【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
第31話 不干渉条例
「ここはね、エリアス君が魔法で作った建物なの。信じられる?」
え?
私はオルガさんに言われたことが分からなかった。
「どう言うこと?」
「エリアス君の能力よ。彼は創生魔法と言って、自分の望んだものが創れるの」
「そ、そんな馬鹿な魔法は聞いたことが無いわ」
「あぁ、でも材料が無いと駄目みたいね?」
「材料があっても、そんなことは出来ないわ」
「そうね、でも現実はどう?あなたの目の前にあるものはなに?」
「一流の建築家が何年かかかっても、ここまでの完成度の高い建物は作れないわ」
「でしょうね」
「あなた達はこれから一緒に、ここに住むの?」
「気になるところはそこなの、エージェントさん」
「?!何を言っているのかしら」
「しらばっくれないで。国に情報機関があって諜報活動をしていることは有名よ。そして外部からの人の出入りが多い、ギルドにエージェントが多いと聞くわ」
「でも、どうして私がそうだと思うのよ?」
「エルフだからよ」
「エルフが珍しいの?」
「珍しいわ。森の種族と言われているエルフが、堂々と人族の中に紛れて生活をして居るなんて」
「そんなの、人それぞれでしょう」
「いいえ違うわ。長生きな種族や、美形の種族は人族の中では暮らしづらいはずよ。特にエルフは美形だから、貴族の玩具になりやすい」
「そんな事はないわよ。今まで私は一度もなかったわ」
「それは国に守られているからよ。エルフとして街に住み、身の保証してもらう代わりにエージェントになる。違うのかしら?」
「もし、わたしがそのエージェントだったらどうするの?」
「エリアス君を守ってほしいの」
「守る?」
「そう、彼は世間知らずだから常識が少しずれているの。だからいずれはマジック・バッグに目を付ける人が出てくるわ。そしてこの家よ。廃墟寸前の家があったところに、一晩で見たことも無いような宮殿が建っている。商業ギルドのこの場所を売った人が見たら、驚くどころではないはずよ」
「それは、きっとそうね」
「そして人とは違う事をこれから、やり始める可能性があるわ。だからよ」
「そうね、私がエージェントなら、きっと目を付けるわね。容量が多いマジック・バッグ。自分の望んだものが創れる創生魔法が、もし本当なら大変な能力よ」
「ほんと、そうね」
「彼一人で軍事的な戦略も考えられるわ。物資輸送が楽になり、自分の望んだものが創れるら。材料があれば武器が作れると言うことだもの」
「そういう事になるわね。それにエリアス君は5属性魔法が使えるのよ」
「ご、5属性?!」
「そうよ。普通3属性でも凄いのに。でも彼は誰にも指導を受けていないから、やり方が分からないのよ」
「それは勿体ない。使える属性はわかる?」
「ええ、聞いてるわ。火、水、氷、風、光よ」
「ひ、光魔法ですって?!光魔法を使える人なんて、100年に1人くらいしか現れないのよ。貴族が聞いたら彼の光魔法を取り込むために、娘の婿にならないか!てたくさんの誘いが来るわ」
この世界は剣と魔法の世界だ。
だが魔法を使える人は貴族のみで、それも魔法が失わない様に貴族間は魔法を使えるもの同士の婚姻が多い。
そして魔法を使えない子供が生まれるとよほどの才能が無い限り、長男でも当主になることはできない。
庶民でも魔法が使えれば、王宮に雇って貰えることがあるくらい貴重なことだ。
生活魔法が使えてそれを鍛えることにより、攻撃魔法や回復系魔法が使えるようになるからだ。
エリアスは転移前に『剣と魔法の世界』と聞き、誰でも生活魔法程度は使えると思っていた。
だからオルガにも、簡単に話してしまったのだった。
「面白そうね、わかったわ。出来る限り彼を守ってあげるわ」
やっぱりエージェントだったのね。
「あっ、言っておくけど私はエージェントではないわ。知り合いの親戚の、その友達の同僚の、家族の友達がエージェントらしいから頼んでおくのよ」
誰よ、それ!
バレバレでしょ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺はオルガさんと別れ、商業ギルドに向かっている。
『味元』の納品に行かないと。
商業ギルドの中に入ると、受付にノエルさんがいた。
「こんにちは、ノエルさん」
「ようこそいらっしゃいました、エリアス様。本日はどの様なご用件でしょうか?」
「はい、調味料『味元』の納品にきました」
「伺っております。こちらの倉庫へお願いします」
そう言って俺は奥のドアを通り、倉庫に案内された。
「では、ここにお願いします」
「はい」
俺は言われたテーブルに、ストレージから『味元』の入った入物を200個出した。
「まあ?!」
あれ?マジック・バッグて、珍しくないはずだよね??
「確認してください」
「あっ、はい、はい」
返事は1回ですよ。入社の時に習いませんでしたか?
しばらくしてから、確認が終わった。
「それでは『味元』は1個2,000円で200個ですから400,000円。そこからギルドの税金10%を引きますので、360,000円のお支払いになります」
「ありがとうございます」
俺はそう言ってストレージにお金を仕舞った。
「エリアス様はマジック・バッグに、みんな入れておくのでしょうか?」
「ええ、そうです。がさばりませんから」
「余計な事とは思いますが、盗難などの事を考えるとお金は分けておかれた方が…」
「あ、それは大丈夫です。盗まれることはありませんから」
「それはどう言う?」
「俺以外は(時空間魔法なので)使えませんから」
「そ、そうなのですね。凄い機能が付いているのですね」
使用者認定機能が付いているのかしら?
「えぇ、便利ですよ。それから明日から6日後にギルドの依頼で、2週間くらいこの街を離れますから。戻ってきたら『味元』の反響を聞きに、顔を出しますから」
「わかりました。それからでしょうか、購入されたお屋敷の改築は?」
「それなら、もう済みました」
「え?!済んだ?!」
「俺、やることが早いんで。依頼から戻ってきたら、新居に住もうと思ってます」
そういう問題では…。
「わ、分かりました。楽しみですね」
「ええ、そうなんです。ではまた!」
「はい、ありがとうございました」
私はノエル。
仕事帰りに少し遠回りをして帰った。
エリアス様の購入された物件が気になったのだ。
そんな短時間で出来るわけがない。
それほど、老朽化が進んでいたのだ。
私は目を疑った。
何度も何度も目をこすったが、変らなかった。
そこには高くて立派な塀に囲まれた屋敷があった。
遠目からも分かる宮殿の様な大きさ、見たことも無い作りの建物のデザイン。
そしてどれだけの財を投資すれば出来るのだろう。
3階建ての各部屋は窓ガラスになっていた。
『もう済みました』
これは改築ではなく、建て替えだ。
しかもまだ2日しか経っていない。
いったいどうやれば…。
翌朝、私は一番にギルドマスターに向かった。
「ギルマス、お話が…」
「おぉ、ノエルか。いったいどうしたんだ、こんなに早く」
「実はエリアス様の事ですが、彼は…」
私が話そうとするのを、ギルマスは手を伸ばし止めさせた。
「彼の事なら、もう干渉は出来ない」
「どうしたのですか?」
「国から不干渉条例が発令されたんだ」
「えっ?!」
私はエリアス様のことを話そうとした。
するとギルドマスターのアレックさんからそう言われた。
不干渉条例
それは国が総力を挙げて守る、対象となる人のことを言う。
国宝級の才能や能力を持つ人を庇護するためにある条例だ。
この対象に選ばれた人は24時間、影から専用の組織が身の回りを守ると聞く。
国の重鎮に選ばれたと言っても、過言ではないだろう。
そうね、あれだけのお屋敷を簡単に、建て替えできるなんて。
おかしいと思ったのよ。
私は商業ギルド、ギルドマスターのアレックだ。
朝早く国から早馬が来た時は、驚いたものだ。
しかし『味元』が、食の革命をもたらす可能性があることを国も認めたのか?
どこから嗅ぎつけて来たのか?
この世界の国々は女神ゼクシーを仰ぐ、シャルエル教が絶対信仰だ。
そのため一国より力を持つ教団から、侵略や戦争は認められていない。
他国とのやり取りは外商がどれだけ優位に働くかしかない。
それほどのことなのか、エリアスという男が作る『味元』は。
え?
私はオルガさんに言われたことが分からなかった。
「どう言うこと?」
「エリアス君の能力よ。彼は創生魔法と言って、自分の望んだものが創れるの」
「そ、そんな馬鹿な魔法は聞いたことが無いわ」
「あぁ、でも材料が無いと駄目みたいね?」
「材料があっても、そんなことは出来ないわ」
「そうね、でも現実はどう?あなたの目の前にあるものはなに?」
「一流の建築家が何年かかかっても、ここまでの完成度の高い建物は作れないわ」
「でしょうね」
「あなた達はこれから一緒に、ここに住むの?」
「気になるところはそこなの、エージェントさん」
「?!何を言っているのかしら」
「しらばっくれないで。国に情報機関があって諜報活動をしていることは有名よ。そして外部からの人の出入りが多い、ギルドにエージェントが多いと聞くわ」
「でも、どうして私がそうだと思うのよ?」
「エルフだからよ」
「エルフが珍しいの?」
「珍しいわ。森の種族と言われているエルフが、堂々と人族の中に紛れて生活をして居るなんて」
「そんなの、人それぞれでしょう」
「いいえ違うわ。長生きな種族や、美形の種族は人族の中では暮らしづらいはずよ。特にエルフは美形だから、貴族の玩具になりやすい」
「そんな事はないわよ。今まで私は一度もなかったわ」
「それは国に守られているからよ。エルフとして街に住み、身の保証してもらう代わりにエージェントになる。違うのかしら?」
「もし、わたしがそのエージェントだったらどうするの?」
「エリアス君を守ってほしいの」
「守る?」
「そう、彼は世間知らずだから常識が少しずれているの。だからいずれはマジック・バッグに目を付ける人が出てくるわ。そしてこの家よ。廃墟寸前の家があったところに、一晩で見たことも無いような宮殿が建っている。商業ギルドのこの場所を売った人が見たら、驚くどころではないはずよ」
「それは、きっとそうね」
「そして人とは違う事をこれから、やり始める可能性があるわ。だからよ」
「そうね、私がエージェントなら、きっと目を付けるわね。容量が多いマジック・バッグ。自分の望んだものが創れる創生魔法が、もし本当なら大変な能力よ」
「ほんと、そうね」
「彼一人で軍事的な戦略も考えられるわ。物資輸送が楽になり、自分の望んだものが創れるら。材料があれば武器が作れると言うことだもの」
「そういう事になるわね。それにエリアス君は5属性魔法が使えるのよ」
「ご、5属性?!」
「そうよ。普通3属性でも凄いのに。でも彼は誰にも指導を受けていないから、やり方が分からないのよ」
「それは勿体ない。使える属性はわかる?」
「ええ、聞いてるわ。火、水、氷、風、光よ」
「ひ、光魔法ですって?!光魔法を使える人なんて、100年に1人くらいしか現れないのよ。貴族が聞いたら彼の光魔法を取り込むために、娘の婿にならないか!てたくさんの誘いが来るわ」
この世界は剣と魔法の世界だ。
だが魔法を使える人は貴族のみで、それも魔法が失わない様に貴族間は魔法を使えるもの同士の婚姻が多い。
そして魔法を使えない子供が生まれるとよほどの才能が無い限り、長男でも当主になることはできない。
庶民でも魔法が使えれば、王宮に雇って貰えることがあるくらい貴重なことだ。
生活魔法が使えてそれを鍛えることにより、攻撃魔法や回復系魔法が使えるようになるからだ。
エリアスは転移前に『剣と魔法の世界』と聞き、誰でも生活魔法程度は使えると思っていた。
だからオルガにも、簡単に話してしまったのだった。
「面白そうね、わかったわ。出来る限り彼を守ってあげるわ」
やっぱりエージェントだったのね。
「あっ、言っておくけど私はエージェントではないわ。知り合いの親戚の、その友達の同僚の、家族の友達がエージェントらしいから頼んでおくのよ」
誰よ、それ!
バレバレでしょ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺はオルガさんと別れ、商業ギルドに向かっている。
『味元』の納品に行かないと。
商業ギルドの中に入ると、受付にノエルさんがいた。
「こんにちは、ノエルさん」
「ようこそいらっしゃいました、エリアス様。本日はどの様なご用件でしょうか?」
「はい、調味料『味元』の納品にきました」
「伺っております。こちらの倉庫へお願いします」
そう言って俺は奥のドアを通り、倉庫に案内された。
「では、ここにお願いします」
「はい」
俺は言われたテーブルに、ストレージから『味元』の入った入物を200個出した。
「まあ?!」
あれ?マジック・バッグて、珍しくないはずだよね??
「確認してください」
「あっ、はい、はい」
返事は1回ですよ。入社の時に習いませんでしたか?
しばらくしてから、確認が終わった。
「それでは『味元』は1個2,000円で200個ですから400,000円。そこからギルドの税金10%を引きますので、360,000円のお支払いになります」
「ありがとうございます」
俺はそう言ってストレージにお金を仕舞った。
「エリアス様はマジック・バッグに、みんな入れておくのでしょうか?」
「ええ、そうです。がさばりませんから」
「余計な事とは思いますが、盗難などの事を考えるとお金は分けておかれた方が…」
「あ、それは大丈夫です。盗まれることはありませんから」
「それはどう言う?」
「俺以外は(時空間魔法なので)使えませんから」
「そ、そうなのですね。凄い機能が付いているのですね」
使用者認定機能が付いているのかしら?
「えぇ、便利ですよ。それから明日から6日後にギルドの依頼で、2週間くらいこの街を離れますから。戻ってきたら『味元』の反響を聞きに、顔を出しますから」
「わかりました。それからでしょうか、購入されたお屋敷の改築は?」
「それなら、もう済みました」
「え?!済んだ?!」
「俺、やることが早いんで。依頼から戻ってきたら、新居に住もうと思ってます」
そういう問題では…。
「わ、分かりました。楽しみですね」
「ええ、そうなんです。ではまた!」
「はい、ありがとうございました」
私はノエル。
仕事帰りに少し遠回りをして帰った。
エリアス様の購入された物件が気になったのだ。
そんな短時間で出来るわけがない。
それほど、老朽化が進んでいたのだ。
私は目を疑った。
何度も何度も目をこすったが、変らなかった。
そこには高くて立派な塀に囲まれた屋敷があった。
遠目からも分かる宮殿の様な大きさ、見たことも無い作りの建物のデザイン。
そしてどれだけの財を投資すれば出来るのだろう。
3階建ての各部屋は窓ガラスになっていた。
『もう済みました』
これは改築ではなく、建て替えだ。
しかもまだ2日しか経っていない。
いったいどうやれば…。
翌朝、私は一番にギルドマスターに向かった。
「ギルマス、お話が…」
「おぉ、ノエルか。いったいどうしたんだ、こんなに早く」
「実はエリアス様の事ですが、彼は…」
私が話そうとするのを、ギルマスは手を伸ばし止めさせた。
「彼の事なら、もう干渉は出来ない」
「どうしたのですか?」
「国から不干渉条例が発令されたんだ」
「えっ?!」
私はエリアス様のことを話そうとした。
するとギルドマスターのアレックさんからそう言われた。
不干渉条例
それは国が総力を挙げて守る、対象となる人のことを言う。
国宝級の才能や能力を持つ人を庇護するためにある条例だ。
この対象に選ばれた人は24時間、影から専用の組織が身の回りを守ると聞く。
国の重鎮に選ばれたと言っても、過言ではないだろう。
そうね、あれだけのお屋敷を簡単に、建て替えできるなんて。
おかしいと思ったのよ。
私は商業ギルド、ギルドマスターのアレックだ。
朝早く国から早馬が来た時は、驚いたものだ。
しかし『味元』が、食の革命をもたらす可能性があることを国も認めたのか?
どこから嗅ぎつけて来たのか?
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