ひざまずけ、礼
第2章93話 ギミック系は内側から
佐和さんは咳払いをして続けた。
佐和「でも変ね、いつも紅き街で出てくる化け物は別だったんでしょ?いきなり元凶が出てくるなんて・・・」
箕浦「言われてみればそうだな。最初の日だけあいつで、ほかはゾンビやら、ゴリラみたいなやつやら、そんな変なのが出てきていたな。」
比影「それ・・・多分だけど、僕と佐和さんがいるせいじゃないかな。」
箕浦「お前らがいるせい?どういうことだ?」
比影「ほら、箕浦くんが最初見たのはあの化け物だったんでしょ?多分、最初は直接襲わないと、取り憑いて夢を食べることが出来ないんじゃないかな。」
佐和「なるほど、契約の儀みたいなことね。」
箕浦「だから最初以外、あいつは出てこなかったのか・・・あいつに頭を噛み付かれたところで目を覚ましたんだよな、あの時。」
比影「じゃあ、あいつに頭を噛みつかれるのが取り憑く合図だね。逆を言えば、取り憑かれる前にこいつを倒せば、箕浦くんがこの夢を見ることも無くなって、都合がいいね。」
佐和「おぉ、ならやっちゃいましょ!」
比影「くれぐれも油断しないでね。何してくるか分からないから。」
佐和「分かってるわよ、ここでやられちゃったら意味ないからね!」
箕浦「おい、俺は・・・」
比影「隠れてて!悪いけど、守ってあげられるほど余裕は無いと思うから!」
僕と佐和さんは、バクとかいう化け物向けて走る。箕浦くんは言いつけ通り、ちゃんともの陰に隠れた。
バクはこちらに気づき、空に浮いて煙を撒いた。どうやら目くらましをして、その間に取り憑こうという魂胆のようだ。
比影「させるかよ!こんにゃろ!」
僕はナーテアさん特製の新作、発光ペイント弾をぶつける。一か八かではあったが、音的にちゃんと命中したようだ。とりあえずこれで、やつを見失うことは無いだろう。
あとは、このガスも念の為どうにかしとかなければ・・・毒ガスとかだったらまずいからね。
佐和「そっちは任せて!」
佐和さんは爆発する玉を、ガスの濃い部分に放つ。爆発と同時にガスは吹き飛び、光る化け物が姿を現した。
比影「佐和さん!」
佐和「はいよ!」
佐和さんと縦一直線に並ぶ。やつを挟み込むように。どちらに取り憑こうか悩んでいる間、つまり今がチャンス!
2人「どっせぇぇぇい!!」
思いっきりジャンプして、バク本体を掴む。とりあえず掴むことが出来たところに安堵する。こいつ自体に実態がないとかだったら、マジでどうしようも無かったからね。
んでもって・・・掴めたら、やることはひとつ!
2人「こんにゃろぉぉぉ!」
やつの口に、玉を突っ込む。突っ込んだ玉は、さっき佐和さんが使った・・・爆発するやーつ。
数秒後、爆発音がして、やつの口から煙がモクモクと出てきた。手を離すと、床にべちっと落ちた。可哀想ではあるが、やむを得ないことだ。あくまで夢喰いのバクだからね!モノホンの動物じゃないからね!
佐和「よし、行っくぞー!ひざまずけー・・・れぇぇぇい!」
例のアレを言い放った佐和さん。途端、元々光っていたものがさらに光り輝き、光の粉となって消え去った。
こうしてまたひとつ、紅き街の化け物を退治することが出来たのだった。
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