ダンジョン・ザ・チョイス
39.ハーレム男の選択基準
「死ね、金髪女!」
盗賊の頭領が、”兇賊のサーベル”を手に駆けてくる。
「サンダラスレイン!!」
「インフェルノカノン!」
ユリカと一緒に、魔法で畳み掛ける!
お守りの効果を発動させなければ、トロル化もしないし、お守りも手に入る。
トロル化してくれた方が、経験値的には美味しいけれど。
それに、“肉体再生のスキルカード”も手に入らなくなる。
「これで終わりだ! サンダラススプランター!!」
黄白の雷が、盗賊の頭領を焼き払う!
「くそったれ……」
盗賊の頭領が光に変わると、部屋全体が安全エリア化する。
「つっかれた~」
ユリカが膝をつく。
「今日はここで休もう。明日も早めに出発だ」
「ええ~、もう夜も遅いし、明日はゆっくりしようよ!」
「ジュリー様。さすがに、少し休んだ方が……」
ユリカとタマが意見する!
くそ!! 私の事情を伝えられないのがもどかしい!
「……ボス部屋前までで良い。だから……お願い」
コセから”ワイズマンの歯車”を奪わなければ、私とオルフェの計画が無に帰す!
メシュが無傷状態で、トロル化した盗賊の頭領を討伐する。それが、完全な形でのクエスト攻略方法。
コセならば、きっと完全な形でクエストを攻略し、“ワイズマンの歯車”を手に入れている事だろう。
「絶対に……手に入れるんだ」
どんな手を使ってでも!!
◇◇◇
『ジュリー、追い付いたようね』
後は、コセ達よりも少し早めにボス部屋前に着くように調整しなければね。
『それにしても……』
「ああっ♡♡! ああっ♡♡♡! ご主人様♡♡♡♡!! ご主人様ーーーッ♡♡♡♡!!」
『あの黒髪バカップル、いったい何時間ぶっ続けでヤるつもりだ……』
まあ、夫婦での営みと考えれば、このダンジョン内で起きている事の中では健全か。
『……早く終わらせなきゃ、こんなゲーム』
人の醜悪性と異常性を煮詰めたようなこんなゲーム、存在しない方が良いに決まっているのだから。
●●●
”バンディットのスキルカード”を使用し、盗術スキルを修得。
サブ職業の盗賊を外し、“兇賊”を装着する。
「……殺人術?」
兇賊の場合、殺人術というスキルを使えるらしい……試すのが怖いな。
「ご主人様、準備出来ました♡」
俺の最愛の妻が、荷物を片付けて声を掛けてきた。
「な!?」
盗賊のサブ職業を装着したときは食物を食べても大丈夫かどうかが分かったが、兇賊のサブ職業は……どこをどう攻撃すれば効率よく殺せるかが頭に流れ込んでくる。
「は、早く行こうか!」
役立つ能力のはずだし、取り敢えず装着したままでいよう。
殺人術のスキルだけは、絶対に修得しない。
こんなスキル、日常生活に絶対支障が出る!
俺は二つ目のサブ武器に“兇賊のサーベル”を選択。
トゥスカは右手に”ビッグブーメラン、左手に“鋼鉄のタワーシールド”を装備している。
二人で盗賊のアジトの最奥を目指し、歩き出した。
盗賊の頭領がいた部屋の、奥の通路に足を踏み入れて数分後の事。
○盗賊の頭領を討伐し、盗賊団を壊滅させました。報酬に400000Gを受け取りました。
お金か。トゥスカ用に強力な武器が欲しいところだが。
性能が高い“兇賊のサーベル”は大きく、トゥスカでは両手でなければ持てなかった。
それに、剣術では“兇賊のサーベル”の扱い方が頭に流れ込んでこないらしく、おそらく大剣に分類されるのだろう。
グレートソードよりも性能は低いし、俺が持っていてもあまり意味が無いのだけれど。
「……そういえば、なんでコイツの名前が変わっていたんだ?」
グレートソードの名前が、なぜか“強者のグレートソード”に変わっていた。
理由がよく分からない。
俺には想像も出来ない条件を、いつの間にか満たしていたのだろう。
見た目は変わっていないし、グラフを見る限り少しだけ性能が上がったようだから、むしろラッキーなんだけれどさ。
暫く歩いていると、少し広い場所に出る。
「また別れ道か?」
○右:盗賊団の武器庫。強固な武器・防具が手に入るかも。
○左:盗賊団の宝物庫。レアアイテムや、高く売れる物が手に入るかも。
どっちも先へ続いているのか。
てっきり、どっちかは強力なモンスター軍団を選んだ場合の出口だと思っていた。
それにしても、ここまでで結構な額のお金が手に入っている。
この先、大金が必要になるイベントでもあるのか?
「左の方が外れが無さそうですね。右に進んだ場合、強力な武具が手に入っても、私達に合うのかどうか」
「なるほど。左の方が確実にメリットがあるのか」
とはいえ、ここまでで結構なお金が手に入っているから、お金があってもな。
レアアイテムというのが気になるけれど……。
「トゥスカ、ジャンケンで決めよう!」
決め手が無いので、流れに任せることにした。
「へ? 私はご主人様に従いますよ?」
「良いから、良いから。ジャンケンは知ってるか?」
「ええ、分かります。では、私が負けたら左に行きましょう」
ん? なんで?
「左に行きたいんだろう? 勝ったらで良いじゃないか」
「ご主人様が勝った方が、メリットがあるべきです」
よく分からないこだわりだな。
「そ、そうなんだ。それじゃあ、ジャ~ン、ケ~ン、ポン!」
「あ……」
俺がパーで、トゥスカがチョキ。というわけで、勝ったのはトゥスカでした。
「……すみません」
「いや、気にしなくて良いよ。このくらい」
俺達は右に進むことにした。
★
「一蹴!」
“一蹴のファルシオン”の力で、魔女のような老婆モンスターが放ってきた魔法の火炎球を吹き飛ばす!
「パワーアックス!」
「パワースラッシュ!」
僕が作った隙を突き、鹿獣人のエレジーさんと牛獣人のノーザンさんが攻撃を決めてくれた!
「十連戦、どうにか終わりましたね」
老婆が消えると、シホさんが駆け寄ってきた。
「この剣のおかげです。譲って戴きありがとうございます、シホさん」
突発クエストの時、グレートオーガを倒した際に手に入れたという剣を、シホさんから貰っていた。
「私は魔法使いですから、パーティーメンバーで剣の使い手であるリョウ様にお譲りするのは、むしろ当然ですよ♡」
シホさんて、本当に良い人だな。
○強力なモンスターとの十連戦を終えました。報酬のスキルカードをお受け取りください。
○”光魔法のスキルカード”、“氷塊魔法のスキルカード”、“瞬足のスキルカード”、“強拳のスキルカード”、“強魔のスキルカード”、“暴風拳法のスキルカード”、“料理のスキルカード”、“索敵のスキルカード”、“ネットスパイダーのスキルカード”、“大剣術のスキルカード”を手に入れました。
○二パーティーで挑んだため、半分の五枚をランダムに別パーティーに送ります。
一パーティーだけだったら、とてもじゃないけれどあんな強力なモンスター達と十連戦なんて無理だったよ。
「ギルマスなら、きっとなんとかしたんだろうな」
きっと今頃、トゥスカさんと二人きりでずっと先に進んでいる事だろう!
「じゃあ、どのスキルカードを誰が使うか、話し合おうか」
★
スキルカードの分配が終わった後、安全エリアで休息を取り、僕達七人は別れ道に到着した。
○右:モンスターだらけ。安全エリアが多く、お金がザクザク。
○左:武器持ちモンスター多数。安全エリアが少なめで、稀に強いモンスターが出現。
「どっちが良いですかね?」
「多数決で良いんじゃない?」
エレジーさんの言葉に、多数決を提案するナオさん。
「なら私は、リョウ様の選択に従うに一票!」
「私も!」
「僕も!」
シホさんを始め、ナオさん以外の五人が、僕次第で良いと主張してきた。
ぷ、プレッシャーが……。
「ち、ちなみに、ナオさんはどっちですか?」
「……右って言いたいところだけれど、楽な方を選べば選ぶほど、後で困ることになると思う。皆の装備の質も上げたいし」
「そうですね」
サブ職業は買い揃えてあるから、武器はそこまで選ぶ必要はないし、僕以外のメンバーの武器は突発クエストでゴブリンからドロップした物だし。
積極的に、個人の戦力アップを計った方が将来的には皆の安全に繋がるはず!
「では、僕達は左に進みましょう!」
皆が強くなった方が、ギルマスの役に立てますからね!
盗賊の頭領が、”兇賊のサーベル”を手に駆けてくる。
「サンダラスレイン!!」
「インフェルノカノン!」
ユリカと一緒に、魔法で畳み掛ける!
お守りの効果を発動させなければ、トロル化もしないし、お守りも手に入る。
トロル化してくれた方が、経験値的には美味しいけれど。
それに、“肉体再生のスキルカード”も手に入らなくなる。
「これで終わりだ! サンダラススプランター!!」
黄白の雷が、盗賊の頭領を焼き払う!
「くそったれ……」
盗賊の頭領が光に変わると、部屋全体が安全エリア化する。
「つっかれた~」
ユリカが膝をつく。
「今日はここで休もう。明日も早めに出発だ」
「ええ~、もう夜も遅いし、明日はゆっくりしようよ!」
「ジュリー様。さすがに、少し休んだ方が……」
ユリカとタマが意見する!
くそ!! 私の事情を伝えられないのがもどかしい!
「……ボス部屋前までで良い。だから……お願い」
コセから”ワイズマンの歯車”を奪わなければ、私とオルフェの計画が無に帰す!
メシュが無傷状態で、トロル化した盗賊の頭領を討伐する。それが、完全な形でのクエスト攻略方法。
コセならば、きっと完全な形でクエストを攻略し、“ワイズマンの歯車”を手に入れている事だろう。
「絶対に……手に入れるんだ」
どんな手を使ってでも!!
◇◇◇
『ジュリー、追い付いたようね』
後は、コセ達よりも少し早めにボス部屋前に着くように調整しなければね。
『それにしても……』
「ああっ♡♡! ああっ♡♡♡! ご主人様♡♡♡♡!! ご主人様ーーーッ♡♡♡♡!!」
『あの黒髪バカップル、いったい何時間ぶっ続けでヤるつもりだ……』
まあ、夫婦での営みと考えれば、このダンジョン内で起きている事の中では健全か。
『……早く終わらせなきゃ、こんなゲーム』
人の醜悪性と異常性を煮詰めたようなこんなゲーム、存在しない方が良いに決まっているのだから。
●●●
”バンディットのスキルカード”を使用し、盗術スキルを修得。
サブ職業の盗賊を外し、“兇賊”を装着する。
「……殺人術?」
兇賊の場合、殺人術というスキルを使えるらしい……試すのが怖いな。
「ご主人様、準備出来ました♡」
俺の最愛の妻が、荷物を片付けて声を掛けてきた。
「な!?」
盗賊のサブ職業を装着したときは食物を食べても大丈夫かどうかが分かったが、兇賊のサブ職業は……どこをどう攻撃すれば効率よく殺せるかが頭に流れ込んでくる。
「は、早く行こうか!」
役立つ能力のはずだし、取り敢えず装着したままでいよう。
殺人術のスキルだけは、絶対に修得しない。
こんなスキル、日常生活に絶対支障が出る!
俺は二つ目のサブ武器に“兇賊のサーベル”を選択。
トゥスカは右手に”ビッグブーメラン、左手に“鋼鉄のタワーシールド”を装備している。
二人で盗賊のアジトの最奥を目指し、歩き出した。
盗賊の頭領がいた部屋の、奥の通路に足を踏み入れて数分後の事。
○盗賊の頭領を討伐し、盗賊団を壊滅させました。報酬に400000Gを受け取りました。
お金か。トゥスカ用に強力な武器が欲しいところだが。
性能が高い“兇賊のサーベル”は大きく、トゥスカでは両手でなければ持てなかった。
それに、剣術では“兇賊のサーベル”の扱い方が頭に流れ込んでこないらしく、おそらく大剣に分類されるのだろう。
グレートソードよりも性能は低いし、俺が持っていてもあまり意味が無いのだけれど。
「……そういえば、なんでコイツの名前が変わっていたんだ?」
グレートソードの名前が、なぜか“強者のグレートソード”に変わっていた。
理由がよく分からない。
俺には想像も出来ない条件を、いつの間にか満たしていたのだろう。
見た目は変わっていないし、グラフを見る限り少しだけ性能が上がったようだから、むしろラッキーなんだけれどさ。
暫く歩いていると、少し広い場所に出る。
「また別れ道か?」
○右:盗賊団の武器庫。強固な武器・防具が手に入るかも。
○左:盗賊団の宝物庫。レアアイテムや、高く売れる物が手に入るかも。
どっちも先へ続いているのか。
てっきり、どっちかは強力なモンスター軍団を選んだ場合の出口だと思っていた。
それにしても、ここまでで結構な額のお金が手に入っている。
この先、大金が必要になるイベントでもあるのか?
「左の方が外れが無さそうですね。右に進んだ場合、強力な武具が手に入っても、私達に合うのかどうか」
「なるほど。左の方が確実にメリットがあるのか」
とはいえ、ここまでで結構なお金が手に入っているから、お金があってもな。
レアアイテムというのが気になるけれど……。
「トゥスカ、ジャンケンで決めよう!」
決め手が無いので、流れに任せることにした。
「へ? 私はご主人様に従いますよ?」
「良いから、良いから。ジャンケンは知ってるか?」
「ええ、分かります。では、私が負けたら左に行きましょう」
ん? なんで?
「左に行きたいんだろう? 勝ったらで良いじゃないか」
「ご主人様が勝った方が、メリットがあるべきです」
よく分からないこだわりだな。
「そ、そうなんだ。それじゃあ、ジャ~ン、ケ~ン、ポン!」
「あ……」
俺がパーで、トゥスカがチョキ。というわけで、勝ったのはトゥスカでした。
「……すみません」
「いや、気にしなくて良いよ。このくらい」
俺達は右に進むことにした。
★
「一蹴!」
“一蹴のファルシオン”の力で、魔女のような老婆モンスターが放ってきた魔法の火炎球を吹き飛ばす!
「パワーアックス!」
「パワースラッシュ!」
僕が作った隙を突き、鹿獣人のエレジーさんと牛獣人のノーザンさんが攻撃を決めてくれた!
「十連戦、どうにか終わりましたね」
老婆が消えると、シホさんが駆け寄ってきた。
「この剣のおかげです。譲って戴きありがとうございます、シホさん」
突発クエストの時、グレートオーガを倒した際に手に入れたという剣を、シホさんから貰っていた。
「私は魔法使いですから、パーティーメンバーで剣の使い手であるリョウ様にお譲りするのは、むしろ当然ですよ♡」
シホさんて、本当に良い人だな。
○強力なモンスターとの十連戦を終えました。報酬のスキルカードをお受け取りください。
○”光魔法のスキルカード”、“氷塊魔法のスキルカード”、“瞬足のスキルカード”、“強拳のスキルカード”、“強魔のスキルカード”、“暴風拳法のスキルカード”、“料理のスキルカード”、“索敵のスキルカード”、“ネットスパイダーのスキルカード”、“大剣術のスキルカード”を手に入れました。
○二パーティーで挑んだため、半分の五枚をランダムに別パーティーに送ります。
一パーティーだけだったら、とてもじゃないけれどあんな強力なモンスター達と十連戦なんて無理だったよ。
「ギルマスなら、きっとなんとかしたんだろうな」
きっと今頃、トゥスカさんと二人きりでずっと先に進んでいる事だろう!
「じゃあ、どのスキルカードを誰が使うか、話し合おうか」
★
スキルカードの分配が終わった後、安全エリアで休息を取り、僕達七人は別れ道に到着した。
○右:モンスターだらけ。安全エリアが多く、お金がザクザク。
○左:武器持ちモンスター多数。安全エリアが少なめで、稀に強いモンスターが出現。
「どっちが良いですかね?」
「多数決で良いんじゃない?」
エレジーさんの言葉に、多数決を提案するナオさん。
「なら私は、リョウ様の選択に従うに一票!」
「私も!」
「僕も!」
シホさんを始め、ナオさん以外の五人が、僕次第で良いと主張してきた。
ぷ、プレッシャーが……。
「ち、ちなみに、ナオさんはどっちですか?」
「……右って言いたいところだけれど、楽な方を選べば選ぶほど、後で困ることになると思う。皆の装備の質も上げたいし」
「そうですね」
サブ職業は買い揃えてあるから、武器はそこまで選ぶ必要はないし、僕以外のメンバーの武器は突発クエストでゴブリンからドロップした物だし。
積極的に、個人の戦力アップを計った方が将来的には皆の安全に繋がるはず!
「では、僕達は左に進みましょう!」
皆が強くなった方が、ギルマスの役に立てますからね!
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