ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

46.芽生える疑問

 魔法使い.Lv1、魔法系スキル獲得で”水魔法”を選択。
 Lv2でサブ職業、”僧侶”を選択。
 Lv3で風属性強化を選択。
 Lv4でMP回復速度アップを選択。
 Lv5でサブ職業、“賢者”を選択。
 Lv6でサブ職業装備可能数3へ。
 Lv7で”無名のスキルカード”を入手。
 Lv8で魔法系スキル獲得で、賢者のサブ職業を所持していたため”最上位回復魔法”を選択可能に。
 Lv9で予備スキル欄が解禁。
 Lv10で最大スキル数が20に。
 Lv11でパーティー最大数アップなのだけれど、ワイズマンである私はパーティーリーダーになることが無いため、代わりに魔法によるMP消費量が九割に。
 Lv12で指輪装備数プラス2。武器変更能力の獲得は無し。
 Lv13でサブ職業の装備可能数が4に。
 Lv14でMP回復速度アップを選択。
 Lv15で魔法威力アップを選択。
 Lv16では光属性強化を選択。
 Lv17でお守りを取り込めるようになる。
 Lv18で装備セット機能解禁。
 Lv19でスキルセット機能解禁。

「終わったよ、マスター」
「なら、次は手持ちの魔法系スキルカードを全種類使用してくれ」

 スキルカード欄を表示して、水魔法以外の魔法系スキルを片っ端から修得していく。

「終わったよ~」

 上位魔法のスキルカード、、いつの間に手に入れたんだろう?

「よし、次は学校で買える魔法スキルを片っ端から教えて貰うぞ!」
「アイアイサー♪」

 ニッコリ敬礼しながら思う。

 私がメシュと同一人物だって事、早く二人に伝えたいなって。

 ……でも、まだ暫くは無理なんだよね。


●●●


『クソ……こんなにも早く、計画が頓挫するなんて……』

 偶然とはいえ、アルバートのお気に入りに計画を潰されてしまった。

『……落ち着け、隠れNPCは他にも居る』

 だから、オリジナルを知っているジュリーには全ての隠れNPCの入手情報は与えている。

 隠れNPCと共にダンジョン・ザ・チョイスの深部に辿り着いてくれれば、まだ可能性はあるわ。

『とはいえ、私が無難に介入出来る隠れNPCはワイズマンくらい…………そういえばあのワイズマン、なんで自分から名乗ったのかしら?』

 名前は、マスターになった人間が自由に付けられる設定だった気がするのだけれど?

『今はそんな事より、ジュリーが問題ね』

 映像の向こうには、すっかりやる気を無くし、魔神・転剣狼との戦いに参加しようとしないジュリーが映し出されていた。

『……どうしたものか』

 ジュリーがこのざまでは、私達の、


●●●


「お、終わった……」
「マスター、疲れたー」
「ようやく終わりましたね」

 学園内を回るのに、昼過ぎまで掛かってしまった。
 今は、食堂らしき場所で休んでいる。

「メルシュ……使える魔法は何種類になった?」
「二十六だよ」
「二十六……たった十種類で700000G以上使ってしまった」

 魔法の修得額……たけー。

「魔法って、全部で何種類あるんだ?」
「少なくとも三十種類以上はあるよ」

 メルシュが答えてくれた。

「メルシュって、このゲームについてどれだけ知っている?」
「第一から三までのステージについては、大体分かっているよ。第四ステージに行けば、第四ステージの情報も頭に入ってくるし。あと、基本的な事になら大体答えられるよ」

 無邪気に、凄い事を言っているメルシュ。

 このゲーム、本当に細かい事が分からなくて困ってたんだよな。

「じゃあ、この“無名のスキルカード”は?」

 無名のスキルが手に入るなんてオチじゃないよな?

「そのカードを使用した直後にモンスターを倒すと、そのモンスターの名前が刻まれたスキルカードが百パーセント手に入るよ」
「そういう使い方か。それじゃあ、どのモンスターからどんなスキルが手に入るのかも知っているのか?」

「うーん、直に見ないと情報は開示されないみたい。あ、マスターが目にしたモンスターなら大丈夫のようだよ」
「トゥスカだとダメなのか?」

 トゥスカは俺と出会う前からモンスターと戦っていたようだから、俺が知らないモンスターの中から有用なスキルが見付かるかも。

「私がマスターと連動しているから可能なことなんだよ。それと、リザードマンみたいにスキルカードが手に入らない相手には使い損になるからね」
「道理で、いくら倒してもスキルカードが出ないモンスターが居るわけだ」

 ゴブリンとグレイウルフのカードは見たことがない。

「じゃあ、次は指輪を頂戴!」
「……なんで?」
「私は装備出来る物が限られているから、指輪を揃える事が必要なんだよ! マスターの“大地の盾の指輪”みたいな特殊な奴とかさ!」

 そっか。武具を装備出来なくても、指輪を揃えれば色んな状況に対応出来るわけか。

 大地の盾は浮いているから重さを感じないし、魔法使い職のメルシュでも十分扱えるだろう。

「サブ職業で”盾使い”とかを装備すれば、メルシュは盾術を使えたり出来るのか?」
「うん、出来るよ! でも、魔法使いは戦士よりも基本能力は低めだからね」

 魔法使いの近接戦闘手段は、あくまで奥の手か。

「指輪を手に入れるには、第三ステージのダンジョンに進むしかないのでは?」

 トゥスカの質問。

「第三ステージのダンジョンなんて無いよ?」

「「へ?」」

 どういう事だ?

「まだ知らなかったんだね。祭壇とは反対の位置に大きな壁があって、そこの一部がボス部屋の入り口になっているんだよ」
「では、第三ステージはボス戦だけなのですか?」
「違うよ。ボス部屋に入るには、冒険者ギルドから許可証が必要なんだよ」
「許可証?」

 今までとは違うんだな。

「街の外に探索場が四つあって、ギルドにお金を払って一カ所だけ入れるようになるんだよ」
 
「ここでも選択を迫るわけか」

「街でも指輪は買えるけれど、低級の物しか置いてないからね。探索場の一つに、宝飾品の類が多く見付かる場所があるんだよ」

 今手元にある指輪は、身体能力関係ばかり。

「探索場にはそれぞれ主が居て、討伐した際に手に入る“魔宝玉”を持って戻れば、冒険者ギルドから許可証が貰えるよ」

 街だからか、第三ステージは色々複雑な仕組みになっているんだな。

「なら、この後は冒険者ギルドか」

「じゃあ、昼食を食べようよ! すいませーん、AランチとBランチとCランチセットくださーい!」

 メルシュが勝手に注文してしまった。

 ていうか、ここでご飯食べられるんだ!

「はーい、Aランチ、Bランチ、Cランチお待ちー。2100G、まいどー」

 チョイスプレートが出現し、強制的に支払わされた!?
 ……まあ、良いけど。
 それにしても、注文してから十秒足らずだったな。

「この器、随分軽いですね。木ではないようですが」

 プラスチック製と思われる器に、興味津々なトゥスカ。

「早く食べようよ! 私はCランチね」

 運ばれてきた食事を見ると、小学校で食べていた給食を思い出す。

 Aランチがお肉メインで、Bランチが魚、Cランチは両方の野菜多めか。

「トゥスカはどっち食べたい?」
「ご主人様が先に選んでください」

 トゥスカの視線は、チラチラとAランチに注がれていた。

 でも、Bランチにも興味がありそうだ。

「半分ずつ食べようか?」
「良いんですか!?」

 俺も両方食べてみたいし。

 トゥスカ以外の人間だったら、絶対嫌だけれど。

「ありがとうございます、ご主人様♡」
「早く戴きますしようよ!」
「お、偉いな、メルシュ」

 三人とも、手を合わせる。

「「「戴きます!」」」

「……美味しいですね!」
「でしょー♪」

 相手はメシュじゃないけれど、三人で食事をしたときと似た感覚――――さっき戴きますをするときのメルシュ手の合わせ方……あの時の、最後の食事の時のメシュと同じじゃなかったか?

 別れの意味を示す挨拶。

 
 メルシュは……メシュなのか?


 だとしたら、俺達を知らない風に振る舞う理由は?
 それとも、記憶が消されている?

 食事の間、妙な疑問が次々と湧き出て来た。

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