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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

207.ゲームの外の世界

「スースー……」

 右側から抱き付いているタマから、寝息が聞こえてくる。

 ……俺は、自分が恥ずかしい。

 タマとスゥーシャの言葉を、前提と決めつけていた自分が。

 婚姻の指輪の存在が、俺の軽薄な部分を助長させている気がする。

 ……タマの体温、あったかいな。

 逆に、左側のスゥーシャの体温は人並みよりも低い気がする。人魚族の特徴なのだろうか?

 ……それと、寝るとき下半身は人間のそれになるんだよな。

 前に、モモカとヨシノも交えて一緒に寝たときに知って驚いたのが、遠い出来事のよう。

 アレからまだ、一ヶ月も経っていないっていうのに。

 それにしても、二人とも小柄だな……ますます罪悪感が込み上げてきた!

「コセ様……」

 スゥーシャが小声で話し掛けてくる。

「すみません……今宵は夜伽を務めるつもりだったのですが」

 太股まで届く白い髪を持った、愛らしい少女の告白に――胸が締め付けられてしまう!!

「よ、夜伽って」

 タマは一緒に寝るだけのつもりで……スゥーシャはそういうコトまでスるつもりだったと……へ?

「さ、さっき廊下で、神代文字がどうのって言っていたけれど……」

 王家の血より濃いとか……ん、王家?

「王家には、デルタに内緒で神代文字の伝承が伝えられていました。父や母は眉唾とまともに取り合わないくらい廃れた伝承ですけれど、姉さんが古文書のような物を城の中で見つけ出して」

 そう言えば、ノーザンは最初から文字について知っていたようだったけれど、トゥスカやザッカルはまるで知らなかったようだし……デルタによって情報統制されていたって事か。

「そう言えば、ダンジョンの外の世界がどうなっているのか、あまり聞いたことがなかったな」

 目の前のこと、このゲームの裏事情にばかり目が行っていて、そっちに考えを巡らす余裕が無かった。

「私の国は人魚族だけの国で、綺麗な湖と河が幾つも流れています。大自然に囲まれて、とても綺麗なところですよ」
「そうなのか……」

 人魚だけの国。やっぱり、ファンタジーゲームのように様々な種族が存在する世界って事か。

「ダンジョン・ザ・チョイスを終わらせたら、国に帰るのか?」
「……いいえ。実は、デルタの方針で、私達は他種族とは殆ど交流しておらず、他種族同士の婚姻も許されていないのです。全ての地域でそうなのかまでは知りませんけれど」

 スゥーシャの手が、俺の左脚を妖しく撫でていく!

「私の国はデルタの操り人形。今日の話を聞く前から、奴隷にされた日から……私は祖国と縁を切りました……切らされたとも言えますけれど」

 ゲーム内で出会ったこの世界の住人達は皆、デルタの都合で無理矢理奴隷にされ、俺達に買わせるために連れて来られ、配置されたらしい。

 メルシュが以前、俺が嫌だと思うことの殆どが、神に愛される素質を腐らせる事だと言っていた。

 ライトワーカーが持つその素質を腐らせるのがデルタ側の目的なら、たったそれだけのために、この世界の住人の人生を弄んでいることになる。

 奴隷を買うという経験をさせる。只それだけのために。

 いや、奴隷を所持しているというだけでも悦に浸ったり、邪な考えを想起してしまう可能性もある。

 多分だけれど、そういう狙いもあるのかもしれない。

 よく、お金を手にして人が変わったとか、芸能界で人気者になったことで、何でも許されると勘違いしたなんて聞くしな。

「だから、コセ様達と……ずっと一緒に居たいです」

 強く身を寄せてくるスゥーシャ。

「……スゥーシャ」
「今日姉さんに会って、文字の力を引き出してみて……支えになるなにか……コセ様が欲しいって……強く感じたんです」

 震えた可愛らしい声が耳に届くと、スゥーシャの顔がゆっくりと近付いてくる。

「私じゃ……ダメですか?」

 また、トゥスカに内心で嫉妬されそうだな。

「スゥーシャ……ありがとう」

 俺を選んでくれて。

「ん……ん♡」

 唇を重ねると、スゥーシャの方から積極的に絡ませてきた。

「チュパ、ん♡ ……ハアハア、ハアハア♡」
「意外と、スゥーシャは情熱的だ……なぁ…………」

 ――寝ていたはずのタマが、こちらをジーッと恥ずかしげに見ている!!

「す、スゥーシャさんのエッチ♡」
「タマさんも、キスしませんか?」
「……うん♡」

 俺の胸を這ってきて、タマの唇も近付いてきた。

「良いのか、タマ?」
「コセ様が良ければ」

 空気に呑まれているとは思いたくないけれど、タマもスゥーシャも、もう俺の物にしたくて仕方なくなっている。

「好きです、コセ様♡」
「俺もだよ」

 愛人宣言されたときは困ったけれど、アレが切っ掛けで、少なからず意識させられてたんだよな。

 タマと唇を重ねると、スゥーシャが俺の身体を弄り始める。


●●●


「フー……気持ち良かった」

 いつもよりも早く目が覚めたから、三つの家の周りをランニングし、お風呂に入った。

 早く起きたのは……昨夜、サトミ達の追求によって悶々とさせられたからだろうな。

 私は別に、コセの事なんて……。

「……朝食までもう少し時間があるし、紅茶でも飲んでゆっくり……」

 自室に向かって廊下を歩いていたら……コセの寝室の扉が開いて――衣服の乱れたタマとスゥーシャが出て来たッ!!?

「あ……お、おはようございます、メグミさん」
「お、おはようございます!」

 ……二人の顔が昨日以上の羞恥を帯びている上、幸せオーラが凄い!!

 この空気……ユリカやナオ達がコセと…………。

「お、おはよう」

 私の返事もそこそこに、二人がそそくさと階段を降りていった。

「……コセ、あの二人にまで手を出したのか」
「昨夜は凄かった。二人の愛らしい本気の嬌声は、まさに芸術」
「わッ!!? ……ゆ、ユイか」

 気をぬいていたとはいえ、接近に全然気付かなかった!

「レパートリーが増えて、私は嬉しい」
「そ、そうか」

 ユイのその趣味だけは、一生理解出来る気がしない。

 本当……あの星の人類は、良くも悪くも多様的な在り方をしているよな。

 ……地球人に転生して不便に思うことも少なくなかったけれど……サトミと出会ってからは、悪くない人生だと思える。

 …………レパートリーってなんだ?

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