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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

177.魔性の罪

「“混沌魔法”、カオスレイ」
「“精霊魔法”、シルフ!」

 私とフェルナンダの魔法が、二人の冒険者を始末する。

「助かったわ、フェルナンダ」

 転移して早々にフェルナンダが駆け付けてくれなかったら、どうなっていたことか。

「メルシュ。転移先に居たのがどっちも同じレギオン所属だったのは、偶然だと思うか?」
「どっちも女に対して嗜虐的な思考を持っていたみたいだから、狙っていたかもね」

 この特殊レギオン戦、おそらく私達を潰す、もしくは戦力を削るのが目的と見た。

「まあ、この程度の逆境くらいどうにか出来ないと」
「そうだな」

「あ、二人とも、ここに居たんだ」
「どうやら、私達隠れNPCはまとめて地下の方に転送されたみたいね」

 ここでテイマーのサキ、アマゾネスのシレイアが合流か。

「それも最下層にね。ヨシノは?」
「いや、私達は見てないね」
「個々の戦闘能力では最弱だし、狙われたかもしれないな」

 フェルナンダが、私が危惧したことをズバリ言っちゃった。

「すぐに探しに行きましょう」

『レギオン戦開始から八分が経過。これより、このバトルを盛り上げるためのゲストに参加してもらおう!』

 赤い光が幾つも立ち上り――赤黒いレギオンナイトが現れた!?

『彼等は地下から無限に現れ、屋上へと冒険者達を追い詰めていく!』

「地下からと言い、八分という中途半端と言い、明らかに私達狙いじゃん!」
「メルシュ、コイツらってなんなんですか?」
「アタシも見たことないねー」

 フェルナンダが手袋を填め直し、サキが鞭を引っ張り、シレイアが大刀を片手で上段に構える。

 私の同一存在だけれど、みんな頼りになるな。

「コイツらはハイレギオンナイト。レギオンナイトとは比べものにならないくらい強いみたい」

 デルタの奴等に、思い知らせてやる。

 私達隠れNPCだって、充分奴等を脅かす存在になれるって事を。

「その分経験値も豊富だから、良いレベリングになりそうよ」
「なら、手数を増やすべきですね。来なさい、黒ピカ!」

 魔方陣の中から、大きな黒の甲冑騎士が現れる。

『見ていてくだされ、モモカ姫!! この黒ピカの雄姿を!!』

 ここにモモカが居ない事、暫く黙ってよ。


●●●


「……フム、どうしましょう?」

 どこかの部屋に閉じ込められたまま、出られない。

「古城の中は蔦がそこかしこにありそうでしたし、私に出しゃばられては困るといったところでしょうか」

 ある程度草木のある場所なら、私は無敵と言っても過言ではありませんからね。

「それにしても……悩みますね」

○右を選んだ場合、貴女は特殊レギオン戦が終わるまでここから出られません。

 左の宝箱:脱出用のカギ
 右の宝箱:限定レアアイテム

「限定レアアイテム……いったいどんな物なのでしょうか?」

 ユリカ様の安否が気になるところですが、私個人にこれだけの制限を掛けるなら、それなりの物が期待出来るはず。

 でなければ、これ程の制限をゲームシステムが通すはずがない。

「レギオン戦の方は頼みますね、皆様」

 右の宝箱を開けると……そこには、鳥頭を模った黄金の指輪があった。

「これは……なにかしら?」


●●●


「おい、ガキが居るぞ」
「うわ、マジだ!」

 私が部屋を出ようとした先で、男の人二人に見付かってしまう。

 どっちもコセと違って、嫌な感じがする。

「……実を言うと俺さ……ロリコンなんだよね」
「マジでか! 実は……俺も」

「やっぱ、持つべき物は友達だな!」
「抜け駆けはなしだかんな! ハハハハは!」

「アイツら、サイテーね」

 ローゼが、私を守るように前に出る。

「この子、浮いてるぞ!」
「うわ、この子もメッチャ可愛いじゃん!」

「良い、モモカ。こういう奴等は女を人間とも思わない畜生だから、絶対に関わっちゃダメよ」
「うん、大丈夫」

 コセみたいに、ずっと一緒にいたいって全然思えないもん。

「ロリコンだからって、そこまで言わなくたって良いじゃないか!」
「ロリコンに人権は無いって言うのか!」

「アンタらの会話、ロリコン以前に人として最低だったから」

 ローゼには、あの人達が言っていた言葉の意味が分かったんだ! す、凄い!

「おい、よく見るとあの子、人形じゃないか?」
「そういや、ユカの奴が似たようなの使ってたな。あっちの方が不気味な感じだったけれど」

「ふーん。運が良ければ、私の仲間が手に入りそうね。フフ!」

「ローゼ!」
「モモカちゃん!」

「あ、アオイとアヤナだ」

「チ! ババアが来やがった!」
「邪魔すんじゃねぇ、年増が!」

「は?」
「コイツら……今なんて言った?」

 二人から、恐い感じが……。

「ローゼ、モモカちゃんと一緒に部屋に入っててくれる~?」
「大丈夫……すぐ片付けるから」

 アヤナもアオイも、笑ってるのに恐い!

「二人とも、エレガントにね。さ、私達は部屋に入ってましょう、モモカ」
「う、うん」

 扉が閉まってすぐに、男の人達の悲鳴が聞こえてきた。


●●●


「逃がすな、マリア!」

 モモカちゃんのローゼみたいな白い人形が、無表情で迫ってくる!

 私、人形のああいう雰囲気が苦手なのよね~。

 コケシだらけの祖母の部屋を見たときは、思わず動けなくなってしまったのよ~。

「いつまで逃げる気、サトミさん」
「とは言われてもね~」
「往生際が悪いわね、サトミさん」

 ユカと名乗られたので名乗り返したけれど、気安くサトミさんサトミさんって連呼しないでほしいわ。

「私、貴女みたいなポワンとした女が嫌い! 昔、同じ名前の女に彼氏を取られたから!」
「へと……もしかして、風波小学校のユカちゃん?」
「は? ……まさか、あのサトミ本人!?」

 うわ~、こんな偶然ってあるのね~。

「あれは誤解よ! 私、ミツル君となんて付き合ってないもの」

 バイオリンを披露したのを切っ掛けに女の子に人気があったみたいだけれど、根が子供っぽ過ぎて私にはイマイチだったし。

 ちょっとバイオリンを褒めたら、様子が変になったのは覚えているけれど。

「なんてとか言うな……私の彼氏だったんだぞ!! “暴風魔法”、サイクロン!!」

 通路に竜巻が発生して、本を巻き込みながら迫ってくる!

「父親は資産家で、母親は有名なチェロの弾き手。玉の輿に乗るチャンスだったのに!」

 小学生だったのに、お付き合いの根底にある物がゲス過ぎない?

「なによ! 528Hzヘルツがどうのとかで盛り上がっちゃって! 440Hzに付いて聞かれたときに答えられなかった私の気持ちが分かる!?」

「知らないわよ。サイクロン!」

 緑風のサイクロン同士をぶつけ、相殺しておく。

「私は、お前だけは許さない!」
「さすがにちょっと――怒っちゃうわよ?」

 盾がくっ付いた杖、“紺碧の空は憂いて”を振るって、ナイフを持って迫る人形のマリアちゃんを叩きつける♪

「な、なによ!! “暴風弾”!!」

 風を圧縮した空気弾ね!

「“颶風魔法”――ストームダウンブラスト!!」

 “紺碧の空は憂いて”により、風と水の二種属性攻撃は強化されるの!

「いやぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」

 “暴風弾”を搔き消し、多くの本と本棚ごと吹き飛んで、光に変わっていくユカちゃん。

「モモカちゃんに、良いお土産が出来たわね!」

 さっきの“暴風弾”って言うのも、使い勝手が良さそう♪

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