【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

第56話 露天風呂

「ではみなさん、お風呂に入りましょうか?」
 魔道具販売の交渉も無事終わり、みんなで別館に向かう。

 最初は使い方が分からないと思うので、みんなに事前に説明をする。
 脱衣所に入り服を脱ぎ風呂場に入る。
 いきなり浴槽には入らず、事前に水道から出るお湯で体を洗ってから入る。
 それがエチケットだと教えた。

「どうして、エリアス君?」
 『餓狼猫のミーニャ』のエメリナさんが聞いてくる。
「汚れたまま湯船に入るとお湯が汚れてしまい、他の人が不快になるでしょう?」
「そ、そうか、そうだよね」
 この世界ではお風呂自体が珍しいはずだ。
 だからちゃんと、教えないとね。

 サウナやジャグジー、打たせ湯、大浴場を説明した。

 そして俺はストレージから体を拭く大きめのタオルと、体を洗う手ぬぐい、そしてバスローブを人数分出してそれぞれに渡した。

「こ、これは?凄く柔らかくて良い手触りだわ」
 アリッサさんが、生地の手触りの良さに驚いている。

 アスケルの森に入った時に、多年草のワタ属に似ている植物を見つけた。
 そしてそれを収穫しストレージの中で時間を進め育てた。
 だが栄養が無い為か、上手く育たなかった。
 そこで俺の魔力を与え育てていくと、15cmくらいの大きな黄色い花が咲いた。
 その後に丸い実を付け実が膨らみ弾けると、中から拳くらいのフカフカの綿毛が出てきた。
 俺の魔力を糧に育ったせいか異常に大きい。
 その綿毛を紡績機で紡ぎ布にしたものが、みんなが手に持っているタオルだ。

「エリアス様、この肌触りの良い手ぬぐいは…?」
 アイザックさんが興味深そうに聞いてくる。
「はい、綿と言います」
「綿ですか?」
「今頃の時期ならアスケルの森の奥に、たくさん綿の元になる植物がありますよ」

「そ、それはまた…」
 アスケルの森の奥は未開拓で人が踏み入れたことが無い場所だ。
 なぜなら巨大な魔物やAランク以上の凶悪な魔物が多いからだ。
 未開拓な分、貴重な資源が眠っていると聞くが、誰も手を出せない場所だった。

「エリアス様は、アスケルの森の奥まで行かれたことがあるのですか?」
「えぇ、オルガさんと一緒に…」
「さすがは獅星龍のオルガさんですな」
「えっ、まあ…」

 オルガさんはバツが悪そうに返事をする。
 なぜならアスケルの森に入った時、俺の『エリアサーチ』を使っているからだ。
 『エリアサーチ』は俺の鑑定能力を使い、広範囲で魔石を感知するスキルだ。
 大型な魔物は魔石の反応が大きく、事前にそれを避けて歩けば出会うことも無い。
 出会わなければ脅威にならず、俺達は森の奥まで行くことができる。


 それからお風呂を出たら、大きな鏡付のドレッサーと椅子がいくつも並んでいる。
「これはなんですか?エリアス様」
 商業ギルドのノエルさんが聞いてくる。
「それはドライヤーです」
「ドライヤー?」
「このスイッチを上にあげると、2段階で温風が出て髪を早く乾かしてくれます」
 ガァ~!!俺は試しにスイッチを上げ、温風を出して見せた。
 火と風の刻印を刻み魔石で動くようになっている。
「ほ、本当だわ、凄い!!欲しいわ!!」

「こ、これから順次、販売していきますからお待ちください…」
 アリッサさんが棒読みで販売宣言をしている。
 そして商業ギルドのアレックさん、アバンス商会のアイザックさんも同様だ。
 なにか考えているような顔をしている。
 どうしたんだろう?

 3階は露天風呂になっている。
 みんなで3階に行き、露天風呂を説明する。

「外で裸になるのか?」
 オルガさんが聞いてくる。
「はい、3階の高さなら誰にも覗かれることはありません。昼は太陽を見て、夜は星を見ながら、四季折々の変化を楽しみながら解放感に浸れるんです」
「ほう、それは良いなエリアス。今夜から一緒に入るか?」
「「「 キャ~!! 」」」
 それを聞いた『餓狼猫のミーニャ』の3人娘はキャッキャ言っている。



 そして俺達は男女別々に分かれ、1階の露天風呂の入口の中に入って行く。
 勿論、露天風呂も別々ですよ。
 コルネールさんの蛇の体は、幻術でごまかせるそうだ。

 お風呂を堪能したら普段着に着替え、2階に集まるように言ってから別れた。
 そしてみんなでサウナやジャグジー、打たせ湯、大浴場でお風呂を楽しんだ。
 
「あの、エリアス様。このタオルとバスローブは、どうすれば…」
 アイザックさんが聞いてくる。
「そのかごに入れておいてください。後で洗いますから」
「そうですか…」
 なぜかとても残念そうだ。
 どうしたんだろう?

 お風呂を上がろうと浴槽からでると、アバンス商会のお供の2人がジャグジー風呂から出ようとしない。
 吹き出し口からでる気泡を堪能しているようだ。

「おぉ~、当たる~!!」
 そんなことを言っている。
 小学生か?!

 ジャグジー風呂は、そう言う用途で使う訳ではありませんよ!!

 お供の2人を浴槽から出し、俺達は普段着に着替えて2階に上がった。

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