ダンジョン・ザ・チョイス
181.明星の翼と金星の力
「トワイライトスプランター!!」
ジュリーに当たらない方向に敵を誘導し、ようやく魔法を放てた!
「“魔斬り”!」
黄昏の雷を、難なく斬られた!!?
「拙者、これでもレギオン内ではナンバー2だったでござるよ」
ムカつくくらい強い!
剣技では完全に負けているし、こちらの攻撃はことごとく対処されてしまっている。
「君ほど強い女の子は初めてでござる。コレクションに加えがいがあるでござるよ!」
「いい加減にしろ!! “明星の翼”!!」
“明星の遣いの嘆き”を背中に生み出し、飛翔する!
「飛ばれるのは厄介でござるなぁ」
「“二重魔法”、“天雷魔法”――サンダラヘブンス!!」
頭上からの無差別攻撃ならどうだ!!
「“調伏”」
太刀を頭上に掲げると、爪の生えた白い雷が全て消失した!?
「まさか……Sランクの“調伏の太刀”!!」
全ての魔法攻撃を消し去る、防御重視の武器!
タマの“魔術師殺しの槍”は、魔法系統の防御スキル、“魔法障壁”さえもまとめて貫く事が可能だけれど、魔法に対する単純な防御能力で言えば、“調伏の太刀”の方が圧倒的に優秀。
「その様子、このゲームの経験者と見たでござる」
コイツも私と同じ、オリジナルプレイヤー!!
「認知度が高いゲームじゃなかったから、オリジナルを知っている者に会えるのは嬉しいでござるよ!」
レギオン《攻略中毒》。
思っていた以上に厄介な連中だったか。
「このゲームは神ゲーでござる! どういうわけか、フルダイブ状態でプレイ出来ているでござるからなぁ!」
オリジナルならともかく!!
「最悪のクソゲーの間違いでしょう!」
「クククク! 強い者がやりたい放題出来るのだから、神ゲーの中の神ゲーに決まっているでござるよ!!」
「好き放題やった結果、傷付く人達がたくさん生まれる! 誰かを踏み躙ってまで、悦に浸りたいのか、お前は!!」
「勝った者にはその権利が与えられる! それが世の中だって事は、拙者達がいたあの世界が証明しているでござる!」
一パーセントのエリートによって、金融的に支配されているという世界。
デルタの存在を知るまでは半信半疑だったけれど、私達の世界は心の無い者達によって日々悪化する日常に耐えていた。
日本の政界も、他国に魂を売った者達が着々と議席数を増やしていると、オルフェが言っていた。
第三次世界大戦が起きずして、逆らえぬほど強固に、世界は闇の勢力に掌握されつつあるとも。
「だから、自分もそちら側になると?」
「正直者はバカを見る。人を騙し、節操無しに、やりたいように生きる人間だけが良い想いが出来る。あの世界も、この世界も、そういう場所でござる!! “跳弾”!」
壁を蹴って、猛スピードで接近してくる!
「見下げ果てた奴」
私にも、きっとコセやトゥスカ、ルイーサにだって、そんな情けなくて惨めな生き方――絶対に選べない!!
だって私達は――――人であり続けたいから!!
「“飛王剣”ござるッ!!」
“飛剣”の上位スキルを、”高次領域”の効果が適用された翼に包まれることで防ぎきった。
「な!!? ビクともしていないでござるか?」
「ちょっと、チートを使わせて貰ったわ」
神代文字というチートをね。
「ほとんど偶然だけれど」
“明星の遣いの嘆き”の右翼には、青い三文字が刻まれていた。
パーティーメンバー以外の攻撃の威力を減衰させる”高次領域”と組み合わさったことで、Sランクスキルの攻撃でも完全に防げたよう。
「チート? そんなツールを持ち込めたでござるか!? ズルいでござる!!」
青い奔流が私に、目の前の畜生を滅ぼしてあげろと訴え掛けてくる。
そんな気がして仕方ない。
「貴方に、このチートを使う権利はないわ!」
この力はきっと、目の前の男のような卑怯者と……世界の闇に抗うため、私達のような存在に与えられた力なのだから!!
「貴方を滅ぼしてあげる! 金星球!! ”回転”、“磁力”!」
壁を蹴りながら動き回る相手に、高速回転させた“金星球”を反発させて撃ち出す!
「“深淵刀剣術”――奈落断ち!!」
藍色の深淵の力と、黄金の球体がぶつかり合い、拮抗していた。
「これが、“金星球の指輪”の力だ。“万雷魔法”、トワイライトスプランター!!」
”金星球”に黄昏の雷をぶつけ、吸収させる!
「あああああああッッッ!!」
“金星球”が“放電”しながら、突撃の威力を増す!
雷属性の攻撃を吸収し、威力が高ければ高いほど増大させる“黄昏の女神”の効果。
これが、スキルが通用しない相手にも対抗できる――私が見つけ出した戦術!!
「なんで!! なんで!! ようやく拙者のッ!!」
「貴方が言ったのよ。勝った者が全てを手に入れるって」
お前達のような存在に抗うため、同じ土俵に立って勝負したに過ぎない。
「この――卑怯者がぁぁぁッッッ!!」
金星球により、ござる口調の負け犬は圧死した。
……あんな男でも、精神的にキツいな。
あの時……第二ステージのボス扉前で、コセを殺さずに済んで本当に良かった。
「さすがにやるな、ジュリー」
「そっちも終わったみたいね」
ルイーサも勝ったらしい。
「ジュリー! ルイーサ!」
文字と翼を消し、疲労の余韻に浸っているとトゥスカが現れ、その後ろからノーザンも駆けてくる。
「ご主人様を見なかった?」
「いや、コセどころか仲間はルイーサ以外誰も見ていない」
「私もだ。さっきまで、二人でずっとここで戦っていたからな」
「く! じゃあ、あと上は何階分あるか分かる?」
ここに庭園の入り口があるって事は……。
「あと二階分だな。その上が屋上になる」
オリジナルと同じなら、あっているはずだ。
「……鍵は全部で幾つ持ってる?」
「私は1だ」
「私は2」
ござる野郎は幹部だったらしい。
そう言えば、自分はナンバー2とか言ってたか。
「私は、メグミとクマムから預かった分を合わせて11本。ノーザンは?」
「ハァー、ハァー……ご、5本です!」
ノーザン、トゥスカのペースに合わせようと必死だったんだな。
「全部で19か。あと三分の一足りないな」
「全員で上に行って、ご主人様を捜してちょうだい! ご主人様は消耗してて、ちょっとマズい状況なの。もし鍵が集まったら、屋上に行ってこの突発クエストを終わらせましょう!」
クエストさえ終わらせてしまえば、狙われる危険は一応無くなるか。
それにしても、トゥスカがこんなに慌ててるなんて。
転移前に見たときは、怪我をしている様子は無かったけれど。
「分かった。行こう!」
「ゼー、ゼー、すいまぜん……さぎに……行っででくだざい」
「……私が残るから、トゥスカとジュリーは先に行っててくれ。一応、この階の確認をしておくから」
ノーザンとルイーサからトゥスカが鍵を受け取り、私達は急ぎ階段へと向かった。
ジュリーに当たらない方向に敵を誘導し、ようやく魔法を放てた!
「“魔斬り”!」
黄昏の雷を、難なく斬られた!!?
「拙者、これでもレギオン内ではナンバー2だったでござるよ」
ムカつくくらい強い!
剣技では完全に負けているし、こちらの攻撃はことごとく対処されてしまっている。
「君ほど強い女の子は初めてでござる。コレクションに加えがいがあるでござるよ!」
「いい加減にしろ!! “明星の翼”!!」
“明星の遣いの嘆き”を背中に生み出し、飛翔する!
「飛ばれるのは厄介でござるなぁ」
「“二重魔法”、“天雷魔法”――サンダラヘブンス!!」
頭上からの無差別攻撃ならどうだ!!
「“調伏”」
太刀を頭上に掲げると、爪の生えた白い雷が全て消失した!?
「まさか……Sランクの“調伏の太刀”!!」
全ての魔法攻撃を消し去る、防御重視の武器!
タマの“魔術師殺しの槍”は、魔法系統の防御スキル、“魔法障壁”さえもまとめて貫く事が可能だけれど、魔法に対する単純な防御能力で言えば、“調伏の太刀”の方が圧倒的に優秀。
「その様子、このゲームの経験者と見たでござる」
コイツも私と同じ、オリジナルプレイヤー!!
「認知度が高いゲームじゃなかったから、オリジナルを知っている者に会えるのは嬉しいでござるよ!」
レギオン《攻略中毒》。
思っていた以上に厄介な連中だったか。
「このゲームは神ゲーでござる! どういうわけか、フルダイブ状態でプレイ出来ているでござるからなぁ!」
オリジナルならともかく!!
「最悪のクソゲーの間違いでしょう!」
「クククク! 強い者がやりたい放題出来るのだから、神ゲーの中の神ゲーに決まっているでござるよ!!」
「好き放題やった結果、傷付く人達がたくさん生まれる! 誰かを踏み躙ってまで、悦に浸りたいのか、お前は!!」
「勝った者にはその権利が与えられる! それが世の中だって事は、拙者達がいたあの世界が証明しているでござる!」
一パーセントのエリートによって、金融的に支配されているという世界。
デルタの存在を知るまでは半信半疑だったけれど、私達の世界は心の無い者達によって日々悪化する日常に耐えていた。
日本の政界も、他国に魂を売った者達が着々と議席数を増やしていると、オルフェが言っていた。
第三次世界大戦が起きずして、逆らえぬほど強固に、世界は闇の勢力に掌握されつつあるとも。
「だから、自分もそちら側になると?」
「正直者はバカを見る。人を騙し、節操無しに、やりたいように生きる人間だけが良い想いが出来る。あの世界も、この世界も、そういう場所でござる!! “跳弾”!」
壁を蹴って、猛スピードで接近してくる!
「見下げ果てた奴」
私にも、きっとコセやトゥスカ、ルイーサにだって、そんな情けなくて惨めな生き方――絶対に選べない!!
だって私達は――――人であり続けたいから!!
「“飛王剣”ござるッ!!」
“飛剣”の上位スキルを、”高次領域”の効果が適用された翼に包まれることで防ぎきった。
「な!!? ビクともしていないでござるか?」
「ちょっと、チートを使わせて貰ったわ」
神代文字というチートをね。
「ほとんど偶然だけれど」
“明星の遣いの嘆き”の右翼には、青い三文字が刻まれていた。
パーティーメンバー以外の攻撃の威力を減衰させる”高次領域”と組み合わさったことで、Sランクスキルの攻撃でも完全に防げたよう。
「チート? そんなツールを持ち込めたでござるか!? ズルいでござる!!」
青い奔流が私に、目の前の畜生を滅ぼしてあげろと訴え掛けてくる。
そんな気がして仕方ない。
「貴方に、このチートを使う権利はないわ!」
この力はきっと、目の前の男のような卑怯者と……世界の闇に抗うため、私達のような存在に与えられた力なのだから!!
「貴方を滅ぼしてあげる! 金星球!! ”回転”、“磁力”!」
壁を蹴りながら動き回る相手に、高速回転させた“金星球”を反発させて撃ち出す!
「“深淵刀剣術”――奈落断ち!!」
藍色の深淵の力と、黄金の球体がぶつかり合い、拮抗していた。
「これが、“金星球の指輪”の力だ。“万雷魔法”、トワイライトスプランター!!」
”金星球”に黄昏の雷をぶつけ、吸収させる!
「あああああああッッッ!!」
“金星球”が“放電”しながら、突撃の威力を増す!
雷属性の攻撃を吸収し、威力が高ければ高いほど増大させる“黄昏の女神”の効果。
これが、スキルが通用しない相手にも対抗できる――私が見つけ出した戦術!!
「なんで!! なんで!! ようやく拙者のッ!!」
「貴方が言ったのよ。勝った者が全てを手に入れるって」
お前達のような存在に抗うため、同じ土俵に立って勝負したに過ぎない。
「この――卑怯者がぁぁぁッッッ!!」
金星球により、ござる口調の負け犬は圧死した。
……あんな男でも、精神的にキツいな。
あの時……第二ステージのボス扉前で、コセを殺さずに済んで本当に良かった。
「さすがにやるな、ジュリー」
「そっちも終わったみたいね」
ルイーサも勝ったらしい。
「ジュリー! ルイーサ!」
文字と翼を消し、疲労の余韻に浸っているとトゥスカが現れ、その後ろからノーザンも駆けてくる。
「ご主人様を見なかった?」
「いや、コセどころか仲間はルイーサ以外誰も見ていない」
「私もだ。さっきまで、二人でずっとここで戦っていたからな」
「く! じゃあ、あと上は何階分あるか分かる?」
ここに庭園の入り口があるって事は……。
「あと二階分だな。その上が屋上になる」
オリジナルと同じなら、あっているはずだ。
「……鍵は全部で幾つ持ってる?」
「私は1だ」
「私は2」
ござる野郎は幹部だったらしい。
そう言えば、自分はナンバー2とか言ってたか。
「私は、メグミとクマムから預かった分を合わせて11本。ノーザンは?」
「ハァー、ハァー……ご、5本です!」
ノーザン、トゥスカのペースに合わせようと必死だったんだな。
「全部で19か。あと三分の一足りないな」
「全員で上に行って、ご主人様を捜してちょうだい! ご主人様は消耗してて、ちょっとマズい状況なの。もし鍵が集まったら、屋上に行ってこの突発クエストを終わらせましょう!」
クエストさえ終わらせてしまえば、狙われる危険は一応無くなるか。
それにしても、トゥスカがこんなに慌ててるなんて。
転移前に見たときは、怪我をしている様子は無かったけれど。
「分かった。行こう!」
「ゼー、ゼー、すいまぜん……さぎに……行っででくだざい」
「……私が残るから、トゥスカとジュリーは先に行っててくれ。一応、この階の確認をしておくから」
ノーザンとルイーサからトゥスカが鍵を受け取り、私達は急ぎ階段へと向かった。
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