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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

125.因縁の繁殖鼠と黒豹

『キキェェェェッッッ!!』

 雄ネズミがかん高い鳴き声を上げると、雌ネズミ達の攻撃が激しくなった!

「この!」
「くっ!」

 動けなくなったノーザンをルイーサと共に守りながら、ネズミ達の猛攻を両手のブーメランで捌く!

 スキルを発動する暇も無い!

 このままだと、いずれ押し切られる。

 奔流が思考を冷静にさせ、その残酷な分析結果を認識させる。

「“光線魔法”、アトミックシャワー!!」

 青白い光線が上から幾つも放たれ、ネズミ達の押しよせる波を止めてしまう!?

「メルシュ!!」

 私達の上空から、半透明な姿のメルシュが降り立った。

「畳み掛けて!」

 メルシュの言葉に、今成すべきことを思い出す!

「“二重武術”、オミナススラッシャー!!」

 二つのブーメランでネズミを切り裂きながら、雄ネズミを狙う!

「ネズミが!!?」

 唯一の雄を守るためか、雌ネズミ達が山となって防ぎきった!!?

 少しだけ、その姿を美しいと思ってしまう。

「攻撃を続けろ!」

 ルイーサが、私達に近付いてきたネズミ達を受け持つ!

「アトミックレイ!」
「“魔力砲”!!」

 私とメルシュの攻撃が再び山となるネズミ達の壁を吹き飛ばすも、あの雄ネズミは生き残り、来た道を引き返す!!

「また逃げられる!!」

 雌に背を向けて逃げれるなど、雄の風上にも置けない!!

「止まれ、トゥスカ!!」

 追わせないつもりか、ますます殺気立つ雌ネズミを前に、制止するよう言うルイーサ。

「でも! 今が最大のチャンスなのに!!」
「大丈夫。計画通りだから」

 メルシュが半透明状態から戻り、ダイヤモンドの腕でネズミを処理し始める。

「ここまでお膳立てしてあげたんだから、絶対に逃がさないでよ、ザッカル」

「そういう事」

 メルシュの言葉に、彼女がわざと雄ネズミが引き返すように誘導したのだと理解した私は、ノーザンを気遣いながらネズミ狩りに注力することにした。


●●●


「おいっとー」

 コセが居る方向からネズミが来ないよう、狭い通路に、瓶から緑色の液体をこれでもかと撒く。

 家の周りにいつも撒いている、ハーブなどを潰して作った強烈なネズミ避け。

 嗅覚に優れた獣人ならともかく、それ以外の種族は早々気付かないはずの匂い。

 ルイーサって女は気付いた。それに、多分コセも。

 他の奴はなんの反応も見せなかったが、俺の家に近付いたコセは、暫く鼻を押さえていた。

 異世界人の雄の中でも、優れた嗅覚を持っているのは間違いない。

 空になった瓶を投げ捨て、右手に掴んだ黒の大剣を見詰める。

「ヤベーな。トゥスカの男に、本気になっちまいそうだぜ」

 異世界人の雄は嫌いだ。軟弱なくせに小狡いことばかり考えて、人を操ろうとするヘナチョコばかり。

 だけど、コセは良い。

 知的でナヨッとしてる感じは気に入らないが、ちゃんと女達一人一人と向き合っている気がする。

 俺に、こんなスゲー剣を預けてくれたアイツに、感謝とは別の感情が漲って仕方ねーんだ!

 気配が、猛スピードで近付いてくる。

「上手くやったみてーだな、メルシュ」

 メルシュが挟み打ちにするため、”幽霊”のサブ職業を使うとか言い出し、ネズミ共の大群を一人ですり抜けていった。

「何度見ても、気持ち悪い奴等だぜ」

 白いネズミに混じって、赤いのがチラホラ見え隠れしている。

「居るな、クソ雄ネズミ」

 コセの黒大剣を水平に構え、前へと駆け出す!!

「今度こそ、終わらせてやんぜ!!」

 迫るネズミの大群と接触する瞬間――俺はそれを放った!!


「“終末の一撃”!!」


 強大な力のうねりと共に大剣を突き込むと、強烈な暴威が炸裂した!!

「ハアハア、イッテー……ハアハア、しぶとい奴」
『キ……キチュ……』

 反動で右腕と肩に強い痛みを感じながら見たのは、身体の右側三割が吹き飛んだ赤いネズミの姿。

「装備セット2」

 剣を振るうのに邪魔だった鉤爪を、両手に装備。

『キキチュ……』
「おら、もうお前を守ってくれる雌は居ねーぞ。クソネズミ!!」

 接近すると、身を捻って尻尾による突きを放って来やがった!!

「それがどうした!!」

 思い切り壁に蹴り付け、コイツのブットイミミズみてーな尻尾に、“執着の短剣”を突き刺し、壁に縫い付ける!

 この短剣には世話になった。

 どうやら、一度突き刺すと抜けなくなる効果があるらしく、コイツを突き刺したあと逃げ回っていれば、魔神やゴーレム以外には勝てた。

「もう、逃げられないぜ~!」

 残った左腕の爪を振るって来るが、ソイツを力尽くで弾き返す!

「“暗黒爪術”、ダークスラッシュ!!」

 左腕の鉤爪で、ネズミを四等分にしてやった。

『キキキ……チュ……』

 落ちた頭の目から光が消え、やがて光へと変わっていきやがる。

「あばよ、クソッタレネズミ」

 デルタの奴等に仕組まれた、クソッタレな突発クエスト。

「……お前も、被害者なのかもな」

 完全に消えていくのを見届けながら、いつの間にか赤ネズミに同情していた。


○スタンピードラットの雄の討伐、おめでとうございます!

 いきなりチョイスプレートが出現した?


○特別報酬を選択し、お受け取りください。

★S級武具ランダム袋 
★奴隷王の腕輪
★ランクアップジュエルセット

「あん?」


●●●


「“激情の一撃”!!」

 戦士Lv30で修得した、TP一割以下で一日一度だけ発動できる強力な一撃を、右手の“シュバルツ・フェー”の振り下ろしと共に放つ!

 衝撃によって高く浮くネズミを視界の端で捉えながら、振り向きざまに“グレイトドラゴンキャリバー”を振るう!

「“超竜撃”!!」

 残り少ないTPを消費し、波となって襲ってきたネズミ数百匹を消滅させた!

「ハアハア、ハアハア」

 あれから、どれくらい経った?

 ひたすら剣を振るって、メルシュ達の後を追わせないようネズミを斬り続けていた。

 この疲労感と孤独感、エンシェントリザードマンと戦った時を思い出す。

 ただ、あの時のような焦りは無い。

「チチチュ!」
「チチチチュ?」

 ネズミ達の様子が……変わった?

「「「チチチチュ!!?」
「へ?」

 急に怯えたように、そこら中の穴の中に逃げ込むネズミ共!!

「……どういう事だ?」

 疲労は濃いけれど、一度誰かと合流しよう。

 メルシュとザッカルが向かった方向に歩き出す。

 チョイスプレートで時間を確認すると、零時三分前だった。

 暫く歩くと、ネズミの獣臭さが薄れ、濃くて青臭い匂いがしてきた。

「ぅう」

 このドギツイ香水みたいな匂い、苦手なのに。

 ザッカルの家の周りからも、似た匂いがしてたな。

「ザッカル?」

 突っ立っているザッカルの後ろ姿が目に入る。

「ああ、コセ。ちょうど良かった。これなんだけれど、どれを選べば良いと思う? ……あ、やべ」

 どうやら俺に振り向いた時、肘かなにかがチョイスプレートに触れてしまったらしい。

「……よりによって、一番変な物を選んじまった」

 なぜか、ザッカルは頭を抱えだした。

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