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ダンジョン・ザ・チョイス

魔神スピリット

5.グレートオーガ

 大地の盾を出現させ、攻撃してきた青い皮膚のリザードマンを薙ぎ払う!

 リザードマンが手放した湾刀を掴み、"盗術"のスティールで所有権を奪い取る!

 青白い左が剣を包み込んだことで、所有権を奪う事に成功したのが分かった!

 こうすることで、相手の装備扱いの物を自分の物として装備できるのだ!

「パワーフリック!」

 丸い盾を翳したリザードマンの防御の隙を突き、右の肋骨の下辺りに突き刺した!

「キューーーー!!」

 浅いか!

 左手に浮いた盾の側面を、リザードマンの首に捻じ込む!

 鋭い部分を当てたため、喉に突き刺さった。

「キュー……ウゥ……」

 リザードマンが光になって消える。
 手を合わせながら想う。

「盾使いを選んでおけば、もっと楽だったかな?」

 最初に盾だとこれまでモンスターを殺せていたか分からないし、僧侶を選んでいなかったら最初のゴブリンで詰んでいた。

 盗賊が無かったら、この指輪自体手に入っていなかったわけだし。

「ままならないな~」

 気にしても仕方ないか。

「おっ!」

 獲得アイテムを確認してみると、戦士Lv.4に上がっていた!

○戦士.Lv4になりましたので、TPとMPのどちらか一つの回復速度を上げることができます。

 サブ職業が手に入るなら、盾使いを取ろうと思っていたのに。

「考えるまでもなくTPだよな」

 TPの回復率アップを選択した。

 メイン武器をリザードマンから奪った”鉄の湾刀”にし、サブ武器を"鉄の短剣"に変更する。

 このメインとサブに設定しておく理由、なにか意味があるのか?

 ここまでに幾つか宝箱を見付けたけれど、大した物は入っていなかった。

 今更”鎖かたびら”とか手に入っても困る。

 "偉大なる英雄の鎧"とは一緒に装備出来ないし、能力グラフを比べると、圧倒的に”偉大なる英雄の鎧”の方が性能が上だった。

「それにしても、スティールの使い方を知って置いて良かった」

 どうやら、発動条件が複雑な物なんかには解説文が用意されているらしい。

「こんなの、解説が無かったら一生使用条件が分からなかっただろうな」

 スティールは手から離れた物であれば八割の確立で所有権を奪えるらしいけれど、相手が直接手にしている状態だと成功率が一割まで下がる。

 試したのは今回が初だった。

「おし! このまま行くぞ!」

 ……気合いを入れようと大きい声を出したけれど、自分の声にビビってしまった。

 大きい物音とか嫌いなんだよな。

 一々物音がうるさい奴が近くに居ると、それだけで物に感謝とかしない異常者に見えてくる。

「……この二日間は、凄く気楽だったな」

 学校にも、家にも、俺の感覚を理解してくれる人間は居ない。

 そういう話しをすると、お前は言葉を尽くしたのかと返される。

 これは感覚的な物なんだ。言葉を尽くさなければならない時点で伝わることは無いし、周りの人間の言動を見ていれば、通じるかどうかは分かるんだ。

 俺の親も兄弟も、本能的に俺を低レベルな人間だと思おうとする。
 それが盛大なブーメランになっていることを、アイツらが一生自覚することは無いだろう。

 この先どうなるかは分からないけれど、あの家に居るくらいなら、ここに来て良かったと思える。

「進もう」

 それでも、寂しいって思えてしまうのだから救いようがない。


             ★


「ギャン!!」

 グレイウルフの首を、”鉄の湾刀”で刎ねる。

「これだけ大きな金属の塊を、当たり前のように振り回せるなんて」

 戦士.Lvが上がった事で、肉体が強化されているのは間違いないな。

 Lv4でのTP量だと、剣術スキルを連続で八回は使用出来そうだ。

「周りの財宝が増えてきたな」

 この金貨の山がまったく手に入らないんだから泣けてくる。

「グゥゥゥオーーーー!」

 あの時と同じ声!

 かなり近い。

 音を殺して、声の方に進んでいく。

 ここまで一本道だった所を見るに、声の主との戦闘は避けられそうにない。

 居た。

 金貨の山の影から、そいつの様子を窺う。

 赤い巨軀の鬼。オーガのイメージピッタリなモンスターがキョロキョロしていた。

 ……滅茶苦茶強そうだ。身長二メートル以上はある。

 今までで一番の強敵なのは間違いない。

 幸いなのは、ゴブリンと違って武器を装備していない点だ。

 チョイスプレートを出して、TPが全回復しているのを確認。

 さて、どうするかな。

 ……うん? 急に立ち止まって、鼻をヒクヒクさせて…………こっちを見た?

 睨みつけながら、身体の向きをこちらに変えるオーガ。

「最悪」

 嗅いでバレたらしい。

 大人しくオーガの前に姿を現す。

「よう」
「グゥゥゥオーー」

 前傾姿勢になり、突撃してきた!

 接触直前で指輪から大地の盾を呼び出し、斜めに構えて身体を丸める!

「グゥオ!?」

 勢い余って、盾越しに俺の背後を転がっていくオーガ。

 すかさず盾から飛び出し、急接近!

「グゥオオオオオ!!」

 横に振るわれた腕を”壁歩き”で回避し、剣を振りかぶる!

「パワースラッシュ!」

 ”鉄の湾刀”で右の首元から左腰に掛けて、落ちながら切り裂いた!

「倒れないか!」

 体勢を立て直したオーガの再攻撃を盾でいなし、剣術を発動する!

「パワーフリック!」

 オーガの喉を貫い……しまった! 湾刀だから思ったように刺さらなかった!

「グゥオオ!!」

 オーガの決死の腕振りが脇腹に当たる!?

 イッ……てーーー!!

 ”偉大なる英雄の鎧”のおかげで、攻撃そのものは通っていない!

「パワーブレイド!!」

 反対側の首元から、袈裟斬りにする!!

「ハアハア、ハアハア……勝った」

 目の前でオーガが消えていく。

 剣を地面に突き刺して、支えにする。

「一体だけじゃなかったら、ハアハア、死んでた」

 次出くわしても勝てる気がしない。

○ボーナスステージに進めます。進みますか? 進みませんか? 十五秒で決めてください。

 強制選択! しかも時間制限あり!

 ――進まないのは、なんか嫌だな。

 ヒールを三回使用して、身体の痛みを取り除く。

「どうせ俺一人しか居ないんだ。やれるところまでやってやる!」

 ボーナスって言うんだから、楽なステージかもしれないしな!

 オーガが居た場所に向かって、手を合わせた。

 顔を上げると周りの景色が歪みだし、やがて別の景色に変わっていく。

 選ばない場合、強制的にボーナスステージに送られるらしい。



「…………最悪だ」

「グオオオオオオオオおおおおおおおおお!!」

 さっきのオーガの二倍は大きい灰色のオーガが、バカデカい大剣を手にしている!!

「グオオオオおおおお!!」
「ゴフッ!?」

 ――剣にばかり注意が向いていたために、無造作に振るわれた左腕に反応出来なかった!!

 身体がミシミシと悲鳴を上げている。

 壁に叩き付けられ、肺から空気が抜けて、腹から全身に痛みが伝播していくかのよう。

「動……け」

 ブルブル震える脚に力を入れ、不格好に地を蹴る!

 一瞬後には、大剣による一撃により、さっきまで俺が居た岩壁が崩壊した。

 立ち上がり、自分にヒールを掛けながら距離を取る。

「グオグオグオ!」

 嘲笑ってるのか? ふざけるなよ!

 痛みを無視して、全速力で突撃!

「パワーブレイド!」
「グオッ!!」

 ――上段に構えた瞬間、灰色のオーガの横薙により”鉄の湾刀”があっさり折れた!

「まだ! パワースラッシュ!」

 柄が光になって消えると同時に、腰の”鉄の短剣”を抜き、オーガの腹を切り裂く!

「グオ?」

 ダメだ……薄皮一枚しか切れていない!

「ぐっ!!」

 オーガの振り上げた左脚が、俺に直撃する!

 自分から跳んで威力を逃がしたが、全身がイテー!!

 ここに来て、攻撃力の無さが仇になるなんて!

 黒い岩に囲まれたこの空間に、脱出口は無い。

 コイツを倒すまで出られないってわけだ!

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! 最悪だぜ!!」

 イテーのに、絶望的なのに――楽しくなってきた!!

「グオオオオオオ!!」

 オーガの剣を、脚首の捻りだけで回避する。

「ああ、こうすれば良かったのか」

 昔、こうして鬼ごっこやドッジボールのボールを躱したんだった。

 頭が冴え渡る!


 ――――獣の感喜が滾る!!


 オーガの攻撃を躱し続け、大剣の攻撃後は隙が大きい事に気付く。

「チッ!」

 隙を付いて短剣で攻撃したが、刃が通らない。

 剣術スキルで攻撃しないとダメージを与えられず、アイツを絶命させるにはTPが足りない!


 ――――奴の大剣の柄部分の意匠、俺の鎧に似ているよな。

「決めた。その剣、俺が貰ってやる!」

「グオオオオオオオオーーーッ!!」

 大剣を大きく振りかぶる灰色のオーガ!

 チャンスだ!

 上段からの攻撃を紙一重で躱し、大剣の腹に触れてからスティールを発動する!

「ダメか!」

 成功率一割。
 TPの残りからして、試せるのはおそらくあと五回!

「スティール!」

 二度目が失敗すると、大剣を手元に引き戻されてしまう。

 引き戻す時に一緒に接近し、股を潜って背後の岩壁を”壁歩き”で駆け上がり、跳ぶ!

 ――もう一度剣に触れた!

「スティール!」

 くっ! 三度目も失敗!

 蝿を払うかのように、オーガの指が迫るが、盾を召喚して直撃は防いだ。

 ただし空中で攻撃されたため、盾を通して伝わった衝撃で吹き飛び、地面に激突――する前に浮く盾の鋭い部分を地面に突き刺し、軸回転して勢いを逃がすことに成功。

 それでも、左腕が痺れちまった。

 チャンスは、残りあと三回!

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