ひざまずけ、礼
第2章99話 対策は時に弊害をも生む
後日談というか、なんというか。あれから毎日、箕浦くんは偏光グラスを身につけて登校してきている。使ってくれて何よりなのだが、少なからず支障が出てきているようだ。
支障というと、大概細かいところ・・・例えば、暗い部屋だと黒板が見づらいとか、例の教頭に目をつけられるとか、そういう話を主に思い浮かべるだろう。
もちろんそういうところもあるんだけど、何よりも問題だったのは、それが偏光グラス・・・つまり、黒っぽいレンズの眼鏡だってことだ。
これが普通の人なら、そこまで苦ではなかっただろう。だが、箕浦くんは・・・それがある意味では、何よりの問題だった。
箕浦くんって、ちょーっと顔が怖・・・じゃなくて、顔の印象が強いから、こういうメガネとかつけるとさ、どことなくヤバいやつ感が高まるんだよね。
それじゃなくても、佐賀美くんや他のヤンチャな方々と組んで、毎日てんやわんやしてるからね。そこに見た目が変わった彼がでてくるもんだから、ちょっとね。
そんなだから、クラス以外の他の人に避けられるわ、ちょっと目が合っただけなのに、睨まれただの脅されただの・・・主に見た目に関する事件が度々起きていた。
ちなみに、クラスには「視力が悪いからつけている、色つきなのはそれしか無かったから」ということにしている。・・・いやもっと自然な言い方は無かったのだろうか?
んでもって、自分から見てもなかなか苦し紛れだったのだが、以外にもすんなりと受けいれられた。何故かはわからん。
箕浦くんに関しては、最初のうちは気にしていない様子だったが、流石に数日続くとこたえるようで、明らかに落ち込んでいた。僕や佐賀美くんが励ますも、あまり効果なし。
しかもそれが逆効果となり、その見た目も相まって、落ち込んでいる様子は普段の姿よりも、さらに凄まじく映ったようだ。不幸マトリョーシカってところだろうか。
そんな日々が続くと、変な噂も尾ひれをつけて回ってくる。家がそっち系だとか、そういう奴ね。可愛そうではあるが、本人曰く「あの夢見るよりかまし」とのこと。
効果はきちんと現れているようで、あれから紅き街の夢を見ることはなくなったという。見た目には難ありだが、看板に偽りなしであったことには安堵した。これで効果なしじゃ、箕浦くんが浮かばれないからね。
そんなわけで、僕らは各々奮闘しながら、しばらく平和なひとときを過ごした。やっぱし平和が1番だね!
そしてその影で、大きな闇の陰謀もまた、動き出そうとしていた。
第2章、"仲間"編、完。物語は第3章へ・・・
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