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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

97.原種

「手が吹き飛んだのがショックで、隅っこでブルブル震えてるってわけ」

 ナオの言葉に、ビクッと震えるアヤ。

「ナーバスになったために、奴等とまともにコミュニケーションが取れた……私の事まで怖いみたいでな……」

 人は不安になると、よりネガティブな情報に敏感になるしな。

「それで、宇宙人云々ていうのは?」
「メグミちゃん、あの人たちの言うこと理解してたみたいだったわよね? 私にはなにがなんだかさっぱりだったわ?」

 サトミさんにも分からないのか。

「どう説明したら良いのか……フー」

 緊張した様子で息を整えるメグミさん。


「……まず、正確な話しをすると……ここに居る全員が、おそらくは宇宙人だ」


「「「へ?」」」


 どういう事だ?

「遥か昔、まだ地球に人類が存在しなかった頃、地球に自分達に近い進化をした生命体がいることを知った者達がおり、積極的に生命体の進化、遺伝子操作をした者達が居た。それがアクァッホ。いわゆる火星人だ」

 アクァッホって、ノーザンが口にしていたような……。

「自分達の文明を星ごと滅ぼしたとかで、私も詳しくは分からないが、私が所属していた機関、アトランティスでは野蛮人とされていた」

 星ごと自分達の文明を滅ぼすとなれば、野蛮人のレッテルを張られても致し方ないか。

「私が所属していたアトランティスは随分前に壊滅してしまったが、アトランティスには様々な宇宙人が関わっており、当時の私は二足歩行の爬虫類の姿をしていた。それがいわゆる、レプティリアンだ」

 話が、どんどん凄い方向に。

「まあ、私は地球人に転生したわけだが、地球人のほぼ全てが、当時の地球の生命体とアクァッホの遺伝子を配合して作られた調整体が元になっているため、広義的には地球人は元火星人、宇宙人だったと言える」

「私達も……宇宙人?」

 驚いている様子のサトミさんと、話しについてこれていないナオとリンピョン。

「じゃあ、私達を襲ってきた奴らは、全員前世がレプティリアンってこと?」

「いいや、奴らは私とは根本的に違う。彼等は地球人と異種交配を繰り返し、人間社会に溶け込んで裏から地球を管理支配しようとしている、いわゆるネガティブ派の連中だ」

 なんとなく、俺達をこのゲームに参加させた奴等と似ている気が。

「奴等にとっても、異世界転移は想定外だったようだけれどね」

 なら、関係ないのか?

「私の前世の記憶は不完全だが、これだけは言っておきたい。ネガティブ派というのは魂の性質だ。奴等全体をネガティブとするわけでもネガティブイコール悪というわけでもない。ポジティブ派も危険な側面はあるし、ポジティブ派がネガティブ派になることも、その逆もあり得る。ただ、奴等はおそらく、ネガティブ派の悪い部分、知恵という毒に浸かりすぎた……アセンション出来なかった存在というだけなんだ」

 俺も、話しに着いていけなくなってきた。

「ようは、メグミさんも奴らも、実質同じって事ですよね」
「フフ。そう言ってくれるのか、君は」

 初めて会ったときは侮蔑の視線を向けてきたその目で、微笑みを返してくれるメグミさん。

「だからって、このまま隠れたまま生きていくわけにはいかない」

 トゥスカやジュリー、メルシュとの約束もある。
 このゲームを終わらせるという約束が。

「私達も、このままLvが下がっていけば奴等と戦えなくなるし、金と食糧が尽きれば飢え死にするしかなくなる」
「で、この状況ならコセさん達が先に進んだ可能性は低いから、待っていれば合流出来るんじゃないかって考えて、メグミちゃんが祭壇を見張ってくれていたの」

「道理で、助けに入るタイミングが良いはずだ」

「で、ここからが問題だ。奴等と戦うと言うことは……つまり」

 メグミさんの言葉の意味を察する。


「人殺しの必要がある……か」


 一気に空気が重くなったな。

「この世界で生きていく以上、遅かれ早かれいつかは通らなければならない道だ」

 俺とトゥスカ、ユイは経験済み。メルシュとシレイアは問題ないだろう。

 ユリカは微妙か。タマはどうだろう?

 ジュリーとノーザンは……その時になれば割り切れる気がする。

 経験しているからって、問題がないわけじゃない。

 命を奪うことの意味。俺は、そこから目を背けない。背けちゃいけない。

「仕掛けるなら明日が望ましい。明後日の早朝には、私達のLvが下がってしまうだろうから」

「分かった。家に戻って、一度皆と相談する」

 コンコンコンという、ドアをノックする音。

「客人と話したい事がある。時間をくれないか?」

 ルイーサの声が、ドアの向こうから聞こえてきた。

「入って貰っても良いかな?」
「ああ、構わない」

 俺の問いに、応じてくれるメグミさん。

 ドアが開くと、ルイーサだけでなくアヤナとアオイも入ってきた。

「敵について、私達から話しておきたい事がある」

 ルイーサが語り出す。


●●●


 今から五ヶ月以上前、私達三人はここ、第六ステージの競馬村まで辿り着いた。

 アヤナからゆっくりしたいという要望もあり、三日に一度、競馬さえすれば実質ペナルティーの無いこの村に、暫く滞在することにした。

 そんなこんなで一ヶ月近くが経つと、ある日事件が起こる。
 レプティリアンを名乗る奴等が、三人組のパーティーと衝突を起こしたのだ。

 三人組のパーティーは元々評判が悪く、レプティリアン達を異常者集団扱いして、殺害しているとい噂が流れ始めた矢先の事だった。

 その後、仲間集めに注力していたレプティリアン達は怒り狂い、ノルディック狩りと称して、競馬村に居た自分達以外の人間を殺すようになったのだ。


●●●


「私達は、運良くカズマさん達に出会って助けられてな。その後手持ちの食糧とお金を融通しあっていたのだが、そろそろ限界という時にサトミ達が現れたのだ。彼女たちが食糧とお金を恵んでくれなかったら、私達は飢え死にしていた所だ! メグミだけにな! ハーッハッハッハッハッハッハー!」

 真面目な話しをしていたのに、突然親父ギャグで笑いを取りに来やがった!

「それで、本題は?」
「鋭いな、コセは…………私達と共に、レプティリアンと戦かって欲しい」

 メグミさんに視線を向けると、首を横に振る。

「戦えるのか、人間と?」
「アイツらは、被害者面して沢山の人間を殺した! でも、この世界には警察も軍隊も無い……自分達で戦うしかないのよ!」

 アヤナが憎悪を顕わにする。
 やっぱり彼女達は、メグミからあの話しを聞いていないんだ。

「私達は、人間相手でも戦う覚悟がある。ただ、四ヶ月以上競馬をしていないため、三人全員がLv1。強力な魔法や武術を使えるのは一度だけ」


「つまり、最初に俺達にレプティリアンを殺して貰い、Lvが上がってから戦線に加えて欲しいと言うことか?」


「その通りだ」

 俺の言葉にアヤナが少し怯んだけれど、ルイーサとアオイの覚悟は硬いようだ。

「……そうだな、戦力は一人でも多い方が良い」
 
 レプティリアンとの衝突は避けられそうにない。

 組織だって行動する、選民思想に近い考えの集団を相手にしなければならないわけだからな。

「良いよ。ただし、それ相応の見返りは後で貰う」
「具体的には?」


「俺の仲間に加わり、積極的にダンジョン攻略に参加してくれ」


 この三人を、いずれ俺のレギオンに加える!

 そう決めた。

 
●●●


『アルバートのお気に入り、レプティリアンとぶつかったか』

 それにしても、神代文字を結構自在に刻んでいるみたいね。

『面白いじゃない。最近、追放処分受けた下級レプティリアンが調子に乗ってきて目障りだったし、アタシがいっちょ盛り上げてやりますか』

 巨勢って名字からして原種の可能性は著しく低いけれど、日本人は教育に介入しても素質をなかなか腐らせないからねー。

 でもまあ、私達に協力しているレプティリアン共からすれば、日本人の一般的な在り方は目障りだよね~。

『あれだけ国際的なイジメに遭ってるんだから、もっと野蛮になってもおかしくないだろうに』

 むしろアニメとか旅行、世界的災害が切っ掛けで、日本文化に影響を受ける者が増えた。

 やっぱり危険だよね、日本って国はさ。

『まあ、思想破壊する前から本物の資質を持つ者はほんの一握り。素質がある人間なら日本人じゃなくても神代文字を使う事は可能だし~』

 私達が本当に気を付けなければならない人間は、ほんの一握り。

『コセちゃん。もし君が本当に原種だとしたら、私達は君を本気で潰さないといけない』

 知の毒を拒み、本能的に神との高い親和性を保とうとする者。

 

 結果、世界の霊的中心地に多くのアクゥッホの遺伝子を持ち込んだ間抜けな奴等。


『私達の世界に、神は要らないのよ』


 人類は、人類のままで良い。

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