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父ちゃんと呼ばれるまで

ナカムラ

出会い

 金田忠(かねだただし)は、今日も日雇いの派遣で働き、疲れて帰ってきた。
自分のアパートの駅前から、小さな子達の声が聞こえた。「すみません。僕達の親になってください。すみません。僕達の親になってください。…。」
長男らしき中学生くらいの子供が、3人の子供を引き連れて、誰にでもなく、声をかけていた。
「まあ、無視するか。」彼は、そう思った。皆も
そんな声に、耳を傾けず、自分の家路に、急ぎ、声は、かきけされていった。
彼も、皆と同じように、家に帰ろうとした。
その時、彼は、妙案を思い付いた。「そうだ。私には、遠い親戚に、外資系の会社で、外国に出張中の夫婦が、いる。子供が欲しいと言っていた。こいつら利用してやるか。夫婦は、2ヶ月くらいで帰ってくる。それまでの我慢か。」
彼は、4人の子供達に、近づいていった。
「坊主たち。親は、どうした?」
長男らしき男の子は答えた。
「母ちゃんが男と一緒に家を出ていった。おじさん、僕達の親になってください。」
その時だった。1人の男性の警察官が、近づいてきて、「どうしたんだい、君たち。」と、聞いてきた。
彼は、まずい、と思った。
すると、長男らしき男の子は、「僕のお父さんです。ただ、話してただけだよ。」と、言った。
「でも…。」と、警察官が、言いかけたところ、
少し離れたところから、「スリだー!!」という声が、聞こえてきて、警察官は、そちらに、急行した。
彼は、子供達を連れて、その間に、自分のアパートまで、走っていった。

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