ひざまずけ、礼

ko-suke

第3章15話 作戦はシンプルであれ




僕が考えた作戦、その名も「溶かして固めて大作戦」。ダッサイ名前だが、無視してくれ。

ロウソクとかは、伸びてる紐に火がつくと、ロウが溶けていく。つまり、蝋人形に紐を生やし、火をつけて溶かしてしまおうというわけだ。

安直な作戦ではあるが、こういうのは割とシンプルな方が、かえって機能しやすかったりするんだ。

実際、どんどん敵は溶け、原型は無くなっていた。今回ばかりは長期戦も覚悟していたが、やつは溶けやすいもののようだ。

僕はパチンコの玉を別のものに変え、撃った。無事に命中し、それからすぐにバリアの効力が無くなったようで、光のオーラが消え去った。だが、追加のバリアは必要なさそうだ。

バリアがなくなった直後、立方体の形で落下する蝋人形・・・いや、蝋の塊と言った方がいいか。カタンと音を立て、地面に落ちた。

僕が最後に撃ったのは、新規玉の3つ目。その名を冷却玉と名付けた。その名の通り、命中後に液体窒素がとびだし、敵を冷却するというもの。つまり、敵はバリアに入った状態で冷却され、そのままの形で固まったのだ。

比影「これで手も足も出まい。手も足もなくなっちまったし、当たり前だけどな。佐和さん、あとは任せた!」

佐和「おっけー!」

佐和さんが蝋の塊へ駆け寄り、手をかざす。なんとかして動こうとしてるのか、カタカタと塊が揺れる。だが、動くことは出来なかった。手足もないから、蝋化する玉も撃てない。

佐和「ひざまずけ・・・礼っ!」

佐和さんが叫んだ直後、蝋の塊は光を纏い、粒子となって消え去った。赤い景色も崩れ落ち、紅き街は崩壊した。僕らの勝ちだ。



紅き街崩壊後、僕達は地面へ座り込んだ。

佐和「ふー・・・何とかなってよかった!まだまだこいつも使えるね!」

比影「貫禄が違うよね。ナーテアさんが最初に作ってくれた武器だから、思い入れもあるし・・・これからもよろしくな。」

僕はパチンコに手を触れる。無機質であるパチンコの奥に、温かさを感じた気がした。

比影「さ、秘密基地へ帰ろう。ナーテアさんにちゃんと報告しなきゃ。」

佐和「そうね。ナーテアさん喜ぶと思うよ?」

比影「ははは、そうだね。」

僕らは笑い合う。最近、僕ら3人チームには、不可能なことは無いのでは?なんて思うことがある。そして今回も成し遂げたから、その思いがさらに強くなった。

誰が敵であろうと、何が立ちはだかろうと、きっと僕らならなんとかなる。どうにもならないことだって、僕らなら活路を見いだせるだろう。

僕はそんなことを思いながら、佐和さんと秘密基地へ戻るのだった。


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