ダンジョン・ザ・チョイス
221.武器強化の宝飾剣
「Lv……いつの間にか2も上がっていたのか」
○戦士.Lv43になりました。武器強化の宝飾剣を選択してください。
●剣の宝飾剣 ●槍の宝飾剣 ●転剣の宝飾剣
●盾の宝飾剣 ●銛の宝飾剣 ●斧の宝飾剣
●棒の宝飾剣 ●爪の宝飾剣 ●甲の宝飾剣
:
:
○戦士.Lv44になりました。指輪左プラス1になります。
これで、左右の手に指輪を二つずつ装備出来るようになったんだな。
魔法使いのメルシュは、左右合わせて六つか。
「メルシュ……は居ないか」
家の入り口の廊下にあるコンソールを使い、レギオンへの入団希望者と連絡を取り合うって言ってたっけ。
俺も立ち会おうと思ったのだが、腕の中のモモカが眠ったままなので、食堂に座ったままチョイスプレートを弄ることにしたのだ。
「コセ……大丈夫?」
「へ?」
ジュリーが、本当に心配そうに尋ねてくる。
「体調なら悪くないぞ?」
「それにしては……なんというか、簡単にどこかに消えてしまいそうな雰囲気……みたいなのを……ごめん、なんでもない!」
自分の言葉に、恥ずかしさを覚えたようだ。
「大丈夫、ちゃんとみんなの傍に居るよ」
「……そっか」
特に考えずに発した言葉だったけれど、ジュリーは安心したようだ。
「ちょうど良かった。Lv43で手に入る、宝飾剣について教えてくれ」
「ああ、宝飾剣か……宝飾剣はその他装備欄を使うアイテムで、装備するだけで対応した武器の性能を少しだけ強化してくれる物だよ。Bランクだから、恩恵は大した事ないけれど」
宝飾剣の名の通り、言わば儀礼用の剣なのか。
「となると、俺は”剣の宝飾剣”一択か」
「そうだね。魔法使いだと属性強化の宝飾剣になるけれど、コセの場合は剣がベストだろう」
ジュリーのお墨付きもあり、俺は“剣の宝飾剣”を選択し、早速装備してみる。
「……小さいな」
腰に出現したそれを手に取ると、幅広のナイフのような感じで、剣の意匠と宝石が鏤められた金と銀の短剣だった。
「武器として使えなくもないけれど、性能としては最低のFランク程度だから、当てにしないようにね」
つまり、ゴブリンが使っていた粗雑シリーズと同じだと。
なんだか、急に見窄らしく見えてきたな。
元々、こういうゴテゴテしたのは好きじゃないけれど。
「コセ……」
メグミさんが声を掛けてくる。
「ん?」
「その……初めて会ったとき、酷いこと言って悪かった……申し訳ない」
メグミさんが頭を下げた!?
そう言えばあの時、お金で買おうとする行為を気持ち悪いって言われてったんだっけ。
「仕方ないさ、奴隷になってたんだし。俺も急いでたから、あまり配慮しなかったし」
「それこそ仕方ないさ……今更だが、あの時のお詫びに……一回だけ、なんでも言うことを聞いてやる」
「へ?」
一回だけなんでもって……メグミさんの事だから、俺を信頼して言ってくれてるんだろうけれど。
「まあ……考えておくよ」
ここで断っても拗れそうだし、あとで適当なお願いでもすれば良いか。
★
「じゃあ、前回の突発クエストのアイテム分配を始めるよ」
食堂のテーブル上に数々の武具が並べられ、メルシュが分配を取り仕切る。
前回の突発クエストの時より遥かに少ないけれど、見た感じ、どれもそれなりに性能が高そうだ。
「まず、この“煉獄悪魔の滾り翼”Bランクだけれど……」
「「「ユリカだろ」」」
全員の心が、煉獄という単語により一つになった。
「いや、別に良いんだけれどさ……」
ユリカが、複雑そうな表情のまま紫炎の四翼をチョイスプレートにしまう。
「で、もしかしてこれって、神代文字対応だったりするの?」
「うん、あとで試してみて」
つまり、これでユリカも複数の神代文字対応武具を持つことになるのか。
「“ゲイルサイズ”は鎌だし、使うのはカナで良い?」
「うん、異議無し」
「ああ、あ、ありがとうございます!」
普段、色んなタイプの武器を使いたがるアオイが遠慮した事により、自動的にカナの手に渡る。
カナは相変わらず吃っているけれど、初めて会った頃よりは大分マシになったな。
まあ、感受性が強いからこそなんだろうけれど。
もしかしたら、俺よりも感じやすいタイプなのかな?
それとも、只単に情緒が不安定なだけだろうか?
「次は、“雄大なる大地の風”っていうBランクの斧なんだけれど」
メルシュが手にしたのは、白緑の斧……メルシュの髪の色と似ている。
「この斧は投げ斧なんだけれど、ノーザンかトゥスカが妥当かな」
「でしたら、トゥスカお姉様が使ってください。僕は投げるのが苦手なので」
「良いの、ノーザン?」
「取り回しやすくて、投擲武器としても使える。転剣をメインにする弱点を補ってくれるだろうし、アタシもトゥスカが使うべきだと思うね」
ノーザンが遠慮すると、数多の武器を使いこなす、アマゾネスのシレイアが利点を説いた。
「では、遠慮なく」
「ちなみに、その斧も神代文字対応だから」
「「「やっぱりか」」」
もう、完全に名前で分かってしまう。
「“聖遺物の鞘盾”、Aランク。これはルイーサが使うべきだね」
「盾なら、メグミの方が良いのではないか?」
ルイーサ……メグミさんへの不信感が、本当に綺麗に無くなったようだ。
「この盾には剣を納められて、抜いた直後に一度だけ、剣によるスキル、もしくは効果攻撃を増大させるんだよ」
「完全にルイーサ向きだな。私は剣を使わないし」
メグミさんが辞退する。
「ならコセは? コセだってたまに盾を使ってるだろう?」
「武器が聖剣に分類される剣じゃないと威力を増大出来ないから、今のところルイーサの”ヴリルの聖剣”しか対応していないよ」
「そうなのか……なら、遠慮なく使わせて貰おう」
剣を納める部分がある歪な六角形の白盾を、ルイーサが手にした。
「この指輪、“混沌の剣の指輪”は私が使わせて貰うね」
“混沌魔法”を使うメルシュとは、相性が良いのだろう。
「では、私に“金剛の巨腕の指輪”を譲って戴けませんか? メルシュ」
ヨシノがそう口にした。
「良いよ」
「なら、ついでにこれも受け取って」
ユリカが、赤いメダルを差し出した?
「これは“星屑魔法使い”のサブ職業では? 宜しいのですか、マイマスター?」
「ますます煉獄魔法に特化していくし、攻撃手段が限られるヨシノの方が有効活用出来そうでしょう」
「そう言う事なら、私の“栄光の杖”も受け取って」
サトミさんが、Aランクの大杖をヨシノに手渡す。
「ありがとうございます、サトミさん」
確かに、ヨシノの装備は他の面子に比べても貧弱だったな。サトミさんは神代文字対応の杖があるし。
今まではユリカのサポートがメインだったけれど、昨日のように植物が無い場所だと、単体での戦闘力の低さが響くからな。
「この剣、格好いぃですねぇ!」
クリスが、剣の先端に筒がついた赤黒の無骨な大剣を手にする。
どことなく、キクルが使っていたバカでかい巨剣に似ているな。
「“砲火剣・イグニス”、Aランク。先端から砲撃することも可能な火属性の武具」
「これぇ、私使ったらぁ、ダメですかぁ?」
「クリスは予備武器の性能がイマイチだし、悪くはないけれど……」
メルシュが渋る……いや、悩んでいるのか。
「私、銃の使い方ぁ、知ってまぁす」
さすが、銃社会の国に生まれた女。
「大型銃器の使い方も?」
「アサルトライフルはありまぁす! 持ち手の感じはぁ、ミニマムが近いですかねぇ?」
クリス……普段はそっちの喋り方にするんだ。
「コセさんは男の子だし、やっぱり銃に詳しいの?」
サトミさんが尋ねてくる。
「いや、嫌いじゃないけれど、詳しくはないですね」
銃の区分くらいなら少しは分かるけれど、どこ社製のなになにとか言われてもサッパリ分からん。
戦車やら銃を、各国の軍需会社が一堂に会して宣伝するイベントなんかはあるみたいだけれど。
「そう言う事なら、クリスが一番上手く扱えるかもね」
「そんな事ありませんよ~。日本人スナイパーの化け物ぶりは、軍隊好きの間では有名でぇす。戦闘機や戦車でも、数世代分の性能差を技量で覆してくるという伝説ぅ、私、知ってまぁす!」
「そうなの、コセさん?」
「アメリカとまともに軍事演習が出来るのは、日本くらいだって聞いたことはありますけど」
自衛隊の戦車の命中率の凄さとか、ドッグファイトでアメリカのトップガンの自信を喪失させたとか、アメリカが日本の潜水艦を発見できなかったとか。
「じゃあ、次はー」
その後も、武具の分配会議……というか、メルシュの仕分け作業が続いていく。
○戦士.Lv43になりました。武器強化の宝飾剣を選択してください。
●剣の宝飾剣 ●槍の宝飾剣 ●転剣の宝飾剣
●盾の宝飾剣 ●銛の宝飾剣 ●斧の宝飾剣
●棒の宝飾剣 ●爪の宝飾剣 ●甲の宝飾剣
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○戦士.Lv44になりました。指輪左プラス1になります。
これで、左右の手に指輪を二つずつ装備出来るようになったんだな。
魔法使いのメルシュは、左右合わせて六つか。
「メルシュ……は居ないか」
家の入り口の廊下にあるコンソールを使い、レギオンへの入団希望者と連絡を取り合うって言ってたっけ。
俺も立ち会おうと思ったのだが、腕の中のモモカが眠ったままなので、食堂に座ったままチョイスプレートを弄ることにしたのだ。
「コセ……大丈夫?」
「へ?」
ジュリーが、本当に心配そうに尋ねてくる。
「体調なら悪くないぞ?」
「それにしては……なんというか、簡単にどこかに消えてしまいそうな雰囲気……みたいなのを……ごめん、なんでもない!」
自分の言葉に、恥ずかしさを覚えたようだ。
「大丈夫、ちゃんとみんなの傍に居るよ」
「……そっか」
特に考えずに発した言葉だったけれど、ジュリーは安心したようだ。
「ちょうど良かった。Lv43で手に入る、宝飾剣について教えてくれ」
「ああ、宝飾剣か……宝飾剣はその他装備欄を使うアイテムで、装備するだけで対応した武器の性能を少しだけ強化してくれる物だよ。Bランクだから、恩恵は大した事ないけれど」
宝飾剣の名の通り、言わば儀礼用の剣なのか。
「となると、俺は”剣の宝飾剣”一択か」
「そうだね。魔法使いだと属性強化の宝飾剣になるけれど、コセの場合は剣がベストだろう」
ジュリーのお墨付きもあり、俺は“剣の宝飾剣”を選択し、早速装備してみる。
「……小さいな」
腰に出現したそれを手に取ると、幅広のナイフのような感じで、剣の意匠と宝石が鏤められた金と銀の短剣だった。
「武器として使えなくもないけれど、性能としては最低のFランク程度だから、当てにしないようにね」
つまり、ゴブリンが使っていた粗雑シリーズと同じだと。
なんだか、急に見窄らしく見えてきたな。
元々、こういうゴテゴテしたのは好きじゃないけれど。
「コセ……」
メグミさんが声を掛けてくる。
「ん?」
「その……初めて会ったとき、酷いこと言って悪かった……申し訳ない」
メグミさんが頭を下げた!?
そう言えばあの時、お金で買おうとする行為を気持ち悪いって言われてったんだっけ。
「仕方ないさ、奴隷になってたんだし。俺も急いでたから、あまり配慮しなかったし」
「それこそ仕方ないさ……今更だが、あの時のお詫びに……一回だけ、なんでも言うことを聞いてやる」
「へ?」
一回だけなんでもって……メグミさんの事だから、俺を信頼して言ってくれてるんだろうけれど。
「まあ……考えておくよ」
ここで断っても拗れそうだし、あとで適当なお願いでもすれば良いか。
★
「じゃあ、前回の突発クエストのアイテム分配を始めるよ」
食堂のテーブル上に数々の武具が並べられ、メルシュが分配を取り仕切る。
前回の突発クエストの時より遥かに少ないけれど、見た感じ、どれもそれなりに性能が高そうだ。
「まず、この“煉獄悪魔の滾り翼”Bランクだけれど……」
「「「ユリカだろ」」」
全員の心が、煉獄という単語により一つになった。
「いや、別に良いんだけれどさ……」
ユリカが、複雑そうな表情のまま紫炎の四翼をチョイスプレートにしまう。
「で、もしかしてこれって、神代文字対応だったりするの?」
「うん、あとで試してみて」
つまり、これでユリカも複数の神代文字対応武具を持つことになるのか。
「“ゲイルサイズ”は鎌だし、使うのはカナで良い?」
「うん、異議無し」
「ああ、あ、ありがとうございます!」
普段、色んなタイプの武器を使いたがるアオイが遠慮した事により、自動的にカナの手に渡る。
カナは相変わらず吃っているけれど、初めて会った頃よりは大分マシになったな。
まあ、感受性が強いからこそなんだろうけれど。
もしかしたら、俺よりも感じやすいタイプなのかな?
それとも、只単に情緒が不安定なだけだろうか?
「次は、“雄大なる大地の風”っていうBランクの斧なんだけれど」
メルシュが手にしたのは、白緑の斧……メルシュの髪の色と似ている。
「この斧は投げ斧なんだけれど、ノーザンかトゥスカが妥当かな」
「でしたら、トゥスカお姉様が使ってください。僕は投げるのが苦手なので」
「良いの、ノーザン?」
「取り回しやすくて、投擲武器としても使える。転剣をメインにする弱点を補ってくれるだろうし、アタシもトゥスカが使うべきだと思うね」
ノーザンが遠慮すると、数多の武器を使いこなす、アマゾネスのシレイアが利点を説いた。
「では、遠慮なく」
「ちなみに、その斧も神代文字対応だから」
「「「やっぱりか」」」
もう、完全に名前で分かってしまう。
「“聖遺物の鞘盾”、Aランク。これはルイーサが使うべきだね」
「盾なら、メグミの方が良いのではないか?」
ルイーサ……メグミさんへの不信感が、本当に綺麗に無くなったようだ。
「この盾には剣を納められて、抜いた直後に一度だけ、剣によるスキル、もしくは効果攻撃を増大させるんだよ」
「完全にルイーサ向きだな。私は剣を使わないし」
メグミさんが辞退する。
「ならコセは? コセだってたまに盾を使ってるだろう?」
「武器が聖剣に分類される剣じゃないと威力を増大出来ないから、今のところルイーサの”ヴリルの聖剣”しか対応していないよ」
「そうなのか……なら、遠慮なく使わせて貰おう」
剣を納める部分がある歪な六角形の白盾を、ルイーサが手にした。
「この指輪、“混沌の剣の指輪”は私が使わせて貰うね」
“混沌魔法”を使うメルシュとは、相性が良いのだろう。
「では、私に“金剛の巨腕の指輪”を譲って戴けませんか? メルシュ」
ヨシノがそう口にした。
「良いよ」
「なら、ついでにこれも受け取って」
ユリカが、赤いメダルを差し出した?
「これは“星屑魔法使い”のサブ職業では? 宜しいのですか、マイマスター?」
「ますます煉獄魔法に特化していくし、攻撃手段が限られるヨシノの方が有効活用出来そうでしょう」
「そう言う事なら、私の“栄光の杖”も受け取って」
サトミさんが、Aランクの大杖をヨシノに手渡す。
「ありがとうございます、サトミさん」
確かに、ヨシノの装備は他の面子に比べても貧弱だったな。サトミさんは神代文字対応の杖があるし。
今まではユリカのサポートがメインだったけれど、昨日のように植物が無い場所だと、単体での戦闘力の低さが響くからな。
「この剣、格好いぃですねぇ!」
クリスが、剣の先端に筒がついた赤黒の無骨な大剣を手にする。
どことなく、キクルが使っていたバカでかい巨剣に似ているな。
「“砲火剣・イグニス”、Aランク。先端から砲撃することも可能な火属性の武具」
「これぇ、私使ったらぁ、ダメですかぁ?」
「クリスは予備武器の性能がイマイチだし、悪くはないけれど……」
メルシュが渋る……いや、悩んでいるのか。
「私、銃の使い方ぁ、知ってまぁす」
さすが、銃社会の国に生まれた女。
「大型銃器の使い方も?」
「アサルトライフルはありまぁす! 持ち手の感じはぁ、ミニマムが近いですかねぇ?」
クリス……普段はそっちの喋り方にするんだ。
「コセさんは男の子だし、やっぱり銃に詳しいの?」
サトミさんが尋ねてくる。
「いや、嫌いじゃないけれど、詳しくはないですね」
銃の区分くらいなら少しは分かるけれど、どこ社製のなになにとか言われてもサッパリ分からん。
戦車やら銃を、各国の軍需会社が一堂に会して宣伝するイベントなんかはあるみたいだけれど。
「そう言う事なら、クリスが一番上手く扱えるかもね」
「そんな事ありませんよ~。日本人スナイパーの化け物ぶりは、軍隊好きの間では有名でぇす。戦闘機や戦車でも、数世代分の性能差を技量で覆してくるという伝説ぅ、私、知ってまぁす!」
「そうなの、コセさん?」
「アメリカとまともに軍事演習が出来るのは、日本くらいだって聞いたことはありますけど」
自衛隊の戦車の命中率の凄さとか、ドッグファイトでアメリカのトップガンの自信を喪失させたとか、アメリカが日本の潜水艦を発見できなかったとか。
「じゃあ、次はー」
その後も、武具の分配会議……というか、メルシュの仕分け作業が続いていく。
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