ダンジョン・ザ・チョイス
170.バトルパペット・ローゼ
「私の名前はローゼ、よろしく♪」
“神秘の館“のリビングにて、モモカと同じくらいの背丈の少女がニコやかに挨拶をする。
「“バトルパペット・ローゼ“。でも、なんでこんなに感情豊かに……」
メルシュが戸惑っている。
黒のゴスロリドレスに、濃い紫の髪と黒目。
一見美しい幼女にしか見えないが、間接部などに人形らしさが残っていた。
「バトルパペットは武器扱いのアイテム。簡単な命令である程度自立的に行動するけれど、まるで人間みたいに……」
「本来の仕様じゃないのか?」
「その男から貰ったサブ職業、ユニークスキルの“命の人形師“だったんです」
サキが答えをくれる。
「ユニークスキル……ゲーム内に一つしか無いスキルだったか」
ジュリーですら、ほとんどの入手法を知らないという唯一無二のスキル。
「ユニークスキル、“命の人形“は、まるで本当に生きているようにパペット系装備に自立行動させられるんだよ。まあ、AIの強化だね」
メルシュの話しが本当なら、組み合わせて使う事を知っていたことになる。
アレくれたの、どれだけ太っ腹な奴だよ。
「ローゼ、可愛い!」
「モモカも可愛いわよ。私の次くらいに♪」
我が強いな。
でも、モモカも嬉しそうだ。
「今度会ったら、お礼を言わないとな」
モモカに渡したって事は、あの子の事を思っての事だろう。
自立的に、装備者を守るアイテムだからな。
「でも、一応は警戒した方が良いと思います。レギオンメンバーを殺したって話しは、本当でしょうから」
……なんか、いつもの泣き虫なサキと違う。
ヨシノが、自分達隠れNPCは同一人物って言っていた。メルシュとシレイアも、同じシステムから生まれた姉妹みたいな物と……もしかして、根っこの部分では同じ人格なのだろうか?
シレイアも、出会った頃に比べると変なこと言わないし。
「まあ……その時はその時だ」
殺しに来たら、殺し返すだけ。
大丈夫だとは思うが。
「モモカ、なんでこんなに女の子がたくさん居るグループに、一人だけ男が居るの?」
「それはね、ここに居るほとんどがコセのお嫁さんだからだよ」
モモカさん、なにいってんの!?
「あ、本当だ! そこの二人以外、みんな婚姻の指輪を着けてる!」
そうだった!! アヤナとアオイ以外とは、結婚してたんだった!!
「……最低ね」
人形に最低呼ばわりされた!?
「そんな事ないよ! コセは優しいよ! 良い人だよ!」
「モモカはお子ちゃまね! そんなんだから悪い男に騙されるのよ!」
「そんなことないもん! ローゼのバーカバーカ!!」
モモカが人形と喧嘩しだした!!?
しかも、原因が俺って……。
●●●
「あら、これを使って良いの?」
ローゼが、レギオン戦で手に入った鎖をメルシュから貰って喜んでいる……ブー!
「“万能鎖“、Aランク。以前ユイが手に入れていた、“ドリルアタッチメント“も一緒に渡しておくよ」
ローゼばっかり、ズルい!
「モモカ、ローゼは武器装備欄を二つ使うから、注意してね。MPとTPも共用だから、気を付けるように」
「フン!」
メルシュ、ウザい!
「あら? モモカったら、七才になっても反抗期? 子供ねー」
「うっさい、ローゼなんて嫌い!」
コセだけじゃなく、私までバカにする!
「七才なら、反抗期なんてまだ迎えないでしょう。クマムちゃんは、いつ頃がピークだった?」
「ナオさん、ちゃん付けはやめてください……私が一番酷かったのは七才頃ですね。やたら声を張り上げたり、物を投げたりしたくなっちゃって」
「……は、早過ぎじゃない?」
「そうですか? コセさんはどうでした?」
「俺も七才だな。衝動に任せながらも、どっかで気を遣いながらカラーボックスをソファーに倒してた。一生懸命描いた絵を、父親によってゴミ箱に捨てられ、汁まみれにされた事に衝動を抑えられなくてな。いや、俺も若かったな。あの頃は」
「コセ……まだ十五歳でしょう」
コセとクマムは、七才でハンコウキって言うのになってたんだ!
「モモカ、頑張ってハンコウキになる!!」
「「「落ち着いて、モモカ」」」
早くハンコウキになって、ヨシノみたいな綺麗で優しい大人になってやるもん!
「モモカ……私の使い手なのに、無知すぎ」
「またバカにしたでしょ、ローゼ!!」
ムカつムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!!
「ローゼ。自分が大人だって言うんなら、モモカの事をもっと思いやってあげてくれ」
「最低男なのに生意気ね」
「そうやって棘のある言葉ばかり言う方が、子供っぽいし、反抗期に見えるぞ」
「く! もっともらしい事を!」
コセ、ローゼに言い返した! 大人だーー!!
やっぱり、コセは格好いい!!
「良いわ! だったら、私のティータイムをもてなしなさい! 私を満足させられたら、モモカが素敵なレディーになれるように導いてあげる!」
ローゼが難しい事言ってる! ズルい!
「ティータイムをもてなす……まあ、やってみるか」
●●●
「……ねー。なんで私は、貴方の膝の上に乗せられて居るの?」
「俺なりに、もてなそうと思ってな」
体重も、モモカと変わらないんだな。
なんとなく、ほんのりあったかい?
「まあ、でも……用意されたお菓子は中々ね。褒めてあげるわ」
わざわざミニケーキと子供用のティーセットを、家のコンソールを使って用意した。
なんで俺は、わざわざこんな事をしてるんだろう?
「まずは、紅茶を召し上がれ」
「あら、飲ませてくれるの? 気が利くじゃない」
一口だけ含ませる。
「苦い!! なにコレ! 全然甘くないじゃない!!」
濃すぎると渋くなるから気を付けたのに。
「こちらをどうぞ」
ベイクドチーズケーキをフォークで小さく取り、溢さないように口へ運ぶ。
「ふん……これはまあまあね」
「では、もう一度紅茶をどうぞ」
「ええ!? 嫌よ!」
「紅茶を無糖で楽しめないとは、お子ちゃまですね」
「なんですって!?」
基本的に子供だな、この子。
「紅茶は本来、香りを楽しむもの。騙されたと思って一口」
「言うじゃない! クイ…………口に残っていた甘さが洗い流されて……なかなか良いわね」
俺のおもてなしは、ここからが本番だ!
「ズルいー! モモカもー!」
「ちょっとモモカ! 今は私の番でしょ!」
「ローゼ、君はモモカよりも大人なんだろ?」
「……し、仕方ないわね! 私はモモカよりも大人だから、左脚は貸してあげるわ!」
「ありがとう、ローゼ!」
モモカの機嫌、今ので治った!?
“神秘の館“のリビングにて、モモカと同じくらいの背丈の少女がニコやかに挨拶をする。
「“バトルパペット・ローゼ“。でも、なんでこんなに感情豊かに……」
メルシュが戸惑っている。
黒のゴスロリドレスに、濃い紫の髪と黒目。
一見美しい幼女にしか見えないが、間接部などに人形らしさが残っていた。
「バトルパペットは武器扱いのアイテム。簡単な命令である程度自立的に行動するけれど、まるで人間みたいに……」
「本来の仕様じゃないのか?」
「その男から貰ったサブ職業、ユニークスキルの“命の人形師“だったんです」
サキが答えをくれる。
「ユニークスキル……ゲーム内に一つしか無いスキルだったか」
ジュリーですら、ほとんどの入手法を知らないという唯一無二のスキル。
「ユニークスキル、“命の人形“は、まるで本当に生きているようにパペット系装備に自立行動させられるんだよ。まあ、AIの強化だね」
メルシュの話しが本当なら、組み合わせて使う事を知っていたことになる。
アレくれたの、どれだけ太っ腹な奴だよ。
「ローゼ、可愛い!」
「モモカも可愛いわよ。私の次くらいに♪」
我が強いな。
でも、モモカも嬉しそうだ。
「今度会ったら、お礼を言わないとな」
モモカに渡したって事は、あの子の事を思っての事だろう。
自立的に、装備者を守るアイテムだからな。
「でも、一応は警戒した方が良いと思います。レギオンメンバーを殺したって話しは、本当でしょうから」
……なんか、いつもの泣き虫なサキと違う。
ヨシノが、自分達隠れNPCは同一人物って言っていた。メルシュとシレイアも、同じシステムから生まれた姉妹みたいな物と……もしかして、根っこの部分では同じ人格なのだろうか?
シレイアも、出会った頃に比べると変なこと言わないし。
「まあ……その時はその時だ」
殺しに来たら、殺し返すだけ。
大丈夫だとは思うが。
「モモカ、なんでこんなに女の子がたくさん居るグループに、一人だけ男が居るの?」
「それはね、ここに居るほとんどがコセのお嫁さんだからだよ」
モモカさん、なにいってんの!?
「あ、本当だ! そこの二人以外、みんな婚姻の指輪を着けてる!」
そうだった!! アヤナとアオイ以外とは、結婚してたんだった!!
「……最低ね」
人形に最低呼ばわりされた!?
「そんな事ないよ! コセは優しいよ! 良い人だよ!」
「モモカはお子ちゃまね! そんなんだから悪い男に騙されるのよ!」
「そんなことないもん! ローゼのバーカバーカ!!」
モモカが人形と喧嘩しだした!!?
しかも、原因が俺って……。
●●●
「あら、これを使って良いの?」
ローゼが、レギオン戦で手に入った鎖をメルシュから貰って喜んでいる……ブー!
「“万能鎖“、Aランク。以前ユイが手に入れていた、“ドリルアタッチメント“も一緒に渡しておくよ」
ローゼばっかり、ズルい!
「モモカ、ローゼは武器装備欄を二つ使うから、注意してね。MPとTPも共用だから、気を付けるように」
「フン!」
メルシュ、ウザい!
「あら? モモカったら、七才になっても反抗期? 子供ねー」
「うっさい、ローゼなんて嫌い!」
コセだけじゃなく、私までバカにする!
「七才なら、反抗期なんてまだ迎えないでしょう。クマムちゃんは、いつ頃がピークだった?」
「ナオさん、ちゃん付けはやめてください……私が一番酷かったのは七才頃ですね。やたら声を張り上げたり、物を投げたりしたくなっちゃって」
「……は、早過ぎじゃない?」
「そうですか? コセさんはどうでした?」
「俺も七才だな。衝動に任せながらも、どっかで気を遣いながらカラーボックスをソファーに倒してた。一生懸命描いた絵を、父親によってゴミ箱に捨てられ、汁まみれにされた事に衝動を抑えられなくてな。いや、俺も若かったな。あの頃は」
「コセ……まだ十五歳でしょう」
コセとクマムは、七才でハンコウキって言うのになってたんだ!
「モモカ、頑張ってハンコウキになる!!」
「「「落ち着いて、モモカ」」」
早くハンコウキになって、ヨシノみたいな綺麗で優しい大人になってやるもん!
「モモカ……私の使い手なのに、無知すぎ」
「またバカにしたでしょ、ローゼ!!」
ムカつムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!!
「ローゼ。自分が大人だって言うんなら、モモカの事をもっと思いやってあげてくれ」
「最低男なのに生意気ね」
「そうやって棘のある言葉ばかり言う方が、子供っぽいし、反抗期に見えるぞ」
「く! もっともらしい事を!」
コセ、ローゼに言い返した! 大人だーー!!
やっぱり、コセは格好いい!!
「良いわ! だったら、私のティータイムをもてなしなさい! 私を満足させられたら、モモカが素敵なレディーになれるように導いてあげる!」
ローゼが難しい事言ってる! ズルい!
「ティータイムをもてなす……まあ、やってみるか」
●●●
「……ねー。なんで私は、貴方の膝の上に乗せられて居るの?」
「俺なりに、もてなそうと思ってな」
体重も、モモカと変わらないんだな。
なんとなく、ほんのりあったかい?
「まあ、でも……用意されたお菓子は中々ね。褒めてあげるわ」
わざわざミニケーキと子供用のティーセットを、家のコンソールを使って用意した。
なんで俺は、わざわざこんな事をしてるんだろう?
「まずは、紅茶を召し上がれ」
「あら、飲ませてくれるの? 気が利くじゃない」
一口だけ含ませる。
「苦い!! なにコレ! 全然甘くないじゃない!!」
濃すぎると渋くなるから気を付けたのに。
「こちらをどうぞ」
ベイクドチーズケーキをフォークで小さく取り、溢さないように口へ運ぶ。
「ふん……これはまあまあね」
「では、もう一度紅茶をどうぞ」
「ええ!? 嫌よ!」
「紅茶を無糖で楽しめないとは、お子ちゃまですね」
「なんですって!?」
基本的に子供だな、この子。
「紅茶は本来、香りを楽しむもの。騙されたと思って一口」
「言うじゃない! クイ…………口に残っていた甘さが洗い流されて……なかなか良いわね」
俺のおもてなしは、ここからが本番だ!
「ズルいー! モモカもー!」
「ちょっとモモカ! 今は私の番でしょ!」
「ローゼ、君はモモカよりも大人なんだろ?」
「……し、仕方ないわね! 私はモモカよりも大人だから、左脚は貸してあげるわ!」
「ありがとう、ローゼ!」
モモカの機嫌、今ので治った!?
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