ダンジョン・ザ・チョイス
69.海魚の港
漁港というだけあって、海に面している場所ではジャイアントフィッシュの水揚げや解体が行われていた。
無論、やっているのはNPC。
強烈な魚臭さに、鼻が曲がりそうだ!
「クリアエア」
久しぶりに生活魔法のクリアエアを使った。
他の者も、習うように使用する。
「もっと、早く気付けばよがっだ……」
「うう~」
獣人であるトゥスカとタマは辛そうだ。
「居た」
ジュリーが鉢巻きを巻いた漁師の元へ。
「おじさん、良いのあったら頂戴」
「おう、別嬪さんじゃねえか! とっておきがあるぜ! 好きな方を持っていきな!」
○以下から一つを選択出来ます。
★鯨骨の杖 ★鯨骨の大杖
「この二つって、どういう違いなんだ?」
「杖の方が魔法特化。大杖の方は物理攻撃力もそれなりにあるよ。杖によっては盾術や棒術に対応してたりしてる」
魔法だけで戦うか、武術を交えて戦うかで選ぶのか。
ジュリーは”鯨骨の杖”を選んだようだ。
「次はコセが選びなよ」
「おう。おじさん、俺にもなんかくれ!」
「けっ! ヤローかよ! まあ良い。好きな方をくれてやるよ!」
男か女で態度が全然違う。
○以下から一つを選択出来ます。
★鯨骨の銛 ★鯨骨の大刀
「戦士と魔法使いでは、貰えるのが違うんだったな」
俺は大刀の方を選択。
トゥスカは大刀、メルシュは杖、ユリカは大杖、タマは銛、ユイは大刀、シレイアは銛を選択した。
「性能はそこまで高く無いんだっけ?」
「水属性が弱点の敵でもない限り、現状わざわざ装備する必要は無いよ」
だが、俺達はジュリーからの情報で知っている。この鯨骨の装備は後々高く売れるということを!
ちなみに、このおっさんになにかをくれと言わなければ、アビスホエールのドロップ素材を使わない限り鯨骨装備は手に入らないらしい。
グギュルルルル!
「あはははは……すいません」
どうやら、さっきのお腹の音の主はタマらしい。
このタイミングでお腹が鳴るとは、タマが猫の獣人であることと関係あるのだろうか?
「近くに海鮮丼や寿司が食べられるお店があるし、行ってみる?」
メルシュの提案に、テンションが上がる!
「海鮮丼!! 少し早いけれど、昼飯にしよう!」
海鮮丼って事は、米が食べられるぜ!
●●●
「この海には、よそ者を嫌うプレデターがおってな。よそ者がこの港に丸四日間居座ると、そやつが上陸してくるのじゃ。じゃが、Lvが上がるとプレデターはその人間を同一人物とは認識出来ないらしい」
石の祭壇を降りたところに居たおじいちゃんから、そんな話を聞いた。
「なるほどね~、始まりの村の黒鬼みたいなのが居るってことね」
今回も、あんまり長居出来ないか。
「二日で準備を整えて、さっさと第五ステージに進んだ方が良さそうだな」
メグミちゃんの意見に同意する。
「そうね。メルシュちゃんから、この港でするべき事は聞いているし」
この港でやるべき事はほとんど無いから、コセさん達もさっさと進んじゃうだろうしね!
「コセはどこ! クソ! 魚の腐臭のせいで、臭いで追えない!」
リンピョンちゃん、元気になったのは良いのだけれど、私以上にコセさんに固執しちゃった。
あはは……ちょっと寂しい。
●●●
「四日後に現れるプレデター、キラーホエールマンと戦おう!」
海鮮丼を堪能した後、一度マイホームに戻ってきたのだが、リビングでメルシュがおかしな提案をしてきた。
「急にどうした?」
「このステージに入って、新しい情報が入ってきたんだよ! キラーホエールマンを倒せば、黒鬼の時のように強力なレアスキルが手に入るんだよ!」
黒鬼から手に入れたスキルやサブ職業は強力なため、ここまでずっと使っている。
「しかも、運が良ければキラーホエールマンがレア武器を使ってくるかもしれないし」
マンが付いていたから、もしかしてと思ったけれど。
「敵は人型か」
「黒鬼に比べたら倒しやすいよ! 雷属性が弱点だし、なんと鯨骨の武器で攻撃するとダメージが三倍!」
確かに、なんの情報も無しにいきなり挑まなければならなかった黒鬼に比べたら、かなり有利だ。
「一人につき三体も出て来るけれど、その分戦闘能力は黒鬼よりかなり低めだし、なんとでもなるよ!」
ここに居る八人全員Lvが上がらない場合、襲ってくるのは二十四体。
「ジュリーの意見は?」
「私はキラーホエールマンなんてモンスターは知らないから、なんとも言えない」
「オリジナルには、長居出来ないようにするシステムって無かったのか?」
「そんなシステムだがあったら、クソゲーの仲間入りをしているよ」
それもそうか。
「さすがに、二十四体も相手にするのは危険じゃないのかい?」
「使ってくる武器が不明なんですもんね?」
シレイアとタマの指摘はもっともだった。
「なら、私のパーティーだけLv上げを控えよう。この中で一番Lvが上だろうし」
「へ?」
ジュリーの言葉に、驚いてしまった。
だって、ジュリー達は俺のパーティーよりも全体的にLvが低かったはず。
「ジュリー達の今のLvは?」
「私は26」
「タマは25です」
「私も25」
「アタシとマスターも25あるね」
いつの間にか、ジュリー達に追い越されてる!
「ジャイアントフィッシュやアビスホエールが大量に経験値をくれるからね。貴重なスキルを手に入れられない分のメリットだよ」
なるほど、そういう事か。
ユイは元々俺よりLvが高かったのかな?
「というわけで、コセ達はLvを上げる必要があるね」
五かける三で十五体が相手か。
「敵が多い方が貴重な武器が手に入るんだろうけど、十五体は危険な気がする」
「大丈夫、大丈夫」
ちょっと不安だなー。
「あの、オリジナルとか……なんの話しですか?」
ユイが尋ねてきた内容に思考が停止する。
「「「説明するの忘れてた」」」
俺とメルシュと、ジュリーの声が重なった。
★
「ふぅー、気持ちいい……」
館の一角に設けられた温泉に浸かる。
石と檜の温泉、最高だ!
離れには露天風呂もあるんだよな。
「男湯を俺しか使わないっていうのは、なんだかもったいない気もするけれど、出来れば毎日入りたいなー」
すぐ隣が女湯になっている。
広さはコッチと同じはずだから、十人くらいなら余裕で入れるくらいか。
「お酒は嫌いだけれど、気分的に一杯飲みたくなるな」
実際にやったら、後悔するだろうけど。
「コセって、おっさんくさいんだね」
「へ?」
……バスタオルを巻いた姿で、ジュリーが入ってきた!?
「な、なにしてるんだよ!」
「シー! 隣に聞こえる」
微かに、隣から誰かの話し声が聞こえてきてはいた。
「……それで、なにしてる」
「ちょっと早めに相談したい事があって。ユイとシレイアに見付からないようにしようと思ったら……中々タイミングが掴めなくて」
「それで、なんなんだ?」
目のやり場に困るな。意識しないようにしないと。
なにせ、目の前に居るのは金髪巨乳美人。
「ユイの事なんだけれど……コセ、昨日はトゥスカと……お楽しみだったよね?」
「……はい」
そんな気まずそうに言うな! 俺が悪いことをしているみたいだろう!
「それでね、ユイが今日は誰が相手をするのかって……」
なんだそりゃ。
「……正直に言えば良いだろう」
「ハーレム好きだから同行してるんだろう? もし本当の事を言ってユイが抜けると言いだしたら……どうする?」
「どうもしない」
確かに、あの二人が抜けるのは惜しいとは思うけれど。
「…………バカ」
「なんでだよ」
そもそも、俺はハーレムなんて作る気ないのに。
「ユイは絶対に必要だから、偽装しよう! いや、するべきなんだよ!」
近い、近い近い近い近い近い近い近い!
それ以上寄るな! 意識してしまう!
「偽装って……どうするつもりなんだ?」
「今夜は、私と二人で寝よう!」
頭……痛くなってきた。
無論、やっているのはNPC。
強烈な魚臭さに、鼻が曲がりそうだ!
「クリアエア」
久しぶりに生活魔法のクリアエアを使った。
他の者も、習うように使用する。
「もっと、早く気付けばよがっだ……」
「うう~」
獣人であるトゥスカとタマは辛そうだ。
「居た」
ジュリーが鉢巻きを巻いた漁師の元へ。
「おじさん、良いのあったら頂戴」
「おう、別嬪さんじゃねえか! とっておきがあるぜ! 好きな方を持っていきな!」
○以下から一つを選択出来ます。
★鯨骨の杖 ★鯨骨の大杖
「この二つって、どういう違いなんだ?」
「杖の方が魔法特化。大杖の方は物理攻撃力もそれなりにあるよ。杖によっては盾術や棒術に対応してたりしてる」
魔法だけで戦うか、武術を交えて戦うかで選ぶのか。
ジュリーは”鯨骨の杖”を選んだようだ。
「次はコセが選びなよ」
「おう。おじさん、俺にもなんかくれ!」
「けっ! ヤローかよ! まあ良い。好きな方をくれてやるよ!」
男か女で態度が全然違う。
○以下から一つを選択出来ます。
★鯨骨の銛 ★鯨骨の大刀
「戦士と魔法使いでは、貰えるのが違うんだったな」
俺は大刀の方を選択。
トゥスカは大刀、メルシュは杖、ユリカは大杖、タマは銛、ユイは大刀、シレイアは銛を選択した。
「性能はそこまで高く無いんだっけ?」
「水属性が弱点の敵でもない限り、現状わざわざ装備する必要は無いよ」
だが、俺達はジュリーからの情報で知っている。この鯨骨の装備は後々高く売れるということを!
ちなみに、このおっさんになにかをくれと言わなければ、アビスホエールのドロップ素材を使わない限り鯨骨装備は手に入らないらしい。
グギュルルルル!
「あはははは……すいません」
どうやら、さっきのお腹の音の主はタマらしい。
このタイミングでお腹が鳴るとは、タマが猫の獣人であることと関係あるのだろうか?
「近くに海鮮丼や寿司が食べられるお店があるし、行ってみる?」
メルシュの提案に、テンションが上がる!
「海鮮丼!! 少し早いけれど、昼飯にしよう!」
海鮮丼って事は、米が食べられるぜ!
●●●
「この海には、よそ者を嫌うプレデターがおってな。よそ者がこの港に丸四日間居座ると、そやつが上陸してくるのじゃ。じゃが、Lvが上がるとプレデターはその人間を同一人物とは認識出来ないらしい」
石の祭壇を降りたところに居たおじいちゃんから、そんな話を聞いた。
「なるほどね~、始まりの村の黒鬼みたいなのが居るってことね」
今回も、あんまり長居出来ないか。
「二日で準備を整えて、さっさと第五ステージに進んだ方が良さそうだな」
メグミちゃんの意見に同意する。
「そうね。メルシュちゃんから、この港でするべき事は聞いているし」
この港でやるべき事はほとんど無いから、コセさん達もさっさと進んじゃうだろうしね!
「コセはどこ! クソ! 魚の腐臭のせいで、臭いで追えない!」
リンピョンちゃん、元気になったのは良いのだけれど、私以上にコセさんに固執しちゃった。
あはは……ちょっと寂しい。
●●●
「四日後に現れるプレデター、キラーホエールマンと戦おう!」
海鮮丼を堪能した後、一度マイホームに戻ってきたのだが、リビングでメルシュがおかしな提案をしてきた。
「急にどうした?」
「このステージに入って、新しい情報が入ってきたんだよ! キラーホエールマンを倒せば、黒鬼の時のように強力なレアスキルが手に入るんだよ!」
黒鬼から手に入れたスキルやサブ職業は強力なため、ここまでずっと使っている。
「しかも、運が良ければキラーホエールマンがレア武器を使ってくるかもしれないし」
マンが付いていたから、もしかしてと思ったけれど。
「敵は人型か」
「黒鬼に比べたら倒しやすいよ! 雷属性が弱点だし、なんと鯨骨の武器で攻撃するとダメージが三倍!」
確かに、なんの情報も無しにいきなり挑まなければならなかった黒鬼に比べたら、かなり有利だ。
「一人につき三体も出て来るけれど、その分戦闘能力は黒鬼よりかなり低めだし、なんとでもなるよ!」
ここに居る八人全員Lvが上がらない場合、襲ってくるのは二十四体。
「ジュリーの意見は?」
「私はキラーホエールマンなんてモンスターは知らないから、なんとも言えない」
「オリジナルには、長居出来ないようにするシステムって無かったのか?」
「そんなシステムだがあったら、クソゲーの仲間入りをしているよ」
それもそうか。
「さすがに、二十四体も相手にするのは危険じゃないのかい?」
「使ってくる武器が不明なんですもんね?」
シレイアとタマの指摘はもっともだった。
「なら、私のパーティーだけLv上げを控えよう。この中で一番Lvが上だろうし」
「へ?」
ジュリーの言葉に、驚いてしまった。
だって、ジュリー達は俺のパーティーよりも全体的にLvが低かったはず。
「ジュリー達の今のLvは?」
「私は26」
「タマは25です」
「私も25」
「アタシとマスターも25あるね」
いつの間にか、ジュリー達に追い越されてる!
「ジャイアントフィッシュやアビスホエールが大量に経験値をくれるからね。貴重なスキルを手に入れられない分のメリットだよ」
なるほど、そういう事か。
ユイは元々俺よりLvが高かったのかな?
「というわけで、コセ達はLvを上げる必要があるね」
五かける三で十五体が相手か。
「敵が多い方が貴重な武器が手に入るんだろうけど、十五体は危険な気がする」
「大丈夫、大丈夫」
ちょっと不安だなー。
「あの、オリジナルとか……なんの話しですか?」
ユイが尋ねてきた内容に思考が停止する。
「「「説明するの忘れてた」」」
俺とメルシュと、ジュリーの声が重なった。
★
「ふぅー、気持ちいい……」
館の一角に設けられた温泉に浸かる。
石と檜の温泉、最高だ!
離れには露天風呂もあるんだよな。
「男湯を俺しか使わないっていうのは、なんだかもったいない気もするけれど、出来れば毎日入りたいなー」
すぐ隣が女湯になっている。
広さはコッチと同じはずだから、十人くらいなら余裕で入れるくらいか。
「お酒は嫌いだけれど、気分的に一杯飲みたくなるな」
実際にやったら、後悔するだろうけど。
「コセって、おっさんくさいんだね」
「へ?」
……バスタオルを巻いた姿で、ジュリーが入ってきた!?
「な、なにしてるんだよ!」
「シー! 隣に聞こえる」
微かに、隣から誰かの話し声が聞こえてきてはいた。
「……それで、なにしてる」
「ちょっと早めに相談したい事があって。ユイとシレイアに見付からないようにしようと思ったら……中々タイミングが掴めなくて」
「それで、なんなんだ?」
目のやり場に困るな。意識しないようにしないと。
なにせ、目の前に居るのは金髪巨乳美人。
「ユイの事なんだけれど……コセ、昨日はトゥスカと……お楽しみだったよね?」
「……はい」
そんな気まずそうに言うな! 俺が悪いことをしているみたいだろう!
「それでね、ユイが今日は誰が相手をするのかって……」
なんだそりゃ。
「……正直に言えば良いだろう」
「ハーレム好きだから同行してるんだろう? もし本当の事を言ってユイが抜けると言いだしたら……どうする?」
「どうもしない」
確かに、あの二人が抜けるのは惜しいとは思うけれど。
「…………バカ」
「なんでだよ」
そもそも、俺はハーレムなんて作る気ないのに。
「ユイは絶対に必要だから、偽装しよう! いや、するべきなんだよ!」
近い、近い近い近い近い近い近い近い!
それ以上寄るな! 意識してしまう!
「偽装って……どうするつもりなんだ?」
「今夜は、私と二人で寝よう!」
頭……痛くなってきた。
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