っていた通り、全滅させたら宝箱が出て来ましたね」
あの数をもう全滅させてしまったのね……やっぱりこのレギオンのメンバーは、私が以前居たレギオンメンバーよりも一人一人が強い。
「へー、レアスキルをランダムに手に入れられるイベントだったけれど、これはうちのマスターが修得しちゃっても問題ないね」
シレイアさんが、この空間の真ん中に現れた宝箱を開けて中身を確認してからそう言った。
「……なんで? 相談しなくて良いの?」
「このカードは“太刀風のスキルカード”。刀剣を使わない人間には関係無いからね」
「じゃあ、遠慮無く」
スキルカードを受け取り、チョイスプレートを操作して使ってしまうユイちゃん。
「これってどういうの?」
「スキルを発動してから振ってみな」
「そう……“太刀風”――ハッ!!」
剣を目の前に振ると、邪気を払うかのように風が吹き荒れた!?
「……なにこれ?」
「剣の振り方で、風の発生の仕方が変わるよ」
「そう……」
ユイちゃんが、色んな振り方を試していく。
振り抜くと斬撃が飛んでいき、途中でスナップを利かせるとさっきみたいに風が剣の前に吹き荒れる。
「シレイアさん、盾で打けて貰える?」
「あいよ、マスター」
大きな雫状の盾を装備したシレイアさんに、太刀を振り下ろすユイちゃん!
「……やっぱり、ぶつけた時と空を切った時じゃ大分違うんだ……シレイアさん、もう一回」
その後も、何度か盾に向かって剣を振っていく。
「うん……大体分かった」
この前の訓練はサボっていたのに、今回は熱心なのね。
音もなく鞘に収めるその姿は、静謐な美しさを携えていた。
「そろそろ行こうぜ。息も整ったし」
「そうですね」
ザッカルもノーザンちゃんも、とても逞しい。
なんか、私だけ場違い感が凄いんだけれど。
「道は二つ。僕たちは左でしたね」
「じゃあ、ザッカル。”盗賊”のサブ職業を付けた状態で、先頭をよろしく」
「はいよ」
○左の道:海賊の財宝部屋。罠がいっぱい。
罠に対処するため、TPをあまり消費しないらしいザッカルが、罠解除を担当する。
●●●
○右の道:リザードマンの巣。突然変異が起きているかも。
「……突然変異ってなんだ?」
ルイーサが尋ねてきた。
「ランダムに、リザードマンの上位個体が出現する可能性があるってだけだよ。この前のパラディンリザードマンは上位個体に入るから、今更あれくらいのが数体出て来ても大した脅威にはならないでしょ」
「ジュリーが居ると心強いな」
今回私達は、サキ、ルイーサ、フェルナンダ、タマの五人でパーティーを組んでいる。
少々厄介なルートを通るため、攻守に優れたルイーサと”精霊魔法”を使えるフェルナンダの二人と組ませて貰ったのだ。
「リザードマンの数が徐々に増えていくし、種類も色々だから気を付けて」
フェルナンダに“シュメルの指輪”を装備して貰う事で、サキと契約している私とパーティーを組めるようにしてもらっている。
「……深いな」
右に進むと下り坂があり、すぐ脇には大穴が開いていて、螺旋状に下っていかねばならない。
「早速出て来たな。“精霊魔法”――シルフ!!」
壁を這い上がってくるリザードマンの集団に対し、フェルナンダが早速牽制を放った。
「壁からも出て来るのか」
目の前の壁を崩し、ロックリザードマンが出て来る。
「これ、飛び降りた方が早いのでは?」
「いや、地道に正面から倒していかないと、大多数のリザードマンに囲まれた状態で戦わないといけなくなる」
なにより、ここでは属性関係のスキルカードやアイテムがドロップする可能性があるからね。
「“抜剣”」
ルイーサが、“聖剣の鞘盾”から“ヴリルの聖剣”を抜く。
その剣は、鞘盾の“聖剣光輝”の効果で光輝いている。
「“光輝剣術”――シャイニングブレイド!」
ルイーサが、正面から来るリザードマン達を次々と斬り伏せていく。
「同じパーティーでダンジョンを探索するなんて初めてだったけれど……予想以上に頼りになるな」
アヤナやアオイが頼りにしていた理由がよく分かる。
装備なんかも含めて、ルイーサはどことなくコセに似ているし。
「マスター、早く追い掛けないと!」
鞭を振るうサキに指摘されて、ルイーサとフェルナンダがかなり先行していることに気付く!
「ちょ!」
意外と、アヤナ達の方がルイーサに合わせているのかもしれない……なんとなくだけれど、そんな気がした。
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