ダンジョン・ザ・チョイス
168.遺跡村
「“星屑魔法“、スターダストシュート!!」
白銀の光が幾つも生まれ、紫雲猿へと向かっていくも……紫の雲に当たった光は消えてしまう。
下から魔法を撃ってもダメか。
でも、雲を避けて回り込ませることに成功したスターダストシュートは、確実にボスにダメージを与えられたはず。
「ユリカ! あとは俺がやってやる! “跳躍“!」
ザッカルが、レーザーソードを手に雲に跳び乗った。
「今日は張り切ってるな、ザッカル」
まあ、昨夜は良いことあったみたいだし、気持ちは分かる。
私も、“飛行魔法“で後を追う。
「“咎槍“、パワージャベリン!」
「“氾濫魔法“、リバーバイパー!!」
槍の能力で飛べるタマと、空を泳げるスゥーシャにより、紫雲猿が更なるダメージを負う。
下では、ヨシノとノーザンがポイズンエイプの相手を引き受けてくれている。
「“ニタイカムイ“! ハイパワーブレイド!」
緑のオーラを纏ったザッカルが、レーザーソードに更なる光を纏わせる。
「“四連瞬足“!」
瞬足の速度を利用し、四連続で魔神・紫雲猿を切り刻んで……光に変えた。
★
討伐報酬を選び終え、遺跡村に転移すると……誰も居ない?
「あれ、皆は?」
私達が最後のはずなのに。
「既に下に降りているようですよ、マスター」
ヨシノが指し示す方を見ると、祭壇を降りた場所にある円の部分に、皆が集まっていた。
「行きましょう」
タマに促され、六人で皆の居る場所へと向かう。
「聞いてはいたけれど、まさしく遺跡って感じね」
いつもの、黄土色の石造りの祭壇の下には、同じ色、材質の道が真っ直ぐ伸びており、森の奥深くへと続いている。
円部分の横には家らしき物が並ぶ通路があり、その建物を囲むように壁があった。
木々は、黒昼村の物より圧倒的に太く高い。
これまで、祭壇より高い木なんて無かったのに。
「遺跡全体が、植物に覆われてるんだな」
「文明が、植物に呑み込まれてるって感じですね」
ザッカルの言葉に、自らの感想を述べるスゥーシャ。
「マスター。ここでなら、私の力を存分に振るえる事でしょう」
「もしかして、“植物操作“ってスキル?」
「はい。植物が無い場所では、まったく意味を成さないスキルですが」
そのスキルを存分に使える環境なら、ドライアドが最強クラスの隠れNPCになるっていう。
「なら、頼りにさせて貰うわ」
「誠心誠意、力を尽くさせて戴きます。マイマスター」
ヨシノの神秘的な美しい顔……本当に綺麗だなーーー!
「お疲れ、皆」
コセが労ってくれる。
「皆して、どうしてここに集まってるの?」
「水上都市で、ここで”鳥獣の種”を撒くと良いことが起きるって話しだったんだけれど……」
ああ。隠れNPC、ハルピュイアの入手か。
“鳥獣の種“って言うのは、水上都市で買った物だっけ?
何も起きていないって事は、既に誰かが契約したって事ね。
ハルピュイアは飛行能力と風に特化している点を除けば、そこまで強力な隠れNPCじゃないらしいけれど……あのアテルって奴等の物にだけはなっていて欲しくないわね。
●●●
「遺跡村は、最低限の設備くらいしか無い村だから、特に長居する必要はないかな。明日にでも出発して良いと思うよ」
”神秘の館”内にて、全員でメルシュから話しを聞く。
「確か、村とダンジョンが一体化してるんでしたよね?」
「ああ。更に言えば、第十一ステージの終わりまで、似たようなというか……地続きになっている。他のステージに比べても、かなり特殊なケースだ」
ジュリーがクマムの質問に答える。
「村の外に出ると、モンスターが襲ってくるのか」
本当に、今までと大分違う。
「ああ。それと、このステージで出て来る”古生代モンスター”だけれど、“古代の力“っていうスキルを有しているから、かなり厄介だよ。強くはないけれど、そもそものタフさがデタラメな上に、“古代の力“によってダメージを五分の一にしてしまうんだよ」
メルシュから凄い情報がもたらされたな。
「ハッキリ言って、本来、今の段階では倒せない設定の敵だ。ただ、私達には突発クエストなどで手に入れた強力な武器と神代文字による強化がある。偶然だけれど、有効な武器も手に入っているしね」
なんか、ジュリーが倒す方向で話しを進めてる?
「もしかして、“古代の力“のスキルカードを手に入れるつもりなのか?」
「いや、“古代の力“はモンスター専用スキルだから、手に入れることは出来ない」
「ただ、ドロップ素材の“古生代の結晶“があれば、トゥスカの“古生代の戦斧“と同種、“古代の力“を秘めた武器を作れるよ」
ダメージ五分の一か……ゲームのような法則が、適用された世界だからこそか。
ゲームは嫌いじゃないんだけれど、バトルシステムとかをリアルに考えると、妙に歪な感覚に陥ってしまうというか。
真面目な内容の作品だと、余計にその歪みを強く感じてしまうんだよな。
「つまり、その素材を集めるのに注力すると。どれくらい集めるつもりなんだ?」
ルイーサが尋ねる。
「出来る限り多くだけれど……まあ、最低十もあれば良いんじゃない?」
最低でも十体か。
「村を出ても、安全地帯まで行かなければ戻ってこれるし、午後に試しに戦ってみる?」
「そうだな」
メルシュの提案を、受け入れることにした。
「モモカ、村を見て回りたい!」
両親を探しているモモカからすれば、当然のお願いか。
さっきの様子だと、人が居るようには見えなかったけれど。
「じゃあ、私がモモカちゃんについていきます!」
「私も付いて行こっかな~」
「サボりたいんでしょ、お姉ちゃん……私もだけれど」
サキとアヤナ、アオイはモモカと行動するらしい。
「ヨシノも行こう!」
モモカ、ヨシノに懐いてたっけな。
昨夜は、ヨシノの部屋でねんねしたんだったか。
「ごめんなさい、モモカ。ちょっとマスターと試しておきたい事があるから」
試しておきたい事?
「じゃあ、今日も一緒に寝よー! コセとスゥーシャも!」
「「へ!?」」
スゥーシャの方を窺うと……頬を赤くして恥ずかしがっていた。
そういう反応されると、意識しちゃうから止めてくれ!
「こ、コセ様が嫌でなければ……」
良いのかよ!
「では、決まりですね」
俺何も言ってないのに、ヨシノによって強引に決定にされた!?
白銀の光が幾つも生まれ、紫雲猿へと向かっていくも……紫の雲に当たった光は消えてしまう。
下から魔法を撃ってもダメか。
でも、雲を避けて回り込ませることに成功したスターダストシュートは、確実にボスにダメージを与えられたはず。
「ユリカ! あとは俺がやってやる! “跳躍“!」
ザッカルが、レーザーソードを手に雲に跳び乗った。
「今日は張り切ってるな、ザッカル」
まあ、昨夜は良いことあったみたいだし、気持ちは分かる。
私も、“飛行魔法“で後を追う。
「“咎槍“、パワージャベリン!」
「“氾濫魔法“、リバーバイパー!!」
槍の能力で飛べるタマと、空を泳げるスゥーシャにより、紫雲猿が更なるダメージを負う。
下では、ヨシノとノーザンがポイズンエイプの相手を引き受けてくれている。
「“ニタイカムイ“! ハイパワーブレイド!」
緑のオーラを纏ったザッカルが、レーザーソードに更なる光を纏わせる。
「“四連瞬足“!」
瞬足の速度を利用し、四連続で魔神・紫雲猿を切り刻んで……光に変えた。
★
討伐報酬を選び終え、遺跡村に転移すると……誰も居ない?
「あれ、皆は?」
私達が最後のはずなのに。
「既に下に降りているようですよ、マスター」
ヨシノが指し示す方を見ると、祭壇を降りた場所にある円の部分に、皆が集まっていた。
「行きましょう」
タマに促され、六人で皆の居る場所へと向かう。
「聞いてはいたけれど、まさしく遺跡って感じね」
いつもの、黄土色の石造りの祭壇の下には、同じ色、材質の道が真っ直ぐ伸びており、森の奥深くへと続いている。
円部分の横には家らしき物が並ぶ通路があり、その建物を囲むように壁があった。
木々は、黒昼村の物より圧倒的に太く高い。
これまで、祭壇より高い木なんて無かったのに。
「遺跡全体が、植物に覆われてるんだな」
「文明が、植物に呑み込まれてるって感じですね」
ザッカルの言葉に、自らの感想を述べるスゥーシャ。
「マスター。ここでなら、私の力を存分に振るえる事でしょう」
「もしかして、“植物操作“ってスキル?」
「はい。植物が無い場所では、まったく意味を成さないスキルですが」
そのスキルを存分に使える環境なら、ドライアドが最強クラスの隠れNPCになるっていう。
「なら、頼りにさせて貰うわ」
「誠心誠意、力を尽くさせて戴きます。マイマスター」
ヨシノの神秘的な美しい顔……本当に綺麗だなーーー!
「お疲れ、皆」
コセが労ってくれる。
「皆して、どうしてここに集まってるの?」
「水上都市で、ここで”鳥獣の種”を撒くと良いことが起きるって話しだったんだけれど……」
ああ。隠れNPC、ハルピュイアの入手か。
“鳥獣の種“って言うのは、水上都市で買った物だっけ?
何も起きていないって事は、既に誰かが契約したって事ね。
ハルピュイアは飛行能力と風に特化している点を除けば、そこまで強力な隠れNPCじゃないらしいけれど……あのアテルって奴等の物にだけはなっていて欲しくないわね。
●●●
「遺跡村は、最低限の設備くらいしか無い村だから、特に長居する必要はないかな。明日にでも出発して良いと思うよ」
”神秘の館”内にて、全員でメルシュから話しを聞く。
「確か、村とダンジョンが一体化してるんでしたよね?」
「ああ。更に言えば、第十一ステージの終わりまで、似たようなというか……地続きになっている。他のステージに比べても、かなり特殊なケースだ」
ジュリーがクマムの質問に答える。
「村の外に出ると、モンスターが襲ってくるのか」
本当に、今までと大分違う。
「ああ。それと、このステージで出て来る”古生代モンスター”だけれど、“古代の力“っていうスキルを有しているから、かなり厄介だよ。強くはないけれど、そもそものタフさがデタラメな上に、“古代の力“によってダメージを五分の一にしてしまうんだよ」
メルシュから凄い情報がもたらされたな。
「ハッキリ言って、本来、今の段階では倒せない設定の敵だ。ただ、私達には突発クエストなどで手に入れた強力な武器と神代文字による強化がある。偶然だけれど、有効な武器も手に入っているしね」
なんか、ジュリーが倒す方向で話しを進めてる?
「もしかして、“古代の力“のスキルカードを手に入れるつもりなのか?」
「いや、“古代の力“はモンスター専用スキルだから、手に入れることは出来ない」
「ただ、ドロップ素材の“古生代の結晶“があれば、トゥスカの“古生代の戦斧“と同種、“古代の力“を秘めた武器を作れるよ」
ダメージ五分の一か……ゲームのような法則が、適用された世界だからこそか。
ゲームは嫌いじゃないんだけれど、バトルシステムとかをリアルに考えると、妙に歪な感覚に陥ってしまうというか。
真面目な内容の作品だと、余計にその歪みを強く感じてしまうんだよな。
「つまり、その素材を集めるのに注力すると。どれくらい集めるつもりなんだ?」
ルイーサが尋ねる。
「出来る限り多くだけれど……まあ、最低十もあれば良いんじゃない?」
最低でも十体か。
「村を出ても、安全地帯まで行かなければ戻ってこれるし、午後に試しに戦ってみる?」
「そうだな」
メルシュの提案を、受け入れることにした。
「モモカ、村を見て回りたい!」
両親を探しているモモカからすれば、当然のお願いか。
さっきの様子だと、人が居るようには見えなかったけれど。
「じゃあ、私がモモカちゃんについていきます!」
「私も付いて行こっかな~」
「サボりたいんでしょ、お姉ちゃん……私もだけれど」
サキとアヤナ、アオイはモモカと行動するらしい。
「ヨシノも行こう!」
モモカ、ヨシノに懐いてたっけな。
昨夜は、ヨシノの部屋でねんねしたんだったか。
「ごめんなさい、モモカ。ちょっとマスターと試しておきたい事があるから」
試しておきたい事?
「じゃあ、今日も一緒に寝よー! コセとスゥーシャも!」
「「へ!?」」
スゥーシャの方を窺うと……頬を赤くして恥ずかしがっていた。
そういう反応されると、意識しちゃうから止めてくれ!
「こ、コセ様が嫌でなければ……」
良いのかよ!
「では、決まりですね」
俺何も言ってないのに、ヨシノによって強引に決定にされた!?
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