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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

158.レギオン戦の全容

「というわけで、新しく仲間に加わったスゥーシャとクマムだよ」

 木で出来た、大きな一軒家に連れて来られた私達は、メルシュさんによって紹介される。

「人魚のスゥーシャ。魔法使いです。よろしくお願いします。」
「ナノ、クマムです! へと……戦士です! よろしくお願いします!」

 スゥーシャちゃんに習い、私も挨拶。

 もう少しで、芸名で挨拶するところだった。

 その後、順に皆さんが自己紹介してくださる。

 コセさん以外、皆女性。

 ちょっと安心かな。

 ……でも、綺麗な人ばっかり。

 この人達は、コセさんとどういう関係なんだろう?

「クマムは奴隷落ちする以前の装備があるから、取り敢えず問題無いとして、スゥーシャにはコレを渡しておくね」

 メルシュさんが、スゥーシャさんに銀の三つ叉の槍を差し出す。

「武器は得意じゃ無いんですけど、良いんですか?」
「“人魚のトライデント”は人魚専用装備だから、スゥーシャ以外に使う人間が居ないんだよ。取り敢えず持ってて」
「分かりました」

 このグループを仕切っているのは、実質メルシュさんなんだ。

 小っちゃいのに、しっかりしてるんですね。

 偉いな~。

 でも、日本人じゃないですよね?

「そっちは、家の購入は終わった?」

「私は選び終わってるよ」
「すまない。私達はまだだ」

 ジュリーさんは家を買って、ルイーサさんはまだ。

 家って、この屋敷みたいな物の事だよね?

 この家って、自分達で買えるものなんだ。

 奴隷の誰かが、レギオン戦に家が必要とか話してたけれど、この事だったんですね。

 私は逃げるようにこの街に来たから、その辺よく分かってない。

「そっか。じゃあ、レギオン戦について先に話そうか」
「メルシュちゃん、その前に昼食にしましょう。すぐに準備しちゃうから♪」

 サトミさんという、周囲を自分に捻じ込んでしまいそうな雰囲気の人が、ニコやかに提案。

 ああいう雰囲気の人って、根強いファンが付きやすい印象がある。

「じゃあ、食事の準備が出来るまで、私は二人に色々説明しておこうかな」

 それから私達は、隠れNPCやこのゲームの仕組み、私達をゲームに送り込んだ敵、コセさん達の目的について説明された。

 メルシュさん、人間じゃ無いんだ。


●●●


「レギオンは三パーティー以上、最低十五人以上で結成可能なチームのこと。レギオン戦の内容は、一言で言うと陣地攻略戦だよ」

 食事を終え、メルシュが食堂で説明を始める。

 ちなみに、モモカは俺の膝上で眠そうにしていた。

「私達の陣地に、購入した家が最低三つ置かれ、相手の陣地にも同じように家が出現する。互いの陣地の間には中立地帯があり、レギオン戦によって中立地帯はその時々で色んなギミックに変更されるよ」

 中立地帯によって、こっちの戦い方も変わってくる?

「勝利条件は?」
「どちらかの軍団長が倒されるか、相手陣地の家の中に配置された”エンブレム像”が破壊されるかだよ」

 軍団長は俺って事だから、レギオン結成後に変更したり出来ないんだろうな。

「エンブレム像っていうのは?」

「レギオン結成時に作ったエンブレムが、レギオン戦開始時に家の中にランダムで配置されるんだ。ちなみに、あらかじめ家にはパーティーごとに登録しておかないといけない」

 ジュリーの補足。

「エンブレム像が破壊されると、その家に登録していたパーティーは脱落。だから、マスターが登録したエンブレム像が破壊されてもゲームオーバー」

「つまり、攻守を分けないといけないのか」

 俺が軍団長になると、基本的に攻めには加われなくなるよな?

「じゃあ、一つのエンブレム像に全パーティーが登録しておけば?」

 ユリカの考えは俺も思い浮かんだが、さすがにそんなに単純では無いだろう。

「残念だけれど、参加させた家には最低一パーティーは登録しないといけない決まりだよ」
「つまり、たくさん家があれば良いわけでも無いんですね」

 トゥスカの指摘通り、家が増えれば防衛戦力を分散させないといけないし、家が少ないと敵の戦力を集中されやすい。

 戦術に幅を出すための工夫だろうか?

 人の配置次第で、軍団長のエンブレム像の場所がすぐに見破られる可能性もあるな。

 でもこれ、人数が多ければ多い方が有利になるんじゃないか?

「レギオン戦前は、相手のレギオンとルールの打ち合わせをするから。家や参加人数とか、基本的には同じ条件で戦う事になるだろうけれど、場合によっては不利、有利な条件でレギオン戦をする場合もあるからね」

「どういう時に有利、不利が発生するんだい?」

 そこでジュリーが聞くのか。

 どうやら、オリジナルでは無かった要素のようだ。

「レギオン戦を申し込んでも、相手には断る権利がある。だから、わざと不利な条件を提示するんだよ。不利な側で勝てば、勝利報酬を良くできるしね」

「勝利報酬か。どういうのがあるんだ?」

「色々だよ。相手の持ち物を要求したり、スキルを奪ったり――人を奴隷にして引き抜いたり」

 寒気と怒りが同時に襲ってきた。

「……つまり、レギオン戦は絶対に負けられないって事だな」

 ルイーサの言うとおりだった。

「あの、レギオン戦って……人を殺すって事ですか?」

 クマムが恐る恐る尋ねる。

 そう言えば、俺は最初から殺すつもりで考えてたな。

「レギオン戦が行われる空間では、死んでも死なないから大丈夫」

 つまり、勝つためには遠慮無く殺せと。

 実際に死んでしまう仕様なら、レギオン戦を仕掛けられる事なんてほとんど無いと思っていたのに。

「第九ステージはダンジョン探索がない分、レギオン戦がチュートリアルとして用意してある」
「そっちは負けてもデメリット無いから、取り敢えず感覚を掴むつもりで挑めば良いよ。痛みは普通にあるけれどね」

 どっちにしろ、生き残るつもりで戦うべきだな。

「レギオン戦を意識するのなら、家は出来るだけ大きくて部屋数の多い物や、頑丈な外壁のある城タイプの方が良いわけか」

 まだ家を購入して居ないルイーサが逡巡している。

「一概にそうとは言えないけれど、まあ、基本的にはそうだね」

 メルシュの含みのある言い方。

「あれ? じゃあ、なんでメルシュとジュリーはこの神秘の館を俺に勧めてきたんだ?」

 伝統の村で、一番高かった城タイプじゃなくて。

「それは、ドライアドを仲間にするのを見越してだよ」

 ジュリーの告白に、ドライアドのヨシノを見る。

「隠れNPCの中では非力なドライアドだけれど、状況次第では最強と言っても良いんだよ」

「確かに、その通りです」

 メルシュの言葉を、ヨシノは当然のように肯定した。

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