ひざまずけ、礼

ko-suke

第2章97話 恐怖は人を変えるもの




あれから数日後、紅き街の出現情報はない。だが、いつ箕浦くんが狙われるかわからないため、一切気を抜けない状況だ。

それはクラスでも同様で、今までの箕浦くんでは絶対に見せない表情で、ずっと静かに脅えていた。

箕浦「だ、大丈夫だろうか・・・」

比影「ナーテアさんなら大丈夫、あの子が作ったものはどれも一級品だからね。あの子の装備に助けられたことも何度もあるし。」

箕浦「そ、そうか・・・ならいいけど・・・」

ずっとこんな状態。彼の相棒的存在である、佐賀美くんに対しても同様で・・・

佐賀美「よー箕浦ぁ!元気してっかぁ!?」バシ

箕浦「ひっ!?・・・あ、あぁ佐賀美か。急に脅かすなよな。」

佐賀美「ひっ、てお前なぁ・・・そんな脅かすことしてねぇぞ。それになんだお前、そんなビクビクしてよ。お前らしくねぇぞ?」

箕浦「び、ビクビクしてるだぁ?どこの誰がだよぉ。」ヒキッ

佐賀美「鏡見ろお前。顔全体がピクピクしてるし、目も虚ろだし・・・虎の前の兎以上だぞ。いったい何があった?相談に乗るから言ってみろ。」

箕浦「それは・・・」チラ

比影「・・・」クビヨコフリ

箕浦「た、大したことじゃないんだ。ちょっと疲れが溜まっててな。心配かけて悪い。」

佐賀美「・・・ならいいが。あ、他校のヤツらに脅されてるならすぐ言えよ。俺がぶっ飛ばしてやる。」

箕浦「・・・ありがとう。だが、もし本当に脅された時は、俺も一緒に殴り込みに行くからな。やられっぱなしは性に合わねぇ。」

佐賀美「おうよ。まずはその足の震えを止めるところからだな。」

こういう時はかっこよくなる、佐賀美くん。情に厚いお調子者、というフレーズが良く似合うのが彼だ。良くも悪くも、ね。

そして失礼な言い方だが、佐賀美くんでさえすぐ気づくほど、箕浦くんは目に見えて怯えている。あの時は何ともないような感じだったが、とてつもない痩せ我慢をしていたらしい。

まぁ、無理もない。あんな世界を何度も見せられたら、常人は狂うだろう。しかも命を狙われているとなれば、怯えるのも当然だ。・・・そういった意味では、僕はもうどこか人間ではないのかもしれない。

そんなわけで、紅き街対策グッズの開発が急がれるが、なかなか苦戦しているらしく、まだ試作段階だ。どうも、起きてる時と寝てる時の対策の両立が難しいようだ。

そして1日、また1日と日々は過ぎ、あれから2週間が経とうとしている時。休みの日、朝早くにすごく嬉しそうな声をした女の子によって、叩き起された。

その女の子は、よく聞くとナーテアさんの声で、「できました!紅き街対策グッズ!」と豪語していた。・・・マジで!?


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