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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

113.最強の隠れNPC

「サイクロン!!」

 第六ステージの昨日の続きから、俺は三人で攻略に挑んでいた。

「こうしてお姫様抱っこしてもらうの、久しぶりですね♡」
「そうだな」
「そこ、イチャイチャしないでよ!」

 俺達が今居るのは、常に少量の水が流れ続ける、坂の間にある狭い道。
 水に足を取られて坂を転がっていったら助からない。

 そのため、“壁歩き”で足の裏を吸着させられる俺が、トゥスカを抱っこして進んでいたのだ。

 メルシュは”飛行魔法”で飛べるため、先程から何度も襲ってくるゲイルイーグルを迎撃してくれている。

 わりと危険な地形だけれど、他の皆は大丈夫かな?


●●●


「あ、もう林が見えてきましたね」

 私は”飛行魔法”で、タマとノーザンは“蒼穹を駆けろ”の能力で飛んで来たため、効率的にモンスターを倒しながら川坂エリアを抜けられた。

「降りるわよ」

 歩いて行かないと、タイラントは出現しないらしい。

 さすが隠し要素ってところか。

 道らしく踏みならされた道の上に降り、そこから一度左に入って、わざと戻る。

「今、あっちからなにか聞こえたような?」
「行ってみましょう」

 というノーザンの嘘で、今度は反対側の道へ。

 タイラントが出現するのは、進行方向から見て右側だと聞いていた。

 今のは、偶然を装ってタイラントに接触するための芝居。

 正直、面倒くさい。

「なにも……居ませんね」
「……大きな気配も無い」

 結構進んで来たのに、感知能力の高いタマですらタイラントを発見出来ない。

「もう少し探してみましょう」

 コセと結ばれて今日は機嫌が良いんだから……まさか、居ないなんて事は無いわよね?


●●●


「サタちゃん!」

 サキの鞭がサタちゃんに当たると、サタちゃんが林から襲い掛かって来たシールドモンキーに体当たりして突き飛ばす。

「頑張れサタちゃん!」
「クエー!!」

 モモカの応援に、勇ましい声を上げようとする幼い黒竜。

 サタちゃんには私達とは別にLvがあり、第六ステージに入った当初はLv1だった。

 経験値を多くくれるギガントのおかげで今ではLv24まで上がったけれど、私達と違い職業があるわけでもなければ、Lvアップによる特典も無い。

 正確には、私達とは違う設定がある。

 おそらく、敵として現れるモンスターと同じ能力値の上がり方。

 それと、最初はスキルなんて無かったのに、Lvアップによって少しずつ身に着けていた。

 今攻撃に使えるのは、“火炎弾”、“竜気弾”、“魔光弾”、の三つだけ。
 常時発動のスキルが別に、“竜皮”と“再生”、“索敵”。

 装備1と装備2というのがあるけれど、これは指輪とその他装備の一部、お守りのいずれかを持たせられるらしい。

 私の知るオリジナル版には無かった要素。

「サキの実力も見たいから、サタちゃんを援護して」

「え!! ……うぅ……分かりましたよ」

 サキが鞭を持ち替える。

 サタちゃんを攻撃したのは“怪物強化の鞭”で、最初から持っているテイマー専用のSランク装備。

 攻撃能力は皆無で、特殊効果の“魔物強化”により、味方のモンスターを一時的に強化することにしか使えない。

「“深淵鞭術”、アビスウィップ!」

 シールドモンキーの甲羅のよう青い盾を避けて、頭を切り裂くサキの鞭。

 ”深淵鞭術”は、深淵魔法と鞭術のスキルカードを10000G使って作り出した”深淵鞭使い”のサブ職業から繰り出す。

 Lv24になった時に使用できるようになる、サブ職業作成を利用したのだ。

 ちなみに、今サキが攻撃に使った鞭は“竜皮の削り鞭”、Aランク。

 コセ達が、竜となったレプティリアンを倒してドロップしたアイテムを、鍛冶屋に持ち込んで作らせて貰った物だ。

 レプティリアン達を倒した事で、彼等が持っていたアイテムやお金、スキルまで大量に手に入っているため、皆の指輪やその他装備が少し充実した。

 メイン武器に関してはランクが低かったり、誰も使っていないタイプの武器だったため、あまり変わっていない。

 サキの予備武器である“ダマスカスナイフ”Bランクは、彼等の持ち物だけれど。

「ちょ! なんで私ばっかり~ー!!」

 シールドモンキーと投石モンキーの狙いが集中しだしたため、“滑空のブーツ”の“滑空”を使用し、地面を滑って逃げるサキ。

 あれもレプティリアンが持っていたアイテムで、戦闘力の低いサキに優先して持たせた。

 サキはモンスターと契約出来るため、他の隠れNPCよりも弱く設定されているという。

 実際、彼女のテイマー固有スキルは“魔物契約”と“応援”。自分を強化するものではないうえ、戦士なのに鎧も装備出来ない。

 だから、少しでも回避して貰えるよう機動力を上げたのだ。

「サタちゃん、助けて~~」

 でもサキには、私達プレーヤーがLvアップでパーティーメンバーの最大数を増やす代わりに、契約出来るモンスターの数が増えるという仕様がある。

 Lv29になったサキが契約出来るモンスターの数は、現在三体。

 サキこそが、契約モンスター次第では最強の隠れNPCにもなれる存在なのである。

「マスター! モモカちゃん、助けて~ー!!」

 って、私に情報をくれたオルフェが言ってた。

 ……本当か?


●●●


 昼過ぎ、ボス部屋に繋がるポータルが置かれた安全エリアから、俺達は帰ってきていた。

 ただ、まだルイーサ達だけが戻って来ていない。

 第三ステージ、英知の街でメルシュからアドバイスを貰っているパーティーは、魔法使いに”飛行魔法”を覚えさせている。

 だが、ルイーサ達“乙女騎士団”の唯一の魔法使いであるアヤナは、”飛行魔法”を覚えていないためか攻略が遅れているようだ。

 実際、あの足場で飛行型モンスターと戦うのは危険だからな。

 メルシュがタマに“蒼穹を駆けろ”を強く薦めたのは、魔法使いじゃない者達に飛行手段を与えようとしていたからなのかもしれない。

「タイラントが居なかった?」

 館のリビングにて、ユリカの発言に驚くジュリー。

「ごめん、念入りに探したつもりなんだけれど見付けられなくて」
「右の林に入って暫くすれば、向こうから近寄って来るはずだから見付けられなかったとは考えにくい……既に誰かが手に入れた後だったんでしょうね」

「確か、今回の隠れNPCはタイタンだっけ?」

 近場で聞いていた俺は、二人の話に割って入った。

「そう。タイラントに酷似した見た目で、パワーとタフネスの戦士って聞いてたから、魔法使いのユリカと組ませるべきだと思ったんだけれど……」

 強力と言われる隠れNPC。後どれだけ残っているのか。

 その隠れNPCは、基本的にマスターに逆らえないと言う。

 そのマスターが敵として現れた場合、十中八九戦わねばならない。

「仲間に出来なかったタイタンとギルマンの攻略法、話し合っておいた方が良いかもしれないな」

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